「アヤネちゃん あそこにいるのが今回のターゲット?」 『うん あの廃墟で間違いないよ』 アビドス砂漠 いまだ砂に覆われている地帯の一角 その一つの廃墟に巣食う不良を追い払うのが今回の作戦だ 「アビドスの復興が進んで、ああいったならず者が増えたのも問題点よね~…」 『特にあそこは『緑地化計画』の次の地点と被るもんね…』 「この後の作業中に邪魔されても困るしさっさと制圧するわよ」 「アヤネちゃん ドローンの偵察は出来る?」 『ちょっと難しいかも…この辺遮蔽物がなくて飛ばすだけでバレちゃう』 「オーケー じゃあまずは見張りの制圧ね」 さっと双眼鏡で拠点にされている廃墟を確認する 「1人…2人…3人…位置情報送ったわ マーキングよろしく」 『ポイント確認 マーカーセット 目標の座標と現在地までの距離を更新』 「情報の更新確認 見張りを狙撃する」 マフラーの力を使ってスナイパーライフルを取り出し射撃体勢に入る そっと仮面型ヘッドアップディスプレイを装着してホログラフィックUIに従い目標を視認する タァ―――…ン タァ―――…ン タァ―――…ン 「目標沈黙 目標に接近する」 『了解 セリカちゃん ここからは時間との闘いになるね』 「わかってるわ サポートよろしく」 現地が混乱している間に一気に攻め込みたい こういう時狙撃手と潜入組で分かれてるとスムーズなんだけど… 「支援があるとはいえ ワンマンはきっついわね…ホシノ先輩ってどうしてたんだろ」 いまだ入学生のいない我が校に独り言をこぼしつつ立ち上がった ――――― 「おい見張りどうした!」 「全員警戒態勢に入れ! 近くにいるやつは確認に迎え!」 通信越しに短い悲鳴を残して見張りとの通信が途絶えた おそらく敵襲なのだろうが報告は何もなかった 「敵はおそらくまだ遠い 周囲の警戒を怠るな!」 『ぐあっ!』 『ごふっ!』 「なっ!おいどうした応答しろ!」 …ザーッザザーッ…… 「くっジャミングまで!現場はどうなってる…!」 「まさか…『砂漠の黒猫』じゃないか…?」 「なんだと!まさか奴が!?」 「とうとうアタシらの所にも来たか…!」 「目視不可能の位置からの狙撃 現場への異常な到達速度…あり得なくない」 「ここにいる隊員に告げる!各部署へ分散し状況の報告、のち援護に向かえ!」 「「「了解!!!」」」 ――――― 「侵入者はどこだ!」 「この辺りのはずだ 探し出せ!」 「ふう 結構数が多いわね…」 マフラーを使って近くまで移動し外周の敵を制圧したのがついさっき 今は物陰に隠れて追跡を逃れている 「アヤネちゃん 今敵の動きはどんな感じ?」 見張りを倒し近くまで移動したおかげで今は偵察にドローンを飛ばせている おかげで周囲の状況とジャミングの攪乱を任せられている 『大部分がこっちに向かってきてるね マップに配置図送ったよ』 「ありがと 何所から攻めたらいいかな」 『現在地から3時の方向 そこの通路を迂回して回り込んで』 「りょーかい 移動するわ」 敵の進行方向とぶつからないよう迂回する 丁度バックアタックする形で奇襲 胸のホルスターにあるハンドガンで狙撃した 「ごあっ」 「! 敵襲!かまっ…」 「遅いっ!」 敵が体制を立てる前に一気に距離を詰める ダァン! 奇襲をかけた隊員にショットガンでトドメをさした 「せいっ!」 「ごふっ!?」 続け様に近い敵にシールドバッシュを仕掛ける 敵が軽く吹っ飛びダウンした 「うっ撃てー!!」 「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」 ズダダダダダダダ! チュインッ 残った3人の隊員が一斉掃射してくるのを盾を構えて弾く 「このまま他の隊が来るまで持ちこたえ…」 『後ろがガラ空きです!!』 