「私の負けね…」 「約束通りこの街から手を引いてもらうわよ」 「……」 何度目かの流れ作業。危険な巴マミをこの街から遠ざけて、私とまばゆの時間と自由を作るための下準備だ。 「いえ…やはりできないわ」 …反応が違う。なにかミスをしたかしら。 「あなた一人でこの街をカバーできる?…恥ずかしい限りね。私は…あなたに負けてできないと思い知ったわ」 できる。そう答えようとして、ふと私が助けなければ事故に遭う少女を思い出した。 ……私は全てを救えているだろうか? いや、まどかを救うのが最優先だ。他を取りこぼすのは仕方がない… 「だから…恥をしのんでお願いさせて。…一人暮らしなんでしょう?一緒にこの街を守りましょう」 誰かの死に鈍感にならないように…そう言われたことを思い出す。 こんな反応をする巴マミは初めてだった。だから、これは情報収集だとか、今後のための魔女の取りこぼしがないかの調査だとか言い訳をして… 私は、差し出された手を取ることにした。 続きはAM.swithBAYUboxで未定よ 「はぁ。それで巴さんのところに居候ですか」 巴マミがここまで友好的だったパターンはない。だから…と言うと、まばゆは一応は納得したようだった。相変わらずジト目が気になるけれどそれはそれ。 「それで、……私に会いたいとそう言っていたんでしたっけ」 ──最初はあなたが洗脳したのかと思っていたのよ。…ただ、あなたの魔法は多分違う。空間操作…認識阻害…時間の跳躍…いろいろ候補はあるわね…多分時間停止だと思うけれど。 ──ふふ、クールな顔が台無しね。種が割れた手品師でも不敵に笑ったほうがいいわ。さらなる隠し球の誤認のためにもね。 ──…あなたじゃないなら、まばゆさんが自分で自分の記憶を切ったのよ。けどいいの。私からは奪わないでくれたなら…もう一度友達になれたらな、って。 「まったく、なにを考えてるんでしょーね。こんな陰キャ捕まえて紅茶とケーキが良く似合う高嶺の花がお話なんて」 今一番なにを考えていたのかわからないのは愚痴っているまばゆそのものだったけれど… 私は巴マミからの話を伏せながら、会わせてみたいと思った。 寂しがり屋なのはよく知っているから。 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ👿 「いらっしゃい、上がってちょうだい」 決めに決めて輝くばかりの金髪とともに巴マミがまばゆに笑顔を向ける。会うなら休日の早いほうがいいだろうと思ってセッティングしてみたけれど、つい三十分前まで寝ていて危うく寝過ごすところだった女だ。 …整然と片付いた部屋からは、そんな印象は受けなかった。 「おっおじゃ、おじゃまましましまうま…」 ガタガタに震えながらお土産のケーキと共に上がってくるまばゆが面白かった。 「あ、あのっ、ところで私なんで呼ばれたんでしょうか」 「暁美さんの友達よね?」 「え、私友達名乗っていいんですか!?」 なにを今更。 「私と暁美さんも友達よね?じゃあ、私とあなたもきっと友達になれるわ」 「………? あれ、魔法少女としてどう…とかいう話じゃないんですか?」 ……そう。そこが私と巴マミの差だ。私は積極的にまばゆにも戦わせようとしていて、彼女は守ろうとしている……けれど… まったく。思った以上に交友関係を築きたい気持ちのほうが強いようね…と考えてふと思う。私はやはり、この人の厳しさや弱さにばかり目を向けて来たのではないか… 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 今日だけで4人。昨日も合わせたら6人。未確認も含めたら9人…… 溶けた金をかける子がいて、気弱で病弱そうな過去の私のような子がいて、なんだか巴さんによく似た雰囲気の子がいて、ホスト狂いの子がいて…… 「おかしいです!この街の魔法少女はこんなに多くありませんでしたよ!」 やけに友好的な巴マミがいて、こちらに対し近寄る素振りを見せないキュゥべえがいて、各地域を受け持つ魔法少女たちがいる……おまけに、その誰もがワルプルギスの襲来を伝えると即座に好意的な返答を…一人ホスト狂いだけはだめだったけれど…返してくる。 挙句の果てに、これだ。 「鹿目さん、美樹さん。魔法少女になろうだなんて考えてはダメよ」 巴マミは一貫してこの態度を崩そうとしない。私に向けている柔和な笑みはどこへやら、やや嫌われかねない振る舞いすらとっている。 ……もっとも美樹さやかはともかくまどかはこの程度では不十分なのは骨身に染みているから、もう少し強く警告を続けるつもりだけれど…… その上、これだ。 「……懐かしい顔ぶれをたまに見るわね」 そう、あれはまばゆと出会う前……私が知らない街で 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 「では愛生、読みなさい」 前回のループのときは巴さんが当てられていたところで当てられた。へんなことが続きすぎていて、眠たそうにしていたせいかもしれません。 その声はわが友李徴ではないか… ここ数ループ聞き続けて、門前の小僧となっていた私の頭の中にはなんとか内容が頭に入ってくれていました。注目が集まる前にさっと座り、様変わりした街の様子を思い浮かべる。 (キュゥべぇ、いませんか? おーい、返事してくださいよー) …テレパシーを送ってみても反応はない。どうやら見滝原中の内部にはいないのか…あるいは無視しているのか。 全ての事態は好転していて、なのに謎ばかりが積み上がっている… (まるで伏線パートだけ見せられてるような。…うーん) わからない。ここは寝てしまおう。また巴さんがテレパシーを送ってくれるでしょう。 ……私と巴さんは知り合いだったそうです。なにかがあって私は記憶を消した、らしい。 モヤつく心に答えはなくて、けれど暁美さんも巴さんも受け入れてくれていて、だから心苦しくて… ……巴さんは起こしてくれなくて、放課後職員室に呼ばれることになってしまった……とほほ… 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 普段はやたら起きるのが遅いわりに、時たま早く起きている時がある。今日もそんな日のようだった。 「あら、起こしちゃったかしら。喉が渇いてしまってね……」 その手にはコンビニ袋に入った新しいスポンジの姿があって、シンクには水を飲むのに使ったコップが洗いかけのまま放置されている。 「スポンジをちぎってしまったのよ。だから外に出ていたの」 それなら手洗いでよかったんじゃないかしら…とは思ったけれど、スポンジ自体が切れてしまったのならしょうがないのかもしれない。 寝ぼけた頭は上手く回っていなくて、柔和に笑う巴さんの姿にまあそれでいいか…と思って椅子に座った。 「……まばゆさん、また来てくれるかしら」 ……心配しなくても連れて来るし、あれでいてまばゆは厚かましいわ。 「知ってる。……本当に仲がいいのね」 笑みはそのままだったのに、やはりそこには少しの寂寥が混ざっている。 その何かを追求するべきだと脳が告げているのに、心がそれを拒否している。 だからなんとなくわかる。私はこの平穏を維持したがっている。 ……この周で勝ちたい。そう強く願った。 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 「ちょっと転校生? あんたあの巴マミって人と一緒に住んでるんだって?」 ええ、そうね。そう答えると、心底大変そうだなという顔をして同情の視線が飛んできた。 「二の句も告げないくらい魔法少女になるなとしか言わないしさ。なに?やっぱり増えるとロクでもないとか?」 そうね。魔法少女になんてなるべきではないわ。朝は6時起きなのに結界が見つかったら夜は二時に寝るなんてこともザラにあるし。日常の中に命がけが混じるなんていつものことよ。 「……ふーん。じゃあやっぱり、あたしらが嫌いで言ってるんじゃなくてなるべきじゃないから言ってんのね」 どうかしら。それだけ答えると、突然美樹さやかはニヤニヤしだして、 「いやー謎のミステリアス美少女が転校してきたと思ったらさ、突然謎の縦ロールまでやってきてあたしとまどかの生活は一変!じゃん? しかも聞いてみればこの街には魔法少女がたくさんいるってんだから驚いた」 そこまで謎の縦ロールでもないでしょうに。頼れる先輩でしょう? 「はい?」 いや、だから巴さんがよ。 「え、あの人ここの生徒なの?」 ……………は? 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 …制服を、着ている。 どうかした?と声が聞こえて、普通に制服を着ている…言われてみればクラスにいない巴さんがきょとんとした顔でこちらを見ている。 暁美さんは「襲っていいヤクザを知っているの。