配信25回目  ジリリリリ    「う~ん……もう少しぃ」  けたたましい音を聞いて体抱え込むように小さくする、片手を伸ばしてぽんぽんと地面を叩きながら探し、時計を見つけると見ないままに手探りでスイッチを押す。  眠いけど仕事の時間だ、起きなくては。のそのそ冬眠から覚めるようにして掛け布団を退かし上半身を起こすと伸びをする。ふぁぁと大きな欠伸をして軽く腕を回した。いつものことながら朝のこの瞬間はどうにもしんどくなってしまうな。  「さてと、遅刻する前に準備しなくちゃ」  独り言を言いながら布団を片付け、顔を洗ったり軽く食べたりして仕事の準備をする。シャツやネクタイ、スーツなど着替えると鞄を持って家を出たんだ。    バタン    どうやら今日はとても良い天気のようだ、これだけが救いかな、これで大雨とか降ってたら気分まで冬眠してしまう。階段を下りながら……はて、何か忘れているような?地面に降りて携帯を取り出す。そこで仕事のスケジュールを確認した。  「え、いや待って、うわ……今日休みだった」  ずーんと落ち込む、せっかく着替えてこれから仕事頑張るぞって気持ちを切り替えたのに。アパートの敷地から出る前だったのは不幸中の幸いか。いや全然幸でもなんでもない不幸だわ。まぁ自分の不注意ではあるのだが。    バタン    「ふ~、ん?」  後ろから俺を呼ぶ声がして振り返るとそこにいたのは熊さんだった。おーいと近づいてくる。  「お仕事かい?」  「おはようございます熊さん、いやぁそのつもりだったんですけどね、今日休みだったみたいです。いつも通り過ぎて休みをすっかり忘れて準備しちゃってました」  はははと苦笑する熊さん、ぽんぽんと肩を叩いてくる。  「仕事熱心すぎるよ、そんなに入れ込んじゃダメだよ?」  「有難うございます、その通りですねぇいやまぁ今日は全然自分が悪いんですけど」  ハァとため息をつくと熊さんはそうだなぁと顎に手をやり何か考えているようだ。なんだろう?  「絶望してる君に希望を与えてあげようかな?」  「……この絶望は中々変わってはくれませんよ」  大げさだなぁと笑われる、本当だぞ、頭の上には雨雲がこう、雨を降らしてるようなそんな気分なんだぞ漫画とかで表すなら。もう心がずぶ濡れだ。    「ピザ食べない?」  「食べます!食べたいです!」  頭の上では晴天だ!からっと乾いた青空だ!  「ははは、君ピザ大好きだもんね、そりゃ食いつくよね」  「いやいや好きは好きですけどそんなピザが全てみたいに言わないでくださいよ!今初めてじゃないですか話したの!」  勝手に決めないでくれ、そりゃピザなんて皆好きだろ、俺だって普通に好きなんだ普通に。ピザがなければ死ぬなんてことはないぞ!  しかしなぜピザ?頭を傾げていると熊さんはえっとねと説明してくれる。  「実は部屋にクーポン券があるんだよ、前に買った時に貰ってね。結構な枚数あってその期間が割とギリギリだから使わないと勿体ないなぁと思ってね、一枚二枚ならいいんだけど」  「あ~なるほど、そんなにあるんですね、それなら使わないと勿体ないですねぇ、半額とか?」  「いや何枚かタダになるくらい」  めちゃめちゃ食べてる!どんだけため込んでたんだ……そりゃ熊さんこのお腹も納得ですよ、太るわ、っていうかピザ大好きなの貴方じゃないですか!  「えへへ、まぁそういうこと、だから今日とか使っちゃおうかなぁて考えてたんだ。勿論儂一人で全部食べられるよ?でも君見つけたしどうせなら誰かと一緒に食べた方が楽しく美味しく食べられるじゃないか」  「いいんですか?タダピザ貰っちゃって」  「いいよいいよ~今日は気分落ち込んでるんでしょ?