パリーン! シュゴッ ドカーンドカーン!! 「「「うわぁぁぁぁぁぁ!?」」」 窓ガラスから侵入した戦闘用ドローンがミサイルを放ち 敵は倒れた 「ナイスアシスト」 『うん でも戦闘音で他の部隊がこっちに向かってきてるよ』 「ちゃんと見えてる 弾薬は問題なし このまま迎撃するわ」 『了解 向かってきてるのは2部隊 計10人 別方向から挟み撃ちの形になってるね』 「…やっぱりちょっと厳しいかも 片方時間稼ぎできる?」 『はいはい…そうだと思った このままこのドローンと追加のドローンで迎撃するね』 「よろしくアヤネちゃん」 こうして休む間もなく再び走り出し敵を迎え撃った ――――― 『周囲に敵影なし 残りの戦力は建物の外に集まってるみたい』 「うーん見通しのいい場所での戦闘かぁ…どのくらい残ってる?」 『ざっと20かな あと戦車が2両』 「戦車まであんの!?どこに隠し持ってたのよあいつら!」 『どうセリカちゃん?厳しそうならこのまま到着を待っても…』 「いや いけるわ 私たちだけでカタを着けましょう」 「私たちだけで大丈夫っていってもなかなか聞かないしここは成長したところ見せないと」 「それに…」 『それに?』 「いや何でもない 残敵処理しよっか」 カッコいいところ見せたいし、というのは内緒だ ――――― 「ようやっと姿を現したか…『黒猫』!」 「なんなのよその呼び名…」 『先輩たちの代からあるよね…』 どうやら敵のボスらしき人物から話しかけられる 「一応聞いておくけど降参するなら今の内よ アビドスからおとなしく出ていくなら何もしないわ」 「ナメてんじゃねぇぞ!やられっぱなしで引き下がれるかってんだ!」 「それにそっちは1人!こっちは大人数で戦車もあるんだ!」 「ノコノコ姿現しやがって…もう勝ち目はねぇぞ!」 『私もいるんだけどね…』 「あのやられようでよくもまあ吠えられるわ…」 「それにね…こうやって出てきたことの意味が分からないのかしら」 「姿を見せたってことは…勝算があるってことよ」 「くっ…撃てーっ!!」 ダダダダダダッ! 部隊の飽和攻撃がなされる 盾を構えていなしつつ移動する 「ふんっ!」 「なっ…伏せろー!!」 空いてる片手でソレを持ちピンを口で抜き投げた 瞬間 まばゆい光で辺りが包まれる 伏せた者直視した者それぞれ動きが止まった 「くっ 閃光弾かっ」 「正っ解!!」 「ぐふっ!?」 「うおおお!?」 目が潰れた隊員を後回しにし伏せてやり過ごしたほうに接近する 慌てて立ち上がりサッと銃を構えられたが 空いてる胴に回し蹴りを叩きこんだ そのまま飛んでいき他の隊員にぶつかる 「総員構えろ―――」 『こっちも忘れてもらったら困ります!』 「うおぉぉぉぉぉぉ!?」 目が回復した隊員が構えを取るより早く 周り込んだドローンが宣言する ダダダダダダダダ! ドローンに搭載された機銃が容赦なく叩き込まれる 「動きが乱されているな…!各自取り囲むように展開せよ!」 「あっ そこ足元注意ね」 「なに―――」 ドカ―――ン!!! 予め閃光弾の後 接近戦を仕掛ける前に投げ込んでおいた手榴弾が起爆し、近くの敵を巻き込んだ これでおおよそ半分って所だろうか 「クソッ舐めるなよ!!」 「ちっ!」 ズダダダダダダ! 横から戦車と無事な隊員に弾を打ち込まれる 慌てて盾を構えつつ距離を取った 「ははははは! ふたたび距離が開いたな!二度同じ手は食らわんぞ!」 「主砲発射!撃てぇ―――!!」 「くっ!」 ドンッ!! 戦車からその大砲を打ち込まれる あんなものが当たれば爆風だけでも厳しいだろう 横に飛んで回避する 「もう一発!撃てぇ!!」 