[main] GM : choice[肉,魚] (choice[肉,魚]) > 肉
[main] GM : choice[牛,豚,鳥] (choice[牛,豚,鳥]) > 鳥
[main] スカーレット : じゅうじゅうと網の上で鳥が焼けている。鶏肉に串を刺したそれは香ばしい匂いを立ち昇らせている。
[main] スカーレット : あと今日は──珍しく、調理の補助がいる。
[main] ローダンセ : せっせと鶏肉に串を打つ作業をしている。
[main] スカーレット : 見て分かるように、ウィークリングだ。ガルーダの。別段思うところはない。生まれで誰かを詰れるような生まれはしていない。
[main] スカーレット : 2d6+5+5 料理判定 (2D6+5+5) > 4[2,2]+5+5 > 14
[main] ローダンセ : 2d6+2+3 料理判定 (2D6+2+3) > 8[3,5]+2+3 > 13
[main] スカーレット : そして思いのほか息も合っている。初対面なのに。だから珍しいな、と驚いてもいる。
[main] ローダンセ : 「いい加減、人も来なくなったみてえだな」
[main] スカーレット : 結構、口調が荒いことにも驚いたが。
[main] スカーレット : 「うん、しばらくは休憩時間になりそう」
[main] スカーレット : 立ち上がって背を伸ばした彼女は、手を洗ってくる、と川へと向かっていった。ずっと串打ちをしていたから、手がベタベタだとぼやきながら。
[main] スカーレット : 私の方と言えば──ずっと焼いていたから、すっかり汗だくになっていた。一応護衛でもあるから鎧の着用も避けられず。
[main] スカーレット : しかし今はもうしばらく人は来ないのだろうし、と用意しておいてある椅子に腰掛けてタオルで汗を軽く拭った。
[main] ローダンセ : 「ただいま」
[main]
スカーレット :
「おかえり」
そうこうしている内に彼女も帰ってきて、そして彼女は串打ちが終わったそれを何本か取ると網の上に置いた。
[main] ローダンセ : 「あたしたちも食べようぜ。腹減っちまった」
[main]
スカーレット :
「──うん」
食べにくる人がいない時間帯に自分達も食べることは、珍しいことじゃない。
[main] スカーレット : 火元から少し離れて、椅子に座ったまま彼女が焼いてくれているのをぼうっと眺める。手際もいい。
[main] ローダンセ : 「ほら、こっちお前のな」
[main]
スカーレット :
わざわざ私の方に串を寄せてくれて、取りやすいようにしてくれた。
「ありがとう」
[main] ローダンセ : 「…………おいし」
[main]
スカーレット :
私の言葉は彼女にはもう届いていないようだった。彼女に倣って串を口に運ぶ。
「美味しい」
[main] ローダンセ : 「その分、人も多かったけどな」
[main] スカーレット : ぼやくように。彼女は人が多い所はあまり好きではないようだった。私も同じだから、気持ちはよく分かる。
[main] ローダンセ : 「お前も嫌いだろ、ああいうの」
[main] スカーレット : 私がなんとなく彼女を理解していた分──それは彼女も同じだったらしい。
[main] スカーレット : 「うん、ちょっとね」
[main] ローダンセ : 「担当変え、申請するかあ」
[main]
スカーレット :
いつもの方が気楽だな、とは私も今日思っていたことではあった。肉には酒を求める人は多い。制圧は簡単だが面倒だと思う気持ちは強かった。
「私は……あなたと一緒に料理するのは、楽しかったよ」
[main] ローダンセ : 「…………」
[main] スカーレット : 黙っちゃった。心なしか翼で彼女の表情が隠された気がする。
[main] スカーレット : 黙っちゃったけど、追加の串を網の上に置くのは止めないし、食べるのも止めてないから機嫌を悪くさせてしまったわけではないようだ。
[main]
ローダンセ :
「あ”ー……」
「うー……」
[main] スカーレット : そして何故だか唸り始めてしまった。どうしよう。
[main] ヒナ・T・サイト : その時がさりと、テントの開く音がする
[main] ヒナ・T・サイト : 「こんばんわー…ここ、晩御飯貰える所で良かったですよね?」
[main] ローダンセ : 「ああ、ここは焼き鳥だけな。酒はもう品切れ」
[main] スカーレット : 新たな客の登場に──彼女はパッと立ち上がって言った。
[main] ヒナ・T・サイト : 「ヒナはお酒飲まないので問題ないです!」
[main] ローダンセ : 「酒飲んで暴れるやつまあまあいたからな、同類じゃないようで良かったよ」
[main]