それに日々儂も君にはエッチなエネルギーを貰ってるからね」  手をワキワキして頬を染めだす熊さん、配信するスペースも脱ぐ用意も出来てるよって。は~と頭を片手で覆ってしまったが、相変わらずなこの熊さんのスケベっぷりに少し元気になったのは事実だった。そうだよな、こんな所で打ちひしがれてる場合じゃない、そんな事よりもっと楽しいことに時間を使わなくては。  「さぁさぁ着替えておいで、儂は折角なら他の人にも声をかけてみるから。ちょっとしたピザパーティーの始まりだ」  「わーい!それじゃぁさっさと着替えてきます!楽しみ!」  元気になった俺に頷くとさっそく二階に上がって部屋へ戻る、以前階段から落ちそうになったからさすがにそこは慎重になった。部屋に入るとスーツを脱いでネクタイ解いてシャツを脱いで、それらをハンガーに掛けると私服になり……う~んビールどうしようかなぁ、冷蔵庫を開けると二本だけ桃ビールがある。せっかくならこれも持ってっちゃおうか。    「お待たせしました~」  「おぉ遅いじゃねえか、待ちくたびれたぜ」  「お話聞きましたよーうっかりさんですなぁ」  そこにいたのは熊さんの他に犀さんとシャチさんだった、他の人はいない?  「ハスキー君はこれから仕事だって言ってたし馬君はジムへ行くしそんなもの食べたら太るって。ははは、ストイックだねぇ彼。エッチなことには正直だけど」  なるほどなぁそれは少し残念だが予定があるなら仕方ない、二人とも自分に気にせず楽しんでと言ってくれたようだ。頷くと近づき犀さんは俺が持っている桃ビールを見つけると一つをふんだくってくる。わっと。  「いいもん持ってるじゃねえか気が利くなお前」  「も~」  カシッとタブを開けて飲み始めちゃったし。この自由奔放なのが犀さんの良い所……良いわけあるか!人から物奪っちゃダメー!  「わはは、犀さんはビールに目がないようですなぁ」  「いいよいいよ儂も冷蔵庫に入ってるし、ピザを頼む時に他にも追加で頼んじゃおう」  そう言って俺達は熊さんの部屋へ行くことにした。    バタン    中に入って警戒し周りをしっかりと観察する、隅々まで。すると熊さんは頬を赤らめながらそれは止めてほしいんだけどなぁって。止めませんよ、あれからどうなってるかチェックしないと!  「どうしたんですかい?」  「な、なんでもないよシャチさ――」  「以前熊さんの部屋はゴミ置き場だったんです」  「わぁぁ印象悪くなるからダメだって!っていうか言い方他にもあるでしょ!」  焦る熊さんは少し可笑しい、シャチさんも犀さんもわははと笑って全く気にしていないようだ。だが俺は気にするぞ、これは熊さんの為でもあるんだっ。  廊下や台所、居間を見るが今の所凄く汚い!ってなってる所はないようだ、ゴミ袋が少し溜まっちゃってるけどこれくらいなら他の家庭でもよく見るだろうし。なんだやればできるじゃないか。  「君にちゃんと掃除しろって言われたし嫌われたくないからね」  「ははは、別に汚いから嫌うなんてことはないですよ、ただ熊さんの体調面で心配になっちゃうからです」  テーブルを囲んでそれぞれ座ると熊さんはありがとねと言いながら台所へ向かったようだ。  「別にワシはゴミ部屋だろうと気にしねぇけどな、ワシの部屋も汚ねえし」  「あっしも仕事道具以外は整理整頓とかは面倒になっちまうたちですなぁ」  おいおい皆怠惰だなぁ、これはあれか?遠回しに俺に掃除しに来いって言ってるのか?熊さんみたいに?やらないぞ!それくらい自分一人でちゃんとしろ!  