「……お怪我はありませんか？　トレーナーさん」
　ある日街を歩いていたら謎の怪物に襲われた。そして危機一髪のところを何故かフリフリのコスチュームに身を包んだ担当のドリームジャーニーに助けられた。

「……えぇ……？」
「暴れるのはそこまでです、ゼッフチョー。このウマドリームがお相手いたします」
　夢でも見ているのだろうか……？　あのジャーニーが、黒いレースのあしらわれた可愛らしい衣装を身に纏い謎の怪物と戦っている……。ジャーニーの手にはハート型の小さなステッキ。巨大な怪物相手に、華麗な跳躍とともに光をまとったキックやパンチを喰らわせている。

「ゼッフチョー！！」
「……少々手強いですね。こうしていてはラチが明かない。……仕方ありませんね、奥の手を使うとしましょう」
　怪物の攻撃をヒラりとかわしながら、ジャーニーは眼鏡をクイと上げ、それからステッキを天につき上げる。

「トカレフ・マカロフ・スチェッキン」
「ゼっ……ゼッフチョー……！？」
　彼女が呪文のようなものを唱えるとハートのステッキは光を放ってその姿を変え、そして……。

　チャキ。
「……やはり、こちらの方が……手に馴染む」
　あの可愛らしい見た目は何処へやら、そのステッキは黒光りする物騒な拳銃に変わっていた……。
「ゼッフチョー！？」
「さて……御片付けの時間です」
　――パァン。
　銃声が鳴り響く。
「ゼッフチョー……！！」
　――パァン、パン、パァン。
「ゼっ……ゼッフチョー……っ！？」
「……まだ息がありますか。しぶといですね」
　冷徹に怪物を見下ろしながら、躊躇なく引き金を引くジャーニー。
「ゼッ……ゼっフチョ――」
　――パァーン。
「――――…………」
「――はい、おしまい」
　幾度かの発砲を終え、遂に怪物はぴくりとも動かなくなり……そしてジャーニーは銃口を降ろした。

「……お待たせいたしました。お怪我はありませんか？」
「あ、ああ……まあ……なんとか……？」
「そう……間に合って、良かったです。本当に……」
　ジャーニーはそう言って目を細める。その仕草はいつも通りのジャーニーなのだが……服装と持っている得物のせいで違和感が凄い。

「……その、ジャーニー……？　手に持ってるそれは……」
「……おや、いけない。すぐにしまいますね」
　すっと拳銃を握る手を後ろに隠すと、次の瞬間にはその拳銃は消えていた。
「少々、お見苦しい物をお見せしてしまいましたね……すみません」
　……少々……？　そうかな……そうかも……。

「えっと……ジャーニー……？　その、何してるの……？」
　まだ整理がついていない頭で、どうにかその問いかけだけは絞り出す。
「ああ、これは……そうですね……何と説明すればいいのか……まあ有り体に言ってしまえば、私……魔法少女になりまして」
「うん……？　うん？　そっか……」
　まだ俺は夢の中にいるのだろうか。
「突然そう言われても受け入れられませんよね……ええ、こちらとしても、まさか私が魔法少女になるとは思ってもいませんでしたが……頼まれてしまったもので」
　どんな頭をしていたらジャーニーをこんな可愛らしい衣装でキラキラな魔法少女にしようと思うのだろうか。その依頼主の顔を見てみたい。非常に。

「……やはり、似合っていないでしょうか。私に魔法少女など……」
「い、いや……！　そんなことはないぞ……！　立派だと思う、うん」
「……ふふ、そうですか。ありがとうございます」
　……とはいえ、ジャーニーが魔法少女になったこと自体を否定するつもりもなく……。ひらひらとしていてジャーニーが普段着ないような服装であるが故に違和感はあるのだが、彼女に似合っていないという訳ではないし、そういう服が実は好みだったとしても別に問題はない。

「……あ、あの。あまり見られると少々……恥ずかしいのですが……。ええ……私でもこの衣装が似合っていないことは分かっているので……」
「そ、そんなことはない。よく似合ってると思うぞ……？　うんまあ、違和感はぶっちゃけあるけど……こういうジャーニーも可愛いくて良いと思う。うん」
「…………そ、そうですか……」
　珍しく、照れたように顔をすっと背けるジャーニー。……やはり、可愛らしい。こういうジャーニーもたまには良いものだ。

　……まあ、戦うスタイルは到底かわいいとはかけ離れていた訳だが。……いや、そっちの方が彼女らしくはあるというか、拳銃を撃ち放すそっちの姿の方が似合ってはいた。
「まあその……なんだ。魔法少女活動、頑張ってるみたいだね……？」
「そうですね……今月だけでもう10件……まったく困ったものです」
「これからどうするの？　ジャーニー」
「まだ、仲間が戦っていますから……そちらの援護に行こうかと……」
　仲間いるんだ……。気になるけど、知りたくないという気持ちもある。
「まあ、そのなんだ……気をつけてね。怪我とか」
「ふふっ、本当にあなたというお方はお優しい。ええ、必ず無事にあなたの元へと戻ります」
　それでは、とそう言ってジャーニーは彼方へと飛んでいった。
　……空飛べるんだね。まあ魔法少女なら飛べるか……。

　――なんだったのだろうかさっきのは……と未だに現実味を感じられていないまま帰り道を歩いていた。すると――。
「――貴様、何故此処にいる？」
　……魔法少女姿のオルフェーヴルが戦っている姿も目撃してしまった……。
　なんなのだろうか今日という一日は。もう本当に、わけがわからないよ。
おわり