ローダンセ :
「ほら、焼きあがったら皿に入れてやるから取ってきな」
指差した篭には食器が入れられている
[main] ヒナ・T・サイト : ぱぱぱと食器を取り出して構える
[main] ヒナ・T・サイト : 「いい匂いですねー。どちらの方が作ったんです?」
[main] スカーレット : 私の方は串打ちを少しすることにした。
[main]
ローダンセ :
「今焼いてる分はあたしが打ってあたしが焼いた」
言いながら、焼きあがった串をヒナの皿に置いて行く。
[main] ヒナ・T・サイト : 「おお。では…飯は熱い内に食えが我が家の家訓だったので…さっそく戴きます」両手を合わせ
[main] ヒナ・T・サイト : 「あふい!」
[main]
ローダンセ :
「火傷には気を付けろよ」
言いながら、目線は既に次の串に向いている。
[main] ヒナ・T・サイト : 「でもオイシイです!」
[main] ローダンセ : 「そうかい」
[main] スカーレット : ぶっきらぼうに答える彼女の声色は、けれど少し嬉しそうだった。
[main] ヒナ・T・サイト : 「こんなにオイシイなら他の人も食べに来ればいいのに」もぐもぐ
[main] スカーレット : 「もう夜も遅いから。夜勤終わりの人が来るまではもう来ないんじゃないかなって」
[main] ローダンセ : 「1~2時間くらい前までは大勢来てたしな」
[main] ヒナ・T・サイト : 「…」
[main] ヒナ・T・サイト : 「もしかしてヒナ、一仕事終えた後の休憩中にお邪魔しちゃいました?」
[main] ローダンセ : 「そうとも言えるが、気にしちゃいねえよ。2人分焼くのも3人分焼くのも大した差じゃねえ」
[main] スカーレット : 言いながら──彼女は今焼いていた串を3人で分けるように皿に取り分けた
[main] ローダンセ : 「代わりに、あたしらも食べさせては貰うが」
[main] ヒナ・T・サイト : 「それはホラ、調理人の権利というヤツです」
[main] ヒナ・T・サイト : 「しかし…キャラバンで天使さんとエルフさんがお料理作っているとは思いませんでした」
[main] ヒナ・T・サイト : 「カワイイですネ!」
[main] ローダンセ : 「はあ?」
[main] スカーレット : 今日一の素っ頓狂な声を聴いた。確かに天使と見紛うような純白の翼を彼女は携えている。
[main] ローダンセ : 「……んな上等なモンじゃねえよ」
[main] ヒナ・T・サイト : 「違うんですか!?天使っておっしゃる神官の人とは会ったことあるのですが…いやその人もカワイかたんですけどね!」
[main] スカーレット : ふい、と女性から顔をそむけた。私の位置からはその表情が良く見えて、可愛いと言われたことに恥ずかしがっているようだった。少し頬が赤い。
[main] ヒナ・T・サイト : 「…で、天使でないならどなたなのです?」
[main] スカーレット : 私は彼女の種族を知ってはいるが……。わざわざ蛮族だよ、と言うのも憚られる気がする。
[main] ローダンセ : 「……はあ」
[main] スカーレット : 今度はしかめっ面。
[main] ローダンセ : 「蛮族だよ、蛮族。ガルーダのウィークリング」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ばんぞく。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「…ここに居ていいんです?」
[main] ローダンセ : 「でなけりゃ暢気に鳥なんか焼いてねーって」
[main] ヒナ・T・サイト : 「問題ないなら問題ないですね!」
[main] スカーレット : 当然の反応ではあろうな、とは。ウィークリングは蛮族の中でも穏やかな人族に近い精神性を持つらしい──というのは、常識とは言えない知識ではあろう。
[main] スカーレット : 彼女の言葉決して穏やかとは形容できないが。
[main] スカーレット : 「いい人だよ、ローダンセは」
[main] ヒナ・T・サイト : 「カワイイですからね!」
[main] ローダンセ : 「──はあ?!」
[main] スカーレット : どちらの評価も不服だったみたいだ。また頬を朱くしながら私達に威嚇でもするように。翼も少し逆毛だっている。
[main] ヒナ・T・サイト : 「え?どうかしました?」
[main] ローダンセ : 「──ぐ」
[main] スカーレット : この女性には精神的に彼女では勝てない人のようだ。恐らく──いや、まず間違いなく私も勝てない。
