田舎の郊外にある、戸建型のラブホテル。その中で、赤いタンクトップ姿の虎獣人──虎彦が、人間の中年男性と抱き合って口付けをしていた。  虎彦はつい最近まで、同い年の人間の幼馴染──博之に想いを寄せていたが、その恋は成就しなかった。何故ならば、博之に恋人ができてしまったからだ。しかもその恋人は、虎彦もよく知っている、同級生の友人だったのである。  失恋した虎彦は半ばヤケになり、同性愛者専用の出会い系サイトに手を出した。そこで、経験豊富な人間の中年男とマッチングして、今に至る。 「ぷはっ。君みたいな可愛い子とエッチできるなんて嬉しいなあ。おじさん、今日は頑張っちゃうね」 「……よろしくっす」  長い口付けの後、虚な目をした虎彦はベッドに腰掛ける。中年男も隣に腰掛けた後、虎彦を抱き寄せてゆっくりと押し倒した。 「エッチな匂いがするねえ」  中年男は、虎彦が身に着けている赤いタンクトップを捲り、黄色のふさふさした獣毛に覆われた腹部に顔を埋めた。 「っ……! そんなとこ、嗅ぐなよ……」  そう言いながらも虎彦は抵抗せず、天井を仰いだまま動かなかった。  中年男は構わず、タンクトップの裾をさらに押し上げた。鍛えられた腹筋の上を、ざらついた指先が這い上がる。 「んっ……」  指先が乳首の近くをかすめた瞬間、虎彦の口から抑えきれない吐息が漏れた。そこが性感帯である事を悟った中年男が、乳首を強くつまむ。その瞬間、 「うあっ!」  虎彦の背中がびくりと弓なりに反った。  出会ってまだ間もない男に体を預けているという事実が、背徳的な快感を虎彦に与える。 「あっ、そこは……!」  中年男は一頻り虎彦の乳首を弄んだ後、虎彦のズボンの膨らみに手を伸ばした。 「元気だねえ」  ズボン越しでも分かるほどの熱さと硬さに、中年男はごくりと唾を飲む。 「っ……!」  指の腹が布越しに肉棒の輪郭をなぞる度、虎彦の身体は小刻みに震えた。ズボンの前面に、じわじわと染みが広がっていく。 「窮屈そうだね。取っちゃおっか」  そう言いながら、中年男はベルトに手をかけた。カチャリと金具が外れ、ジッパーを下ろす音が部屋に響く。 「わあ、ビンビンだねえ」  中年男が下着ごとズボンを引き下げた瞬間、怒張した雄が姿を現した。皮を被っているが、鈴口の部分は露出しており、先端からは我慢汁がとろとろと溢れ出ている。  勃起した秘部を初めて他人に見られた事が恥ずかしいのか、虎彦の耳はぺたんと伏せられ、頬はみるみる内に赤くなっていった。 「っ、くっ……!」  中年男の指先が虎彦の肉棒に触れる。その瞬間、虎彦の肉棒がびくりと大きく跳ねた。 「先走りが止まらないねえ。エッチだなあ」  中年男は指先で包皮をゆっくりと剥いた後、先端から溢れる先走りを亀頭に塗り込むように指を動かした。  くちゅくちゅと音が鳴るたび、虎彦の腰が揺れ動く。 「う、あ……っ!」  歯を食いしばりながらも、虎彦の喉の奥から堪えきれない声が零れ落ちる。 「……っ、そこ、やば……っ」  亀頭の裏筋を指が滑った瞬間、虎彦の身体の震えが大きくなった。  中年男はこういった行為に手慣れている様子だ。裏筋をなぞった後、人差し指の先でカリ首や鈴口もなぞる。  鈴口から裏筋、裏筋からカリ首、カリ首から鈴口──中年男の指先はそれらを何度も往復し、虎彦が感じる部分を的確に攻めた。 「ちょ、待って……出る、出ちまう……!」  腹の奥から込み上げてくる射精感を抑えるために、腰を引こうとする虎彦。しかし中年男はそれを許さず、追い打ちをかけるように肉棒を強く掴んで上下に動かした。 「ほら、遠慮せずにぴゅっぴゅしちゃいなよ」  中年男は下品な笑みを浮かべながら、手の動きを早める。 「あっ、が、あああぁっ!!」  咆哮と共に、虎彦は絶頂を迎えた。濃厚な白濁液がびゅるびゅると噴出し、中年男の手を白く染め上げる。  雄の臭いが、むわりと辺りに広がった。 「へへ……今度はこっちを気持ちよくしてあげるね」  中年男は、精液がべっとりと付着した指で虎彦のアナルに触れる。 「そこは……っ!」  中年男は精液の滑りを利用して、キュッと閉じたアナルの表面をくるくると円を描くように撫でる。  虎彦は反射的に腰を引こうとしたが、イった直後の脱力で思うように動けないようだ。 「ほおら、入っちゃうよお」  中年男は構わず、人差し指の第一関節をゆっくりと入り口に差し込み始めた。 