少女の手には幾枚かの紙幣が渡された――だが指がぱらぱらとそれらをめくると同時に、 手渡した男の手が、乱雑にほとんど全てを引ったくる。残ったのは一枚きりである。 横暴な振る舞いに彼女は少し不満そうな表情を浮かべはすれど、抗議の言葉は出なかった。 その隣に勢いよく腰を降ろした彼の唇が、薄い唇を包み込むように貪っていたからである。 はらりと落ちた最後の一枚は、抜け目なく男の指が掴み――彼の懐へ。 宿の一室には、ただ男女が舌を舐り合う水音だけが響く――息継ぎの音がそこに混ざっていく。 顔を離せばもう、少女の顔は期待と興奮とに真っ赤になってしまっていて、 数瞬前のことなどもう覚えていないも同然だ。男自身、そのことをよく分かっている。 今度は軽い口付け。何度も何度も、酸素を取り込ませながら、唇の感触を覚え込ませる。 その間、男の手は少女の肌を――彼が部屋に入ってくる前からずっと裸であった肢体を舐める。 平たい、雌としての凹凸に欠けた身体。短く切り揃えられた深緑の髪、中性的な顔のせいで、 彼女は時折、少年にさえ間違えられることもあった――だがその心配はもうない。 男の指はさらに、肋骨に触れるのであった。細い身体、薄い身体、長らく旅をしてきた彼女は、 不安定な栄養状態のせいもあってか、不必要な脂肪はほとんど付いてもいなかった。 なのに今はどうだ。段々をなぞり上げて胸部に移るや否や、指先は確かにそこにある、 雌臭く盛り上がった小さな丘を、糾弾するかのようにしつこくこね回すのである。 甘い声は、ただ彼のために吐かれていた。雄に媚びる雌のそれであった。 彼の握り拳より小さく薄い盛り上がりでこそあれ、そこにあるのは紛れもなく乳房であった。 男はその薄い胸を――手の中で空気の抜けた鞠でも転がすように弄ぶ。 そしてお待ちかねの、ふるふると切なく震える乳頭にも手をかけていく。 ぴん、と爪の先で弾かれると、その振動は少女の全身に広がって、弓なりに反らせるのだった。 それが左右の乳房の突端から、男の好き勝手に気まぐれに訪れてくるのだから、 びくんびくんと震える身体は、哀れにも全身に汗をかき――てらてらとした光を纏わせる。 指で摘まれようものならもうだめである。歯を食い縛って刺激に耐えようとしたとて、 波はいくらでも後から後から押し寄せてくるのだ。汗だけでなく鼻水も涙も、 彼女の整った顔を――雌臭く火照り、蕩け、理性の欠片すら残らぬ顔を、ぐちょぐちょにする。 やがて男の余った中指から小指は、ぷっくりした乳首の外周から内側へ圧を掛けるように掴む。 何をされるか悟った少女は、呂律の回らぬ舌で彼に懇願するが―― 細く白い筋が、室内灯の作り出す光の中を二本、弓なりに弾かれて噴いていく。 男は意を得たり、とばかりに少女の顔を見下ろしながら、指は止めない。 二筋は噴いたり止まったりしながら、時に彼女自身の肌をもしっとりと濡らすのだった。 黒く染まった乳輪は、無論旅をしていた頃には無縁のものであった。 弄り尽くされて、触られただけで腰の抜けるような感度も同様である。 このような厄介物を、分厚い革の服の中に押し込めておくことはもうできない―― 彼女が裸体でここに飼われているのも、半ば必要に駆られてのことであった。 どうせ彼に身体を差し出し、自分の生活費を稼いで――支払う他にすることはないのだから。 相棒の二輪車は今、どうなっているのだろう。それを考える時間も、日毎に短くなっている。 彼によって仕込まれた身体は、一人で抑えつけておくにはあまりに敏感に過ぎる。 男の来訪を待つまでの間、部屋に置かれた本やら電子機器やらを触りながら――彼女の手は、 ほとんど無意識のうちに、乳首か、もしくは股間周りを弄るようになっている。 快楽の空白、刺激の欠如に耐えられぬのである――元より流されやすい質とはいえ。 そして彼が訪れてくれると、彼女は扉の前にて出迎え、期待に蕩けた雌の顔を見せるのである。 ここ最近、男は彼女の身体の新規開拓を始めたらしかった。乳首も股間も、触るだけで震え、 すぐにびとびとに濡らし尽くして彼の慈悲を乞いねだる器官に作り変えられていたが、 そこを義務的に弄くり回すだけでは、やはりつまらなかったのだろう。 