[main] ローダンセ : 「そのカワイイってやつ、やめろ……」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ダメです!カワイイは誰にも否定できません!」
[main] ローダンセ : 「うぐぐぐ」
[main] ヒナ・T・サイト : 「それとも、ローダンセさんは自分がカワイクないとでも?」
[main] ローダンセ : 「蛮族がカワイイなんざちゃんちゃらおかしいだろ」
[main] スカーレット : この辺り──彼女はかなり頑なである。線引きを結構きつめにしようとする。
[main] ヒナ・T・サイト : 「…蛮族でも他種族でも人間でも、カワイイ人は須くカワイイですよ?」
[main] ローダンセ : 「あたしはいーんだよ、そういうの……」
[main] ヒナ・T・サイト : 「それに、自分で否定するにはローダンセさんはカワイイすぎます!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「髪も、瞳も、声も、羽も、全て綺麗です!」
[main] スカーレット : 確かに──よく手入れされている。僅かな時間だが、この女性はよく見ているものだと、感心する。
[main] ローダンセ : 「う”~~~~」
[main] ヒナ・T・サイト : 「さあ!コレでもまだローダンセさんは自分がカワイクないと否定できますか!」
[main] スカーレット : あ、翼で自分を隠しちゃった。恥ずかしすぎたみたいだ。
[main] ローダンセ : 「…………」
[main]
スカーレット :
うんともすんとも言わなくなってしまった。
「降参、みたいだね」
[main] ヒナ・T・サイト : 「つまりカワイイ!ヨシ!」
[main] スカーレット : 「うん、私もローダンセはカワイイって思うよ」
[main] ヒナ・T・サイト : 「うんうん…うん?」
[main] スカーレット : 「どうかした?」
[main] スカーレット : 焼き鳥の焼きが甘かったかな。
[main] ヒナ・T・サイト : 「お名前まだ聞いてませんけどあなたもカワイイですよ?」頷いた姿勢のまま、首をグリンと回して、覗き込むようにスカーレットに目線を向ける
[main]
スカーレット :
「あ、私、スカーレット」
名前を答えてカワイイ攻撃を逸らそうと試みる、しまった、私にも来た。
[main] ヒナ・T・サイト : 「ああ、自己紹介がまだでしたね。ヒナはヒナです!ヒナ・T・サイト!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「で、カワイイスカーレットさんはまさか…あなたも自分がカワイイ自覚が無いと?」
[main]
スカーレット :
「よろしく、ヒナ」
「う……」
許されなかった。見逃してはくれないようだ。
[main]
スカーレット :
「そういうのは、ちょっと……縁がなくて……」
自分の見た目が悪くない──どころかかなり良い方だと言うことは理解している。
[main] ヒナ・T・サイト : 「ソレは…勿体なくないですか?」
[main] ヒナ・T・サイト : 「カワイイを全面的に押し出し!よりカワイイを突き詰めるべきです!」
[main]
スカーレット :
それはそれで極端というか。凄い思想をしている人だな。
「戦いだと前線に行かないといけないからあまり煌びやかなのは……」
[main] ヒナ・T・サイト : 「戦いの時はそれでも良いですが、お休みの時ですよ!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「いえ…やっぱり戦いの時もです!パーティにカワイイが存在するとパーティの士気が高まります!」
[main] スカーレット : 「ええ……そうかなあ……」
[main] ヒナ・T・サイト : 「つまりパーティが全員カワイければ士気はMAXなのです!」
[main] スカーレット : カワイイの濁流が押し寄せてくる。すごい。助けてローダンセ。だめだまだノックアウトされたままだ。
[main] ヒナ・T・サイト : 「試しにホラホラ、ヒナの予備のカワイイ服があるので来てみましょうよ」と荷物用のザックから、綺麗に折り畳まれた女物の衣装が出てくる
[main] スカーレット : 「だ、ダメダメ。私今仕事中だから」
[main] ヒナ・T・サイト : 「私以外お客さんいない給仕係、更に言うなら他の皆さんはお酒飲んで寝たり、夜警で回っています…」
[main] ヒナ・T・サイト : 「つまり今ならカワイイを遂行できます!」
[main] スカーレット : ヒナはカワイイの神でも信奉しているのだろうか。それくらい凄い熱量だ。
[main] ヒナ・T・サイト : 目の前にカワイイの原石があるのに放置する方が罪では?
