『ねえじぃじ…サンタクロースって本当にいるの…?』 私は勿論、是と答えた。 『……本当?代理のだれかとかじゃなくて……本物のサンタクロースだよ…?』 だが母親に似ず警戒心の強い子だ。すぐには納得しないことも分かっていた。 だから昨年の我が家のセキュリティログを証拠として見せてやると 『だれもぼくの部屋には入ってきてないってこと…?そっか…じゃあやっぱりサンタさんは本物なんだ…!』 と、あっさり納得してくれた。 ……当然だ、そのログは私自身が細工しているのだから。騙されやすさ自体は母親とそれほど変わらないようで、心配ではあるが、そこがまた愛おしくもあるのだった。 そんな孫娘……そう、孫だ……は、目の前ですやすやと寝息を立てている。その枕元へそっと、プレゼントを置いた。 中身は以前から欲しがっていたヘッドホンだ。小学生の小遣いには厳しい値段だが、デザインや小柄な自分にもフィットする着け心地が気に入っていたらしい。 さて、あとは無事にここから立ち去り、部屋の防犯システムを再起動するだけだ。何としてもこの任務は完遂せねばならない。 ──これが、この私が"父親"として出来る、唯一の仕事なのだから。