ウマ娘とトレーナーは適切な距離感を保つ事。
昔そんな講習を受けた事をふと思い出した。
確かに同期から先輩から後輩から、割と寿退社してトレセン学園を去っていくトレーナーはいた。
マンツーマンでうら若き乙女と勝利を目指すという専属トレーナーというシステム。
その結果そうなるのもまぁ仕方無いんじゃないかと割と他人事の用に思っていた。
ウチの担当はターボだから問題無い。乙女…というか元気なメスガキのようなターボだから。
「そう思ってたんだけどなぁ…。」
「ん？どしたのトレーナー？」
逃げに逃げて勝ちを負けももぎ取り続けて何年たっただろう。
可愛く跳ねていたツインテールは腰まで届くロングヘアーになった。
「いや、お前重くなったなぁって。」
「はー？私の体重は適正体重だよー？測ってるから分かってるでしょ？」
こちらを見上げると首が疲れると言っていた身長は気付けば背伸びすれば追いつかれそうになった。

「その適正体重でも重てぇって言ってんだよコラ！降りろ！」
「やーだよー！ここは私の特等席だもーん！」
ちんちくりんだなぁとからかっていた身体はまぁ…なんというか…かなり女性的になった。
「うるせぇ！書類仕事が残ってるっつってんだろうがぁ！」
「きゃっ！ちょっとトレーナーくすぐったい～！」
だというのに俺への接し方は変わらない…いや一時期は大人しくなったが最近昔と同じ感じになった。
ターボをそっと持ち上げて膝の上から横へと降ろす。腕がわりとしんどい。
「…まだ持ち上げられるんだ。」
「あーん？お前みたいなちんちくりん片手でヒョイだ！だからどいてろって！もう少しで終わるからさ！」
「も～！ター…私ちんちくりんじゃないもん！」
「今ターボって言いかけたな？無理して大人っぽくしなくていいんだぞターボ。」
「～～～っ！トレーナーのあんぽんたん！！」
「だああああ痛い痛い叩くなコラ！」
戦績は十二分。サイレンススズカの再来だのなんだの言われているが二人でいるときは大体こんな感じである。

「そうだトレーナー、今日だけどさ！」
「却下。」
「ん～！まだ何も言ってない！」
「だから叩くなって…どうせウチに来たいんだろ？」
「ん！」
「だから却下！」
「な～ん～で～！」
「いやスマン、最近忙しくて部屋が散らかっててな…片付けしとくから今度な。」
「じゃあ私が片付ける！」
「オイ偽物、本物のツインターボを何処にやった答えろ。」
「ターボは本物だもん！！」
「マジか…いや…いいのか？」
「うん！それじゃあ今日はお泊まりね！」
「却下」
「あんぽんた～ん！！！」

一緒に部屋を片付け、一緒に夕飯を作り、二人で談笑しながら完食した。
先にターボを風呂へ叩き込み後片付けをして独りごちる。
「逃げ切れっかな…俺…。」
自室に徐々に増えているターボの私物は何も答えてくれない。
「トレーナー！お風呂出たよ―！」
「おう！ちゃんと服は着たか！」
「ん！」
「おっけ…って俺のシャツ勝手に着てんじゃねぇよ！」
「いいんだもーん！」
いいわけあるか目に毒だ等と言えば調子に乗りそうなので言えず、俺も風呂へ。

夜、ベッドの中。俺の腰に抱きつきながら心地よさそうに寝るターボを眺める。
「変わらんなぁ…こういう所は。」
最初に部屋に泊めたのはいつだったか。同僚も学生たちも誰一人俺を責めもせず子守ご苦労という感じだった。
最近はまぁ…察してもらっている感じだが実際の所何もしちゃいない。俺をからかう同期連中は皆寿退社しやがった。
「トレーナぁ…しゅき…」
変なことを寝言で言いながらこちらの腰から胸へとよじ登ってくるターボの頭を掴む
「んぎょっ。」
「起きてんだろお前。」
「ぬぇ…ねてるも～ん…」
顔が真っ赤になったターボの髪をそっと撫でると、気持ちよさそうに身を捩る。
…同期先輩後輩の皆様、俺もそろそろ限界のようです。でももうちょっと逃げれそうなんで頑張ります。
心の中で宣誓しながら寝息を立て始めたターボの布団を掛け直し、とりあえず夢の中に逃げるのだった。