「お待たせぇ、ビールとチラシ持ってきたよ、まぁ携帯でも確認できると思うけど」  複数のコンビニでよく見る缶ビールとピザのチラシを数枚持ってきた、そこにプリントされた写真を見るだけでもとても美味しそうでお腹が鳴りそうだった。朝飯は軽く食べたけど正直あまり足りてなかったからなぁ。  「どれも美味しそうですなぁ、こういう時あっし悩んじまうもんで」  「そうですよね、あれもこれも食べたいってなっちゃいますし」  さっそく二本目を開けて少し酔ってそうな犀さんは指を差す。  「ほんじゃワシはこれだ、デカい奴な。後はこれと~」  「いやいや頼み過ぎじゃないですか?クーポンで収まる量超えちゃいますよ」  「大丈夫だよ虎君、そしたらお金払えばいいし今日は儂の奢りだよ。いつも皆仲良くしてくれるし、それでも普通に払うよりずっと安くなるって思えばいいし」  寛大な熊さんの言葉にお礼を言うと遠慮されると儂が困るっていうから俺も調子に乗って自分の好きな物を頼んでしまう、耳がふっくらするタイプだったり色んな具材が乗ってるのだったり。サラミ多めの奴とか。肉好きだし。  「お、これは中々凄そうですな」  シャチさんがチラシの中の一つを指差す、どれどれ?辛さマックス!百熱の超辛ピザ!とそこには書かれていた。ピザのほぼ全面が真っ赤だ……耳までちょっと赤いし、うわぁ凄いなんか、見てるだけで舌がヒリヒリしそうだ。  「とても辛そうだねぇこういうの誰が食べるんだろうね」  「シャチだろうが」  「え!?いやいや、あっしはとてもとても。苦手というわけではありゃしませんけど人並みですから。こんなもん食べられたもんじゃないですわ」  その時ふと頭に象部長が思い浮かぶ、あの人前一緒に焼き鳥屋入った時、つくねに一塗りしただけでもめっちゃ辛かったタレを全部に付けてたからなぁこういうの好んで食べそうだよな、下手したら辛さが足りないとか。やっぱあの象本当に人か?  「まぁ儂ら一般人は普通のを食べようか、残しちゃったら勿体ないし」  それぞれサイドメニューとかも選び、酒も頼めるからとあれこれ指差して好きな物を選んでいく。終わる頃には結構な量だけど、ワシらの腹を見ろって犀さんがお腹叩くもんだから苦笑してそうですねって。まぁ残ることはないだろうこういう時はちょっと頼もしいな。  熊さんがまとめてじゃぁ頼んでくるねと言って携帯を取り出し注文を始める。  「虎、お前配信は」  「え?」  「あぁそうですなぁせっかくならピザ食べる所も映してみては?さすがに面白みがないですかねぇ」  「なに言ってんだシャチ、お前は新参者だから知らねえだろうがこいつが映ってりゃなにしてようが配信になるんだよ、ナニしてようがなへへへ」  「そういうもんですかねぇ」  ……犀さん絶対エロいこと考えてるだろ。だがまぁ確かに色々やってきたし正直雑談配信とかで予定もなんもないまま開始することもしょっちゅうだ。大勢でピザを食べるこの姿はネタの一つになるかもしれない……か?  「じゃぁちょっと用意してきます、それも面白そうだし」  そう言って立ち上がると一旦失礼して自分の部屋に戻ったんだ。    配信用の機材を持って戻るとすでに注文が終わっていた、来るまでに数十分かかるから少し待っていようって。  「了解です、それで一つ聞きたいんですけど……なんですかそれ」  テーブルに置いてある赤いキャップの透明な長細いボトル。中はドロッとした透明な液体が入っていた。  「いやぁ犀さんですね、マッサージ用に使うジェル持ってこいって」  「おぉよ、どうせピザ食ってエロイことするんだろ?あらかじめ用意してた方が楽だろうが」  「……」  この人の脳内はどうなっているんだ?これからピザ食べるって言ってるのにどうしてそこからエッチすることに繋がるんだ。  