ギイ、と軋んだ音を立てて観音扉が響く。その瞬間、土蔵の中に居た恰幅の良い熊獣人の身体がびくりと跳ねた。  手枷と足枷に加え、首輪まで嵌められたこの熊獣人の名は三日月柔一。少し前まで、近くの高校に通っていた青年である。  柔一は、汗の臭いが染み付いたトラックジャケット(ジャージの上着)のみ羽織っており、下半身を隠すものは何も無い。後ろで手を組んだ状態で手枷をつけられているため、手で覆い隠す事も不可能だ。 「ご飯を持ってきたよ、柔一さん」  似非笑いを浮かべた人間の男が、土蔵の中に足を踏み入れて柔一に近付いた。彼の名は西村博行。柔一より一つ年下の、仲の良い友人“だった”男である。 「……こんな事はもうやめるんだ、西村」  憔悴した柔一が放った言葉は、彼には届かない。 「お腹空いたよね。すぐに準備するから」  博行は笑みを浮かべたままズボンを脱ぎ、屹立した肉棒を曝け出した。そして、手に持ったプラスチック製の倒立ボトルを強く握りしめ、中に入っていた黄金色の液体をそこに垂らす。 「めしあがれ」  濃厚な甘い匂いが、心身ともに疲弊している柔一の脳を麻痺させる。 「……んっ、むう……っ」  柔一は大きく口を開け、蜂蜜まみれの肉棒を根元まで咥え込んだ。口内に広がる強い甘みが、彼の理性を溶かしていく。 「はーっ、はぁっ……」  鼻息を荒くしながら肉棒を夢中でしゃぶる柔一はまるで飢えた犬のようで、その姿は博行を酷く興奮させた。 「柔一さんは可愛いなあ」  肉棒の先端から透明な汁が溢れ出て、蜂蜜と混ざり合う。  少し塩気が混ざった蜂蜜。それを柔一は必死に舐め取り、ゆっくりと嚥下していった。 「よしよし。上手く食べられたね。ご褒美をあげるよ」  肉棒に垂らされた蜂蜜を全て舐め取ったのを確認した博行は、倒立ボトルを床に投げ捨て、柔一の前にしゃがみ込んだ。そして、柔一が身に纏う前開きになったトラックジャケットの隙間に両手を入れ、親指と人差し指で彼の乳首を強く摘む。 「うっ……!」  乳首を摘まれた瞬間に柔一の太い肉棒がぴくりと跳ね、徐々に芯を持っていった。 「すっかりここで感じるようになったね。頑張って開発した甲斐があったよ」  博行が乳首をクリクリと弄り回す度に、柔一の硬くなった肉棒は小刻みに跳ね、鈴口から少し粘り気がある我慢汁がとろとろと流れ出た。 「にし、むら……やめ……っ!」  柔一が漏らした切なげな声が、博行の情欲をさらに煽る。  強く摘んだり、爪先でカリカリと掻いたり、摘んだまま円を描くように動かしたりと、博行は様々な手口で柔一の敏感な乳首を攻め立てた。  やがて── 「あっ、が、ああああぁっ!!」  咆哮と共に柔一の肉棒が激しく跳ね、大量の白濁液を撒き散らした。濃厚な精をその身に受けた博行に、むせ返るような雄の臭いが染み付く。 「沢山出したね」  抑揚の無い声でそう呟きながら、博行は身体に付着した精液を右手で掬い取った。そして、床に転がる倒立ボトルを左手で取り、精液がべっとりと付着した右の手のひらに蜂蜜をぶち撒ける。 「ほら、おかわりだよ」  白濁液と黄金色の液体が混ざり合った手のひらが、柔一の口元に差し出された。 「……っ!」  空になった倒立ボトルが床に転がる音が響く。直後、柔一は目尻に涙を滲ませながら、博行の手のひらに舌を這わせた。 「っ、うぐ……っ!」  自身が放った精の青臭さと蜂蜜の濃厚な甘さが、柔一の舌を刺す。  今の彼にとっては、これすらも貴重な栄養源。どんなに惨めでも、生を繋ぐためには甘受するしかなかった。 「……うん、綺麗に舐め取ったね。偉いよ」  やがて精と蜂蜜が混ざり合った液体は博行の手のひらから消え、代わりに柔一の唾液のみが残った。  博行は左手で柔一の頭を撫でつつ、唾液まみれの右手で自身の怒張した肉棒を掴み、上下に扱く。 