[main]
石清水 華怜 :
「ああっ、逃げる…逃げる! パンサラッサ!
坂を駆け上って…逃げる! まだ逃げる!!
パンサラッサ見事な逃げ切り勝ち!!
…いやー、いつ見ても気持ちいいなあ!」
競馬の映像を見てひとり満足しています
[main] 武藤 享司 : (打合せの場所はここで合ってるはず、なんだけどな。……うーん?)スマホの地図と連絡された場所を交互に
[main]
石清水 華怜 :
「…っ、あー! アカンかったなあ! でも、まだまだ先は長いでー! 頑張りや、新馬ちゃんたち!」
レース結果を見てノリノリです
[main]
武藤 享司 :
(めっちゃ喋るなこの子……競馬あんま詳しくないけど楽しそうで何より)
(……周囲に紛れとくのも大事か。ちょっと見てみよ)壁にもたれてスマホで競馬の動画とかを調べます
[main] 武藤 享司 : (やべガッツリ禁煙って書いてたわ……隠しとけ隠しとけ)
[main]
石清水 華怜 :
「…さあ、次はメインレース…GIII、アイビスサマーダッシュや!
2021年のバカラクイーンは最高やったな! 今年も名レースが生まれることを信じて…乾杯!」ビール片手に
[main] GM : そのメインレースが始まる直前。二人に声が掛かる。
[main] GM : 「武藤さんと、石清水さんですね?」
[main] 武藤 享司 : 「あぁ、はい。こっちは間違いありませんよ」へらりとそちらに手を振って
[main] 石清水 華怜 : 「は、はい…そうですけど…」恥ずかしそうに眼を伏せつつ
[main] 武藤 享司 : (ああ、あの子もやっぱ待ち合わせで来てたか。……ガッツリビール持ってるのはまあ見なかったことにするかぁ)
[main] GM : そこにいたのは、何の特徴もない男だった。量販店で買ったとしか思えない上下。野球帽。顔も若くもないが中年というほどでもないくらい。髪は勿論普通の黒。髪型も普通。
[main] GM : 人ごみに紛れれば、確実に数秒で見失い、そのまま記憶にも残りそうにない男。その男は、二人にこう名乗った。
[main] コモンセンス : 「はじめまして。UGNエージェント、コモンセンスです」
[main] コモンセンス : 「名前は田中とお呼びください」
[main] コモンセンス : 恐らく偽名だろう。
[main]
武藤 享司 :
「”コモンセンス”……あぁ、指定があるならそちらで。田中さんですね、宜しくお願いしますよ」
「そちらの石清水さんもね」軽く手を振る
[main]
石清水 華怜 :
「…あっ、2016年生まれ…着内にもよう入ってはった…って、ちがうなこれ」
「コードネームの、"コモンセンス"はんやね。よろしゅうお願いいたします」
[main] コモンセンス : 「宜しくお願いします。近隣の支部は今少し立て込んでいまして、立ち話で申し訳ありません」
[main]
武藤 享司 :
「いえいえ。そういった事情なら、早速本題の方に入りましょう」
「どういったご用向きか、お聞きしても?」
[main]
石清水 華怜 :
「か、構いませんよぉ。えへへ、ちょっとでもうちがお力になれたらうれしいな…」
「それで、うちらはなにをしたらよろしいんです?」
[main] コモンセンス : 「急ぎの依頼です。場所も丁度いい。クラタファントムという競走馬を御存知でしょうか」
[main] 石清水 華怜 : 「…ああっ、あの大逃げの!」
[main]
武藤 享司 :
「……申し訳ない、寡聞にして存じ上げませんねえ」
「こっち方面はまだまだ不勉強なもので……」たはは、と草臥れた笑い
[main] 石清水 華怜 : 「…よう騎手まで振り落としてはる、あの!」
[main] コモンセンス : 「いえいえ、私も残念ながら名前くらいしか知らないもので。石清水さんの見識に頼るのが一番良さそうですね」
[main]
武藤 享司 :
「凄いやんちゃだな……」
「そうですねぇ。餅は餅屋と言いますし、お力をお借りしましょうか」
[main] コモンセンス : 控えめにほほ笑む。その笑みも、まるで印象に残らない。背景のような笑みだった。
