「わ、私はモンスターに決して屈さぬ……」  黒色の鎧を纏った大柄な獅子獣人が、肩で息をしながらそう呟く。彼が纏う鎧は大きく破損しており、身を守る効果はほぼ失われていた。  満身創痍の状態であるこの獅子獣人の名はフリグス。農業が盛んな小国を統治する、三十八歳の獅子王だ。 「諦めロ。こノ国はもウ、我らのものダ」  緑色の表皮に全身を覆われた豚面の巨大なモンスターが、玉座の前に立って剣を構えるフリグスにそう言い放つ。  このモンスターの名はオメガオーク。繁殖力が高く、急激に勢力を増しているモンスターだ。  今、フリグスと対峙しているのはオメガオークの群れを束ねる存在。オークリーダーであった。 「王として、諦めるわけにはいかない……! 民を、守らねば……!」 「守るダと? 守るべキ民は、すでにこノような姿になっテいるというノに」  口角を上げたオークリーダーが、パチンと指を鳴らす。程なくして、彼の部下であるオメガオークが玉座の間に現れた。  玉座の間に現れたオメガオークは、筋骨隆々な白虎獣人を抱き抱えていた。  大きく破損した灰色の鎧を纏ったこの白虎獣人の名はオルド。フリグスと同い年であり、国王の身辺警護を行う武装組織を束ねる親衛隊長だ。 「そ、そんな……!」  フリグスの手から力が抜け、剣が床に落ちる無機質な音が玉座の間に響いた。フリグスが動揺するのも無理はない。何故ならば……。 「ぐうっ、申し訳、ありません……っ! フリグス様……」  オルドが着用していた下衣はオメガオークの手により引き裂かれており、秘部が露わになっていた。なおかつ、彼の尻にはオメガオークの太い男根が深々と突き刺さっている。 「屈強な雄ハ良い苗床ニなるカら、生かしてヤる。勿論、貴様も生かしテやるから安心しロ。敗戦国ノ王よ」  オメガオークの繁殖力が高い理由。それは、種族や性別を問わずに子を孕ませる事ができるという特性を持つからである。特に、屈強な雄を孕ませると強靭な肉体を持つオメガオークが誕生しやすい。オメガオークはそれを知っているため、獣人が数多く生息するコミュニティを襲撃し、そこに住まう屈強な雄を苗床にして種の繁栄を図る習性があった。 「がああああっ!!」  オルドの悲鳴が玉座の間に響く。同時に彼の腹が大きく膨らみ、結合部から大量の白濁液がぼたぼたと滴り落ちた。 「これデあいつハ孕んダな。明日には立派ナ子が産まレるだろウ」  オメガオークの子種を腹に注がれた者は確実に孕む。なおかつ、孕んだ子は驚異的な速度で成長し、たったの一日で産声を上げる。つまり、オメガオークの苗床になった者は懐妊と出産を毎日繰り返す事を意味していた。 「オルド……」  信頼する親衛隊長が完膚なきまでに敗北した姿を目の当たりにしたフリグスは脱力し、玉座に座り込む。そんな彼の元にオークリーダーはゆっくりと歩み寄った。 「さあ、次ハ貴様が孕む番ダ。我が子種ヲ授けてやろウ」  玉座の前で屈んだオークリーダーはフリグスに口付けし、舌を捩じ込んだ。 「んぐっ!? んうっ!」  オークリーダーの唾液を口内に流し込まれたフリグスの口から苦しげな呻き声が漏れる。流し込まれた唾液を飲み下さなければまともに息を吸えないため、フリグスは目尻に涙を浮かべながら喉を鳴らした。 「ううっ……身体が、熱い……っ!」  オメガオークの体液には催淫効果がある。みるみる内にフリグスの身体は火照り、肉棒が膨張していった。 「フリグス様っ! んあっ、助けねば、ならないのに、がっ、俺は何故……!!」  オメガオークの体液を大量に注がれたオルドもまた催淫効果に蝕まれていた。肉棒で尻穴をズボズボと穿られて前立腺を抉られる度、彼の芯を持った肉棒から子種汁がどぴゅどぴゅと噴出する。 「……頼む。私はどうなってもいい。だが、オルドは解放してやってくれ」  フリグスは拳をぐっと握って身体の火照りに抗いながら、オークリーダーにそう懇願した。 「ほう。臣下を庇ウか」 「あいつは、半年前に結婚したばかりなのだ。奥方の腹には子も宿っている。あいつが必要なのだ」  妻子が居るのはフリグスも同じであった。だが、フリグスの息子であるニクスは十八歳で大きく成長している。それに加え、ニクスはオメガオークが城を襲撃する前に王妃と一緒に逃げ延びていた。  自分が犠牲になっても、大きく成長した息子と妻は生きていける。そうフリグスは信じていた。  対して、真面目な性格かつ奥手であるオルドは最近になってようやく意中の女性と結ばれたばかり。子もまだ産まれていない段階だ。父親が居なければ、生活は困難を極めるだろう。尤も、オメガオークの群れに襲撃されたこの国の中でオルドの妻子が無事で居る可能性は限りなくゼロに等しいのだが。 「悪いガ、貴様らノ事情ハどうでモ良い。屈強な雄ハ苗床に。それ以外ハ、食糧ダ」 「あぐっ……!」  オークリーダーは不敵な笑みを浮かべながら、フリグスの首を絞めた。 