私が最初に惹かれたのはポーシャーの瞳だった。無論、他の使徒よりもむっちりとした豊満な身体に興味が無かったと言えば、嘘になる。だが、最初に私の心を捕らえたのは、間違いなく彼女の不思議な瞳だった。 魔女の瞳は独特の虹彩を持つ。ポーシャーは魔女の中でも瞳が大きく、その瞳の虹彩は誰よりも美しかった。 目は口程にものを語る、と言うが彼女の大きな瞳は何も語らなかった。その大きな瞳で見つめられても、何を考えているか全く分からないのだ。 吸い込まれるような大きく美しい瞳がただそこにあった。 私は世界樹教団の教主として、他人の思考を盗み見る権能がある。ポーシャーの思考を読み取る事も可能だった。だがその行為は、何を考えているか分からない彼女の瞳の、その神秘性を損なうような気がしてやりたくなかった。どうしても気が進まないのだ。そんな自分の気持ちに気づいた時、私はポーシャーを特別な存在だと認識している事を自覚した。 それからの私の行動は早かった。 世界樹教団に属する使徒達にアルバイトをさせ、ポーシャーが興味を持ちそうな素材を集めさせた。年に一度しか咲かない希少な花。獣人の森の奥に生息する珍しい動物の毛。エルフの技術で抽出された高純度の薬品。希少品だから対面で取引したいという口実で、何度も彼女と会った。それなりに親しくはなれたが、それは取引相手としてだった。私はそれ以上の関係になりたかったのに。 そんな関係が暫く続いた時の事だ。 珍しくポーシャーが世界樹教団の私の部屋まで訪ねて来た。 「何か、今まで見たことも無いような珍しい素材は無いかしら」 相変わらず何を考えてるか分からない表情と、美しく大きな瞳で私を見つめながらポーシャーが言う。だが生憎、今は何の在庫も無い状況だった。何も無いなんて言ったらポーシャーはきっと直ぐに帰ってしまうだろう。二人きりの執務室、何とか彼女を引き止め、あわよくば一線を越えてしまいたいと考えていた私の頭脳に天啓が降りた。 「丁度いい素材があるんだ。少し待っててくれ」 そう言って執務室に併設された自分の寝室に向かう。少しの時間を空けて、部屋へ戻った私はポーシャーへと一つの素材を差し出した。 「これなんかどうかな?」 それは小瓶に入った乳白色の液体だった。粘度の高いそれは瓶の中でタプンと音を立てる。 「これは何?」 まだ生温かい小瓶を受け取ったポーシャーは興味津々といった様子でそれを眺める。 「企業秘密。ただエーリアス中を探しても、それが採れるのはここだけだ。と言っておくよ」 こう言っておけば、世界樹関係の素材だと思うだろう、という考えだ。 「確かめて見てもいい?」 そう言うとポーシャーは返事も待たずに小瓶を空け、中身の臭いを嗅いだ。 「...変な臭い。あまり植物っぽくないかも」 素材に詳しいポーシャーの慧眼にひやりとする。バレたかもしれない。だが彼女の次の行動によってそんな不安は吹き飛んだ。 「苦い。でも面白い味」 小瓶に小指を突っ込んだポーシャーは迷わず中身を口に運んだのだ。 「これ、貰って行くわ。帰って色々試したいの」 そう言うとポーシャーは小瓶をバックに仕舞って帰り支度を済ませてしまった。 どうやら新しい素材が彼女のポーション作りの欲求を刺激してしまったようだ。 私は名残惜しくもポーシャーを玄関まで見送る事になった。 「それじゃあ、またね」 そう言って別れを告げた彼女がチラリと私を振り返る。その視線が一瞬、ほんの一口とは言え自分のモノをポーシャーに飲ませたという事実で、固さを増して天を突いている私の一部を舐めた気がした。 ポーシャーが再び教団を訪れるまで3日も掛からなかった。 「もっとアレが欲しい。出来るだけ沢山」 執務室に入るなりポーシャーが素材を強請る。どうやらアレはポーション作りに有用な素材のようだった。ポーシャーはすっかりアレの素材としての魅力に取り憑かれたようだ。 