「っ、てぇ……!」  きつい括約筋が異物を締め出そうと抵抗するが、たっぷりの精液が潤滑剤代わりとなり、ずぷ、と先端が呑み込まれる。 「ぅ、ぐ……っ!」  痛みとも違和感ともつかない、内側をこじ開けられる感覚に、虎彦は眉を顰める。だがそれも僅かな間。 「あ、ああっ……」  中年男の指先が前立腺を圧迫した瞬間、虎彦の表情は快感で蕩けた。 「もう一本入れるね」  中年男は中指も彼の中に挿入し、前立腺をコリコリと抉った。  二本の指で前立腺をぐりぐりと刺激され、虎彦の口から艶やかな声が漏れる。 「うああっ!」  射精したばかりで萎えていた虎彦の肉棒が、再び硬くなっていく。 「が……っ、んあああっ!?」  二本の指が前立腺をキュッと強く挟んだ瞬間、虎彦の全身が小刻みに震えた。  「な、なんだ、これ……っ!」  射精していないのに、射精したかのような快感が虎彦を襲う。俗に言う、ドライオーガズムである。 「そろそろ、おじさんのちんぽを入れても大丈夫そうだね」  中年男が自らのベルトを外し、ズボンと下着を下ろした。  露わになった中年男の肉棒は太く、亀頭部は赤黒い。使い込まれている事が一目瞭然である。 「あっ……」  中年男は虎彦の両脚を持ち上げ、M字に開かせた。そして、ひくついているアナルに肉棒の先端をあてがい、ゆっくりと腰を進め始める。 「ぅ、ぐ……っ、あ……!」  指とは桁違いのモノが、内壁を押し広げていく。じわじわと、しかし確実に奥へ。 「処女喪失おめでとう、虎彦くん」 「っ、うるせ……処女とか言うな……、あっ!」  ずちゅっと音を立て、中年男の肉棒が根元まで挿入された。 「で、でっけえ……っ!」 「ここからが本番だからね。覚悟しなよ」  中年男はゆっくりと腰を引き、また奥まで押し込んだ。ずちゅ、と腸液が音を立てる。  腰を引き、奥へ押し込む。中年男がその動きを繰り返すうちに虎彦の中が馴染み、抵抗が薄れていく。 「ぁ……あっ……ん、ふ……っ」  突かれるリズムに合わせて、虎彦の口から自然と嬌声が漏れ始めた。  博之の顔も、失恋の痛みも、全部中年男が与える快楽に塗り潰されて消えていく。 「おっさん、もっと……っ!」  虎彦は自ら腰を振り出し、さらなる快感を貪り始めた。ぐちゅぐちゅと、結合部から淫らな音が響く。 「いいねえ、虎彦くん。気持ちいいよお」  中年男が腰を振るペースを上げる。部屋中に、肉と肉がぶつかる音と虎彦の嬌声が響く。 「この穴、おじさん専用のちんぽケースにしちゃおっか」  中年男は虎彦の両脚を抱え直し、さらに深くまでペニスを突き入れた。 「んおおおおっ!?」  結腸を押し上げられ、虎彦は獣のような叫び声を上げる。  内臓を直接揺さぶられるような衝撃。脚を抱え上げられた体勢では逃げようがなく、がつがつと奥を穿たれ、虎彦はただ身体を震わせるしかない。 「あ、あ、ダメだ、また……っ!」  虎彦は全身を痙攣させながら、再び大量の精液を撒き散らした。  中年男も限界が近いのか、呼吸が荒い。 「はあ、気持ち良すぎてそろそろ出そうだよお」 「あがっ、あ、……な、中に出すのか……っ?」  虎彦は涙と涎でぐしゃぐしゃの顔で、そう問いかけた。その問いに中年男が頷くのを見て、一瞬だけ迷うような表情が浮かんだが。 「……分かった。出せ……全部……っ!」  虎彦は脚を男の腰に絡め、引き寄せた。 「いい子だねえ。じゃあ、お望み通りたっぷりと注いであげるよ……!」  低い呻き声と共に、中年男は大量の精液を彼の中に放った。 「ぁ……っ、熱い……!」  どぷどぷと注ぎ込まれる熱が、虎彦の中を満たしていく。彼は絡めた脚にぎゅっと力を込め、一滴も零すまいと中年男を奥深くに咥え込む。 「ふうー、最高だったよ」  中年男が最後の一滴まで搾り出し、ようやく動きを止めた。  繋がったまま、しばし二人の荒い呼吸の音だけが部屋に響く。  二人はしばらくそのままの姿勢でいたが、やがて中年男がゆっくりと肉棒を抜いた。その瞬間、ぽっかりと開いたままのアナルから濃厚な種汁がとろとろと溢れ出す。 「……ははっ」  仰向けのまま天井を見上げる虎彦の目は、まだ焦点が定まりきっていない。  涙の跡、涎の痕、汗まみれの獣毛。ぼろぼろの有様だったが、虎彦の口元にはどこか晴れやかな笑みが浮かんでいる。  何もかもを吹っ切った。そんな表情であった。   【了】