「第一回！　美少女ウマ娘大選挙！！」
　突然、タンホイザがむんと大きく声を張って高らかに宣言する。
「大選挙！　よーし、ターボ頑張るぞー！」
「……いやいや、ターボさんや選挙で何を頑張る気ですかい」
「うーん……？　全力で走る？」
「いやぁ、それじゃあ選挙じゃ勝てないよー」
「えーー！　じゃあターボは何をすれば良いんだぁ……？」
　むむむ、と両こめかみに指を当てて首を傾げるターボ。そもそも、この子選挙の意味が分かってるのだろうか。

「はい、タンホイザさん。まずは企画の趣旨を説明しましょう」
「あ、そうだね。えぇと、第一回美少女ウマ娘大選挙はね、私たち4人の内誰が1番美少女か、アンケートを取って決めよう！　という企画になります！」
「誰が1番美少女かって……いや、なんかハズくない？　自分で投票お願いします！　とかするのは流石に……それに正直、アタシみたいなのに票が集まるとは思えないし」
「いやいや、結構ネイチャにも票が集まってましたよ〜」
「……はい？　え、何。もう投票し終えたの？　いつの間に？」
　タンホイザの言葉にピンと耳が立つ。

「はい。企画を立案してから1週間ほど、我々でアンケートの呼び掛けを行いました」
「えぇ……仕事はや……というか、最近たまにどっか行ってたのってまさかそれ？」
「えぇ！？　そんなオモシロそうなこと二人でやってたのか！？　ターボも混ぜてよ！」
「ごめんねー、私たちだけでやった方が早そうだったからー」
　ターボに目線を合わせて謝るタンホイザ。……まあ、ターボがそういうアンケート募集をちゃんとやれる姿は見えないし……それに、アタシもそういうの柄じゃないから……まあ、二人でやったのは納得か。

「と、言うわけで！　今から開票していこうと思います！」
「マジかぁ……」
「よーし、ターボも開票やるぞー！」
　そうして、アンケート箱の中身を4人で手分けして開けていくのでした。

――――

「……ふーむ、しかし結構集まったね」
「結構呼び掛けましたからね。それに、我々は一般的観点からしても美少女ですから、投票にも熱が入ったのでしょう」
「いや、それ自分で言うか？」
　イクノは、顔色一つ変えずにそう言い放つ。どんな自信だ。アタシなんか、一票でも入ってたら驚いて跳んでしまいそうになるというのに。

「……というか、思ったけどタンホイザとイクノ有利じゃない？　だって二人がアンケート取ってるワケでしょ。そりゃ皆二人に入れたがるんじゃ……」
「それには心配及びません。公正を保つ為我々と少し離れた所で記入をして貰っています。それから、記入場所には、はい。こちらの我々4人の顔写真を貼り出していましたので」
　そう言って、イクノはそばにあったボードを持ってこちらに見せつける。
　そこには、私たち4人の顔が……って、こんな写真いつ撮ったんだ！？

「おー！　ターボが写ってる！　ふふん、流石ターボ、写真でも魅力いっぱいだ！」
「むっふっふ、皆の可愛さがいっぱいのベストな写真を選んだからね！　ターボもイクノもネイチャもいっぱい可愛いよ！」
「タンホイザさんの写真は私が選ばせていただきました」
　なるほど、確かに皆可愛い……いや、自分の写真に自分で可愛いとは言いたくないケド。

「むんむん、じゃあバンバン開けていくよ〜」
「はい！　マチタンに一票！」
「お、早い！　やったぁ！」
「……こちらも、タンホイザさんに一票入ってますね」
「えぇ！？　そうなの？　やった〜」
　……まあ、何となく分かってはいたけれど……。

「……いやぁ、まさか私にこんなに票が入ってるなんて〜」
「我々にも票は入っていましたが、今の所タンホイザさんが圧倒的ですね」
「……そりゃそうでしょー、タンホイザが美少女なのは誰が見ても明らかなワケで」
　ほんわか明るくていつも笑顔なタンホイザ。よく買い物に行ってる商店街でも人気は上々、ネットでもマチカネタンホイザが可愛いと話題になってるのも見たし。所謂美少女とは誰かを考えたら、タンホイザが真っ先に上がるのは火を見るより明らか。

「えへへ〜。あ、でもでも、イクノも結構人気だよ？」
「そうねー、美少女、美人。鉄の女、顔が良い、寝顔も素敵ですわ、etc……」
「ふむ……少々面映く感じますが……いえ、このように票を貰えるのは有り難いです」
　くいと眼鏡のフチを上げてイクノはそう零す。しかし、見てると結構美人というコメントが多いような。まあ、それもそうか。イクノだもんねー。
「よっ、鉄の女イクノディクタス！」
「堅実な仕上がりだね〜」
「ふむ、チャカっ」