「それじゃあ、お尻をこっちに向けて自分でしっかり拡げてよ。漏れが下のお口に、精液(ごちそう)を振る舞うからさ」  博行は懐から取り出した鍵を用い、柔一を拘束する手枷と足枷を外した。 「…………」  身体の自由を取り戻した柔一は悲しげな表情を浮かべつつ、命令を遂行するために背を向けた。そして、胸を床につけた状態で尻を高く突き上げ、左右の手で自らの尻たぶを掴んで押し広げる。 「あはは、待ちきれないって感じだね。柔一さんは食いしん坊だなあ」  これから起こる事を予期した柔一の肉穴は腸液で湿っており、ひくひくと収縮と拡張を繰り返していた。 「焦らなくてもすぐにごちそうをあげるから……さ!」  博行は唾液まみれの肉棒の先端を肉穴に突きつけた後、勢いよく腰を前に突き出した。 「ぐあああああっ!!」  柔一の悲鳴が土蔵に木霊する。慣らされていない肉穴に肉棒を捩じ込まれる痛みは、相当なものだ。 「がっ、はっ、はーっ……ぐっ、ううっ!!」  肉穴をみちみちとこじ開け、肉棒がじわりじわりと奥へ侵入していく。柔一は額から脂汗を流しながら、歯を食いしばって痛みに耐える。 「ああ、あったかいなあ……」  そう言葉を漏らす博行の目は、焦点が定まっていなかった。第三者が今の彼を見たら、壊れているという印象を受けるはずだ。 「っ、ぐっ……う、うう……っ!」  博行を壊したのは自分。そう思って負い目を感じているからこそ、柔一は抵抗しない。どんなに痛くても、辛くても、ただ耐える道を選んだのだ。いつかまた友人に戻れる。そんな儚い願いを胸に秘めて。 「ほら、全部入ったよ」  根元まで肉棒を挿入した博行は、しばし肉穴がきゅうきゅうと締まる感触を楽しんだ。その後、ゆさゆさと緩やかに腰を動かし始める。 「っ! うっ、ぐ、ううっ……!」  ピストン運動によって肉襞が捲れる度、柔一の口から苦悶の声が漏れる。しかしそれも僅かな間。肉棒の先端で前立腺を抉られる度に痛みは和らぎ、代わりに快感が増していく。柔一の肉棒が再び芯を持ち始めるのに、時間はかからなかった。 「ぐうっ、うぐっ、が、あっ……」  博行が腰を打ち付ける度に、肉棒により撹拌されて泡立った腸液が結合部からぼたぼたと垂れ落ちる。 「んぐっ、があっ、ん、うぅっ……!」  柔一の口から漏れる声が、徐々に艶やかになっていく。いつしか、彼の肉棒の先端から大量の我慢汁が滴り落ちていた。 「はぁっ、柔一さん、柔一さん……っ!」  興奮しきった博行は、夢中になって腰を打ち付けた。最奥に肉棒を押し込まれる度、柔一の目の奥に火花が散る。 「んぅっ! ぐ、んむ、うっ、あぐっ……!」  淫猥な水音が、柔一の嬌声と重なって土蔵の中に響き渡った。それらが、博行をさらに興奮させる。 「出すよ、柔一さんっ! 全部、受け止めて……!」  ラストスパートと言わんばかりに、博行は激しく腰を打ち付けた。  程なくして、博行の肉棒が柔一の中で激しく跳ねる。 「っ! んうううぅっ!!」  腹の中に熱い精が注がれているのを感じ、柔一は雄叫びを上げた。同時に、彼の肉棒も激しく跳ね、勢いよく放たれた大量の精液が床にびちゃびちゃと垂れ落ちる。 「柔一さん……好きだよ、大好き……愛してる……」  肉棒を根元まで肉穴に埋めたまま、博行は柔一を後ろから優しく抱擁した。 「っく、うう……っ」  柔一は身体の力を抜き、床にぺたりと腹ばいになる。  博行は柔一の背中にのし掛かったまま目を閉じ、彼の体温を感じながら意識を手放した。 「西村……」  穏やかな寝息。そして、遠くから聞こえるサイレンの音が、柔一の鼓膜を震わせる。 「……すまない」  博行との別離を悟った柔一の頬を、一筋の涙が伝う。  ──夏の終わりが、近付いていた。 【了】