GM [導入]
ブルライト地方
ハーヴェス──ユーシズ間の街道
GM [導入]
隊商が街道沿いにある村に逗留、休憩を兼ねて商売をしている
君たちは隊商の護衛や付き添い
あるいは村になにかしらの用事があってそこにいたのだろう
近場の林で採取の依頼などをしている事もあるかもしれない
GM [導入]
ともあれ、しばしの自由時間だ
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「はぁ……」一仕事を終え、重い木箱の一つに体重をかける。休憩がてら水袋を取り出し、傍の村で汲んでおいた新鮮な水を喉へと落とす
「取り敢えず……こんなもんか」独り呟く。周りには他の仲間も居らず、その声が届く相手もいない。本日は護衛兼、雑用として隊商に付き添っているのだろう
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」ぐるりと辺りを見渡す。テントや荷物、馬車の荷台が立ち並ぶが、人気が生む賑やかさは殆どなく、隊商の面々も大半は今頃村の方へ寄っている頃だろうか
「こういう仕事をしている時はあまり一人の時間が出来ないもんだが……」
「静かなもんだな」自身と環境が生み出す音だけを感じながら身を休める。こうしている時がなんだかんだ一番気が休める時だ
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」なんとなく土を蹴りながら、思いふける。一人になるとよく考えることがある。自身のこと、過去のこと
バーミスト・サイゼレス [隊商]
思い出す記憶の中にあまりいい思い出はない。いい思い出もあるが、そんな都合の良いものに浸る権利などありはしない
そんな事を繰り返していく内に、自分の罪に向き合うことになる。思い出す度に、それから目を背けていた事に嫌気がさす
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「はぁ……」ため息を吐き、そんな思考を途切れさせる。今はこんな所で考えるべきではないと、少なくとも自分は仕事中の身で、仕事のパフォーマンスを下げるような行為はすべきではない
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「こんなことばかり続けていて、いつになったら前に進むんだか」いつまでも進歩しない、進めない自分に言い聞かせるように、そんな言葉を思わず口にしていた
バーニャ [隊商]
「ふんふん~」
「時が未来に進むと~誰が決めたんだ~」
鼻歌をしながら人気の無い方へと歩いてくる目隠しをした女がいた
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」水袋からもう一口、口に流し込もうと思った時、見るからに怪しい人物が歩いているのを見かけ、手が止まる
「……よう、散歩中か?」流石に無視をするわけにも行かず、牽制として先んじて声をかけることにした
バーニャ [隊商]
女は目隠しをしている癖に周囲を見渡すように頭を動かしながら動いている
バーニャ [隊商]
「こんにちは」
「散歩と言えなくもないね。警邏中だよ」
どうやら警備の一人であったらしい
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……なんだ、同僚か」両目を目隠しをして歩ける存在など、そう多くはない。故に警戒して声をかけたが、その返答に警戒心を下げる
ヴァルター [隊商]
「ん、怪しい男と女を発見」とことこ歩いてくるチビッコ
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「誰が怪しい男だ」新しく出てきた人族らしき人物にそう返す
バーニャ [隊商]
「うん、そうそう」
「あぁ、同僚だったんだ。到着まではずっと寝てたから顔合わせしてなくて」
ヴァルター [隊商]
「頭に……布を巻いてる……きっと仲間」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「頭に巻くのは別に不自然でもないだろ!」
「まあ、仲間ってのは否定できないみたいだけどな」
バーニャ [隊商]
「みんなの休憩時間を守る大事な仕事さ」
「ところでそこの怪しくないキミはいったい?」
小さな女に声をかける
ヴァルター [隊商]
「灰狼のヴァルター。とてもつよい」
狼でもないし男性名だったし、聞いてもない付加情報までついてきた。
バーニャ [隊商]
「とても強いか。それはきっととても強いんだろうね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ヴァルター、とてもつよい、か随分な自信だな」
「俺はバーミスト・サイゼレス。戦う薬師だ」名乗られたからには名乗る。冒険者としての矜持だ
バーニャ [隊商]
「おやおや。これはボクも名乗らないと」
「バジリスクのバーニャだよ。よろしくね」
ヴァルター [隊商]
「ん、薬師の人とバジリスクの人」
「蛮族の仲間……」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「分かってはいたが、隠す気はなしか」あっさりとバジリスクと明かしたのを聞いてそんな言葉が出てしまう
「……いや、俺は人族だって」いつの間にか蛮族の括りに入れられている気がした
「仲間ってのは蛮族じゃなくて冒険者の方な?」
バーニャ [隊商]
「隠す方が怪しくなるからね」
「いつでも正々堂々。それがボクのポリシーだったことがあったかもしれない」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ポリシーにしては随分あやふやだな」
バーニャ [隊商]
「ついさっき生まれた気がするポリシーなんだ」
「大事に育てていくよ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「過去形ですらなかったわけだ……」
ヴァルター [隊商]
「おお、ポリシー」
「私も欲しい」
バーニャ [隊商]
「じゃあ作ろう」
「とても強いは大事にしていることはある?」
ヴァルター [隊商]
「ない」
バーニャ [隊商]
「ないか」
「これは…諦めるしかないね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「諦めるの早くねえか!?」
「ないならないにしても……なんかあるだろ、今から考えるとか」
バーニャ [隊商]