[main] コモンセンス : 頷く。
[main]
石清水 華怜 :
「いえいえ、おおきに。うちなんか競馬観戦くらいしかできひん人間やし…。
…あっ、武藤はん! こちらの"初めての競馬入門"はどうです? こっちの"すぐ当たる! 強い馬の見分け方!"は?」
競馬の本を武藤さんに進めます
[main] 武藤 享司 : 「うおっとと……あ、ありがたく頂戴しておきますねぇ。今から勉強という訳にも行きませんので、また後日読ませて頂きます」2冊とも受け取って懐へと仕舞います
[main] コモンセンス : タイミングを見て、コモンセンスこと田中が口を開く。
[main] コモンセンス : 「このクラタファントムはAオーヴァードの疑いがあります」
[main] コモンセンス : Aオーヴァード……アニマルオーヴァードの略称だ。端的にいえば、動物のオーヴァードのことだ。しかも、人間並みの知能がある。人の姿をとれるかどうかは個体差がある。
[main] 武藤 享司 : 「ははぁ、なるほど。……石清水さんのような余程のマニアでなければ気付かないくらいの活躍のうちに確保しておけと、そういった内容でお間違えないですかねぇ」
[main] コモンセンス : 「話が早くて助かります。ですが、事態は既に穏便に済みそうではありません」
[main] コモンセンス : 小さく溜息をついて首を左右に振ってから、続きを語り出す。
[main] 武藤 享司 : 「と、仰いますと」と続きを促します
[main]
石清水 華怜 :
「えっ、その…うちなんかマニアとちゃうよ。
マニアの人は、なんかすごいから…」
[main] 武藤 享司 : 「謙遜する必要はないと思いますけどねぇ。俺にはパッと名前言われただけで戦績とか走法とかパッと出て来やしませんし」
[main]
石清水 華怜 :
「…せやけど、アニマルオーヴァードかぁ。
どうしたらいいと思います?」
[main] コモンセンス : 「報道に圧力をかけてニュースにしないようにしていますが、このクラタファントムは二日前から厩舎から姿を消しています」
[main] コモンセンス : 「しかも、その前後で近隣支部へのFHの襲撃があり、現在この地区のUGN支部は身動きがとりづらい状態になっています」
[main]
石清水 華怜 :
「ああ…クラタファントムの鮮やかな大逃げはオーヴァード能力によるもんやったんやね…!
これ知れただけでも感動やわ…!」
[main]
武藤 享司 :
「あーらら。その隙に乗じて逃げたか、あるいは」
「端からそっちが陽動でこっちが本命だったか……ふぅむ」
[main] コモンセンス : 頷く。
[main] コモンセンス : 「どちらの可能性もあります。FHへの対応は支部が行いますので、皆さんにはこのクラタファントムの行方を追い、捕縛をして頂きたい」
[main] コモンセンス : 「これが、今回の依頼内容となります」
[main] 石清水 華怜 : 「…なあ、武藤くん。知っとる? クラタファントムの上がりタイム!」
[main]
武藤 享司 :
「了解致しました。荒事は然程得意な方じゃあありませんが……可能な限り尽りょ……」
「えっ?」
[main] 武藤 享司 : 「上がり……?」タイム、って言ってるしどっかかの記録の事かな、くらいは推測が付く、程度の競馬知識!
[main]
石清水 華怜 :
「もう、とんでもなく早くってなぁ。
走れば一番人気、休養明けでも最低でも2番人気はしとった。
そんな子をうちらは捕まえへんとアカンねんなぁ」
[main]
武藤 享司 :
「そうなんだ……そりゃあ凄いねぇ」
「とはいえ、オーヴァード化してるとはいえ馬は馬……」
[main]
石清水 華怜 :
「…あっ、ウチ、クラタファントムのぬいぐるみ持っとるねんで!
これ見て見て!」ぬいぐるみを見せます
[main] コモンセンス : 申し訳なさそうに野球帽を軽くかぶり直す。
[main] コモンセンス : 「……もしAオーヴァードであることが事実であれば、残念ながら、クラタファントムは引退することになります」
[main]
石清水 華怜 :
「…あっ、堪忍ね!