男の指は――ねとねととした雌潮をまぶされたまま、正中線を登っていく。 本来なら、彼女の薄い肢体に沿って行けば――手は平行に進むはずだった。 だが今では、手は現れた坂を登るために弧を描いて上がっていく。どこを目指してか? 当然、ぷっくりと膨れて存在を主張する臍に向けて、である。 男の指は、彼女自身が垂れ流したそれらの液体を臍に塗りたくるように撫で回し、 爪の先で、かり、かり、かり、と引っ掻く。本来皮膚の奥側に引っ込んでいるはずの、 ほとんど外気に晒されないはずの――無防備な、第三の乳首を。少女の声は上ずる。 自分の腹部が膨らんでいる――そこに生命を宿していることを、否応なしに突きつけられて。 この国への滞在費を稼ぐという名目で差し出した身体は――もうとっくに差し押さえられていた。 男は彼女の本能を楽しみ終えると、臍に舌を這わせ、ずろろろと、大きな音を立ててしゃぶる。 その姿は、赤子が乳首を舐るようでもあったし――蛞蝓が餌をこそげ取るようでもあった。 更なる刺激に、少女の脳は抗えぬ。ただ声と身を震わせ流されるだけである。 そして耐えきれずにどさり、と寝床に背から倒れ込んだなら、蛞蝓の標的は、 快楽によって独りでに乳汁を垂れ流していた左右の乳首へと向かっていく。また、声が蕩ける。 そしてご丁寧に、男の指はひくついた淫肉をほぐしながら、中の具合を整えてやるのだ。 狭すぎて、子を産むにはまだまだ仕込みの足りない彼女の膣道を――広げてやるために。 腹部の大きさこそ臨月に達しておれど、まだまだ狭く、きついその膣は彼のものしか知らない。 赤子の頭は、それよりずっと手強い――彼からしてみれば、これは親切心だ。 重ねた指を三本、あっさり咥え込むぐらいに拡張し、黒々とした陰唇に育っていても、 これから先、もっと大きなそれを何度も通さねばならぬものであるのだから―― 臍と、乳首と。三箇所を容赦なく吸い上げられ、舐られた少女は、 くったり倒れ、眼の前で手がひらひらと踊っても反応を示さない。 男は振りかぶった手を、その大きく丸みを帯びた臨月胎にばしんと打った。 一発目ではまだ起きない。二発目と共に、勢いよく潮が噴き上がって彼の手を汚す。 三発目を打たれてようやく、少女の意識は現実に戻ってきた――それを確認すると、 男は自分の手形の残った彼女の腹を丁寧に優しく撫で、ひりつきをとってやりながら、 一方で、固く反り返った己の性器を、彼女の臍下に荒々しく押し付けるのである。 自分の処女を奪い、孕ませ、支配している彼のもの――本来なら忌むべきその熱に、 少女は逆らうことはできない。彼が今から与えてくれる快楽を知ってしまっているから。 奥の奥まで、ぐちゃぐちゃに掻き回されて、押し潰されて、吐き出されて―― それが雌としての自分を、どうしようもなく満たしてくれると知ってしまっているから。 思わせぶりに、少女は自分のぼってり膨らんだ腹を撫で、彼を見上げる。 もうすぐ産まれそうなのに、本当にするんですか――そんな目つきで。 それが単なる言い訳作りでしかないことを、彼女が一番よく理解しているのだ。 目にも口にも、拒絶の意思など一切表れてはいないのだから。 男の性器がすんなりと――けれど絡みつくような狭さの中を割り入っていく。 元から小さな体躯、臨月ともなればさらに浅く狭くなった膣内は、収めるだけで精一杯―― なのに、あたかも最初からそう作られていたかのようにすんなりと奥へと飲み込まれていって、 すっぽり、と収まった彼の先端は、もう子宮口の真ん前に届いているのだった。 それを――抜いて、刺して、抜いて、刺して、押して、抜いて、焦らして、一気に、ぶち込んで。 産婦相手とは思えない激しさで、男は腰を振る。産婦とは思えない淫らさで、彼女は甘える。 もう既に、彼女は彼に飼われて――その子をひり出す以外の生き様を持ち得ない。 銃も、二輪車も、無用の長物である。とっくに、生活費として売り払ってしまった。 彼に飼ってもらうために。産まれてくる娘共々、面倒を見てもらうために。 その姿は酷く歪に性成熟した――子供でも大人でもない、発情した雌の獣でしかなかった。