「おお…確かにそうだ」
「ちょっと考えてみないかい、とても強い略してとて強」
ヴァルター [隊商]
「ん、とて強」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「というか……とてもつよいの方じゃなくて、名前で呼んだらどうだ?」
「お前もそれでいいのかよ……」
ヴァルター [隊商]
「大事なことはいくつかあったような気がする」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あったような気がするって、こりゃまた曖昧な答えが出てきたな」
バーニャ [隊商]
「てっきりとて強が苗字なのかなって…」
「そうだね、失礼だった。指摘してくれてありがとう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そんな勘違いすることあるかぁ!?」
バーニャ [隊商]
「いくつかの大事なことは思いだせる?」
マイペースに
ヴァルター [隊商]
「一つ思い出した」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ほう、言ってみろよ」
ヴァルター [隊商]
「舐められたら殺す」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……随分物騒なのが出てきたな」
バーニャ [隊商]
「冒険者らしい…いやこれ冒険者らしいかな?」
「どちらかと言ったらギャングスタや荒っぽい傭兵が大事にしてそうじゃないかな?」
ヴァルター [隊商]
「ん、前歯のない人が言ってた」
「俺達は舐められたらおしまいだ。だから舐められたら殺す」
「女子供でも容赦しねぇ、そいつが生きる秘訣よ……って」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「生き方がアウトローすぎるだろ……」
バーニャ [隊商]
「じゃあせっかく思いだせたしそれをポリシーにしちゃおうか」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「いいのか!?」
ヴァルター [隊商]
「ポリシーゲット」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「人の社会で生きていくなら、俺はもうちょっと穏便なポリシーの方が生きやすい気がすると思うが……」
バーニャ [隊商]
「それが大事な言葉になるような社会で生きてきたんじゃないかな」
適当抜かしているようにしか聞こえないが内容を流しているわけではないらしい
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そういう生き方があるってのは否定はしないが……」
バーニャ [隊商]
「あるでしょ?そういう”人”の社会」
ヴァルター [隊商]
「ん、ある。前歯のない人死んだ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「死んでるじゃねえか」
「真似してたら命が幾つあっても足りねえぞ!」
ヴァルター [隊商]
「だいじょうぶ」
「私、つよい。前歯の人殺した」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「お前が殺したのかよ!?」
バーニャ [隊商]
「うん?」
ヴァルター [隊商]
「舐めたから」
バーニャ [隊商]
「これは少々話が変わってきたね…」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「な、なんというか……とんでもない人生を歩んできてるな、アンタ」
ヴァルター [隊商]
「このポリシー、もういい。別のがいい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「大事だったって言う割にあっさり捨てやがったな……」
「まあ……捨てても問題ないとは思うが」
バーニャ [隊商]
「随分気軽に捨ててしまってまあ…」
ヴァルター [隊商]
「ん、もう一個思い出した」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「おう……なんだ?なんかろくなものじゃなさそうな予感はしてるんだが」
ヴァルター [隊商]
「欲しいものは力づくで奪う。半分ハゲの人が言ってた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「盗賊の考え方だな!?」
バーニャ [隊商]
「戦う薬師バーミスト・サイゼレスくん」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「な、なんだ……?」
バーニャ [隊商]
「ボクはひょっとしてとんでもない少女に話しかけてしまったんだろうか」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あぁ、安心してくれ、俺もそう思ってる」
バーニャ [隊商]
「いざという時には一緒にしようね」
「鎮圧」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「鎮圧かぁ……」
「と言うか、もしかしてなんだが、その半分ハゲって奴も殺されてたりしないか?」
ヴァルター [隊商]
「すげえお宝が男の価値ってやつだ。どれだけイイものを持ってるかでそいつの格が決まるって」
「ん、よく分かった。すごい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「当たっちまったか……」
バーニャ [隊商]
「その半分ハゲもヴァルターが?」
ヴァルター [隊商]
「そう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「アンタ……賞金稼ぎか何かか?」バウンティハンターと言うやつだ
ヴァルター [隊商]
「ん、賞金は稼いでない」
バーニャ [隊商]
「趣味?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「趣味で狩ってるのはだいぶやばい気もするが……」
ヴァルター [隊商]
「別に楽しくない」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「じゃあ成り行きってわけか」
ヴァルター [隊商]
「そう」
