　前回までのあらすじ:急に現れた怪物に襲われるトレーナー。その危機を救ったのは、魔法少女となったドリームジャーニーだった。

――――――
　ある日の昼頃、俺とジャーニーは買い物ついでにぶらりと街を散策していた。
「ふふっ、平和ですね……トレーナーさんと一緒にいられるこの平和な時間が、私は何よりも好きですよ」
「あはは、ありがとう。それにしても平和、平和かぁ……最近は変な怪物とかが出てくるようになっちゃったしねー……」
　つい先日、自分もその怪物に襲われた。その危機を救ってくれたのが他でもない、今俺の隣にいる担当のドリームジャーニーなのであった。

「そうですね、……許せませんよ。ゼッフチョーは」
　“ゼッフチョー”……確か彼女が怪物のことをそう呼んでいた。いったい何が理由で暴れているのかまでは分からないが、本当に迷惑なやつである。
「だからこそ、私たち魔法少女が奴らを片付けなければ」
　ジャーニーが、何か宝石のようなものを手にとり眺める。
「それって……魔法少女の変身アイテム的な？」
「ええ、リリカルジェムです」
「それって、誰かと契約して貰ったの？」
「そうですね。私が魔法少女契約を交わした“とあるお方”から頂いたものです」
　……割と魔法少女物のテンプレみたいなかんじだな。

「……そういえば、契約ってどんな内容なの？」
「そうですね……魔法少女としての力を与える代わりにゼッフチョーの撲滅の為に戦うといった所でしょうか。当然、危険な仕事であるというのも契約には折込済みです」
「危険な仕事……そう、だよね。本当は、ジャーニーにあまり危ないことはしないで欲しいんだけど……でも、ジャーニーが望んでやっていることなら、俺はそれを尊重するよ」
「ふふっ、貴方というお方は本当にお優しい」
　ジャーニーは目を細めてこちらに微笑んだ。

「……あ、そうそう。他にも契約したことがありました」
「へーそうなんだ。どういうの？」
「これは、私からの契約ですが。魔法少女の戦いに私の“家族”は巻き込まない。という契約を交わしましたね」
「はは、ジャーニーらしいね。………………。……あの、ところで、ジャーニーに助けられたあとにオルフェーヴルとも会ったんだけど……魔法少女姿の……」
　それって、家族を巻き込まないって契約に……。
「ええ、そうなんですよ。ですから、今度会えたときに“お話”をしようかと思っているのですが……ここの所忙しいのか中々会えていないんですよね……困ったものです」
　……ジャーニーは微笑んでいるが、その目は一切笑っていなかった。

「と、ところで！　ジャーニーが魔法少女として戦ってる姿、とってもカッコ良かったよ！」
「そうですか？　ふふ、ありがとうございます」
「まあ、絵面はちょっと物騒というか武器がアレだったけど……」
　何発も銃弾をぶち込むジャーニーの姿がフラッシュバックする。あれはちょっと、怖かった。
「そういえばあの武器も魔法なの……？」
「武器……ああ、ドリームトカレフのことですか？」
「ドリームトカレフ……！？」
　思わず驚きが漏れてしまった。ドリームと付いてるのにこんなにも物騒さがそのままな名前初めて聞いた。
「そうですね、ドリームトカレフは標準武器のリリカルロッドを魔法で変化させているので、魔法の一つではありますね」
　絵面にマジカルもリリカルも存在はしなかったが。
「そうなんだ……」
　彼女がそう言うのなら、そうなのだろう。

「…………ふと、気になったんだけどさジャーニー」
「はい、なんでしょう？」
「……この前、こっちの方が手に馴染むって拳銃握ってたけど、手に馴染むってどういうこと……？　普通、拳銃が手に馴染むことなんてなくない……？」
「……………………ニコ」
「………………。ごめん忘れて」
　彼女はその問いかけに、張り付いたような微笑みしか返してはくれなかった。

――――
「――……！　これは」
　ジャーニーは懐からリリカルジェムを取り出す。その宝石は薄ら暗く輝いていた。
「ゼッフチョーがこの付近に現れたみたいですね。トレーナーさん、申し訳ございません。私、いかなくては」
「ううん、大丈夫だよ。頑張ってきてね」
「はい。……それでは」
　そう言って、ジャーニーはジェムを手のひらに乗せる。そうして――。

「――リリカル・ウマパワー……メイクアップ」
　静かにジャーニーが呪文を唱えると、手のひらの宝石から七色の光が溢れてジャーニーの周りを覆う。
　虹の中でジャーニーの衣服は何処かへと消え、その代わりにジャーニーの素肌は光を纏っていた。
　幾らかの効果音とともに光を纏っただけだったジャーニーに魔法少女のコスチュームが着せられていく――。

　そうして虹色の光は晴れ、そこには、黒と金の魔法少女ウマドリームが立っていた。
「さて、トレーナーさん。行ってまいります」
「ああ、どうか気をつけてね」
「ふふ、ありがとうございます。必ず戻ります。貴方の元へ」
　そうして、魔法少女ウマドリームは空の彼方へと飛んでいってしまった。

「…………頑張れ、ジャーニー」
　魔法少女活動を応援する気持ちと無事に帰ってきて欲しいという祈りと。色々な想いを込めながら空に呟いた。
「……それはそれとして。次からは誰にも見られない場所で変身するように言わないとなあ……」
　……光に包まれているとはほぼ衣服を身に纏っていない姿を変身中に晒していた彼女に、もっと危機感を……と頭を抱えるのだった。

おわり