2

ウマ娘とトレーナーは適切な距離感を保つ事。
そんなことを昔習ったなぁとふと思い出す。
私達ウマ娘とマンツーマンでの勝利を目指してくれる専属トレーナーの存在。
仮にそれが異性だった場合、互いに一致団結を通り過ぎ気付けば色恋沙汰になり結ばれてしまう子が結構出ちゃうんだとか。
仲良くなるのはいいことだし、お互いに頑張っているうちに結ばれるなら別に悪いことじゃないんじゃない？なんて思ってた。
何より私はそんな事全く意識していなかった。ただ早く勝ちたい、一番になりたいとトレーナーを頼るので精一杯だった。
少なくともあの頃はそうだった。
「そう思ってたんだけどな～…。」
「なんだターボ。人の膝の上で独り言か？」
逃げに逃げて勝ったり負けたり。気付けば何年経っただろうか。
ツインテールだった髪はロングヘアーに変えた。その方が大人っぽいと思ったのだ。
「お前重くなったなぁ…。」
「はー？私の体重は適正体重だよー？測ってるから分かってるでしょ？」
いつも彼の顔を見上げてばかりだった身長差は縮まり、背伸びすれば…多分キスも出来るくらいに背が伸びた。

「その適正体重でも重てぇって言ってんだよコラ！降りろ！」
「やーだよー！ここは私の特等席だもーん！」
椅子に座った彼の膝の上で駄々をこねる。胸とか腰つきとかも…かなり大人っぽくなった。
テイオーには師匠の裏切り者ー！って言われたっけ。
「うるせぇ！書類仕事が残ってるっつってんだろうがぁ！」
「きゃっ！ちょっとトレーナーくすぐったい～！」
脇から手を入れられ持ち上げられた私は、特等席からそっとどかされた。
「…まだ持ち上げられるんだ。」
「あーん？お前みたいなちんちくりん片手でヒョイだ！だからどいてろって！もう少しで終わるからさ！」
手をシッシッと振ってパソコンへと向かう彼。成長した私に対しても変わらないその扱いが心地よく、そしてもどかしい。
サイレンススズカの再来なんて言われたりと結構な戦績になっていても、結局彼の前では私はただのツインターボなのだ。
「も～！ター…私ちんちくりんじゃないもん！」
「今ターボって言いかけたな？無理して大人っぽくしなくていいんだぞターボ。」
「～～～っ！トレーナーのあんぽんたん！！」
「だああああ痛い痛い叩くなコラ！」



「そうだトレーナー、今日だけどさ！」
「却下。」
「ん～！まだ何も言ってない！」
「だから叩くなって…どうせウチに来たいんだろ？」
「ん！」
「だから却下！」
「な～ん～で～！」
「いやスマン、最近忙しくて部屋が散らかっててな…片付けしとくから今度な。」
「じゃあ私が片付ける！」
「オイ偽物、本物のツインターボを何処にやった答えろ。」
「ターボは本物だもん！！」
「マジか…いや…いいのか？」
「うん！それじゃあ今日はお泊まりね！」
「却下」
「あんぽんた～ん！！！」

一緒に部屋を片付け、一緒に夕飯を作り、二人で談笑しながら完食した。
楽しい時間はレースよりもあっという間に終わってしまうなぁと常々思う。
先に入っとけとお風呂に押し込まれ、身体を洗う。
彼のシャンプーやボディソープを使い、髪に、身体に、彼とお揃いの香りを付けていく。
「ターボーをーなめーるとー♪」
ご機嫌で湯船を上がり、脱衣所へ。用意してあったタオルで身体を拭い、下着を付ける
大きくなった胸が邪魔だなと思ったこともあるが、時折彼がそのお邪魔虫な脂肪の塊に目を奪われているのを私は知っている。
とても嬉しいと思った。私の身体は彼のために成長しているのだ。でもやっぱり恥ずかしかった。
マチタンに相談したらおすすめされたのは機能性重視のシンプルなスポーツブラだった。
これなら激しく動いてもそんなに揺れないよ！って言ってたマチタンも、同じのを装備した私もぶっちゃけ大分揺れてたけど。
拝借しておいた彼の着古したシャツに袖を通し、私専用のドライヤーで長い髪を乾かす。
「逃げ切れっかな…俺…。」
食器を洗う音と一緒に聞こえるトレーナーの独り言。