「すごそうなものいっぱい持ってたから」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……強盗の考え方か?」
バーニャ [隊商]
「うーん?」
「もしかしてなんだけどさ。前歯のない人も半分ハゲも同じ場所に一緒にいたのかな?」
ヴァルター [隊商]
「そう。同じ街にいた」
バーニャ [隊商]
「その2人にたまたま出会ったのがヴァルター?」
ヴァルター [隊商]
「ん」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ツーキルしてるな……」
バーニャ [隊商]
「ふーん」
「さっきの言葉、忘れてたけど大事にしてた事があったんだよね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……そう言えばそうだな」殺した相手の言葉をか
ヴァルター [隊商]
「これも違うからもういい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「これまたあっさり捨てたな……」
バーニャ [隊商]
「そう。捨ててくれるならそれに越したことはないポリシーだけどね」
ヴァルター [隊商]
「もう一個思い出した」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「おう……この際全部聞いておくわ。なんだ?」
ヴァルター [隊商]
「名前ってのはそいつの看板だ。手柄を立てて功績を積んで、名前を轟かせるのが大事なんだって」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……まともそうなのが来たな?」
バーニャ [隊商]
「待って、戦う薬師バーミスト・サイゼレス」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あぁ、なんだ?」
バーニャ [隊商]
「前2人の事から考えるとさ」
「言った人の大体のガラが予想できちゃいそうじゃないか?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「それは俺もひしひしと感じてはいるんだが……」
「それはそれとして、最後まで希望を捨てず聞かせてはもらう」
「それは誰の言葉で、そいつはどうなっちまったんだ?」
バーニャ [隊商]
「希望は捨てない」
「いいポリシーだ」
ヴァルター [隊商]
「ん、死んだ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「だよなぁ!」
バーニャ [隊商]
「やっぱり殺したのかい」
ヴァルター [隊商]
「うん」
バーニャ [隊商]
「”灰狼のヴァルター”が」
ヴァルター [隊商]
「ん」
「ギャングスタのボス“灰狼のヴァルター”の言葉」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」ちょっと話が変わってきたな
バーニャ [隊商]
「そうか」
納得がいった風
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「納得しちまったみたいだが……まあ、いいか」これ以上深堀りしても、何か変わるわけではないと
バーニャ [隊商]
「これ以上掘り進めてもさ」
「あんまり楽しい話にならないような気がしないかい」
戦う薬師の内心と似たような言葉を口に出す
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「まあ、その辺りは俺も同意だな」
ヴァルター [隊商]
「あ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……今度はなんだ?」
ヴァルター [隊商]
「もう一個ある。これで最後」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「最後か……分かった、じゃあ聞かせてもらうとするか」
バーニャ [隊商]
「最後のひとつ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「毒も喰らわば皿までだ」
バーニャ [隊商]
「これは期待できそうじゃない?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「逆にってやつか?」
バーニャ [隊商]
「そうそう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「五分五分……かな」
ヴァルター [隊商]
「あなたは人と約束を守り、困っているものを助け、働きにより対価を得なさい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……想像をはるかに超えたのが来たな」
バーニャ [隊商]
「戦う薬師バーミスト・サイゼレス」
「賭けに勝ったね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あぁ、アンタの勝ちみたいだな」
バーニャ [隊商]
「やっぱり逆張りだよ、ギャンブルは」
幸せになれなそうな思考
ヴァルター [隊商]
「顔の痛そうな人が言ってた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「その顔が痛そうな人がどうなったかまでは聞かないほうがいい気もしてるんだが、どうだ?」
ヴァルター [隊商]
「知らない」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……知らないか」
ヴァルター [隊商]
「牢屋で会ったきりだから」
バーニャ [隊商]
「…ああ」
「"灰狼のヴァルター"、キミ。捕まっていたんだね」
ヴァルター [隊商]
「ん、20年くらい?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「だいぶ長いな……」歳が見た目に出ないタイプの種族か
ヴァルター [隊商]
「おっきい石とか運んでた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「なるほどな、なんで捕まってたかまでは聞かないことにするが……」労働もさせられていたのか、まあ罪人を働かせるなんてことは無いわけじゃない
「アンタにとってその……顔の痛そうな人がくれた言葉はどうだ?今も大事か?」
