　それは連休明けの気怠い朝。未だ夢うつつなままどうにかベッドから立ち上がると……。

　ジュー、ジューっ。チンっ！

　……なんだか、食欲をそそるような音が聞こえてくる。未だ眠気まなこの視界をこすって台所の方に目を向けると、そこには――。

「……あっ、トレーナーおはよ☆」
　俺の担当がいた。
「ふふーん、ベストタイミングだねっトレーナーっ！☆　朝ごはんできてるよっ☆」
　目を向ければダイニングテーブルには目玉焼きとソーセージ、少しの温野菜とそれからトーストが並べられていた。
「これ、マーベラスが作ってくれたのか……？」
「うんっ☆　トレーナーっ！　しっかり朝ごはん食べて、元気になって、お仕事頑張ろうねっ☆」
　もう、涙が出そうだ。
　マーベラスサンデーの屈託のない笑顔。彼女の想いの籠もった手作りの朝食。
「ありがとう、マーベラス。これなら、仕事頑張れそうだよ……！」
「〜っ☆　マーベラースっ★☆」

　そうして胸の中が暖かくていっぱいになりながらも朝食を済ませ、身支度をしてトレセンへと向かおうとする。
　そういえば、マーベラスはこれからどうするのか気になり振り返ったところで。……何故か、彼女の姿が視界から消えた。

「マーベラス……？」
「〜〜っ☆★☆　マーベラースっ！☆★」
「わあっ」
　マーベラスが視界の外であった下の方から突然現れこちらにぎゅっと抱きついてくる。

「マーベラス、何を――」
「ふふっ、トレーナー♪　ちょっとしゃがんで？☆」
　言われるがままにその場でしゃがむと、マーベラスは嬉しそうに笑ってそれから――。

「――むぎゅ〜〜〜〜☆★☆」
「っ……！？」
　肩に腕を回され、顔も至近距離で、俺の身体の大部分を包み込むように抱擁するマーベラス。

「トレーナーに届け〜っ★　マーベラスパワー☆★☆」
　ぎゅぅっと、そんなことを言いながらマーベラスは何かを俺に注ぎ込むみたいに、しっかりと抱きしめて俺を離さなかった。

　それから、いくぶんか経って。ようやく俺はマーベラスから解放された。身体にはまだマーベラスの温かさが残っている。
「うんっ★　これで今日のマーベラス☆チャージは完了っ☆★　トレーナーっ！☆　今日も、元気でマーベラスな1日にしようねっ★☆★」
「ああ、君のおかげで俺もすっかりマーベラスだ！　ありがとうマーベラス！」
「えへへ……☆　どういたしまして、トレーナーっ★　……って、あ！　もう時間だっそれじゃアタシ、先に行ってるね！」

　そうして、嵐のようにマーベラスサンデーは走り去っていった。未だ俺の身体に、心に満ちているマーベラスに想いを馳せつつ、ふと一つの疑問が頭を過ぎった。

「……あれ、なんでマーベラスが俺の部屋に入ってこれたんだ……？」

おわり