「やあやあトレーナーさん、実はいいものがあるんだよね～」
いつにもましてほくそ笑んでいるセイウンスカイは2枚のチケットをひらひらさせながら私の隣に座る。
「見てみて～？これ、こーれ！なんと！セイちゃんはテーマパークのフリーパスを手に入れたのです！」
私の肩に顎を載せながら嬉しそうに報告を行う。それはよかったね。
「いやトレーナーさん淡白だね！見てよほらこれ二枚あるじゃん！そこは察してほしかったなぁ！？」
いつもどおりの可愛らしい反応。わかってるさ冗談さと一枚渡してもらい、チケットを確認する。
「ちょっと遠いみたいだけど電車で行けるっぽいんだよねぇ。だからさ！だからさ！セイちゃんとデートする権利をあげるわっ！」
誰かの真似だろうか。顎を上げてポーズを決める彼女はとても可愛らしかった。
恥ずかしさを誤魔化しているのだろう。その頬はいつもより大分赤い。
「…ちょっと、笑ってないでお返事は？返事がまだならチケットは没収ですよ～？」

あぁ、それじゃあ明日行こうかと答えを出す。
「おーけーおーけー、それじゃ明日ねっと…明日ァ！？」
彼女の耳と尻尾はいつになく跳ね上がった。チケットをよく見たら使用期限が明日までとなっていた。
「うっわホントだ…んまー貰い物に文句言ってもしょーがないか！じゃ！明日ね！」
そう言って踵を返そうとする彼女の手を握る。驚いたのかひゃんと声を出し彼女はこちらを振り返る。
「えっ…あれー？どしましたトレーナーさん？明日、明日ですよーお楽しみはとっときましょうねー？」
何を勘違いしたのか彼女は顔を真っ赤にし、こちらの目を見てくれない。
「ほ、ほらー。トレー、ナー、サン？デートって言ったのは冗談で…いや冗談じゃ…あわわ…その…」
しどろもどろになる彼女の前に立ち、私は笑顔でノートの内容を彼女の眼前に突き出した。
「ちょーちょートレーナーさんなにそれまさかデートプラ…は？」

書かれた内容は確かにデートプランではある。今日の午後からのものだが。
次のレースに向けて本格的にトレーニングを重ねていきたいので、その内容を纏めている所だった。
「あのあのトレーナーさん？セイちゃんちょっと何が書いてあるのか読めない…読みたくないと言いますか」
明日は付き合うが今日からこちらにも付き合ってもらう。以前相談していた作戦に向けて課題は山盛りだ。
今日はちゃんとトレーナー室に来たのでそのためのミーティングをと思っていたが、彼女は明日の事でいっぱいだったようだ。
「あのねトレーナーさん？セイちゃん、明日のために今から色々準備したいなーって思うんだ」
まだお昼だぞと彼女の両肩を掴み、椅子に座らせる。

「でもねトレーナーさん？セイちゃんは女の子だから、準備にとっても時間がかかるんだよね」
一緒に釣りに行こうと言ったとき、何分で出発したか覚えているかいと別のノートを取り出す
「おうぼうだ！トレーナーさんはセイちゃんをトレーニングさせようとしている！横暴だよー！」
口ではそういいつつも、ノートを手に取り内容を確認し始める。段々と真面目モードになってきた彼女と作戦を詰めていく。
「…明日は覚とけよー？トレーナーさんっ」
不服そうに微笑む彼女を笑顔で受け流し、今日と明日とこれからの作戦を二人で練りはじめた。


大いなる偶然がすべての始まり。
芽生えた意識は行動を、行動は情熱を産み、情熱は理想を求める。
理想はやがてメジロに行き着く。
メジロは全てに呵責無く干渉し、うまぴょいの嵐を育む。
そして、放たれた愛は誰を撃つ。
次回「うまぴょい」
必然足り得ない偶然は無い。