ヴァルター [隊商]
「分かんない」
「そうしてればきっと大事なものが見つかるって言ってたけど、まだだし」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そうか」
バーニャ [隊商]
「…その言葉は捨てないんだね」
ヴァルター [隊商]
「わかんないから」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「じゃあ分からない内はずっと覚えて、それを守ってればいいさ」
「そのうち何か答えが見つかるかもしれないし、見つからなくても、ポリシーにはなるだろ?」
ヴァルター [隊商]
「おお、ポリシーゲット」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「間違っても捨てるなよ」
バーニャ [隊商]
いい感じの話になったな…と少し意外そうにしている女
ヴァルター [隊商]
「薬師の人は大事なものないの?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「大事なもの?俺の大事なものは……」
「なんだろうな?世界とでもしておくか」
バーニャ [隊商]
「世界が大事と」
「随分壮大だね。戦う薬師バーミスト・サイゼレス」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「結局のところ、冒険者をするんだから世のため人のためって奴よ」
バーニャ [隊商]
「それもそうか」
「世界の為に戦う薬師バーミスト・サイゼレス…」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「なんか、肩書長くなってないか?」
バーニャ [隊商]
「世界の為に戦う者は英雄だよ」
「英雄の肩書なんて、いくらでも長くなるさ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「だとしたら、いずれ名前を呼ぶだけでも日が暮れるようになっちまいそうだな」
バーニャ [隊商]
「それも平和でいいんじゃない?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「まあ、そんな事をしてる暇がある世の中は平和ってやつか……」
バーニャ [隊商]
「そうそう」
「警邏中に長々と立ち話が出来る世の中と同じくらいにはね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「その通りだな」
ヴァルター [隊商]
「ん、世界欲しい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「急にスケールデカくなったな?」
「いや、でかくしたのは俺か……?」
バーニャ [隊商]
「世界を取るのか」
「世界を取って…どうするんだい?」
ヴァルター [隊商]
「……?」
首を傾げた。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「これ反射で言っただけだろ」
ヴァルター [隊商]
「薬師の人、世界ちょうだい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「俺に言われてもなあ!」
「大事とは言った矢先、所有権があるわけじゃないからな……」
ヴァルター [隊商]
「……?」
今度は逆方向に首を傾げた。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「例えそれが自分のものじゃなくても、大事なものがあるってことだ」
「俺にとってはそういう物が大事ってわけだ」
ヴァルター [隊商]
「ん、変なの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「まあ、変わってると言われりゃ変わってるかもな」
ヴァルター [隊商]
「薬師の人は、大事な自分のものは持ってないんだ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」その言葉に少しだけ考え
「それが自分のものである必要がないだけかもな」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「まあ、俺の話はどうだっていいさ」
「だが、こういう物の見方ってのも悪くないぜ、気が向いたらやってみるといい」
「欲しがる以外にも、生き方を見つけれるかもな」なんとなく、人が大事にしているものを大事にするタイプだなというのを見越してそんな言葉をかけた
ヴァルター [隊商]
「薬師の人が言ってることわかんない」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そうか、まあでも……無理に分からなくてもいいか」
「生きてればそのうち、なんとなく分かるようになったりすることがあるかもな」
「もちろんお前が覚えてればの話だが」
ヴァルター [隊商]
「バジリスクの人、分かる?」
バーニャ [隊商]
「ボク?ボクはそうだねぇ」
「灰狼のヴァルターと一緒でよく分からないな」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あぁ、そう……どうやら俺は少数派らしい」
ヴァルター [隊商]
「ん、薬師の人、変」
バーニャ [隊商]
「ただ、ボクが知っているのは」
「欲しいものはねだるより自分で得た方が早いってことくらいだ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「…………」
「それだとまた奪う話になるんじゃないか?」こいつのタイプだとという事である
バーニャ [隊商]
「あぁ。そうかもしれない」
「なら付け加えようかな。欲しいものは”作る”ことが出来る…ってね」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そっちの方がいいかもな」
ヴァルター [隊商]
「おお」
「バジリスクの人は作った?」
バーニャ [隊商]
「実は今作っている最中なんだ」
「秘密だよ?」
ヴァルター [隊商]
「世界?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「スケールがでかすぎるだろ」
バーニャ [隊商]
「広い意味で言えばそうだね」
ヴァルター [隊商]
「おお」