もうなんか色々突っ込むのが疲れるからとりあえずパソコンを、あ、熊さん。  「配信するんだろう?それなら折り畳みの椅子があるから少し待っててね」  そう言って鉄パイプの簡易な椅子を持ってきてくれた、テーブルから離して置けば丁度いい高さで全体が映るだろうおかげで助かった。ウェブカメラを置いて、こんな感じかな?電源を入れると操作して配信開始のボタンを押す。    ポチッ    『えぇっと、音量調整中だぞ。おーこんにちは、いやおはようかな?早いのによく来るなぁ~』  〔朝から配信助かる〕  〔ピザ!ピザパーティいいね!楽しそう!〕  〔……でっかいのがいっぱい〕  こんな朝でも来る人は来るもんであっという間に視聴者数が千単位になった、奥で座ってる皆も手を振って挨拶してくれる。  『タイトルにも入れたが皆でピザ食べながら雑談するぞー、まだ来てないけどそのうち……ん?』    ピンポーン    「あ、儂が出てくるよ、思ったより早くて助かったなぁ」  「あぁもう腹ペコだ、早くしろ熊」  さっそく熊さんは財布をもって玄関に行ったようだ、やり取りしてる話が聞こえてくる。そして数秒して戻ってくる頃にはピザの箱が何枚も。その上にもサイドメニューの箱が乗っかってるし、廊下にはビールや炭酸などまだ置いてあるって。テーブルにどさりと置くとそれだけでおぉ~って声が出てしまう。あーもういい匂いがする、早く食べたい。  「こら美味しそうですわ、ささ、さっそく開けていきましょうや」  シャチさんに言われ一つずつ箱を置いて開いていき、テーブルの隙間が無くなったから熊さんが折り畳みの小さいテーブルも用意してその上に置いていった。どうせ全部食べちゃうだろうってことで蓋は手でちぎって取っちゃった。  『じゃじゃ~ん!どうだーこうして量があると中々豪勢だろう?それにしても本当に凄いな……朝からこんなに食べていいのか』  「どれもこれも美味しそうだねぇ、それじゃぁいただきますして食べようか。犀さんはもう食べてるけど」  「はぐっぉぉ、美味ぇぞこれ、食わねえならワシが全部――」  「ちょちょ!食べますよ!がつがつしすぎですって!」  「ははは、楽しい朝食になりますわ」  ちぎった蓋を皿代わりにしてそれぞれ乗せて食べていく、熱々で耳はふっくら、色とりどりの野菜に沢山のサラミ、これは辛くない奴だ。口に入れると色んな味や匂いが口や鼻に充満して舌鼓を打つ。美味い……めちゃ美味!  〔おーチーズが伸びてる美味しそう〕  〔俺もピザ頼む!一緒に食べる!〕  〔これで虎さんもデブ入りと……〕  『はぐ、あのなぁお前ら、ちゃんと後で筋トレするって』  そうは言うが周りはにやにやしたりはははと笑ったり。ほ、本当だからな!  「でも儂はどんな姿でも大好きだよ、いっそデブの感覚知りたくない?」  止めてくれ熊さん誘惑しないでくれ!っていうかなんだデブの感覚って。ちらっとコメントを見ると太っていても見に来るよとか筋肉質な虎がいいのに~と様々な感想が飛び交っていた。  「ナゲットもポテトも美味しいねぇ、いやぁ虎君じゃないけど本当に体重が増えちゃいそうだ」  「なに言ってんだ、虎はワシらのこの脂肪が好きなんだろうしいいじゃねえか」  「お好みなら後で触ってもいいんですけどなぁ」  頬を赤くして視線を逸らしながら食べる、まぁほら、太った人の胸や腹って妙に触り心地良いし、相手もまんざらじゃないなら……ってなんで犀さん脱ぎ始めてるんですか。  「あ?暑くなってきたからに決まってるだろ」  そんなことするもんだからコメントはいつも通りエロイ事ばかり言い始めてしまったじゃないか、早く脱げとかエッチしろとか虎さん違う物食べたいんじゃないかって。