あとの話は後程…」
[main]
武藤 享司 :
「巨体の痕跡か、それを隠そうとしてのレネゲイドの痕跡は隠し切れないはず……っとと」
「……おー、かわいい。……外見の特徴はここから掴めそうかな」
[main] 武藤 享司 : 「……まあ、そりゃあそうでしょうねぇ。人間のアスリートなんかでもそうなりますし」
[main] 石清水 華怜 : 「競走馬でも、ドーピングで引退した子はようけおるから…」
[main] コモンセンス : 「ともかく、方法はお任せします。もし捕縛が難しいようなら、お二人の命には代えられません。最終的な扱いは現場にて判断をお願いします」
[main]
武藤 享司 :
「ああ、やっぱそっち(競馬)でもそういうのあるんだ……」
「はいはい、改めて了解致しましたよ。微力ながら尽力いたしますとも」
[main] コモンセンス : もしAオーヴァードかつ暴走状態などであれば、それは最早猛獣どころの騒ぎではない。ちょっとした怪獣映画だ。
[main] コモンセンス : お互い、無傷で確保は難しいだろう。
[main]
石清水 華怜 :
「…うちの命なんてどうなってもええ。
あの子はなんとしてでも助けてあげたい…!」
[main] 武藤 享司 : 「そう悲観することもないでしょうに。両方無事ならそれが一番でしょうよ」
[main]
武藤 享司 :
「ってことで、まあ調べものなら任せて。専門的な知識はないけど顔は結構広い方なんでねぇ」
「改めて、武藤享司。よろしく頼むよ」
[main] 石清水 華怜 : 「…あ、うん。えと、うちは石清水 華怜ていいます。よろしくお願いします…」
[main] 武藤 享司 : 「はいはい、そんじゃ調べていきますかぁ」
[main] 石清水 華怜 : 「うん。よろしゅうね」
[main]
武藤 享司 :
ということで情報:噂話でクラタファントム君の行方を探ります
エージェンシーで社会ダイス+4
[main] GM : 目標は7とするぜ!
[main] 武藤 享司 : (5+4+0+0)dx(10+0)+0 【社会】判定 (9DX10) > 9[1,3,4,6,6,7,8,9,9] > 9
[main] 武藤 享司 : おっけい
[main] GM : 成功!
[main] 石清水 華怜 : すごい
[main] 武藤 享司 : 「なるほどね。破壊痕やら食事の痕跡を辿っていくと……」聞き込みで得られた情報をまとめていく
[main] コモンセンス : 「流石仕事が早い。こちらで足は手配します」
[main] コモンセンス : 「早速、急行願います」
[main]
武藤 享司 :
「おっけい。そんじゃお願いしますよぉ」
「……ってことなんで、行きましょうか。……しっかしわざわざ北海道くんだりまで行くとはねぇ。何か目的でもあるのやら」
[main] 石清水 華怜 : 「あっ、北海道行けるの!? ノーザンパークとかも寄らせてもらえる!?」
[main] コモンセンス : 「仕事が終わった後でなら……はははは」
[main] 武藤 享司 : 「ってことで早めに終わらせてプチ旅行の時間確保できるようにしましょうかぁ」
[main]
石清水 華怜 :
「よかったら武藤くん、ジンギスカン食べよー!
あっ、馬肉は馬に関わってるものとしてうちは食べられへんけど!」
[main] 武藤 享司 : 「いいですねぇ。……お仕事終わった後でですよぉ」
[main] GM :
[main] GM :
[main] GM : クライマックス【幻影】 登場:全員
[main]
GM :
そこは、既に廃業した牧場だった。世間の不況の波はどの産業にも押し寄せている。この牧場も、長い歴史に終止符を打ち、今は無人の野原が広がるばかり。
草も刈りこまれているが、すぐにこれらも足を覆うほどの長さへと成長し、荒れていくだろう。
[main] system : [ 武藤 享司 ] 侵蝕 : 33 → 46
[main] system : [ 石清水 華怜 ] 侵蝕 : 36 → 43
[main] 武藤 享司 : 「ぼろっちい柵だことで。……何ともまぁ、物悲しい光景ですねぇ」
[main] GM : そこに、一匹の黒馬がいた。細長いサラブレット特有のシルエット。野生の馬はすでに絶滅しているはずの日本では……本来そこにいるはずのない存在。
[main] GM : 間違いない。クラタファントムだ。
[main]
石清水 華怜 :
「…いえ、これは夢の跡なんよ。
ダービーを夢見た、多くのホースマンの夢の跡…」
[main] 武藤 享司 : 「そして夢だけじゃ食ってけない、って訳ですか。世知辛い限り」
[main] 武藤 享司 : 「……そんで、お出ましのようですねぇ」
