　ある日目を覚ましたら、自室に怪しげなビデオが置かれていた。それをトランセンドに見せると……。
「――へー、これがトレちゃんの部屋にあったんだ。怪しげな謎のビデオ……なんだかゾクゾクするねぇ♪」
　こういう時、トランセンドは好奇心が勝つタイプだ。

「ねっね、トレちゃん。コレ、一緒に見ようよ」
「……そうだな。流石に一人で見るには不気味すぎるし」
「トレちゃんビビってる〜♪」「うるさいっ」
　早速トレセンの視聴覚室に向かいビデオをセットする。
「さ、再生するぞ……！」「ふふ〜、さあて何が出てくるかな〜」

　ピッ。ざざっ。
　ビデオが再生される。その内容は……。
「……覆面のウマ娘が、暗い部屋で変な踊りをしてる、だけ……？」
　へんてこな踊りだった。不気味っちゃ不気味だが、なんだか拍子抜けである。

　……と、いうか。
「……これ、トランだろ？」「あっ、バレた？」
　隣のトランセンドに目を向けるとどこから取り出したのか『ドッキリ大成功』と描かれた看板を彼女は持って笑っていた。
　してやられた。全部彼女のドッキリだったとは……。
「ははは、こやつめ。こっちはマジでビビってたんだぞ？」
「あはは、ごめんってトレちゃ〜ん」
「……というか、トランだとわかるとこの映像もなんか面白いな」
　へんてこな踊りをする覆面ウマ娘もといトランセンド。しばらくその様子を眺めていると、画面の向こうの彼女は踊るのを止めてカメラに近づく。
「おっ、もう終わりか。まったく……まんまとしてやられたぞ」「あははー」

　これでビデオは止まる。
　……そう思っていたのだが、どうやら違うようだ。
「あれ？　なんかカメラ持ち始めたぞ。何やってんだトラン」「…………」
　カメラが部屋を映す。そして、一歩、また一歩とビデオの中の彼女が歩きだす。
「…………な、なあ……？　トラン、なんか……この部屋、見覚えがある気がするんだけど……？」「…………」
　……暗くてよく見えないが……それでも、分かってしまう。毎日見ているこのビデオの中の光景は……。

　一歩ずつ部屋を進んでいくカメラはとあるベッドに辿り着く。そうしておもむろにカメラはズームされる。
　そのレンズの先に映っていたのは……眠っている俺の顔だった。
「…………と、トラン……？」「…………」
　背筋に冷たいものを感じながらトランを見ると『ドッキリ大成功』の看板を掲げ、彼女は妖しく微笑んでいたのだった。

おわり