「もちろん構わないが...実は一人で作業しても採れる量に限りがあってね」 逸る気持ちを抑え、冷静を装いつつもポーシャーを誘導する。教主である自分が無理矢理させた訳ではなく、ポーシャーが自分から進んでやったという事実が欲しかった。 「私で良ければ手伝うわ」 即答するポーシャーに思わずニヤけてしまう。だがそれだけではまだ不十分だ。 「だけどこれは教団の秘密だから...誰にも口外しないと約束できるかい?」 「いいわ。私も素材を独占出来るなら秘密契約は望む所よ」 少し食い気味に答えたポーシャーからは、いいから早く素材を寄越せという雰囲気を隠せていなかった。相当アレにご執心らしい。 「じゃあ、向こうの部屋で作業しよう」 そう言ってポーシャーの手を引き、隣の寝室へエスコートする。 カチャリ 部屋のカギを掛けるがポーシャーは気づかなかった。アレに夢中なポーシャーの様子なら逃げるような事は無いと思うが、誰かが訪ねて来ても面倒だからだ。 「うん?ただの寝室ね?素材はどこで採るの?」 キョロキョロと部屋を見回すポーシャーの前に、私は素材の採取ポイントを曝け出した。 「っ!?」 ポーシャーの大きな目が、いつもより更に大きく見開かれ、動揺のためか美しい光彩が震えて揺れ動く。 熱く、固く、大きくそそり立ったソレを見たポーシャーの反応は、しかしそれだけだった。暫く硬直した後、ポーシャーはひくひくと鼻を動かした。 「この臭い...嗅いだ事がある...」 恐る恐るといった様子で、そそり立つ採取ポイントに顔を近づけたポーシャーはスンスンと臭いを嗅ぐ。吹きかかる鼻息がくすぐったく、ピクリと跳ねて反応してしまう。 「うっ!?」 その動きに怯えたのかポーシャーは一歩後退りする。大きく見開かれた瞳は細かく揺れて動揺が見て取れる。 いつもは何を考えているか分からないポーシャーの、その大きな瞳から彼女の感情が読み取れる今の状況が楽しかった。 「どうすればいい?」 それでも彼女は逃げずに聞いてくる。それ程までにアレの素材としての価値が高かったのだろう。思わず押し倒してしまいたくなるが、そうはしない。慎重に手順を踏んでゆっくりと確実に彼女を手に入れるのだ。 だから。 「まずは両手で、ゆっくり擦ってみて」 ポーシャーの小さな手を、熱い採取ポイントに導いて、彼女に素材を搾り取らせた。 拙い動きで必死に素材を搾り取ろうとするポーシャーの姿は、それだけで採取ポイントを昂らせるには充分だった。 その日ポーシャーは小瓶3本分の素材を持ち帰った。 アレの素材として価値は相当な物だったのだろう。それからポーシャーは足繁く教団に通うようになった。最初は3日ごとだった訪問も、やがて2日ごとになり、ついには毎日になっていった。 素材絞り方も変わっていった。最初は手だけだったものが、胸で挟むようになり、口で吸い出すようになり、足で搾り取るようになっていった。そしてポーシャー自身の中を使って搾り取るようになるまで、さほどの時間は掛からなかった。 「ふっ...ふっ...ふっ...!」 そして今、ポーシャーは私の上で息を荒げている。 両手を私の胸に突いて、大きく股開いて私の腰に乗り掛かっているのだ。 タンタンタンタン... 柔らかい肉と肉がぶつかる音がリズミカルに響く。ポーシャーにしてみれば大きく太すぎる採取ポイントが、今ではすっかり彼女の中へと収まっていた。 これでも最初は半分程も入らなかったのだ。それでも素材の採取には困らなかったが、ある時ポーシャーが採取中に足を滑らせた。私の腰に跨ったまま、全体重を採取ポイントに預けてしまったのだ。 その時ブツリという肉の裂けるような感触と共に、採取ポイントは初めて彼女の最奥まで侵入した。あの時は普段の彼女からは想像も出来ないような、まるで大きなヒキガエルが潰されたような悲鳴を上げて気絶してしまった。 