[main] スカーレット : 「ダメ。確かに人はもう全然いないけどこの時間も仕事の時間なのに変わりないから」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ぐぬぬぬぬ…」
[main] ヒナ・T・サイト : 「じゃあ、コレです!」衣服を綺麗に折りたたんで丁寧に仕舞った後、別の小さいケースを取り出し、細長い金属片を突きつける
[main] スカーレット : 「えーっと……それは?」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ヘアピンです!コレならお料理の際の実用性も兼ねます!」
[main]
スカーレット :
「あー」
あまり気にしたことはなかったが、それくらいなら、まあ。ヒナの手の中にあるそれは過度な装飾もされていないし。
[main] ヒナ・T・サイト : 「小さなところからカワイイは宿るのです!」
[main] ヒナ・T・サイト : というワケでスカーレットに取り付けようとします
[main] スカーレット : ちなみに何㎝でしょう、身長
[main] ヒナ・T・サイト : 決め手なかったなぁ…160くらい?
[main] スカーレット : 10㎝以上スカーレットの方が高いか
[main] スカーレット : ではその動きを見て後ろに下がります
[main] ヒナ・T・サイト : 身長比べる比較対象が最近だとほぼショタ(+外見ショタ)しかいないから…ショタを抱きしめれば見下ろす程度の身長かなって
[main] ヒナ・T・サイト : じり…じり…
[main]
スカーレット :
ススス…………
[main] ヒナ・T・サイト : 「どうしてもカワイイを受け入れないと…?」
[main] スカーレット : いや、そうじゃないんだけど。なるべく避けはしたいが絶対嫌というわけではなく。別の要因で。絶対に他人には話したくない要因で。最近セレスには話したけど。
[main] スカーレット : 「私にはまだ早いかなって……」
[main] ヒナ・T・サイト : 「カワイイに早いも遅いもありません!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「しわくちゃのお婆ちゃんにも小さなお子さんにもカワイイは通じるのです!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「大体スカーレットさんその耳見るにエルフでしょう!下手したら遅すぎるまであります!」
[main] スカーレット : 「人間に換算したら10歳にもなってないよ……?」
[main] ヒナ・T・サイト : 「…」
[main] ヒナ・T・サイト : 「カワイイじゃないですか!!!」
[main] スカーレット : 失言だった。幼少のころはとくにイカれた環境で過ごしていたから今気付くのが遅れたがそのくらいの歳の子は普通カワイイんだ。
[main] ヒナ・T・サイト : 「つまり今からカワイイを磨けばもっとカワイくなります!…それに」
[main]
スカーレット :
「…………それに?」
続きを促す。ちょっと……いやかなり嫌な予感もする。
[main] ヒナ・T・サイト : 「そんなに綺麗な髪なんですから。飾らないと勿体ないです。」
[main]
スカーレット :
「ああ…………うん」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ヒナは自分の髪好きですよ?おじいちゃんがよく言ってました。髪色がお母さんと一緒だって。」
[main] スカーレット : 髪。美しい茶髪の。この髪はどちらから受け継いだのだろう。どちらでも喜べない。
[main] スカーレット : 「私は……このままでいいよ」
[main] スカーレット : 手を付けたくないのは──目印にして、見つけて欲しいからなのか。
[main] スカーレット : この髪を見た時に──そうだと分かって欲しいからなのか。
[main] ヒナ・T・サイト : 「…ヘアピンも、お洋服も、大切なのはそれを身に着ける人です。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「いくら身に着けるものがカワイくても、本人がカワイくあろうとしなければ輝きは半減以下です。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「確かにスカーレットさんはカワイイですが…その内向きな姿勢は、スカーレットさんのカワイイを半減させます!由々しき事態です!」
[main] スカーレット : 「今は──自分のことで精いっぱいだから」
[main] スカーレット : 「終わればね。解決できれば。きっと考えるから」
[main] ヒナ・T・サイト : 「…自分の事ですよ!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「もっと自分を大切に…自分がカワイイ事に、気付いてください!」
[main] スカーレット : 「ううん、それまで私は輝きたいとは思えないから」
[main] スカーレット : 「心がくすんだままじゃ輝けない」