すかさずもう1両の戦車から大砲を打ち込まれる 流石にこれは回避が厳しい 「こ…なくそ~~!!」 ドカ―――ン! シュゥゥゥゥゥゥ… 「何――――っ!?」 爆発の煙が晴れ視界がクリアになる 戦車の弾丸は目の前に展開された障壁に阻まれ私に届くことは無かった 盾に神秘を乗せエネルギーの障壁を展開する奥義のようなものだ 正直まだ習得途中だからイチかバチかになってしまったけれど なんとか成功した 流石に敵も狼狽えてる 今のうちに――― キュィィィィィン 「ふっ―――!」 「つっ 突っ込んできた!?」 「戦車隊下がれー!」 マフラーの力を使い身体能力を底上げして接近する 敵は距離を取ろうとしてるみたいだけど 遅い―――!! ザンッ! 「ぐあっ!」 「なっ!」 操縦席ののぞき穴から銃剣を差し込む 操縦士にクリーンヒットし、目論見通り気絶させた そして― カランッ 「そっ総員退ひ―――」 ボガ―――ン!! 追撃に突っ込んだ手榴弾で戦車は爆発 周りにいた隊員ごと吹き飛ばした 「黒猫…あいつはバケモノか…?」 「全くうれしくない誉め言葉どーも …正直私の先輩達のほうがもっと強いわよ」 『セリカちゃん!もう一両の戦車もこっちで停止させたよ!』 「了解 もう無事な隊員も少ないし…これでトドメね」 「くそっこんなぁぁぁぁぁぁあ!!!」 残敵を残らずガトリングの掃射で一掃し、今回の戦闘は幕を閉じた――― ――――― 『お疲れセリカちゃん』 「だぁ~~ お疲れアヤネちゃん…」 敵を縄でしばり外へ運び出したその後 ドッと疲れがあふれ出しその場で倒れ込む 流石に最後の戦車の一連が堪えた… 「今回敵の規模デカくなかった…?おかしいでしょ」 『あはは…ほんとにお疲れ様』 『この後の事は私たちに任せてゆっくり休んでね』 「よろしく~…」 「はぁ~…砂の上じゃなくてふかふかのベットで休みたいわ~」 "ふかふかのベットは無いけど私の膝枕ならあるよ なんちゃって!" 「どあぁぁぁぁ!?」 大の字で寝っ転がってる上から顔を覗かせてきたのは先生だった 慌てて飛びのいて距離を取る 「ちょ、いつから居たのよ!?」 "ついさっき到着してね" "アヤネから状況は聞いてるよ お疲れ様" いつもみたいににへっと笑って手を振ってくる 「あ~…かっこ悪い所見られちゃった」 ぽり…とほっぺを人差し指で掻く "かっこ悪い所?" 「ヘバって寝っ転がってたでしょ? 先生が来た時にはなんてことないですよ~って顔で迎えたかったのに…」 「私も成長したんだぞ っていいカッコ見せつけたかったんだけどな~…」 さっさっと砂埃や戦闘の汚れを手で払ったり髪の毛を整えようとする 汚れひどいし汗びっしょりだしあんまり意味ないけど… そうやってバツが悪そうにそっぽを向いてると "そんなことないよ" "たしかに今へとへとになって恰好も乱れてるかもしれないけど…" "そうやって目標に向かって精一杯頑張ってるセリカはいつもかっこいいよ" 「へっ?」 面と向かってこうも言われると言葉に詰まってしまう   先輩たちが卒業して     問題もまだまだ山済みで      日々を過ごすのが精一杯だった私にその言葉は――― ―――胸の奥でじんわりと広がって 目頭が熱くなる思いだった 「…そういうの誰にでも言ってるんでしょ」 「あんまりそんなこと言ってるといつか刺されるよ」 "セリカにだから言ってるんだよ かっこいいお姫様?" 「フシャー!!」 照れくさくなって冗談みたいに返してしまったけれど ―――頑張ってよかったなと そう思えた "身長 またちょっと伸びた?" 「うん いつか先生だって超えて見せるんだから」 そうしてアヤネや光のビナーが作業を行ってるのを 先生と二人座って眺めてるのであった―――