何から逃げるのだろう。私から？それは無理だと思う。
私がトレーナーの所に何度も何度も外泊しているのは割と皆知っている。
一緒に寝てるのも皆知っている。だって私が言っているから。
昔の私なら親子みたいな関係だと思われてもおかしくはないが、今の私の外見でそれは通用しない。
ただ…そういう事が何も起きていないって事は私と彼しか知らないのかもしれない。悔しいが。
だがそれも今夜まで。今日こそターボの追い込みスキルを見せてやるのだ。
「トレーナー！お風呂出たよ―！」
脱衣所を出て彼の元へ。
「おう！ちゃんと服は着たか！」
「ん！」
「おっけ…って俺のシャツ勝手に着てんじゃねぇよ！」
「いいんだもーん！」
クルクルと回ってシャツをヒラヒラ。
一瞬胸元に視線を感じて内心ほくそ笑む。彼シャツ作戦は功を奏した。ありがとうイクノ。
ブツブツ言う前にトレーナーをお風呂へ押し込む。片付けは殆ど終わってしまっているので、仕上げだけでもやっちゃおう。



夜、ベッドの中。彼と一緒の布団の中へ。
今日こそ決めるぞ頑張れターボと頭の中で唱えるも、勢い良く彼の胸のあたりに抱きついた所で頭の中が真っ白になった。
心地よい彼の感触、彼の鼓動。何をするんだったか頭が回らない。逆噴射が止まらない。
「変わらんなぁ…こういう所は。」
そう言いながら髪を撫でられる。ダメダメそんな事されたら頭の中がトレーナーでいっぱいになっちゃう。
これは現実だろうかそれとも夢だったか。私は今何をしているのか。無我夢中のまま口を開く。
「トレーナぁ…しゅき…」
私は今何と言った？駄目だ分からない。目の前の大好きなもののてっぺんを目指してよじ登ろう。

そう思って身体を動かした所で上からアイアンクローが振ってきた。
「んぎょっ。」
「起きてんだろお前。」
現実だった。あれさっき私の言ったことトレーナー聞いてたの？駄目だ考えられないそうだ逃げよう。
「ぬぇ…ねてるも～ん…」
顔があつい。多分真っ赤になった頬の側を彼の手が通り、そっと髪を撫でられる。心地よくて身震いする。
…今日の所はターボの負け。逆噴射したターボの負けだ。むしろなかったことにしたい。ならないかな。
彼が私に布団をかけ直し、ぽんぽんと布団の上から背中を撫で、満足そうに寝息を立て始める。
トレーナーは夢の中に逃げてしまった。私は…寝れるのかな。
眠れないならいっそこの時間が逃げること無く続けばいいのに。そう思いながら彼の胸元に軽く口付けをし、駄目元で目を閉じるのだった。


「…で、普通にオヤスミしてオハヨウして朝ごはん一緒に食べて戻ってきたと。っか～！逆にすげぇわ…アンタのトレーナーは仏か何かかっての。」
「…うん。朝ごはん美味しかった。」
「仕方ありませんよ。ターボさんにはターボさんのペースと言うものがありますから。」
「こらイクノ！何がペースかっ！ターボもこんなたわわな武器があるんだから使いなさいって！くぬっくぬっ！」
「ん～！ネイチャやめて～！くすぐったい～！」
「でもでも、そんな事言ってるネイチャだってトレーナーさんとはどうなの？どこまでいったの？」
「…あは、あはは…いやいやマチタンさん私は別にそんな…ね？私には私のペースがあると言いますか…ね？」
「…ヘタレネイチャ。」
「んにゃぁ？聞こえたぞターボォ！」
「ふ～ん！ターボはお泊りしてるも～ん！ネイチャもすればいいじゃん！」

「ああああんたねぇ！そもそも普通トレーナーさんの所にお泊りなんてでき…でき…でででで」
「ネイチャさんがオーバーヒートしましたね。」
「まー確かにお泊りしてるってだけで凄いねぇ…ターボは。」
「そう！ターボすごい！ふふーん！」
「ターボさん、褒めてません褒めてません。」
「ん？凄くないの？」
「凄いんだけど…ね？お泊りしてるのにそういうのが何もないのも凄いなって思うのよね？」
「そういう…？そう…いう…ん…あぁ…あー…ぅぁぁぁー」
「ターボさんもオーバーヒートしましたね。」
「前途多難だねぇ…私達も頑張るぞ～！」
「えい、えい、むん。それでは二人を起こしましょうか。」
「イクノはクールだねぇ…っとと予鈴が！ほら！起きてふたりとも！」