[main] スカーレット : 「ヒナ。あなたの言葉は心に留めておく」
[main] スカーレット : 「でも今じゃない」
[main] ヒナ・T・サイト : 「ぐぬぬぬぬ…」
[main] ヒナ・T・サイト : ではヘアピンをスカーレットに握らせようとします。強引に。
[main] スカーレット : 受け取ります。
[main] ヒナ・T・サイト : そのままスカーレットの手を両手で握りしめる。身長はヒナの方が小さいので、見上げる形に。
[main] スカーレット : ちょっとびっくり。ただ、手なら耐えられる。
[main] ヒナ・T・サイト : 「…おじいちゃんは、狩りの時に、二つの方法を考えてやってみろって言ってました。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「一つは、目標から考える。目標がどうするか、どう動くか、最終的にどうやったら捕らえられるか…目標から、矢印を伸ばして、自分に下げていくんだって。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「一つは、自分から考える。自分が目標に向かって、何をどう積み重ねて、最後には目標に到達できるか、自分から目標に矢印を伸ばしていくんだって。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「そしてそれは、ブレたら途端に台無しになる。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「どちらか片方に絞って積み重ねれば、どれだけ大変でも、どれだけ時間かかっても、自分と目標は矢印で繋がる。…だから。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「スカーレットさんは、迷っているなら、自分をどんどん積み重ねていってください。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「そしてその中に、自分をカワイイと思うことも、カワイイの重要さも入っています!」
[main] ヒナ・T・サイト : 「自分をカワイイにしてあげてくださいね、スカーレットさん。」
[main] スカーレット : 「────きっと」
[main] スカーレット : 曖昧な答えしか返せない自分を恥ずかしく思う。でも、その期待には返せたらいいなとも思う。
[main] ヒナ・T・サイト : 「このヘアピンは、カワイイの第一歩です。」
[main] ヒナ・T・サイト : 「スカーレットさんのカワイイ道が、いつかスカーレットさんの心も幸せにしてくれます!」
[main] スカーレット : それはどうだろう。
[main] ヒナ・T・サイト : そんな感じでキャピキャピ離れていく。スカーレットの不安は目に入っていない。
[main] ヒナ・T・サイト : いや、入れてない。ヒナが出来るのが、精々この位だ。
[main] ヒナ・T・サイト : 「では、お肉貰って帰ります!また会いましょうね、カワイイので!」
[main] スカーレット : 「うん、またね」
[main] スカーレット : 持って帰るのはいいけどカワイイを理由とするのはおかしいと思う。
[main] スカーレット : でも口にするのはやめておいた。これ以上は本当に自分には理解できない世界観に襲われそうだった。
[main]
ヒナ・T・サイト :
お肉はオイシイので持って帰る
二人はカワイイのでまた会いに来る
[main] ヒナ・T・サイト : それがこの我欲狙撃手なのだ。
[main]
スカーレット :
「────ありがとう、ヒナ」
遠ざかって。小さく、小さくなった背にそう投げかけた。決して聞こえない小声で。
[main] ヒナ・T・サイト : ―――カワイイ
[main] ヒナ・T・サイト : が、それを言い訳に戻っても、スカーレットの望むところではないだろう。
[main] ヒナ・T・サイト : 今は二人のカワイイが作った、最高のオイシイを頂く。それでいいのだ。
[main] ローダンセ : 「去ったか…………嵐が」
[main] スカーレット : ヒナが帰ってから少し──やっと翼で身を隠すのをやめた彼女が音を発した。
[main]
スカーレット :
「凄い人だったね」
ああいう感じの人とは、初めて会った気がする。
[main] ローダンセ : 「…………。まだ心臓がうるさい」
[main] スカーレット : 苦虫を嚙み潰したように。よほど褒められることに慣れていないようだ。私は──容姿はともかく、料理を褒めて貰うことは好きな分、まだ耐性がついているほうなのだろう。
[main] ローダンセ : 「う”~~~」
[main] スカーレット : 「追加……焼く?」
[main] ローダンセ : 「………………。いい。いらない」
[main] スカーレット : 「そっか」
[main] スカーレット : そこまでで──会話は途切れた。秋から冬に切り替わろうとしている季節だから、まだ夜も深く。焚火の暖かさを頼りに空が白み始めるのを待っている。
[main] スカーレット : 彼女の翼が、少しだけ暖かそうに思えた。