「出来たら見せてほしい」
バーニャ [隊商]
「出来たらね」
「あと何年かかるかな。200年くらいで済めばいいんだけど」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「だいぶ気が遠くなりそうな話だな……」
ヴァルター [隊商]
「もっと早くして」
バーニャ [隊商]
「出来るならしたいね」
「でも世界ってさ。作るのに時間がかかるんだ」
バーニャ [隊商]
「とっても、とっても」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「まあ……少なくとも簡単ではなさそうだな」
バーニャ [隊商]
「そう。簡単じゃないんだよ…」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
(そもそも本気で世界を作ってるとは思ってもないんだが……)
ヴァルター [隊商]
「世界欲しい……」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「さっきからずっと欲しがってるな……」
ヴァルター [隊商]
「薬師の人の頭の布でもいい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「なんで俺のバンダナに目をつけてるんだよ!」
バーニャ [隊商]
「戦う薬師バーミスト・サイゼレスのバンダナは世界だった…?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「妥協をするな!妥協を!」
シュクシュン [隊商]
のしのし
ヴァルター [隊商]
「ん、妥協してない。どっちも欲しい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「欲望が底なしかよ……」
パウラ [隊商]
背中の上で揺られながら、通りがかる
乗騎をとんとんと杖で叩いて座らせて降りる
ヴァルター [隊商]
「ん、でかいタヌキ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……アライグマじゃないか?」
バーニャ [隊商]
「犬かもしれない」
シュクシュン [隊商]
アライグマですとリカント語で抗議
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「喋ってる……が、何言ってるか分からないな」
バーニャ [隊商]
「すまない。犬語はさっぱりなんだ」
パウラ [隊商]
「さて、どれかのう」
ヴァルター [隊商]
「タヌキだって言ってる」※リカント語が分かるわけではない
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「マジかよ!?」
シュクシュン [隊商]
鼻を鳴らして更なる抗議
ヴァルター [隊商]
「ん、お礼はいらない」
パウラ [隊商]
「うむ、それならタヌキで良い」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……本当に会話できてるのか?」
「いいのか!?ご主人だろ!?」
バーニャ [隊商]
「タヌキだった」
「犬じゃなかった…無念」
パウラ [隊商]
「よいよい」どうでもいい為
シュクシュン [隊商]
びぃびぃ鳴いて抗議している
ヴァルター [隊商]
「嬉しそう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「嬉しそうかぁ!?」
パウラ [隊商]
「気になるかのう、こやつを」ヴァルターちゃんへ
ヴァルター [隊商]
「デカいタヌキ、珍しい」
「ほら、お手」片手を出す
シュクシュン [隊商]
ぷい
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「扱いは犬みたいだが……」
パウラ [隊商]
「ははは」
ヴァルター [隊商]
ごそごそと懐から干し肉を取り出す
パウラ [隊商]
「いじけておる」
バーニャ [隊商]
「お手に反応しない」
「やはりタヌキか…」
シュクシュン [隊商]
ぺーん!素早くお手
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「一瞬で飼い慣らされたな……」
ヴァルター [隊商]
「ん、喜んでる。あげる」
干し肉を与える。
シュクシュン [隊商]
もしゃもしゃ。嬉しそうです
バーニャ [隊商]
「やっぱり犬なんじゃないかな?」
パウラ [隊商]
「こやつの扱いを心得たの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「どうやら飴には従順みたいだな」
シュクシュン [隊商]
こいつはいいやつだ
パウラ [隊商]
「与えすぎると調子に乗る故、ほどほどにの」
ヴァルター [隊商]
「言うことを聞かせたいときはエサをちらつかせろって」
「前歯ない人が言ってた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あいつがか……」
パウラ [隊商]
「時には鞭も要るんじゃがの」
バーニャ [隊商]
「前歯ない人や半分ハゲから教わっていたんだね」
パウラ [隊商]
「賢い動物というのは幼い子どものようなものじゃ」
ヴァルター [隊商]
「ん、他にも腕がない人とか、片目がない人とか、髪の毛が真ん中しかない人とかいた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「色々ない人が多いな……」
パウラ [隊商]
「愉快な身内じゃ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「身内……身内でいいのかな……これ」多分全員死んでる気がするんだよな
ヴァルター [隊商]
「他人」
パウラ [隊商]
「見知らぬ他者からも学べるのは良いことよな」
「その素直さはお主の美徳じゃの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
(偶にろくでもないことまで学んでるみたいなんだけどな……)
ヴァルター [隊商]
「むふー」得意げに見えるかもしれないポーズ。表情の変化は微小。
パウラ [隊商]
にこにこ。幼い子供が基本的に好き
バーミスト・サイゼレス [隊商]
(まあいいか……当人らは満足そうだし)
シュクシュン [隊商]
ところでもっとくれないスか?