い、今はピザを堪能してる所だぞお前ら。  「どうせ男しかいないんだし脱いじゃおうかねぇ」  「それならあっしも、結構服が窮屈になってきましてなぁ」  次々と脱ぎ始めて結果俺だけ服着てる状態になった、そうすると皆俺を見てくるわけで……コメントの奴らの見えない視線すら刺さってくるような気がするわけで……あぁもう分かったよ!薄々そうなるのかなと思ってたしさ!  「脱げばいいんでしょ脱げば!」    バサッ    こうして何故か全裸ピザパーティになってしまったんだ、まぁ開放感あるといえば聞こえはいいか。  『やれやれ……ん?お、そうだなぁよし待ってろ』  俺はピザの蓋に乗せたピザをカメラに近づける。  『これはまぁ普通の奴だな、色んなのが乗っかってる。んでこっちは海鮮だ、エビとか海の幸がふんだんに乗ってて美味しいぞ~。後はコーンがどっさり、凄いだろうコーン好きの奴は絶対好きになるだろうな、勿論めっちゃ美味い!後これ、シャチさんが頼んだちょい辛の奴な、ちょっとピリッとするけどその辛さがまたたまらないのなんのって』  頼んだ一部をカメラに見せていく、ちょっとした食レポみたいな感じだ。コメントはそれを見て大盛り上がりで読んでる俺も楽しい。  〔海鮮ピザいいなぁ今度頼んでみよう〕  〔コーン好きなのでそれは一押し、本当にコーンがピザ埋め尽くしてるからな〕  〔……もっと辛いのが……〕  『そうだろう美味いのいっぱいだぞ、ん?いやいやこれ以上辛いのはさすがにな~これくらいが丁度いいって。辛すぎてもはや食べ物じゃないみたいなのは罰ゲームだって』  あれ、このコメント。いやまさかな、象部長が俺の配信見るわけもないしましてやコメントなんてするわけもないか。  「ほら虎くんビール、桃味あったからたんで置いたよ」  「おぉありがとうございます!ピザと言えばビールですよね」  他の二人もすでにごくごく飲んでいるようで顔が赤くなっていた、酔いが回ってるのだろう犀さんもシャチさんも笑顔が止まらないという感じだ。  『全部食べ終わるまで続くから好きに楽しんで行ってくれよ~』  そう言って会話やコメントへの返答もしつつ朝食を堪能していった。    あれから数十分くらいは経っただろうか?会話に花を咲かせつつ夢中になっているとピザやナゲットなどどんどん減っていき気づけば空箱が増えていった。それぞれ満足したようで後ろ手に腹を片手で摩っては至高の瞬間とばかりに顔が蕩けて天井を見上げる人が多数。  「げぷ、おっとこら失礼。いや~美味かったですわ」  「久しぶりにピザ食ったけど悪くねえな」  「そうだねぇまた今度、もっと沢山の人で食べたいね。そうしたら庭にテーブル出したり椅子用意したりすることになるだろうけど」  「ははは、流石に俺達だけでも結構部屋はぎゅうぎゅうですからねぇ」  食後の余韻に浸りながら談笑する、ちらりとコメントを見ると余計な一言が流れてくる。  〔奥に見えるあの赤いキャップって何?〕  ……気にしないようにしてたのに。いやいや俺としてはね?もう十分食事だけで大満足なんだよ。それなのにさぁ、ほら~皆釣られてコメントしだすじゃん。  「おぉおぉ虎、さっさとエロイことしろだってよ。さっそくヤるか?」  『な、何言ってるんですか犀さんまだ満足してないんですか。美味しかったでしょう?ピザ、お前らも変なコメントばかり打つんじゃなーい!』  立ち上がった熊さんは空箱を片すとついでとばかりにテーブルも持ち上げて片しスペースを作り出す。え?なんで?  「まぁ食後の腹ごなしと思えば悪くないんじゃないですかい」  シャチさんまで!ぞろぞろと近づいてくると俺の横に並び、熊さんは俺の後ろで立っていた。