おかしい　午後のトレーニングの時間だがなんだか様子がおかしい
オグリキャップの足運びにいつもの力強さを感じられない
理由はひと目で分かる。ジャージから腹がはみ出ていない。臍の見えない午後オグリなど異常事態だ
普段は何か不調があればすぐに言ってくれるんだが…一旦練習を中断して彼女に確認を取る必要がある
「トレーナー、私はどこもおかしくないぞ。ご飯もちゃんと…ちゃんと食べた」
走行フォームに異常は見られなかったので怪我等でも無さそうだ。ひとまず休憩用に用意してあるおにぎりを一つ渡す
「…それは……君が食べてくれ」
一大事だ。救急車を…いや先に理事長に連絡せねば
「違うんだトレーナー。私は正常だ」
食べずして何がオグリか。さてはタマの変装か。練習場から「ここにおるわ」と声がした　
「トレーナー、私は見てしまったんだ…君はハッピーミークのトレーナーと一緒に食事をしていた所を」


ミークのトレーナー…桐生院さんの事か。確かにさっき同席して食事を摂っていた
彼女とは同期であり、共に切磋琢磨するライバルでもあるが、箱入り娘故にか女性としてのガードが大分甘く見えるので心配でもある
こちらの育成を参考にしたいとよく言っていたが、育成対象はこの芦毛の大食漢である。参考になどしたらぽつんと一人ファッティミートになりかねない。
何度か同席している内にそのあたりは通じたのか、最近では彼女の担当の事について話すことが多い
「なんどもっ…やはりそうか…」
何やら驚いているが先程から視線はおにぎりに向いたまま動かない。涎を飲み込む音が聞こえた
「なあトレーナー、やはり女性はスマートな方がいいんだろうか」
どうした急に。あとこっちを見て話せ
「私もダイエットをしてみようと思ったんだ」
オグリキャップの対義語の一つが本人の口から飛び出した。だがそれ以上に腹の音が喧しい。
「君もスマートな方が好みだろう？」


結論から言えばタマが桐生院トレーナーの食事量を見てオグリをからかった事が原因だった
真に受けた彼女は昼食を一皿で済ませ、今に至った訳だ。だがタマもオグリの食べ過ぎを指摘したかったのは本心だったらしい
確かに食べ過ぎは良くない。だが急に食事量を減らしたらそれこそ身体にとって良くないだろう。
今日のトレーニングは一旦中止にして、食事をしっかり摂るよう伝えた。そもそも彼女はただの同僚だぞとも。
「そうか…良かった。それならトレーナー、頼みがある」
腹を抑えながらも表情は硬い。こういう時のオグリは梃子でも動かないので覚悟を決めた。おにぎりはさっきので最後だ。
「私にご飯を食べさせてくれないか？」
そうはならんやろ　タマモクロスのツッコミのキレが上がった

トレセン学園のカフェテリアは半端な時間であっても軽食やスイーツの提供が可能となっている。
ウマ娘達の胃袋は大胆かつ繊細な為、縦横無尽に対応せねばならぬとの会長や理事長らの意志が反映されている
「あぁ、やはりこのハンバーグは最高だな。口の中で解ける具材に一つ一つに丁寧に味が染み渡っている…おかわりを貰えるだろうか」
昼下がりの喫茶店のような雰囲気だったカフェテリアは戦場と化した
人参ハンバーグ1オグリ追加、チャーハン1オグリもうすぐ仕上がります等と言った声が奥から聞こえてくる。どうも彼女の食事の単位は専用のものらしい。
椅子に座った私の上に乗ったオグリは、普段どおりの心地よいリズムで皿を空にしていく。脚にかかる重みが増していく
食べさせる…食事の内容を確認するとは言ったが、どうして抱っこしなければならないのだろうか。椅子が悲鳴を上げだした
「こうすれば私がどのくらい食べたかすぐに分かるだろう、それに最近私を抱いてくれないじゃないか」
料理の山の向こうで黄色い悲鳴が聞こえる。横で付き合ってくれているスーパークリークは笑顔で「まぁまぁ」と微笑んでいる


抱っこの事だぞと訂正するのも余計に地雷を踏みそうなので、無視してオグリの腹を揉む。今日はいつもより硬い。
「うん、私のお腹が好きなんだなトレーナーは…なら安心してくれ、すぐに大きくしてみせるぞ」
隣のテーブルで「は？尊…無理」と誰かが倒れる音がした。
食事量の管理なぞ出来る気がしない。好きなだけ食べさせて、それを上手く燃やしてやるのが私達のやり方なんだろう。
「こうしてトレーナーに抱いてもらって食べるご飯はいつもよりあったかくて美味しいな…クリーク達もやってみてはどうだろうか」
その瞬間、視界に映っていたタマ以外のウマ娘達の上で電球が光るのが見えた。眩しいぞクリーク。
タマは「胸焼けしそうや…ごっそさん」と言って帰っていった。クリークは鼻歌を歌いながらトレーナー室の方へと消えていった。
私の上で美味しい美味しいと食べ続ける彼女を見ていて私の腹が鳴った。
「どうしたんだトレーナー。君もお腹が空いたのか」
そういって笑うがお前がおにぎりを残さず食べたせいだろう。ああそうだ、食ってやる。どっちが美味しそうに食べるか勝負だ
「ふふ…いいぞ。今日の私のオススメメニューは全部だ」
上機嫌で追加を注文する彼女に厨房が悲鳴で返事をする。食べるからには隣に移動しようとするが既に下半身の感覚がない。
「足がしびれたのか？大丈夫だトレーナー。私が食べさせてあげるからな」
大丈夫じゃない。全然大丈夫じゃないが…今はこの愛おしい芦毛の愛バにもう少し付き合うかと腹を括った。