びしょ濡れのシーツが放つ甘ったるい匂いが部屋に満ちていた。数分前に激しい噴水を上げたばかりの彼女、ルナの体は、まだ絶頂の余韻に支配されぴくぴくと小さく痙攣を続けている。その白い喉から漏れる「はぁ……ひぅ……」という熱い吐息だけが、このスイートルームの静寂をかき乱していた。  俺はベッドの脇に立ち、腕を組んで、その光景を見下ろしていた。  ステージの上で、何万人もの観客をそのクールな瞳と退廃的な歌声で支配するゴシックアイドルの女王。その彼女が今、俺の下で、手首を拘束され、脚を大きく開いた無防備な姿を晒している。数時間前の熱狂的なライブを成功させた高揚感と、目の前の背徳的な光景とが混じり合い、俺の脳を焼くような興奮をもたらしていた。  彼女の衣装は、ステージで着ていたものそのままだった。紫と白のストライプ柄のトップスは、彼女自身の汗と、そして先ほど噴き上げた大量の潮とでぐっしょりと濡れそぼっている。生地は肌にぴったりと張り付き、その下の豊満な双丘の形を、むしろ着ていない時よりも生々しく浮かび上がらせていた。コルセットで締め上げられた細い腰が、その胸の巨大さを一層引き立てている。  俺の視線は、ゆっくりと下へ移動した。  大きく開かれた脚。その内側は、彼女自身の愛液でテラテラと光っている。粘り気のある透明な液体が、太腿の付け根を伝い、すでにシーツに大きな染みを作っていた。右脚の網タイツは、その液体を吸ってところどころ色が濃くなっている。左脚の黒いストッキングとのアンバランスさが、倒錯的な美しさを醸し出していた。  そして、その中心。  黒いレースのパンティは、もはやただの飾りでしかなかった。完全に横にずらされ、本来隠すべき場所は、そのすべてが露わになっている。熱に浮かされたように赤く腫れ上がった肉の割れ目。その入り口は、まだひく、ひく、と痙攣を繰り返し、新たな蜜をきらきらと溢れさせていた。  俺は、その光景から目を離すことができなかった。  ルナの表情は、完全な恍惚の中にあった。焦点の合わない瞳は潤み、理性の光はどこにもない。紅潮した頬。わずかに開かれた唇の端からは、小さな牙が覗いている。それは、彼女が興奮の極致にあることを示す証だった。彼女は、この状況を、この支配を、心の底から悦んでいるのだ。  両の手首を頭上で緩く縛るシルクのスカーフ。それは、俺が彼女の楽屋にあったものを、ほんの気まぐれで使っただけのものだ。彼女が少しでも本気で抵抗すれば、たやすく解けてしまうだろう。だが、彼女はそうしない。むしろ、その拘束があることで、より深い快感を得られることを、彼女自身が誰よりもよく知っていた。 「……ん……ぅ……」  ルナが、身を捩った。快感の余韻が、再び小さな波となって彼女の体を駆け巡ったのだろう。その動きで、濡れた下腹部から、また新たな愛液がとろり、と溢れ出す。  俺は、その淫蕩な光景に、もはや我慢の限界だった。  ゆっくりとベッドに膝をつき、彼女の脚の間に身を滑り込ませる。そして、まだ熱く湿っているシーツの染みを、人差し指でそっとなぞった。指先に、彼女の匂いがねっとりと絡みつく。  俺は、その指を、ゆっくりとルナの顔の前へと持っていった。 「……ルナ」  囁きかけると、彼女の瞳が、ようやく俺の姿を捉えた。 「自分の味は、どうだ?」  その言葉の意味を理解した瞬間、ルナの頬が、さらに赤く染まった。瞳に、羞恥と、そして抗いがたい好奇の色が浮かぶ。彼女は一瞬ためらった後、まるで命令に従う忠実な小動物のように、おずおずと、その赤い舌を伸ばした。  ぺろり、と俺の指先が舐められる。 「……しょっぱ、くて……甘い、です……」  か細い、掠れた声。自分の体から出たものを味わうという行為が、彼女の中で新たな興奮の扉を開いたようだった。その瞳が、再び熱っぽく潤み始める。 「……もっと……」  彼女が、喘ぐように懇願した。 「もっと、ください……旦那様……」  その言葉を、俺は待っていた。  俺は、悪魔のように微笑むと、その濡れた指を、今度は彼女自身の唇に押し付けた。そして、まだ痙攣を続ける、赤く腫れ上がった秘裂へと、顔を近づけていく。 「次は、俺の舌だけで逝かせてやる」  俺の宣言に、ルナの体がびくんと大きく跳ねた。その顔が、信じられないという驚きと、未知なる快感への期待に染まっていく。  二度目の、より深く、より執拗な愛撫が、今、始まろうとしていた。 続く ※フィクションです。非公開の創作であり現実とは完全に区別されます。