目の前で、筐体が虹色に輝いている。少し前までの俺だったら、喜びの声を上げながらレバーを引いたり、ボタンを押したりしていただろう。だが、何故か喜びの感情が湧いてこない。全く、刺激を感じない。 「クソッ、何でだよ……」  俺──白貫 熊臣がおかしくなってしまったのは一週間前。金のためにホモビデオの撮影に臨んだ日からだ。  ただ股を開くだけで大金が手に入る、簡単なバイト。金さえ手に入れば、ホモ相手に股を開く気持ち悪い体験なんてすぐに忘れられる。そう思っていたのに。 「ちくしょう……」  気がつくと、俺は考えてしまっている。一週間前に俺を犯した、猪獣人の太ったおっさんの事を。 「……っ」  ポケットに手を入れると、ガサリと音がした。音の発生源は、くしゃくしゃに丸まった紙だ。それを取り出して広げると、数字が並んでいた。この数字は、あのおっさんの電話番号である。  ホモビデオの撮影が終わった後、おっさんは俺にこれを渡してきた。そして、「身体が疼いたら、いつでん連絡してよかよ」と言ってきたのである。  俺はホモじゃない。絶対に連絡なんかしない。これを受け取った時にそう誓ったのに、ふとした瞬間にこの紙を広げて見てしまう。 「絶対、連絡しねえぞ。絶対……」    §  絶対連絡しない。そう口に出してから、数時間後。 「頼む、おっさん……! 俺のここに、あんたのを……」  俺は、古民家暮らしをしているおっさんの自宅に上がり込んでいた。そして、少しへたった敷布団の上で全裸になり、股を開いていた。 「俺んおまんこにチンポばくれ、やろ? はっきり言わんと入れてやらんぞ、クマ坊」  おっさんは下品な笑みを浮かべている。その表情を見た瞬間、俺の下っ腹の辺りが切なくなった。そして、何故か意思に反してケツの穴がひくひくと動いてしまう。 「おっ、俺のおまんこに、チンポを、ください……!」  ケツに、おっさんのチンポを入れて欲しくてたまらない。中を乱暴に抉られたくてたまらない。腹に、ドロドロのザーメンを流し込んでほしくてたまらない。  もう、認めるしかないようだ。俺は、完全におかしくなっている。このおっさんの前では、完全にメスになっちまう。 「よう言えたな。偉いぞ、クマ坊。ご褒美に、望み通りのもんばくれちゃる」  おっさんのバカでかいチンポの先端が、突き付けられる。一週間前と同じように、太い指で掻き回されて緩んだ俺のケツ穴に。 「うああああっ!!」  おっさんのチンポが、俺をこじ開けて侵入してくる。その瞬間、脳がビリビリと痺れるような感覚に襲われた。  ──これだ。俺が欲しかったのは、この刺激なんだ。 「すっかり淫乱なメスになってしもうたな。先っちょば入れただけなんに、ザーメンば漏らしとるもん」  下に目を向けると、俺のチンポの先端から白く濁った液体がどろりと垂れているのが見えた。 「もっと、奥まで……!」 「おねだりまでして、あいらしかねぇ。そげん事ば言われたら……」  次の瞬間、脳天まで突き抜けるような刺激に襲われた。おっさんが、俺の最奥まで一気にチンポをぶち込んだのだ。 「ワシ、我慢できんくなってしまうばい」 「あがっ!? あっ、ああぁぁっ!!」  おっさんが、乱暴に腰を振り始める。チンポで奥を突かれる度に目の前がチカチカして、全身がビリビリと痺れるような感覚に襲われた。  気持ちよすぎて、変な声が漏れるのを止められない。 「あっ! おっ! あぁぁっ!!」 「喋れんぐらい気持ちいいとか? まだまだこれからやぞ!」 「あっ!? おぁっ!!」  今まで以上に、乱暴に腰を打ち付けられる。視界がさらに明滅して、まともにものが考えられなくなっていく。息を吸う度におっさんの強い汗の匂いが鼻に入り込んできて、何故か興奮してしまう。 「すげえ、チンポ、すげえぇ……っ!」  おっさんのチンポが抜き差しされる度に、内臓が引きずり出されるような感覚と同時に背筋を駆け上がるような快感が襲ってくる。 「やっぱり、クマ坊のおまんこは名器だな。いやらしいほど締め付けてくるじゃないか。ワシの子種が欲しくてたまらないようだな!」  おっさんが腰を振る速度が上がった。結合部からグチョグチョという湿った音が響く。それは恥ずかしいはずなのに、何故かより興奮が高まっていく。 「あっ、がぁっ……! そ、そこ……ダメだぁ……!」  敏感な部分をチンポで押される度、身体が震えてしまう。  このおっさんになら、俺の全てを預けてしまってもいい。そんな気持ちになってしまう。 「おまんこがビクビクしてきたばい。またイキそうなんか?」 「うっ、あぁ……っ!」  何も言い返せない。ただ無様な喘ぎ声をあげることしか出来ない自分が情けなくて悔しい。それなのに、どうしようもなく気持ちよくて仕方がないんだ。 「あっ、が、あ、んんっ!!」  もっともっと激しく犯されたい。俺は、そう願ってしまっている事に気がついて、愕然とした。  俺はホモじゃない。こんなはずじゃなかったのに……。 「ふっ……ぐっ、ん、ああっ!!」  パンッパンッという肉同士がぶつかる乾いた音と共に、快楽の波が押し寄せてくる。頭の中が真っ白になる程の、強烈な快感だ。 「さあ種付けするばい! たんと味わえ!」  熱いものが、俺の中で爆ぜる。おっさんのチンポから放出されたザーメンが、俺の中を満たしていく。同時に俺のチンポからも大量のザーメンが飛び散った。 「あ、ああ……っ!」 「ガハハ! すごか量やな!」  俺の中で、おっさんのチンポがびくびくと震えているのが分かる。その度に、腹が膨らんでいく。 「おっさん……!」  気がつくと俺は、おっさんにしがみついていた。こうしてしがみつくと、物凄く安心する。  まるで、俺がガキだった頃に死んだ、親父に抱きついているような──。 「クマ坊は甘えん坊やな」  おっさんが、俺の身体を強く抱きしめ返してくれた。 「おまんこが疼いたら、またいつでんここに来いや」  その言葉に、俺は頷く。  どうやら俺はもう、このおっさんから与えられる快楽と温もりが無いと生きられない身体になってしまったようだ。  ──まったく。ギャンブルよりも厄介なもんにハマっちまった。 【了】