[main] クラタファントム : クラタファントムは、君たちに視線を向ける。理知を感じさせる瞳。馬は元々頭の良い動物であるが、その瞳はそれにしても【理性】を強く感じさせる。
[main] クラタファントム : 風が、微かに吹き始める。明らかにそれは、レネゲイド由来のものだった。
[main] 石清水 華怜 : 「クラタ、ファントム号…12戦7勝、主な勝鞍は安田記念…」
[main] 石清水 華怜 : 「日本ダービーに出て、2着で勝たれへんかった…」
[main] 武藤 享司 : 「こんにちは。あー……」言葉を探し、視線を彷徨わせる。馬に対して掛けるべき言葉ってなんだ?と思って、迷う視線を最終的に石清水さんの方へ
[main] クラタファントム : その時、クラタファントムの背に一羽のカラスが止まった。
[main] クラタファントム : そのカラスは……なんと、会釈をした。動物とは思えない丁寧な仕草で。
[main] 武藤 享司 : 「……そちらさんも、彼と同じ手合いかな」
[main] カラス : 「御慧眼ね。こんなに早いとは思いませんでしたわ。優秀なUGNエージェントのようですわね、アナタ達」
[main] カラス : ぺらぺらと、そして流暢に喋るそのカラスは、柔らかな仕草で二人に視線を向ける。
[main] カラス : 「十全ですわ」
[main] 武藤 享司 : 「お褒めに預かり光栄の至り。褒美として大人しく捕まっていただくってぇ訳には?」
[main] カラス : 「ふふ、その前に自己紹介が必要でなくて? 提案したまず私から」
[main] 石清水 華怜 : 「…あなたも、クラタファントム号のお連れさんやろか」
[main] 武藤 享司 : 「お願いしましょうか」ふぅーっと長い紫煙を吐いて
[main] ダレット : 「勧誘でしてよ。私はダレット。我が太極【誘惑者】テトが子の一つ」
[main] ダレット : 「お見知りおき頂けると幸いでしてよ」
[main] ダレット : 【誘惑者】テト……FHリエゾンロードの一人。つまり、このカラスはそのクランに属するセルの構成員だ。
[main] 石清水 華怜 : FH!
[main]
武藤 享司 :
「そりゃあ、遠路はるばる御苦労様ですねぇ。こっちは名乗るほどの者でもございませんが、武藤享司。”サバイヴ”なんぞと呼ばれておりますよ」
(まともに戦って勝機はあるかも分からんねえ。最悪石清水さんにだけでも逃げてもらうかぁ)
[main] ダレット : 「十全でしてよ。そちらのお嬢さんは?」
[main]
石清水 華怜 :
「…はあ、ほんなら、どないされるんです?
えと、うちは自己紹介するほどのもんやありませんし…」
[main]
石清水 華怜 :
「…えっと、その。ウチはただの競馬好きです。
それ以上でも、それ以下でもないんです。
競馬を邪魔する障害があるなら、それは取り除きたいです。
…あっ、うちは障害競走も好きですよ!
[main] ダレット : 「あら、素敵な御趣味ね。十全ですわ」
[main] 武藤 享司 : 「で、自己紹介は終わり……いや、まだ終わってない方が一人いるか」とクラタファントムの方へ
[main]
石清水 華怜 :
「はあ、おおきに…」
(十全ってなんやろ…?)
[main] 石清水 華怜 : 「…せやね」
[main] ダレット : 「残念ながら、この子はまだ喋れませんわ。なので不肖ながら私が通訳を務めましてよ」
[main] ダレット : そういって、ごほんごほんとわざわざ声色を変え。
[main] ダレット : そして、まるっきり違う声、違う調子で喋り始める。
[main] クラタファントム : 「わからなくなった」
[main] 武藤 享司 : 「……」
[main] 石清水 華怜 : 「あっ…ああっ!?」
[main] クラタファントム : 「レースは、嫌いではない。ダービーでの惜敗も記憶に新しい」
[main] クラタファントム : 「だが、ある日から……徐々に意識が鮮明になった。私を私は強く認識できるようになった」
[main]
石清水 華怜 :
「ず、ずっと大逃げの戦法っていうのはどうやったん!?」
「あっ、はい…」
[main] クラタファントム : 「ただ早く走りたかった」
[main] クラタファントム : 「早く、早く、速く、速く」
[main] クラタファントム : 「何時からか、私の足に風が宿った」
[main] クラタファントム : 「その風に誘われるまま、私は駆けた」
[main] クラタファントム : 「あの気持ちは、上手く言い表せない」
[main] 石清水 華怜 : 「サイレンススズカのような、走り心地…!」
[main] 武藤 享司 : (……個人的興味は一旦置いておこうね、って言おうとしたが……よく作用したか?)