「――じゃあじゃあ、ターボは！？　ターボにも票は入ってないのか！？」
「えーっとねぇ、ターボのは……あ、これこれ」
「――いつも全力でカワイイ、小さいけど元気いっぱいなのが良い、いつも先頭を全力で駆けてて勇気づけられる。うーん、人気だねターボも」
「他にもありますよ、走りが好き。達筆。気持ちの良いくらいの逆噴射が最高、笑った時に見えるギザ歯がジュルリラ……」
「ふ、ふふっ……！？　ターボ、褒められてるっ！？　ターボ、凄い！？」
「うーん、こうして見ると美少女投票というか、ただの人気投票っぽいけどー……まあ、やっぱり人気なんじゃない？」
「んん〜っ……！　やったー！！」
　大はしゃぎするターボ。……まあ、この子は可愛いって言われるよりいっぱい褒められる方が喜ぶか。ターボにファンが多いのは納得だし……。

　……ん？

『――ツインターボ師匠最高！』
　……ふふっ、やっぱりターボは凄いな。

――――

　開票も佳境に入って、どんどんと開かれていく票。最初はタンホイザの圧勝かと思われた美少女大選挙だったものの、開票を進めていくとどうだろう。

「おぉーっと、またネイチャに一票！」
「こちらもネイチャさんに一票入ってますね」
「凄い凄い！　連続ネイチャ！」
「見事な追い上げ！　これは分からなくなってきましたよ〜」
　あ、アハハ……自分で言うのも恥ずかしいけど、とうやらこんなネイチャさんに投票してくれる変わった人が結構いるみたいで……。

「ネイチャさんのファンもちゃんと居るということですね。当然と言えば当然ですが……」
「庶民の星、ネイチャさん素敵、親しみやすくて可愛い。などなど……こりゃ人気だ〜」
「ふふん！　ネイチャはカワイイからな！」
　なんでターボが鼻を高くしてるのやら。……で、でも……うにゃー！　こうハッキリと形にされるとかなり恥ずかしい……！？

「ぅ、うわぁ……結構ハズ……そ、そろそろアタシ以外の票も見ないと……って、うわナニコレ……！？」

『――ネイチャ先生が1番美少女です誰がなんと言っても美少女！　ネイチャ先生は優しくて悩んでたあたしのこといっぱい見てくれて励ましてくれてネイチャ先生はあたしの先生ですっごく可愛くてネイチャ先生は頼もしくてネイチャ先生はネイチャ先生がネイチャ先生の――』
「うわぁ、すっごい紙一面にビッシリ書き込まれてる……」
「なんだこの怪文書……。……っていうか、これ多分キタサンでしょ……あの子ってばぁ……！」
　愛弟子……？　愛弟子の暴走から目を背けそっと紙を閉じて置く。
　……でも、それにしても――。

「――なんか、アタシの票やけに力入ってる感じしない……？」
「熱意を、感じますね」
「まあ、ネイチャのファンだしね〜」

　そんなこんなで、開票は進んで……遂に、全票集計をし終えた。その結果は――。

――――

「それでは！　順位を発表していきます！！　第4位！」
「――ツインターボ！」
「やったー！」
　ターボが跳ねて喜ぶ。うん、まあ順位的には妥当な感じではある。けど、票のコメントを見る感じ人気はやっぱり高いって感じたかなー。所謂美少女とは違うかもだけど、可愛くて見ていたくなる魅力みたいなものは、やっぱりあるかなという印象だった。

「さて、映えある第3位は〜！　イクノディクタス！」
「――ふむ、ありがとうございます」
「やっぱり、美人って声がいっぱいだったな！」
「まあ、美人さんと言ったらイクノだもんね！」
　イクノの前に集まった票が、イクノの人気を表している。まあ、美人なのは否定しない。顔は良いし、ちょっとイケメンって感じの顔立ちもしてるし。納得の人気という感じ。

「それじゃあ2位の発表です！　第2位は〜……」
「ナイスネイチャ！！」
「うぉー！　ネイチャすごいー！」
「あ、あはは〜どうも」

「怒涛の追い上げを見せましたが、あと一歩及ばすと言った所でしょうか。しかし、良い健闘でした。人気も凄かったです」
「やたらとコメントに力が入ってたね！　いや〜ネイチャさんの人気っぷりがよく表れてましたな〜」
「そんなに褒めるなし！　いやっ、恥ずかしっ！」
　タンホイザやターボにやいのやいのと言われて顔がちょっと赤くなりながら。して、美少女ウマ娘大選挙の第1位が発表される。

「さてさて、映えある第1位は〜〜！！」
「マチカネタンホイザさんです」
「私！！　やったー！」

　マチカネタンホイザ、圧巻の勝利。
「マチタンすごいぞ！　1位！」
「いや〜、勝てませんな〜」
「どもども〜」
　あははと頭に手をやりながら、タンホイザは照れくさそうに笑う。
「いやぁ、私が1番か〜」
「まあ、美少女ウマ娘っていうのが強いよねータンホイザが一番ぴったりだし」

「――という訳で、第一回美少女ウマ娘大選挙でした！　みんな投票ありがとね〜」
　どこに向けたのか分からないことを言いながら手を振って、この大選挙は幕を閉じるのでした。

おわり