悩み抜いて選び買ったチョコレートを鞄の中で弄びながら歩く。
目標はトレーナー室。足取りは若干重い。
今朝登校した時、たまたま目にしたのは私の後輩たちに囲まれる彼の姿。
それぞれが笑顔で彼に何かを渡していた。彼も笑顔で受け取っていた。
昼休み、教室の窓から見下ろすと、彼はまた沢山のウマ娘達に囲まれていた。
いやぁモテモテですなぁと隣でからかうセイウンスカイさんの声を聞くまで私はそれを見つめていた。
――当然よ、あなたのトレーナーもきっとそうでしょうね。
嫉妬心を認めずに適当に返事をすると、彼女は横になるねとどこかへ去っていった。
放課後、トレーニングに向かう前、彼のところにはハルウララさんが訪れていた。
彼女もまた彼に何かを渡していた。屈託のない普段どおりの笑顔が、私には脅威に見えた。

夕方、今。ようやくトレーナー室の前にたどり着いた。
いつもどおりに出来たか不安なノックの後、どうぞといういつもどおりの返事。
入るわよと言って開けた扉の向こうで、彼はこちらに微笑んだ。
机の上には梱包された大小様々な箱がたくさん。思わず目を奪われていると彼はニヤリと笑った。
「俺のだからな、あげないぞキング。」
「…おばか。」
結構よと言いながら扉をしめる。蛍光灯の白と夕日の茜色とが混ざり、部屋もチョコのような色をしていた。
「こんなに沢山貰ったのは生まれてはじめてだよ。」
太っちゃいそうだな、とそのうち一つを大切そうに手に取り、夕日にかざして微笑む彼。
「おモテになるようで良かったわね。」
嫉妬ではなく呆れるように私はふんっと鼻を鳴らす。多分そのように出来たはずだ。

すると彼はもう一度笑い、手に取った包みをそっと机に戻した
「それがなキング…面白いような情けないような話ではあるんだが、全部義理チョコなんだ。」
「…え？」
「君の取り巻きの子たちは相変わらず元気だったな…全員が全員『義理ですから！』って念を押すように言うんだ。」
「あの子達は…！」
「他の子達もそうだったし…それにハルウララさんからも貰ったんだが…なんて言ってくれたと思う？」
「ハルウララさんが？」
「『キングちゃんと仲良くしてくれてありがとう』って言ってくれたんだ。」
「…おばか……。」
「全く、まるでキング宛のチョコを貰ってるような気分だったよ。」
でもこれは俺のだからなと念を押す彼の姿を見て口元が緩む。明日皆に感謝しないといけない。

「それでキング、どうしてここに？」
「…は？」
「もしかしてキングもくれるのか？義理チョコ。」
屈託なく笑顔でそんな事を言う彼の目を見て、顔が熱くなる。
これは義理？義理じゃない？だとしたらこのチョコは何チョコになる？
答えが出せないまま頬が紅潮し。夕日で誤魔化しきれなくなった頃
今日最大級の『おばか』が発射された。

俺は闇のトレーナー
キントレなら本人以外からもチョコ貰えそうだしそういうシチュ誰か書いて書いた
キングのおばかボイスを聞くと浄化されてしまいそうなので失礼する