何だろうな、圧が凄い。物理的に。  〔太った人が三人いると画面が凄い〕  〔こう見ると虎さんが小さく見えるな……〕  〔早く贅肉で埋もれてください〕  もう視聴者の欲求は止まらないようだ、自由好き勝手コメントして誰かがエロイこと言ってはそれがガソリンとしてエンジン全開になりもう誰にも止められなくなってしまう。  「よっと、シャチこれ終わる頃には全部なくなるぞ」  「えぇそのつもりでしたんで遠慮せず使ってくだせぇな」  ボトルを手に取った犀さんはキャップを開けると手にぶにゅって。そのまま全体に伸ばすと……いやいやちょっと待って、ちょっと待って!んはぁぁ!  「ひぁ、な、何で俺なんですか!?」  「お前の反応が見たいからに決まってんだろ、それにこれはお前の配信でワシらはゲストだろうが」  「特別ですよ虎さん、あっしは無料であんまりやったりしないもんでして」  シャチさんも手に出すと何故か俺がマッサージ対象として選ばれてしまった、しかも二人は乳首とか内股や鼠径部とかなんかこう感じるポイントばかり弄ってくる。  「ほらほら、口開けて虎くん」  「く、熊さん!んんんっ!」  顔を横に向けるとすでにびんびんな熊さんがしゃぶらせてくる、口の中に今度はピザとは違う特濃の雄の味が舌全体に行き渡る、こうされるとやっぱり若干の抵抗のふりを見せてても気分はそっちにいっちゃうわけでして。あぁ……やっぱり熊さんのチンコは太くて濃いぃ。  「シャチ、これやっぱさすがに口の中に入っちゃまずいか?」  「いや、これは植物性の体に害のないジェルになってますわ、そりゃ一本まるまる飲むとか変なことしたらお腹壊しますけどちょっとくらいなら口に入っても全然大丈夫なもんですな」  「ようしなら好き勝手出来るな」  「んっんん!」  〔いつもながら虎さんエッチすぎる……〕  〔チンコ咥えながらマッサージされるとかどんなエロ〕  〔中も外もどろどろにしちゃえ!〕  犀さんやシャチさんは両手で俺の体を弄り、二人して俺の両乳首を舐めたりしゃぶったりしてくるんだ、あまりにも気持ち良くて今ではすっかり桃色気分。あぁ腹も満たせて性欲も満たせて最高とはこのことか。  一度口からチンコを出すと二人は俺の体を軽く押して横にする、そのまま足を開かせるとカメラの位置を調整して俺の股が大きく映るようにしたんだ。  「な、何企んでます?」  「お前が喘ぎまくること考えてる」  すると犀さんが俺の勃起を片手で掴むと上に向けながら舌を出してずりずり、下から上へずり~っと舐めてきた。  「それならあっしも」  「じゃぁ儂もそうしようかなぁ、虎君もう一度しゃぶってね」  「く、熊さんちょっと!んん!」  俺の上に反対を向いて覆いかぶさると口の中にまた入ってくる、軽く腰を動かされればぺちぺちと大きなキンタマが鼻に当たる、ちょっと汗で湿っていてぺたぺたし玉や汗の匂いが鼻腔を刺激する。  「んっんんぁぁぁ!」  「大きくてエッチですなぁ虎さん、んん」  「君のチンコはいつでも魅力的だねぇはぁんん」  〔なにこれ何このエロ〕  〔舌がいっぱい、エロがいっぱい〕  〔どこ探してもこんなAVないでしょ、あまりにもシコ度が高すぎる〕  見えていないが恐らく画面には俺の股間に群がる三人がドアップで映ってるはずだ、チンコやキンタマをそれぞれ舌を出して蛇のように動かしては舐めまわされてる……と思う、感覚的に。それがまためちゃくちゃ気持ち良かった。何となく、これは誰の舌かなって考えるのも楽しい気もする。俺もアルコールで酔っているから思考がまともじゃなくなってるんだろうな。そういうことにしておいてほしい。  「んっんっんん!」  