ヴァルター [隊商]
二個目の干し肉を取り出す。
シュクシュン [隊商]
へへ…こいつチョロいぜ
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「でもいいのか?勝手に騎獣に餌付けしちまっても」
ヴァルター [隊商]
そのまま自分の口にくわえた。もぐもぐ。
パウラ [隊商]
「やつには好きにさせておるよ」
シュクシュン [隊商]
は?
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「案外自由なんだな」
シュクシュン [隊商]
は?は?は?
シュクシュン [隊商]
びぃびぃ、猛抗議
バーニャ [隊商]
ヴァルターとタヌキを交互に眺めている
話してて分かってたけどいい性格してるな…
パウラ [隊商]
「うむ、勝手に痛い目を見る故な」
「最低限のしつけでよい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「なるほどな……」
ヴァルター [隊商]
実はリカント語なんて毛の先ほども理解していないため腹が減ったので食っているだけ。
シュクシュン [隊商]
鼻でつつき始める
ヴァルター [隊商]
邪魔なので手で払いのける。
パウラ [隊商]
「ははは、あやつはしつこいぞ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あっちも飽きたら早そうだが……」
パウラ [隊商]
注意深い人なら、こっそりウルフバイトの準備をしていることがわかる
バーミスト・サイゼレス [隊商]
(最低限の躾は……だいぶ手痛い物みたいだな……)
ヴァルター [隊商]
「もぐもぐ……ごくん」物欲しそうなタヌキ(タヌキではない)を無視して干し肉を飲み込む。
バーニャ [隊商]
注意深くはないが何か動く気配を感じている
シュクシュン [隊商]
ヴァルターのふところを嗅ぎまわり、干し肉を漁ろうとしている
ヴァルター [隊商]
ヒゲを引っぱる。
シュクシュン [隊商]
ぴーーーーーーーー!
逃走
パウラ [隊商]
「うむ」頷いて中断
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「先に痛い目を見たか」
パウラ [隊商]
「気にせんで良い、明日にはけろりと忘れておるからな」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そいつは逞しいな」
バーニャ [隊商]
「そんなものなんだ」
慣れ切った様子なので
ヴァルター [隊商]
知らん顔で干し肉を食っている。
バーニャ [隊商]
「さて」
「そろそろ警邏に戻らないと怒られる予感がしてきた」
パウラ [隊商]
「おう、仕事の途中であったか」
「これは悪いことをしたの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そうだな、少なくとも俺とバーニャはそうだ。とは言え、この牧歌的な風景が似合う程度には気を抜いてたところだよ」
バーニャ [隊商]
「いいんだ。世界の為に戦う薬師バーミスト・サイゼレスと」
「灰狼のヴァルターと楽しくお話していただけだからね」
ヴァルター [隊商]
「ん」肯定
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「相変わらず長いままだな……」
バーニャ [隊商]
「では、この辺りで」
「縁が合ったらまた会おうね」
のんびり歩いて退場!