[main] クラタファントム : 「そして、日に日に思うようになった」
[main] クラタファントム : 「短すぎる、と」
[main] 石清水 華怜 : 「…なるほど、距離が」
[main] クラタファントム : クラタファントムが頷く。言葉が喋れないだけで、理解は出来る。彼には間違いなく知性があった。
[main] 石清水 華怜 : 「…競馬場では、足らへんかったってわけや」
[main] 武藤 享司 : 「……そりゃあ、普通の尺度からはみ出ちまうから超えてしまった者(オーヴァード)なんて呼ばれてんだ。自然な流れだね」
[main] クラタファントム : 「私はこの気持ちの正体を知りたかった。何故短いと満足できないのか。勝負の醍醐味は距離に関係ないのではないか」
[main] 石清水 華怜 : 「うんうん」
[main] クラタファントム : 「自らを知るために、私はここに来た」
[main] クラタファントム : 「まだ、答えは出ない」
[main] クラタファントム : 「彼女はただ、誘ってくれた。感謝している。それでも」
[main] クラタファントム : 「まだ、わからない」
[main] 武藤 享司 : (競馬に関しちゃ下手に口出すより任せた方がいいか……?)と一旦引き気味の姿勢
[main]
石清水 華怜 :
「答えは、出えへんもんよ。
ウチもこの年になって何もわかってへんし、
たぶん、それはシンボリルドルフも、スペシャルウィークも、テイエムオペラオーもいっしょや」
[main] クラタファントム : 「私よりも高い知性を持つはずの、君たちでもなのか?」
[main] 武藤 享司 : 「人間だってそんな御大層なもんじゃないからねぇ。ピンキリだよ、ピンキリ」
[main]
石清水 華怜 :
「もちろん、そう。
みんな頑張って、自分がどんなことができるかっていうのを試してるんよ。
ゴールの仕方は、1着だけとちゃう…2着でも3着でも、それはそれでみんなのためになってるんや」
[main] クラタファントム : 「意外だ。君たちは私たちでは及びも想像もつかないことを多く成し遂げているようにみえる」
[main] クラタファントム : 「それでも、答えはでないものなのか」
[main]
石清水 華怜 :
「そやでー! まず、ファントムくんを軸にするやろ、で、キミの主戦場は中距離やんか。
それなら追い込みのミストバレーは絡めなあかんし…同じく逃げのスプリングデイももちろん入れなあかんやろ…まあ、色々あるって!」
[main]
石清水 華怜 :
「馬の数だけ、戦い方はある。
この言葉を、キミには知っておいて欲しいな」
[main] クラタファントム : 「戦い方……か……」
[main] クラタファントム : クラタファントムが、天を仰ぐ。微かに薄い雲がかかった明るい曇天の空に、その視線を向ける。
[main]
石清水 華怜 :
「長距離走れりゃええってことでもないねん!
