ラブレターを貰うトレーナーを見た。
困ったように笑いながらも、彼はその手紙を読んでため息をついた。
カノジョが出来るのかやったじゃんと私が言うと、彼は首を振った。
後日、手紙の送り主に対して彼は返事をし、そしていつもどおりの日々に戻った。
トレーナーに対してラブレターを送るのが流行った時期があったのだ。
当時の私は興味無かった。担当トレーナーとのレース日々だけに夢中だったから。
月曜から金曜まで毎日一緒に彼と過ごしてきた日々。時々土日も一緒に遊んだ。
気付けば想いは大きくなり、彼がいない日々などありえない。出来ることなら月曜から日曜までずっと一緒にいたい。
そうぼやいたらネイチャは苦笑しながら言った。そんじゃあ結婚でもするしか無いんじゃない？
意識してしまってからは大変だった。大きくなった身体でも行っていたスキンシップが恥ずかしい。
身体だけじゃなく心も大人になったんだね師匠とテイオーには睨まれた。

トレーニングはいつも通りに。それ以外の時間は彼から逃げてしまう時が増えた。
一緒にいたいのに、一緒にいたいと思うと恥ずかしくて耐えられない。
これじゃあいけないと頭の中で大会議。その時ふと昔の事を思い出した。
ラブレター。彼への想いを…手紙で送る。
そんなの無理だ、でもこのままでいいのか、やるしかないと脳内会議は一致団結。
普段殆ど出番の無かった自室の机に陣取り、丁寧に丁寧に書き上げた。
内容は…言いたくない。だって彼意外には一生見せられないような事を書いたから。
トレーニングがお休みの日、彼のトレーナー室に合鍵で入る。
飾ってある写真やトロフィー、そして色々大きくなって着れなくなった勝負服。

私が突っ走り、彼がそれを追いかけながら制御してくれた日々。
振り返らずに走り続けられたのは彼のおかげ。振り返るのが恥ずかしくなってしまったのは彼のせい。
暫く部屋を眺めていると聞こえる彼の足音。驚き踊る心臓。だけど逃げ場は無い。だって私が私を追い込んだから。
ドアが開き、私を見て驚くいつもの顔。夕方だからかな、彼のヒゲが少し伸びてるように見えた。
立ち上がり彼の前へ。言葉では伝えられない。想うだけでは届かない。だから手紙を両手に持って。
「あのね、トレーナー…。」
ターボの先頭はここで終わり。これからは…出来れば隣で一緒に。