武器を調達しに行ってくるわ」と知らない街へと繰り出していってしまったので、私だけが今こうして巴さんのおうちに御厄介になっているというわけです。 「それで…ワルプルギスの夜だったわね。あなた達はどうやってこれを突き止めたの?」 統計です。そう答えることに決めていました。 巴さんは目を伏せて紅茶を口に運びましたが、少し目元に悲しみが浮かんでいたような気がして、 「そう。統計…統計ね」 やっぱり怪しいのです。無理もありません。蓋さえ開けなきゃクール&ミステリアスな暁美さんですが体感時間で数か月前まで眼鏡のおどおどで私と同じく陰キャ属性。コミュニケーション能力の七難八苦はつまるところ言い訳のねん出が非常に下手であるという事実に帰結するもので、 「実は私も統計的に見て近場に大魔女が出ると踏んでいたのよ」 目を逸らしながらそんなことを言う巴さんも同じタイプだと 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 「ところで巴さん。あなた悩みとかないの」 「え……? 急にどうしたの?」 さっきまでテレビのチャンネルの取り合いで変身しての大立ち回りまでしておいてこれですよ。 私にはここ最近巴さんよりいや巴さんもわかんないんですけど暁美さんがわかりません。 「もし変な宗教に勧誘を受けたりしたらすぐ言いなさい。私が本尊を爆破してくるわ」 「大丈夫よ。宗教勧誘どころかチラシだってセール以外は受け取らないわ」 あーだからこの前卵1パック100円切ってるって大騒ぎしてたんですねぇ。 「一人暮らしよ?」 「セールは攻めないといけないわ」 あーはいはいすいませんね居候で贅沢してますよー。でも商店街でもよく可愛がられているじゃないですか。この前もサンマ買おうとして大根頂いたりしてましたよね。 「それは暁美さんがかわいいからだと思うわ」 「気に入られているのは巴さんの方じゃないかしら」 照れ隠しなのかお互いの褒め合いが始まったのでジト目で見つめておくことにした。ごちそーさまです。しっかしあんなに毎周回仲悪いのに場合によってはこうなるんですか。どこの誰のせいであんな拗れて 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 「…なんで私ここに座らされてるんでしょうか」 パルッキエーレトモエにようこそだそうよ。…まばゆはジト目で巴さんを見ている。 「前々から思っていたのよ。接客もしているのに目が隠れているのはいかがなものなのかしらって」 「私のアイデンティティが正論に破壊されようとしている…!」 言われてみれば髪もぼさぼさだ。これはこれで当人に似合っているかどうかで言えば似合ってはいるけれど、ダメでは?と言われれば、まぁ。 「せっかく髪の量があるのだからアレンジし放題で面しろ…その方がいいわ!」 「今面白いって言いましたよね!?ダメですよ陰キャから奪ったら!昨今の業界じゃ眼鏡を外したりとか要素削りは好まれませんよ!」 観念しなさいまばゆ。あなたも道連れよ。 「道連れって……そのぱっつん姫カットはまさか」 「第一回のお客様よ」 「終わった…!」 私だけが犠牲になるなんて許せないわ。あなたも地獄に引きずり込む。 「一蓮托生は今に始まった話じゃないですけどー!あっハサミシャキンシャキンしないでくださいよ!それも私のアイデンティティでは!?」 「始めるわよー。……あっ」 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 店員さんイメチェンですか!?なーんて言われても困ります。好きで髪型を変えたわけではないんです。 私までぱっつんにされかねないので抵抗してみたのが運の尽き。毛量がある私の髪型アレンジのモチーフにされたのは今ぱっつんにされて店内で鹿目さんたちにかわいいかわいいされている暁美さんの元の髪型でした。 クールなお顔に赤みが指して、眼鏡の頃のような恥ずかしがりっぷりを見せている暁美さんと下手人でありながら優雅にお茶を飲んでいる巴さんはさておき、これじゃ髪型交換じゃないですか。 ロングヘアの二股分けなんてのは直球美少女がやるから似合うのであってぼっちの陰キャがやったところでイメチェン失敗の烙印がもらえるキャンペーン開催中ってなもんです。巴さんもまだまだ巧みをしているようで、多分髪がまた伸びたら今度は暁美さんを私の髪型にしようと企んでいます。 