知ってる? サクラバクシンオーの戦歴! なんと短距離戦では負け知らずで…」うだうだと語ります
[main] クラタファントム : 「私は……試したい」
[main] クラタファントム : 「囲いの外で、走ってみたい」
[main] クラタファントム : 「ここまででもまだ『短い』。まだ走れる」
[main]
石清水 華怜 :
「うーん、わかる! わかるんやけど…
そうなるとレースやなくなってしまう!」
[main] クラタファントム : 「私の闘いは……まだ終わっていない」
[main] 武藤 享司 : 「残念だけどねぇ。それを許す訳には行かないんだなぁ」
[main] ダレット : 「ですわよね!」
[main] ダレット : 突然、元の声に戻ったダレットがカカッと笑う。
[main] 石清水 華怜 : 「…ちょいまった! ウマとウマの話の間に割り込まんとって!」
[main] ダレット : 「あらごめんなさい! でも、事情はもうおわかりでしょ? この子を私が誘ったのですわ! この子は走りたがっている! 自由に! 闊達に! 十全に!」
[main] ダレット : 「檻の中でそれが叶いまして?」
[main] 武藤 享司 : 「UGNにできるのは柵の内側を可能な限り広くしてあげることくらいかな。それで満足できるかは分からないけどね」
[main] ダレット : 「でしてよね! ただの馬でもそうするしかないのに、Aオーヴァードともなればそれは正に必定!」
[main] ダレット : 「だからこそ、不肖私が推参したという次第でしてよ! 解放もまたFHの役目ですわ!」
[main]
石清水 華怜 :
「ご存じやろか。ダービー馬、トウカイテイオーは牧場から逃げ出したけど、その後牧場に戻ってきた」
[main]
石清水 華怜 :
「ルールがないと競争とちゃうんです。
競い合ってこその、レースなんです。
ただ走るだけのつまらなさを、クラタファントム号はよう知ってはるんとちゃうやろか…」
[main] クラタファントム : クラタファントムが、 華怜に目を向ける。
[main] クラタファントム : そして、ダレットにも一瞥を送る。
[main] ダレット : 「んも~、仕方ないですわね。わかりましたわ! おっほん!」
[main] ダレット : そして、また通訳を始める。
[main] クラタファントム : 「この虚しさは、そうなのだろうか」
[main] クラタファントム : 「まだ、わからない。だから、確かめたい」
[main] クラタファントム : 「頼む。一度でいい」
[main] クラタファントム : 「確かめさせてくれないか。ただ思うまま走る答え」
[main] クラタファントム : 「それを、知りたい」
[main]
石清水 華怜 :
「それなあ、色んなお馬はんがしてはるんです。
…でも、気の済むまで走って、満足するお馬さんもいっぱいいてはるんです。
よろしかったら、一緒に行きませんか? ウチと一緒に…」
[main] クラタファントム : クラタファントムが、体を震わせる。
[main] クラタファントム : 「乗ってくれるのか。私に」
[main]
武藤 享司 :
(……止めなきゃいけないんだけど今のクラタファントム無理に捕まえても脱走繰り返しそうなんだよなぁ)
(向こうも”頼む”って言ってきてるうちにこっちが許諾する形で譲歩を引き出すのが常道かな……?ちょっと確認取るか……)
[main] 武藤 享司 : 裏でUGNにちょろっと連絡を取ります
[main] コモンセンス : 即座にコモンセンスが対応する。
[main]
石清水 華怜 :
「もちろん、よろこんで。
ふふっ、何を拒むことがあります?」
お二人の様子には気づかず、乗る気満々です
[main]
武藤 享司 :
(あー。クラタファントム発見しました、がリエゾンロード配下による勧誘を受けている最中。当馬の要望は一度思い切り走り切って自分の現在の全力を確かめること)
(こちらとしては要望を飲んでこちらに従ってもらう形にするのが最上と考えますが、カバーストーリーの流布等の面は問題ないかのご確認を)
[main] コモンセンス : 「カバーストーリーはどうにでもなりますが……場所が問題ですね」
[main] コモンセンス : 通信機越しに、コモンセンスが唸る。
[main] コモンセンス : 「京都から北海道まで走っても満足しないとなると、国内で現実的に準備できる場所がありません」
[main]
石清水 華怜 :
「こ、このあたりやったら草競馬とかやってるんとちゃいます!?」
クラタファントムに乗りたい一心で適当なことを言います
[main] 武藤 享司 : 「……オルクスかバロールの空間操作で何とか出来やしませんかねえ」自分でも難しいだろうなとはわかっているけど
[main] コモンセンス : 「申し訳ありませんが、難しいかと思います。対応するエフェクトに習熟したエージェントの即時招集は少なくともできません。仮に招集できても、侵蝕率負荷の問題が付きまといます……競馬で彼が満足するなら構いませんが……どうでしょうか?」
[main] コモンセンス : 「時間を頂けるなら、長距離に関しては一つだけ提案もあります」
[main]
武藤 享司 :
「ええ、こちらも駄目元でしたのでお気になさらず。……どうなっかなぁ」一人ごちる
「聞きましょう」
[main] コモンセンス : 「ロシア支部なら、日本の何倍もの直線距離、しかも無人の土地があります。津軽海峡を渡れるほどの馬なら、樺太から大陸まで渡ることは可能かと思います」
[main] コモンセンス : 「問題は……許可をどうとるかです」
[main]
石清水 華怜 :
「…ほんなら、どやろ。うちと一緒に北海道から、九州まで二人三脚で旅してみいひん? あ、いや、二人六脚か…。
北海道から始まって、関西のかすうどん、東京の煮付け、九州の豚骨ラーメン…全部一緒に味わおうやないの」
[main] コモンセンス : 「無論、介入してくるFHの対応も必須です」
[main]
武藤 享司 :
「なるほど。……なるほど」
「ロシア支部ねー……流石に俺もそっちまで伝手は有りやしませんよ」
[main]
石清水 華怜 :
「…あっ、ロシアと来たか!
