カイラ・グナーデ
[大浴場2]
ガラリ。音を立てて戸を開け、そして静かに閉める。
会話で盛り上がっている集団の横を足早に抜け、桶に座り湯を全身で被る。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
髪をしっかりと濡らしてから、石鹸を手に取る。
一房一房手に取り、丹念に洗う。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
冒険者になる以前は──踊り子として、収入を得ていた。綺麗な髪は、踊りを映えさせる。そのため丁寧に丁寧に洗うのだ。
その習慣は、今も生きている。
何せ──この身には穢れを宿している。分類としては蛮族だ。それが、冒険者仲間には身分を明かして生きていこうというのだから、不快に思われる部分は出来る限り減らさなければならない。
面倒臭いと思わずに済む習慣を手にしていたのは、都合がよかった。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
長い時間をかけ髪を洗い。泡を洗い流すと次は体だ。
臭いの溜まりやすい部分に注意して洗っていく。耳の裏、腋……。
髪の1/3ほどの時間で、体は洗い終わった。
泡を洗い流し、残った泡がないかを確認してから、湯船へと入る。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
「ふぅ……」
縁に頭を預けて、体を伸ばして全身で湯船に浸かる。少々はしたないかもしれないが広い浴場だ。それに盛り上がっているのは反対側。わざわざこちらに注意を向ける人もいまい。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
人もいなくなった。腕で壁を押し、広々とした湯船に一人でぷかぷかと浮かぶ。
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
「はあ”~~~~~~」
カイラ・グナーデ
[大浴場2]
こういうのが気持ちいいんだ。こういうのが。
しばらくそうして。たった一人の浴場を堪能してから、のぼせる前に大浴場を後にした。