待ってくださいよ、そんなことしたら髪型交換じゃないですか…ただでさえ暁美さんと巴さんの来店でやってくるお客様が沸き立ってるのに… 「常連さんが4人も増えて嬉しいわぁ」 咲笑さんはのんきでいいですね! 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 また今日も起きるのが遅い。起きてマミ起きて。今日はあなたがゴミ当番よ。 「後五分……」 まったく。蓋を開けてみれば私の先輩はずいぶんと甘えん坊で、やらなくていいならしたがらないことが随分多いようだった。 これだけなら微笑ましいで片付けたっていいけれど、生憎これで起こすのは5回目。私はさながら生きたスヌーズ機能ね。 「あと五分を繰り返したら…明日が来てしまうわね」 ふと目を覚ましたと思えば、そんなことを言っている。早く準備をしなさいと強めに言うと、えぇ~と弱った声で甘えて来るものだからたまらない。 ……実際のところ、これまでの仕打ちや昔世話になったことを含めて強く当たれなくなってしまうから困りものなのよ。 「暁美さんは優しいわね。一緒に住めて本当に助かっているし、楽しいわ」 本当に、困っている。私だって思い返せば恩ある師匠だと言うのに、ここ数週ひどい扱いばかりしてきた。 だから、照れ隠しのつもりで早くゴミを捨てに行きなさいと背中を強く叩いた。 そうしたら、ずっと一緒に過ごしてきたはずの彼女がリボンになってほどけて、 は……? え……? 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 この街はあまりにも広いのに、聞こえてくる声が多すぎて、そのどれもが今探している人の名を返してくれて、なのに当人が見つからない。 思えばおかしい話だった。咲笑さんは常連が四人増えたと言っていて、それはつまり暁美さんと、鹿目さんと、美樹さんと、巴さんの四人を指していた。 …私を起こす声がなかったのは、巴さんが登校していないからだ。クラスにいない人間に私を起こす方法はないんです。 ……いつかのようにクラス名簿を眺めて、理由がはっきりしました。巴さんの名前はそこにはなくて、彼女は見滝原中に在籍すらしていなくて… …そして極めつけは、 「あったわ。交通事故死のニュース…」 暁美さんが見つけてきたそのニュースには、巴という名字の家族3人が交通事故で即死した旨が書かれていた。 疑問は尽きない。けれどこの街に生き延びている私たちが知らない魔法少女たちは、その巴さんの手で助けられたから生きている。 理由なんてまったくわからない。けれど… 「まばゆ。…あの人が私たちの知る巴マミだと思う?」 それだけは、はっきりと頷ける。 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 「この街の魔法少女は数が少ないし、絶好の狩場だって聞いてたんだけど」 リンゴを食べている、知っている声を聴いている。目の前には膝をつく巴さんの姿があり、それはもうボロボロで…多分、本体なんだと思う。 「来てみりゃあんたみたいな魔法少女が番やってるんだから驚きだ」 「……佐倉さん」 名前を呼ばれたことに彼女が驚いて、 「………いれぎゅらぁが多すぎる。あいつはそう言ってたよ。そこの隠れて見てる黒髪、ケーキ屋のもじゃもじゃ。そんでアンタ」 (今もじゃもじゃしてませんけど!?) ……この世界の巴マミは何かがおかしい。既に死んだはずの人間が、どうしてここに…… 「教える義理はあると思う?」 「聞いてやる義理もないねぇ」 確かに今までの世界とまるで違うし、不審な点が多すぎる。ただそれでも、この世界の巴マミがまどか(とどうでもいいけど美樹さやかの)契約を阻止し続けてくれていたのは事実。 (おやおや、それだけですか?) ニヤつくまばゆに久々にイラっとする。 ええそうね、はっきり言って、ルームシェアは楽しかったわ。だから助ける義理なら数えきれないくらいある! 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 戦いは一瞬でした。種が割れていない手品師はつまり最強なので、開幕私が音を鳴らして気を引いたところで時間停止、あとは成すすべもなく。 グリーフシードと引き換えに佐倉さんのワルプルギス戦での協力を取り付けて襲撃は処理されました。 あとはボロボロになった巴さんをお持ち帰りして事情聴取が始まります。 