ピロシキとか、ビーフトロガノフとか美味しいやんな!?」
[main] コモンセンス : 「許可を取るにはどうしても時間が掛かりますし、確実な約束もできません。ですが、少なくとも、今この場を収める必要はあるかと」
[main]
石清水 華怜 :
「…でも、ロシアは強い競走馬いてへんで!
海外行くんやったらフランスや!」
[main] コモンセンス : 「そ、そちらもまぁ許可をとれるかどうかは……私の一存ではなんともぉ……」
[main] 武藤 享司 : 「……海峡の上を走っていけるってなら、海上でも走れるもんじゃないかと思うんですがどうでしょうかねぇ。場合によっちゃ、エフェクトを併用する都合で全力を出し切って消耗するのも早まるかもしれませんし」
[main] 武藤 享司 : 「無論、侵蝕率の過度の上昇のリスクと表裏一体じゃありますがね」
[main]
石清水 華怜 :
「…テレーズ・ブルムはんとかに頼みこめへんやろか。
あの人もお父さんも、フランスの人やろ?」
[main] コモンセンス : 「……! 確かに、太平洋を使うという手がとれるなら話が早い」
[main] コモンセンス : 「公海まで出られれば許諾も何もありません。その方面でも交渉をしてみます」
[main] コモンセンス : 「テレーズ女史には……何と言いますか、私のような木っ端ではなんともですが……」
[main] 石清水 華怜 : 「ふふっ、クラタファントム号が凱旋門賞に出れる日も近い…ってワケやね」
[main]
武藤 享司 :
「よろしくお願いします。……ってことで」
「土を踏みしめ草の根を分け、って訳には行かない海の上だが。思い切り走る許可は取れそうかな、クラタファントム」
[main] 石清水 華怜 : 「…そうなん!? ううう…それもそっか!」
[main] 武藤 享司 : 「ただ、しばらくは待ってもらう必要がある。そこは了承してほしい」
[main] クラタファントム : 「具体的な時間は知れないと考えるべきだろうな」
[main] クラタファントム : 天を再び仰ぐ。
[main] クラタファントム : 「もし、断った場合……どうなる?」
[main]
武藤 享司 :
「間に何人挟まるかも分からないからねぇ。そこばっかりはすまないとしか言えないかな」
「うーん。双方あんまり望ましい結末が待ってるとも思えないけど」
[main] 武藤 享司 : 「話聞いちゃったからわりと情が湧いちゃってさあ。あんまり戦いたくないんだよね、君と」
[main]
石清水 華怜 :
「"本当の出会いなど、一生に何度あるだろう?"
