午後の練習後、今日の記録をまとめ練習日誌をつけようとトレーナー室でノートPCに向かっていると、ソファに座っているシオンがスマホで何かに打ち込んでいるのに気がついた。
彼女は両手でスマホを握り、熱心に画面をタップしている。「何をしているの？」と声をかけると、シオンは尻尾を立てて驚き、スマホを胸に押し当てて守るように庇った。
「あっ…日記を…つけていました」
日記。記録としてデータを引っ張り出す必要があるので僕もシオンとの練習内容を日誌につけているが、自分自身の毎日を綴った日記というものは子供の頃にやめてしまって以来である。
「へぇ、いいね。自分でつけようと思ったの？」
「ルームメイトがやってて、いいなって思って真似してみました」
「きっとそれは宝物になるから、是非続けてみてね」
なんて、自分が日記をつけるのをやめてしまったことは隠しながら、シオンの継続を応援して、遅くなる前に彼女を寮に返した。
彼女は僕と違って充実した青春を過ごしている。いつか振り返る時が来た時、ああこんなトレーナーがいたなと思い返してくれたら嬉しい。そのためには、彼女の思い出になれるような立派な人物であらねば。


8/4
朝練でトレーナーさんと話せた。最近朝はレーズンパンばかりを食べてるらしい。自分の食生活は気にしてないのかもしれないけど、もっといいものを食べてほしい。
お昼、トレーナー室に立ち寄ったら何かを電話で話していた。忙しそうなので、邪魔しちゃいけないと思って昼食は別のとこで食べた。
練習後、トレーナー室で残業？をしているトレーナーさんを眺めた。日記にメモをしているのを聞かれたけど、素直に答えたらいいねって言ってもらえた。嬉しい。
宝物になるって言ってくれたけど、ずっと前からあなたは宝物でした。トレーナーさんの日記を着け始めてから、いつも以上に、毎日が新鮮に感じるようになったから。
いつか遠い未来であなたと、あなたとの子供と一緒に、こんな日々もあったって思い出に浸りながら日記を見ることが出来たらいいなって、思いました。