エーリアスでは本来なら死んでしまうような傷あっても再生してしまう。だからだろう。ポーシャーの股はすぐに快復した。しかし、それ以降は何の問題なく採取ポイントを丸呑みに出来るようになったのだ。エーリアスの不思議である。 「ポーシャー...そろそろ...」 そう言って私は小さな彼女の身体を抱き寄せる。背中腰に手を回して、結合部から素材を1滴も漏らさぬように全身を密着させる。そんな私の腕の中で上気した身体震わせながら、ポーシャーが大きな瞳でじっと私を見つめていた。 「ポーシャーはいつも素材を絞る時に私を見つめてるね?」 何とは無しにそんな事を聞いてみる。 今思えば、手でする時も、胸でする時も、足する時でさえポーシャーはその大きな瞳で私を見ていた。私の採取ポイントではなく、必ず私の顔の方を見つめていた。 「そっちの方が沢山でるから。気付いてなかったの?」 確かに私はポーシャーの瞳が好きだ。だけどそこまで好きだったとは自分でも気づいていなかった。改めて言われると少し恥ずかしい。ポーシャーの中で最後の一滴まで素材を絞り出してから、彼女を腕の中から解放する。 疲れたのかヨタヨタと立ち上がったポーシャーはガニ股になって自分の股にビーカーを当てる。器用に片手で自分の入り口を開いて、そこにビーカーを当てればドボドボと白い素材が溢れ出てきた。 ポーシャーはすっかり私の素材に夢中である。毎日の様に私の元へと通い、体を重ねる関係になった。私は完全にポーシャーを手に入れたのだ。充足感に包まれながら何とは無しにポーシャーへ話しかける。 「最近、ポーションの作成は順調?」 そう聞かれたポーシャーの瞳が悪戯っぽく揺れる。最初の頃は無表情で感情の読み取れなかった彼女の瞳の、その表情までもが読み取れるようになってきた。 「あんまり順調じゃないわね...最近、手に入らなくなった素材があって...」 ポーシャーのポーション屋は新しい素材で順風満帆だと思っていたが、実はそうでも無かったらしい。 ここはポーシャーを手に入れた男としての甲斐性を見せねばなるまい。 「何か珍しい素材かな?教団の力で探させるけど?」 公私混同と言われるかもしれないが構わない。教団の運営はそれなりにちゃんとやっているのだ。それに無償渡すわけではなく、パートナー契約の特別価格で卸すだけだ。これくらいは問題無いだろう。 「別に珍しくは無いんだけど...みんな嫌がって売ってくれないのよね」 みんなが売るのを嫌がる素材と言われても、いまいちピンと来ない。 「何て素材?教えてくれたら私も探してみるけど...」 そう言う私を見つめるポーシャーは、何故か勝ち誇った表情をしていた。普段とは変わらないはずの無表情なのに、そう見えた。そんなポーシャーに何故だか自分はもう逆らえない気がして、背中に冷たい汗が流れる。 「魔女の経血」 そう告げる彼女の顔は誰でも分かる程の満面の笑顔だった。ただし、それは獲物を捕らえた蛇のような粘着質な執着を纏わり付かせていた。 「へっ!?」 自分でも間抜けな声が出たと思う。そしてポーシャーの言葉の意味を考える。いや考えるまでも無く理解してしまっている。 「もう半年くらいは採れてないわね」 普段よりもムッチリとふくよかさを増したお腹を撫でながらポーシャーが囁く。 経血とはつまり、生理の時に流れる血の事である。それが半年も採れないという事は、半年も生理が来ていないという事。それはつまり... 「そろそろ覚悟を決めてね?教主パパ」 そう言いながら私の手をそっと自身のお腹に重ねるポーシャーに、ようやく理解が追いついてきた。 これは。 私がポーシャーを手に入れたんじゃない。 ポーシャーが私を手に入れたのだ。 だけど結局、それはどちらでも同じ意味で、まぁ人生こんなものかと思い、もう一度ポーシャーを抱き寄せてヘッドへと押し倒した。