これは名ジョッキーが名馬に出会ったことを紹介する文句や。
うちら二人と、キミが出会ったことに符合してる」
[main] クラタファントム : クラタファントムは、その言葉に嘶く。
[main] クラタファントム : 「全くだ」
[main] クラタファントム : 「我が騎手。名を聞かせてくれ」
[main]
石清水 華怜 :
「うちは、石清水 華怜。
…ずっとこの名前嫌いやったんやけど、最近好きになってん」
[main] クラタファントム : 「カレン」
[main] クラタファントム : 「私も、幻を意味するこの名を好んではいなかった」
[main] クラタファントム : 「だが、今は……この名が知れたお陰で君と出会えた」
[main] クラタファントム : 「感謝する」
[main] 石清水 華怜 : 「えへへ…『イワシミズ』のほうも覚えてな」
[main] クラタファントム : 「わかった。イワシミズ カレン。いつの日か、私と走ろう」
[main] クラタファントム : 「心ゆくまで」
[main] ダレット : そこで、ダレットが大きく溜息を吐いた。
[main] ダレット : 「勢いで全部翻訳してしまいましたけど!!」
[main] ダレット : 「そうはFHとしては問屋が卸さなくてよ!!」
[main] 石清水 華怜 : 「…えっ!? そうなん!?」
[main] 武藤 享司 : 「そりゃそうでしょ……まあ、そういうことならこっちもやりやすいよねぇ」
[main] 石清水 華怜 : 「ど、どないしよ…武藤くん、どないしたらいいと思う…?」
[main]
武藤 享司 :
「相手が武力行使してくるならやることは一つじゃない?」
「正当防衛」
[main] クラタファントム : クラタファントムがダレットを振るい落とし、二人の傍まで駆け寄る。
[main] ダレット : 「レディになんて乱暴な!」
[main] 石清水 華怜 : 「ついでに騎手まで振り落とす…ってこのことかー」
[main] ダレット : バタバタとホバリングして姿勢を保ち、ぷりぷり怒るカラス。
[main] 武藤 享司 : 「今度から交渉の時は名ジョッキーを連れてくるのをオススメするよ、レディ・ダレット」
[main] ダレット : 「御忠告痛み入りますわ! でも、次を心配するのは……」
[main] ダレット : 「まず貴方達でしてよ! お覚悟なさいませ!」
[main] 石清水 華怜 : 「ユタカとか、クリストフとか、ミルコとか、リュージとか…って、そんな場合とちゃうな!?」
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武藤 享司 :
「あぁ……うん。それもそうだねぇ」
「――じゃあ、ちょっと頑張るかな」
[main] ダレット : ダレットが甲高く鳴き声を上げ、ワーディングを展開する。
[main] ダレット : すると、即座に周囲に数百羽のカラスが集まり出し……まるで黒雲のように一同に立ち塞がる。
[main] ダレット : 「1対3と思いまして!? オホホホ! 私そこまで甘くありませんわ!」
[main] ダレット : 「ジョッキーはいなくとも、戦力は十全でしてよ!」
[main] ダレット : 「さぁ、我が眷属の爪と嘴、存分に味わいなさいませ!!」
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武藤 享司 :
「流石に凄い数だねぇ」
「とはいえ、最悪君だけでも逃がすから。気楽にやっていいよ、石清水さん」
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石清水 華怜 :
「…うーん、対数は関係ないなぁ。
オッズは低ければ低いほど安心するやろ?
それに、高ければ当たれば美味しいやんか。
何対何っていう数字の話は興味ないなぁ」
[main] 石清水 華怜 : 「…えへへ、ほな、気楽にやらせてもらいますね!」
[main] クラタファントム : クラタファントムも嘶き声をあげる。
[main] 石清水 華怜 : 「そや、頑張ろな、クラタファントム」
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石清水 華怜 :
「…クラタファントム。
次は何のレースに出るつもり?」
[main] クラタファントム : 言葉はない。だが、きっと華怜には伝わる。
[main] クラタファントム : 打倒、日本ダービー。
[main] クラタファントム : 雪辱を晴らす。
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石清水 華怜 :
「…ははあ、ダービーあかんかったもんね。
次は天皇賞かぁ」
[main] クラタファントム : この場を切り抜けてから、だな。
[main] クラタファントム : クラタファントムはそう言わんがばかりに、華怜の前に背を向ける。
[main] クラタファントム : 我が騎手。
[main] クラタファントム : 私を、駆ってくれ。
[main] 石清水 華怜 : 「キミやったら、この状況も勝ち残れるよ」
[main] 石清水 華怜 : 「よう考えてみ? キミは阪神JFも勝ってるんやで?」
[main] 石清水 華怜 : 「キミの得意とする距離は中距離から長距離…数字でいうと1600mから3400mくらいとちゃうかな?」
[main] 石清水 華怜 : 「…ほな、行こか。天皇賞を取りに!」
[main] クラタファントム : 嘶きで答える。
[main] ダレット : 「おほほほ! 私を前にして随分と余裕ですわね! そういうの、個人的に嫌いじゃありませんわ! ですけど!」
[main] ダレット : 「手は、抜かなくてよ!!」
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武藤 享司 :
「君は、最後まで私心を見せなかったね。うん」
「遠慮なく剣を向けれて助かるよ」
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石清水 華怜 :
「そっちがその気ならこっちもその気や!
さあ、行くで! …スタートしましたっ!」