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「あぁ、縁があればまたな」
パウラ [隊商]
「うむ、風がまた木の葉同士を振れ合わせるように」
ヴァルター [隊商]
「じゃあね、世界を作るバジリスクの人」
パウラ [隊商]
「皆、良い名を持つのう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「名前にしては余計な装飾が多かったが……」
ヴァルター [隊商]
「タヌキの人は?」
パウラ [隊商]
「む?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「名前を聞きたいんだろうな」
パウラ [隊商]
「おお、そうだの。名乗りもせんで悪かった」
「パウラ。お主らのように付くべき花のない、ただのパウラよ」
ヴァルター [隊商]
「ん、ただの人」
パウラ [隊商]
「おう」うれしそうに
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「俺のはだいぶ勝手に付いてただけなんだが」
パウラ [隊商]
「よろしく。"灰狼"に、"世界の為に戦う薬師"だったかの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「世界のために、は抜いて構わないぜ」
ヴァルター [隊商]
「ただの人は大事なものある?」唐突。
「薬師の人はないんだって」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「俺の話はよくなかったか!?」
ヴァルター [隊商]
「ん、薬師の人が勝手に言ってるだけ」
パウラ [隊商]
「世の中には根のない葉もある故な」
パウラ [隊商]
「儂は……儂も大事なものは置いてきたよ」
「うん、置いてきた」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「置いてきたね……」
ヴァルター [隊商]
「取りに行けば?」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「忘れ物ならそうかもだが」
パウラ [隊商]
「うむ。そのつもりはないよ。"灰狼"」
ヴァルター [隊商]
「なんで?」
パウラ [隊商]
「そうして初めて、儂は自由になったからだのう」
「そうでなければ、お主と会えなかった」
「薬師殿にもの」
ヴァルター [隊商]
きょとんとした顔(つまりいつも通り)だった。全然響いてない。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そりゃよかった、大事なものを置いてきた分には、足りるかどうか分からないが」
パウラ [隊商]
「ははは」
「天秤ではないからの」
「秤には乗せぬよ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そうか、だとしたら俺の言い方が失礼になったな」
パウラ [隊商]
「よいよい。儂は気にせん」
ヴァルター [隊商]
「ん、大事なものなら持っておくべき」
パウラ [隊商]
「そうじゃのう」
「そういう生き方も良かったやもしれぬ」
「その地に根を生やし、大切なものを大事にして、ただ穏やかに朽ちていくに任せる生き方も、の」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「でも、アンタは今こうしてるわけだ」
パウラ [隊商]
「うむ」
「最後に浮き草の一生を試してみたかったのじゃ」
パウラ [隊商]
「灰狼の、お主もあと50年経てば分かるやもしれんな」
「いや、分からんでよいか」
ヴァルター [隊商]
「ん、ずっと先」
パウラ [隊商]
「そうじゃ。そして、それは今は考えずとも良いことだの」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ま、アンタは秤にかけないって言ったわけだし」
「後悔もしないわけだろ?だったら今も大事、それでいいんじゃないか」
パウラ [隊商]
「そうじゃのう……」
別に後ろ髪を引かれる思いが無くなったわけではない。時々ふっと思いだすこともある
パウラ [隊商]
「大事にしたいと思っておるよ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「だってよ、パウラは今が大事だそうだ」
ヴァルター [隊商]
「わかんない」わかんなかった。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「難しい話だったらしい」
パウラ [隊商]
「ははは、よいよい。これは儂だけのものじゃ」
「誰に理解されんでも、儂だけが分かっておればよい」
ヴァルター [隊商]
「む……」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「これじゃあ欲しがることは出来なそうだな」
ヴァルター [隊商]
「その今、欲しい。ちょうだい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「無理やり欲しがってないか!?」
ヴァルター [隊商]
「どうにかなるかもしれない」
パウラ [隊商]
「ほう、面白いことをいう子じゃ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「その前向きさは見習いたいな……」
パウラ [隊商]
「さて、この花は形もわからねば、場所も知らぬ。ではいかに盗む?」
楽し気に
ヴァルター [隊商]
「盗みはダメだって。譲ってほしい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
(その辺り、ちゃんと理性あったんだな……)
パウラ [隊商]
「おう、譲ろうとも。しかしのう、これは手で渡せぬもの故、どうにかお主に取りに来てもらうしかないのじゃ」
ヴァルター [隊商]
「おお」
謎の感嘆をこぼしつつ、おもむろにパウラに接近する。
パウラ [隊商]
「おお?」
ヴァルター [隊商]
そのままぺた……ぺたぺた……とパウラの身体をまさぐる。さながらボディチェックのよう。
パウラ [隊商]
「お? お?」興味深そうに成すがままにまかせます
