「秋といえば焼き芋だろう」
目を輝かせた愛バが大量の芋を抱えて訴えれば、やることは決まっていた。
数日間秋というより冬に近い冷え込みだった事もあったためか、学園内で見回せば落ち葉を見かけないことは無かった。
落ち葉焚きは出来るか事務室へ相談してくると愛バに告げ、一人トレーナー室を出る。
廊下から見える学園の景色、茜色の夕日、風に舞う落葉、一斉に走っているトレーナーの姿。
（何かあったのか？）
疑問に答えるようにポケットの中でスマホが揺れる。取り出せば画面にはUEの二文字。
一度引き返しオグリに火を使うからすこし手続きに時間がかかるかもと伝え、私は駆け出した。
―ウマ娘イーター
ウマ娘の天敵。そしてこのトレセン学園における宿敵。
起源は植物でありながら、対象を捕食する為に多種多様な進化を遂げたそれは
およそ植物として持つ権能を越えたあらゆる手段を用いてウマ娘を捕獲し捕食する。
そしてなにより厄介な事にウマ娘達の持つ固有スキルの効果を一切遮断するという性質を持っている。

「これは…熱いな…。」
現場に辿り着いた最初の感想はそれだった。
裏庭の農園の端、かつて焼却炉が設置されていた場所に発生した大木は
植物でありながら周囲に陽炎が見えるほどに熱を発し、現場は鉄火場めいた熱波に覆われていた。
目を凝らすと、避難していたウマ娘の一人が地面から飛び出た根に脚を絡め取られ跳ね上げられたのが見えた。
既に接近していたエアシャカールのトレーナーがその根へ拳を叩きつけて共振現象を引き起こし粉砕
落下していくウマ娘をフジキセキのトレーナーが受け止めて安否を確認していた。
大丈夫と生徒は言っていたが恐らく手遅れである。
吊り橋効果と彼の優しい微笑みのせいか頬が紅潮しているのが見える。
いずれ彼にとってのエトワールが不動の地位にあることを認識し恋敗れる未来が今確定した、
「すまない、遅くなった」
「待っとったでオグトレェ！いやぁアイツ炎みたいに熱くてな、正直近づくのもしんどいんや…。」
少し離れた位置で避難指示を行っていたタマトレが状況を教えてくれた。

焼却炉の因子を取り込んだのだろうか。存在自体が炎を纏うようで射程外と思われる今の場所でもかなりの熱を感じる。
接近できているのは見えた限り一人だけだった。
「エアシャカールのトレーナーは接触できているようだが…」
「熱は分子運動やからな…アイツはそれを制御しながら戦っとる。」
「なるほど…よし、あとは任せてくれ。退避支持を頼む。」
「わかった。頼んだで！」
タマトレが返事をし、その場から稲光を残して姿を消す。少し遅れて空気の弾ける音。
数瞬の後、接近戦をしていたシャカトレを連れて後ろに姿を表した。流石だ。
正面のウマ娘イーターに狙いを定める。距離は200ｍ以内。やることは一つ。

ソウルを収斂、領域を展開。
突如広がる雪原に呑まれた大木が狼狽えるように枝をよじる。
ウマ娘イーターが私の存在を認識した時、既に私は相手の根本に辿り着いていた。
「全力だっ！」
勝利の鼓動を全身に込め、オーラを纏った突進をぶつける。
大木の根本を撃ち抜いてその向こう側に到達した私は、領域を解除した。
雪原は消え、吹雪は止んだ。領域の全ての力は今、あのウマ娘イーターへと打ち込まれたのだ。
ウマ娘イーターは瞬時に凍結し、そしてその巨体を維持できず粉々に粉砕され、秋風に舞って消えていった。



ただいまタマ。なあ聞いてくれ。今日はトレーナーと落ち葉焚きをしたんだ。
私が焼き芋をしたいと言ったらトレーナーが準備してくれてな！
なあタマ、知っているか？学園の裏庭には焼却炉があったんだ。昔使ってたそうでな。
今日は集めた落ち葉をそこで焼いて、それで焼き芋を作ったんだ。
…え？ああ、ちゃんと学園の許可は貰ってやったから大丈夫だぞ。
焼却炉だってたまには仕事したいだろうってトレーナーが言ってたんだ。ふふ…彼は時々面白い事を言うな。
ほら、これ。タマの分の焼き芋だ。まだ熱いから気を付けて食べるんだぞ？
それじゃあ私はクリークの部屋にもおすそ分けに行ってくる。大丈夫だ。ナリタタイシンさんの分も用意してあるぞ。
私の分？私はさっき食べたから…うん…そうだタマ。今度はタマも一緒にやろう。みんなを誘ってもいいかも知れないな。
それじゃあまた焼却炉さんにも頑張って貰おうか…ふふ、楽しみだ。