「正直よくわかっていないの。なんだか暖かいところで揺蕩って眠っていた気がするのに、目が覚めたらここにいて」 巴さん曰く、知り合いは誰も覚えていないし、学校に席もないし、調べたら自分は死んでるし… 「…だからね、私が助けられなかった子を助けて回っていたのよ」 「誰も自分を知らないのに、なぜか私だけはあなたの名前を知って接触してきたから友好的だった、と」 聞けば真実についても把握しているわけですから、鹿目さんや美樹さんを契約させまいとするのも頷けます。 「なんでもいいわ。今いるあなたは私のルームメイト。……友達のつもりよ」 あっずるいです私にも言ってくださいよ。 「嫌よ」 にしし…照れ顔がかわいいのはずっとですねぇ。なんだか微笑ましくなって、私と巴さんで挟むようにハグして 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 知っているのに知らない街で、まどかと美樹さやかは契約しないままで、知らない魔法少女がたくさん並ぶ戦場で、これで最後にしたい決戦が始まった。 今まで私たちはずっとワルプルギスの夜の顔ばかり狙ってきたけれど、巴さんは強硬して狙うべきは歯車だと言い続けている。 「なぜかはわからないけれど…顔を狙っても無意味だって頭の中で変な声がするのよ」 巴さんの様子はずっとおかしいままだったけれど、正直なところあいつに対する攻め手なんてまったくない。だから並んだ魔法少女の中から一歩出て、ありったけの火力を歯車に叩きつける。 ゆらり、ぐらり、なぜか動きが鈍く感じるワルプルギスの夜に不気味さを覚えながら、襲ってくる使い魔をいなして… けれどいつまでたっても倒せる気配がない。弱っている。確実にそうだと思う。明らかに攻撃が弱くなっていて── 「いけない…!」 私の目を見たまばゆが絶望的な顔をして、ワルプルギスの夜の頭が、上を向いた。 それが私たちの終わ ──パンッ ……何か、手を叩いたような音が聞こえて。 それから空から、無数の黒い羽根が降り注いで…… 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 あの黒い羽根はなんだったんでしょうか。あれが降ってからというもの、ワルプルギスの夜はまた頭を下に向けてなにかに怯えるように体を動かすばかりで、結局歯車に攻撃を受け続けて逃げるように去っていきました。 撃破ではなく、撃退。こんな結末になろうとはさしもの私も思わず、鹿目さんが被害を受けた街並みを見て契約しようとして暁美さんが泣きながら説得するなど一悶着ありましたが、乗り越えたと言って良いでしょう。いいんですが、 「白銀に煌めく砂(シャインスノウ)を取ってくれないかしら」 祝勝会中に暁美さんがおかしくなりました。美樹さんと鹿目さんはドン引きしていますし、佐倉さんはそういう歳か…って顔をして、巴さんはニコニコしています。 「やはりあなたの紅茶は素晴らしいわ巴マミ。奇跡の一滴(ミラクルドロップ)ね」 うわあ。 「みんな硬いわね、せめて今くらいは仲良くしましょうね?……気まぐれな悪魔(ウィムズィカルデビル)も笑う日よ」 意を決して、口を開く。……暁美さん。聞いてください。 「なにかしら?私の軍師様」 似合ってませんよ、そのロールプレイ。 続きはAM.swithBAYUboxで公開中よ😈 あら残念。素敵な夢はもうおしまいね。 …パン、と乾いた音が鳴って、今ごろ向こうでは目が覚めていることでしょう。 …そうね。似合っていないのかもしれないわ。けれどしょうがないでしょう?神に歯向かうならそれは悪魔なのだし。 …それは一回きりのわがまま。これだって叛逆なのよ? たとえば神様が気まぐれで複製した世界から旅立った私が幸せを掴む私がいて、たとえば自らの罪を知りそれを取り返してひとりではなくなる巴マミがいて、たとえば魔法少女じゃないから告白を躊躇う理由がへたれしかない美樹さやかがいて、たとえばなんだかんだ契約しないまどかがいて… ……たとえばなにも思い出さないまま、別れも選ばないまま、私たちの輪の中にまばゆがいる…… 眼鏡をかけたままの私と魔法少女のあなたが一緒にいる世界のためにわがままを通した神様がいるんだから、こんな世界があったっていいのよ。きっとね。 灯台に残された扉に鍵をねじ込んで巴マミのキオクを引き出すまでにだいぶかかったけれど、やったかいはあったわね…… おしまい