　日曜日の朝。珍しく早い時間に起きた俺は、なんの気も無しにテレビを付けてみた。
　この時間帯で言うと、所謂ニチアサの時間だろうか。その手の物に詳しい訳ではないが、キャロットマンやプリファイなどが放送されている時間だと記憶している。

『はぁっ……！！』
『ゼッフチョー！？』
　テレビの画面には、魔法少女のような格好をしたウマ娘が巨大な敵怪物と戦闘を繰り広げていた。
　なるほど、今はプリファイの時間だったのか。別にそういう趣味がある訳では無いのだが……折角だ、時間潰しに暫く眺めていよう。

『ふっ……中々やりますね、ゼッフチョー……。――では、これではどうでしょう――？』

　…………うん？　なんか、聞き覚えのあるような声がしたような……？

『トカレフ・マカロフ・スチェッキン！　――さあ、終いです』
　画面の奥の黒い魔法少女が、聞き覚えのある呪文を唱えると――その手の中には、黒く鈍く光るロシアン製のハンドガンが構えられていて……。

『ゼッフチョー！？』
　パァン。
　乾いた銃声が響く。

　パァン、パァン――。

『ゼッ……ゼッフチョ……』
『しぶといですね……仕方ありません。それでは確実に、トドメを刺してあげましょうか』
　そう言って、黒い魔法少女は銃口を怪物の口にねじ込むと、涙目で何かを訴えようとする怪物には目もくれず、最後の銃声を放った。

　パァン。

『っ……っ……』ﾋﾟｸｯﾋﾟｸ……
　ガクンっ、バタ……。

『…………ふう、やっと終わりましたか』
　黒い魔法少女は、溜め息を一つ吐くと手に持っていた拳銃を懐にしまった。その姿はまるで、一仕事を終えたヒットマンのようで――。

「……いや、子供がトラウマになるわっ！？」
　画面に流れた凄惨な光景に、思わず声を大にして突っ込む。
『あ、あの……！　魔法少女さん、ですよね……！？』
『……ええ、はい』
　画面をよく見たら、右上には“LIVE”の文字。リポーターがマイクを持って黒い魔法少女に話しかける。……そうか、これ子供向け番組じゃなくてニュース番組だったのか……。

『魔法少女さん……！　あの怪物を倒していただきありがとうございます……！　あの、何か一言コメント頂いてもよろしいでしょうか……！？』
『……いえ、私は……ただ責務を全うしただけですので……それでは』
　黒い魔法少女は、ただそう言うと静かに立ち去ろうとする。
『あっ……！　あのっ……！！　せめて、お名前だけでも……っ！』

『…………。ウマドリーム……それが私の名です。では』
『あっ、待って！？』
　……そう言って、黒い魔法少女――ウマドリームは飛んでいってしまった。

　…………というか、うん。そうだよな。

　やっぱり、俺の担当だよな……。

　意図せずドリームジャーニーの勇姿を目撃することになったのは良いものの、あまりにも絵面がニチアサにしては最悪の光景過ぎて、深く頭を抱えてしまうのだった――。

「……いや、日曜の朝にやる光景じゃないだろ、マジで……」

おわり