「お、キンタマ上がってきたぞ、分かりやすい奴だ」  「イっていいからねぇ、ほらほら精液頂戴」  「それならあっしは両方の玉を、はむ」  ビクンと震える、俺のキンタマ全部が柔らかい肉に包まれるようだった、吸われて舐めまわされて中身を動かされ、分厚い舌でずりずり……上ではチンコが舌に巻き付かれてずりずり、こんなことされて耐えろって言う方が無理だった。  「んっんんんん!!!」    ビュルッビュルルッドプッドプッ    「おぉすげぇ量だ、いいぜぇエロイぜ虎ぁ」  「んっはぁ、虎君のは濃厚だね、美味しいよぉ」  「はぁ、何だかあっしも病みつきになってしまいそうですわぁ」  〔うわぁ凄いエロ過ぎる〕  〔まさにシコるために始めた配信て感じ〕  〔今北産業!いや三行で説明無理そうとりあえずシコるから待って〕  ようやく熊さんは退いてくれたがその頃にはバテバテあった、頭を起こして皆を見ると顔やら頭やらに精液だらけ。あれ俺のなんだよな……そう思うと今出したばかりなのになんかちょっと性欲が戻ってくる気がする。    「そんじゃ次はワシらの番だ」  「カメラはこんな感じでいいですかい?」  「うんうんいい感じに虎君が映ってるよ」  なんか俺の配信乗っ取られてる気がする……横になったままの俺をさっきのピザの空箱とかカメラの下に置いて高さ上げ、上から見下ろす感じにしたようだ。  「シャチ、もう全部出しちまうぞ」  「えぇ構いませんわ、ここまで来たらがっつり皆満足するまでやりましょうや」  ボトルを俺の腹にぶにゅぅって押して全部出すと三人で俺の体に塗ってくる、もうあちこちドロドロだ、落とすのちょっと大変そうだなぁ……でも触られる感触が気持ち良くて皆が喜んでくれるならそれくらいの苦労は全然いいかなって思えてくる。  「虎君の口は儂が貰おうかな」  「こいつの尻は渡さねぇぞ」  「虎さん、手を借りますわ」  そうして俺の体を好き放題される、口には熊さんのチンコ入ってるし犀さん勝手に足持ち上げて尻穴弄ってくるし俺の手掴んだシャチさんはぶっとい自分のチンコ握らせてくるし熊さんとシャチさんは空いてる手で俺のヌルヌル乳首弄ってくるし。こんなにも体中に刺激と快感が押し寄せては理性なんて到底保てるはずがない、いや……保とうとはしてなかったのかな。  「入れるぞ虎、力抜け」    ズブッ    「んっんんっん!」  〔めっちゃエロい音が鳴ってるし虎さんが食われてるみたいだ〕  〔しゃぶったりしゃぶられたりするヌルドロ虎さんも格好良ぃ……〕  〔虎さんは捧げ物になったのだ……供え物にな……〕    ジュブッヌチュッ   パンッパンッ    皆夢中になると口数が減ってただひたすらに肉欲のまま俺を貪ってくる、俺も今となっては相手の為というよりは自分が満足したいからと欲求のままに動いてしまう。熊さんのチンコは美味しいからつい舌を巻きつけて吸い付いて飲み込もうとするしシャチさんの大きなチンコは感触が良くてジェルの効果もあって泡立てるようにひたすらしっかり速く擦る。二人が乳首を弄ったりチンコ触ったりしてくるから感じて力が入り尻では犀さんのぶっといチンコをきゅっと締め付けちゃう。犀さんもそれに喘ぎながら短く呼吸して必死に腰を振っていた。  「やべぇ気持ち良すぎる、長く持たねぇ」  「わ、儂もだよぉ!虎くん飲んでくれるかい、口に出したいよ」  「あっあっしもあきまへんわイッてしまいそうですぅ!あっあぁ!」  「おら虎もイけっ一緒にイクぞ!」  「んっんんんっっっ!」  みんなの動きが一段と速く激しくなり、犀さんは俺のチンコをじゅぼじゅぼ音を立てながら擦る、熊さんも両手で俺の耳や乳首をひたすら弄繰り回していた。