「んふふふ、なんじゃ?こそばゆいの…んふふ…」
ヴァルター [隊商]
「どこかに今があるかもしれない」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そりゃあるかもだが」変なことをしてるなと眺めている
パウラ [隊商]
「んふ…あるかもしれんっ…の…」
「はずれっ……んふふ、そこもはずれじゃ…」
ヴァルター [隊商]
ローブの中に遠慮なく手を突っ込んでいた。止められない限り特に止まらない。
パウラ [隊商]
「んふふっ!……あ、ひ…!」堪らんのう
「あはは…っ! はーっ……! はははっ…!ひぃ……!」
ヴァルター [隊商]
「今……どこだ……」
やめろと言われてないのでやめてない。パウラの全身を無遠慮にまさぐり倒している。
パウラ [隊商]
「や、やめっ…………!ひひっ!ひーっ!」息が詰まる
ヴァルター [隊商]
「ん」
やめろと言われたのでやめた。
パウラ [隊商]
「ひぃ……ひぃ……」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「で、どうだ?見つかったか?」
パウラ [隊商]
フードがズレ、服もよれよれ
ヴァルター [隊商]
「なかった」
パウラ [隊商]
杖を支えに肩で息を切っています
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そりゃ残念だったな」
パウラ [隊商]
「はーっ……はーっ……そりゃあ、そうじゃ」
「言ったから…の。わたせるものではない、と」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「と言うか、そもそも欲しがる必要もないんじゃないか?」
「だって今だぜ?今ここにはパウラもいて俺もいて、ヴァルター、お前もいるんだ」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「手にするまでもなく、同じ時間を共有してるなら、もう持ってるようなものだろ」
「例えそれがほんの一部でもな」
ヴァルター [隊商]
「ん、それは違う」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「違うって言うと?」
ヴァルター [隊商]
「私の今は、大事な今じゃない。ただの人の今は、大事な今」
「大事な今が欲しい」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「そうなっちまったらお前の心構え次第だな」
「バーニャが大事なものは作れるって言ってたろ?お前が同じ物を作って、初めて同じ物が得れる」
ヴァルター [隊商]
「おお」
「ただの人の今はどうやって作ったんだっけ」
パウラ [隊商]
「んふふ……村の悪戯っ子を思い出すのう……かくれんぼの時にせがまれて偶に服の下に隠してやったものじゃが、今みたいに腹をつついてきて困ったものよ」
パウラ [隊商]
「灰狼や」
「これは作るというよりのう、自然と出来ていくものよ」
パウラ [隊商]
「樹が育つように、ゆっくりとの」
「儂はなんもしておらんから」
ヴァルター [隊商]
「む……」
パウラ [隊商]
「ははは、知らんのう。お主の今も、儂の今も。いったいどうしてできたのやら」
「見つけたら、始まりの剣を見つけることより大事じゃ。是非教えておくれ」
ヴァルター [隊商]
「ん、そうする」
パウラ [隊商]
「よいよい、宿題じゃ」
ヴァルター [隊商]
「しょうがないから薬師の人のバンダナちょうだい」
パウラ [隊商]
「ははは」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ダメだったからってこっちに戻ってくるな!」
「折角狙いが外れたと思ったってのに……」
パウラ [隊商]
「お主は本当に他人の大事なものが好きじゃのう」
「どうして欲しがる?他所にしかないと思う?」
ヴァルター [隊商]
「欲しいから」
パウラ [隊商]
「そうかそうか」
「乾いておるのかのう」
ヴァルター [隊商]
首を傾げた。大体難しそうな表現は分からない。
パウラ [隊商]
「もしかしたら、お主の欲の器は穴あきやもしれんの」
「他所から汲んでも形が合わずに漏れるのみ」
「願わくば、己の内からその穴にすっぽりとハマる何かが生まれると良いのう」頭を撫でようとします
ヴァルター [隊商]
撫でられます。よく分かってなさそうな顔で。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「お互い冒険者だ、生きてりゃいずれ何か見つかるさ」
パウラ [隊商]
「うむ。良きにつけ悪しきにつけ、色々なものがやってくるのが旅の趣よな」
「"灰狼"や。時々でよい。自分が今、何を持ってるかを考えてみておくれ」
ヴァルター [隊商]
余計に分かんなさそうな顔になった。
パウラ [隊商]
髪を梳く
にこにこ
ヴァルター [隊商]
「ん……分かんないけど、覚えておく」
パウラ [隊商]
「うむ、これで一つ。言葉が手に入ったの」
「お主はひとまず、手に入れた者は捨てずに全部持っておくのが良かろう」
「もしかすると、そこから面白いものが芽を出すやもしれん」
ヴァルター [隊商]
「ん、全部欲しい」
「大きいタヌキも欲しい」
パウラ [隊商]
「ははは」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「ついにアレまで欲しがったか……」
パウラ [隊商]
「それはシュクシュンに聞いて見なければのう」
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「さっき逃げてったみたいだが」
ヴァルター [隊商]
「大きいタヌキ、ちょうだい~」
逃げていった方向に走っていく。
シュクシュン [隊商]
全力逃走
パウラ [隊商]
その様子を見て、呵呵と笑い続ける。故郷の風景を重ねながら。
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「……」牧歌的な光景を眺めながら少しだけ考える
バーミスト・サイゼレス [隊商]
「大事なものか」
「そんな物、俺が得るには烏滸がましすぎるな」そう言って、人が戻りつつあった隊商にて、仕事に戻るのだった