「苗床は、余計な事ヲ考えル必要は無イ」  オークリーダーはフリグスが失神する寸前で腕の力を緩めた後、酸素を求めて咳き込むフリグスの口に再び舌を捻じ込み大量の唾液を流し込んだ。 「がはっ、んぐ……っ!!」  催淫効果のある唾液を過剰摂取したフリグスの脳内が、性欲に支配されていく。  フリグスの肉棒はびくびくと脈打ち、大量の我慢汁によってズボンの前面には大きな黒い染みができていた。 「ふンっ!」  オークリーダーは、まるで紙切れを破るようにフリグスのズボンを素手で引き裂いた。  王の威容を感じさせる太くて長い肉棒とでっぷりとした睾丸が、外気に晒される。  オークリーダーはフリグスの太腿を抱き抱えるような形で身体を持ち上げ、その姿をわざとオルドに見せつけた。 「フリグス様っ……!」 「見るな! 頼むから、見ないでくれ……っ!」  オルドに秘部を見られたフリグスは、羞恥で顔を赤くする。オルドにはフリグスの肉棒や睾丸だけでなく、固く閉じたアナルもしっかりと見えていた。オメガオークの体液に蝕まれたオルドは王の痴態に欲情し、肉棒をさらに硬くさせる。 「種付ケを始めルぞ」  何者の侵入も許した事がないフリグスのアナルに、オークリーダーの巨大な肉棒が宛てがわれた。 「や、やめっ……ぐおおおおぉっ!!」  オークリーダーが腕に力を込めた瞬間、肉棒の先端がフリグスの中にゆっくりと沈み込んだ。身体を貫かれ、こじ開けられるという未知の感覚に襲われたフリグスは絶叫する。だが、オークリーダーの唾液を大量に飲んだのが幸いし、フリグスが痛みを感じる事は無かった。 「あがっ、おっ、おおおっ!!」  痛みの代わりにフリグスの身体を襲ったのは、強烈な快感である。亀頭部が全て沈み込んだタイミングで、フリグスは巨根をぶるぶると震わせながら大量の精を撒き散らした。 「ぐっ、フリグス様の臭いが……あっ、がああっ!!」  フリグスが放った精の臭いで興奮したオルドも、オメガオークと結合したまま吐精する。 「実に滑稽ダな」  向かい合った状態で凌辱され、呆気なく絶頂した二人をオークリーダーはそう評した。 「許してくれえっ! これ以上は壊れてしまうううっ!!」  フリグスをただの苗床だと認識しているオークリーダーがその叫びを聞き入れるはずもない。  オークリーダーは力を込めて腰を突き上げ、巨大な肉棒を根元まで一気に挿入した。 「おごおおおぉっ!?」  フリグスの腹に肉棒の形がぼこりと浮き出る。圧迫感すらも快感に変換されてしまい、フリグスは全身をガクガクと震わせながら射精を伴わない絶頂を迎えた。 「良イ肉穴ダ。気に入っタぞ。貴様は我専用ノ苗床にシてやろう」  オークリーダーは、まるで性処理道具を扱うかのように抱き抱えたフリグスを乱暴に上下に動かし、肉襞が捲れる感触を楽しんだ。 「ひぎっ、あっ、がっ、んごおっ!!」  巨大な肉棒が前立腺を押しつぶす度に、フリグスの全身を強烈な快感が駆け巡る。そしてフリグスが快感を得る度に、彼のアナルは収縮してオークリーダーの肉棒をねっとりと締め付けた。  一秒、また一秒と、フリグスがオークリーダーの子を孕む瞬間が近付いていく。 「うおオおおォぉッ!!」  フリグスのアナルが一際強く収縮した直後、オークリーダーの咆哮が玉座の間に轟いた。 「んおおおおおっ!?」  フリグスの体内で巨大な肉棒が脈動し、確実に着床する濃厚な精が大量に撒き散らされた。  腹部が熱い精液で膨らんでいく感覚に襲われながら、フリグスも派手に精液を噴出させる。いつしか、玉座の前には我慢汁と精液で形成された水溜りができていた。 「あっ、ああっ……」  フリグスは射精しながら、自らの腹の中に新たな命が宿った事を悟った。  今のフリグスの頭の中は色欲に支配され、妻子や民草の事など抜け落ちてしまっているようである。 「淫蕩ノ王の誕生だナ」 「あがっ!」  オークリーダーは勢いよく肉棒を引き抜いた後、フリグスの脚を肘掛けに乗せる形で開脚させて玉座に座らせた。ぽっかりと開いたアナルから大量の白濁液が流れ落ち、玉座の座面が白く染め上げられていく。 「こっチに来い。堕ちた王ノ前で平伏さセてやれ」  オークリーダーに命令されたオメガオークは、オルドを玉座の前に運んだ。そして、我慢汁と精液の水たまりができた床に両手をつかせた状態でオルドのアナルを背後から貫き、荒々しく腰を振り始める。 「うあっ、あー……」  放心状態のフリグスは、光を失った眼で凌辱されるオルドを眺める事しかできなかった。  ──こうして、獅子王が統治していた国は陥落したのであった。  生を許されたのは、屈強な雄のみ。オメガオークの苗床として選ばれた雄は城に集められ、懐妊と出産を繰り返す日々を送り続けた。  オークリーダー専用の苗床と化したかつての王は、強靭な肉体を持つ優秀なオメガオークを生涯産み続けたそうである。 【了】