体が震えるような、本当に毛が逆立つようなそんな感じ、頭が壊れそうなほどに沢山の刺激と快感が体全体を襲い染み込んでくる。  「くっい、イクぞ!イクッグオオオオ!」  「出る!出るよぉ!イッあぁぁぁ!」  「あぁぁイクッ漏れてまうぅぅ!」    ドプッドプッドプ   ゴポッゴポッゴポッ    それぞれが雄々しく叫ぶと上から中から大量の精液がまるで津波のように俺を溺れさせる、口の中や腸内は多分真っ白、体の表面もあちこち色んな液体で汚れているだろう。  〔さすがにちょっとエロ過ぎて見てるだけで少し出た〕  〔いいなぁ虎さん俺も皆に犯されたい〕  〔配信する度に全部が永久保存余裕なの勘弁してほしい容量が持たない〕  ぜぇぜぇと呼吸を荒くすると三人は少し離れてそのままぺたんって。俺、生きてるか……?精液で溺れて溺死とかそんな情けない死に方したくないぞ。  「はぁ~最高に気持ち良かったよぉありがとねぇ虎君」  「まぁ虎にしては頑張ったんじゃねぇか」  「わはは、もっと褒めてあげてくださいや犀さん、あっしもこんな体験初めてですわ」  「み、皆やりすぎぃ……」      『え~ごほん、とまぁあれだ。ピザパーティは結局ピザセックスパーティになってしまったわけだが、楽しめたか?俺は楽しんだよ、食欲も性欲も満たせてな!あぁ最高だった!もう開き直るしかないってこんなの!』  体も拭かずに落ち着くと汚れたままカメラの前に並んで座る、熊さんは後ろで立ってる、全員はカメラに収まらないからな。コメントも終わりの雰囲気を感じてか凄い勢いで流れ、お礼の投げ銭がどんどん飛んでくる。これに関しては俺は以前ちゃんと投げ銭すればなんでもやってくれるとは思わないようにって言ったから終わりにこうして気持ちとして投げてくれることが多くなった。それなら双方納得だろ?  『あぁ、流石に俺もくたくただ、今日はこの辺にしたいと思う。次回は未定だがまぁ近いうちに配信出来たらいいかな、それじゃぁ今日はこの辺にする!ゲストは熊さんに犀さんとシャチさんでした!またなー!』  〔お疲れさまでした!〕  〔次も絶対またシコりに来る!〕  〔定期的にセックス配信してくれー!〕    ポチ    「はい、お疲れさまでした、いや本当にお疲れでしたよ」  俺が苦笑するとそれぞれ立ち上がって後片付けを始める。  「ちょっと頑張っちゃったね虎君、でも良かっただろう?」  「ま、まぁそりゃ気持ち良かったですけど……でも毎回俺が食い物になるのはゴメンですよ」  「じゃぁ次はシャチが虎を飲み物にするか」  「あっしですかい?う~んどこまで入りますかねぇ」  「いやいやいや!怖い事言わないでくださいよ!何シャチさんもちょっとチャレンジ精神出しちゃってるんですか!」  結局俺がこうして突っ込み役に回ってしまうのか、そう思っていると熊さんはそうだと俺に風呂場を指差す。どうせなら風呂入っていきなよと。拭いて服着てすぐ上の自分の部屋でシャワー浴びてもいいけど、すぐにでも綺麗になりたいでしょって。確かに今の俺は到底他の人には見せられない状態だ。アパートの人たちなら分かってくれるけどこれを鮫先輩とか象部長に見られたら引かれそうだ……。  「それならご厚意に……あっ!いや待って、いやな予感がする!」  「いいから入れよ虎」  「そうそう」  「ちょ、ちょっと待って!押さないで!いやーまた変なことされる~!」  「わはは!ほんに面白い人たちですなぁあんさんらは」  「笑ってないで止めてシャチさーん!」    そうして俺は風呂場で代わる代わる……第二回戦が始まってしまったのだった。まだ朝なのに死にそうになったのは言うまでもない……。       完