「ぐ……うぅぅぅぅ!!!」 「むー!!むー!!!!」  女が二人、拘束されている。  字面だけではどちらの唸り声か判別がつかないが、ボールギャグによって口を塞がれているのだから、それを区別をする意味はないだろう。  赤い髪の女の名はキスキル。  後ろに延ばされた両腕を黒いラバー質の拘束具で纏められ、両膝もそれぞれ畳まれた状態で固定されている。  青い髪の女の名はリィラ。  腕の拘束はキスキルと同様だが、両足を一本に纏められ、独立して動かせないという点においてはキスキルよりも悲惨だった。 「うう……うー!」 「む……ぐ……!」  二人の現状に共通している点は、拘束具以外の衣装は無いことと、どんなに力を籠めてもその拘束が緩む気配がないということと、その体勢が這いつくばらされたものであるということ。  両腕を後ろに固定された彼女らは、四肢を支えにして四つん這いになることさえも叶わない。  その豊満な乳房は自重によって潰されて歪んでいた。  軽く試してみるだけで分かることだが、かなり負担のかかる姿勢である。  だからこそ早く抜け出したいのだろう。  どうしようもないと解っていながらも抵抗をやめないのは、そうでもしていないと気が触れてしまうからであった。  それから、二人とも目に涙を浮かべていた。  何故このような状況に置かれているかといえば、彼女らが怪盗であるからに他ならない。  目には目を、歯には歯を。  こんなことをされても、自ら社会を外れた者に手を差し伸べるものはいないのだから。  無論、私刑行為は遵法意識に欠けているが、男であれば誰でも目を奪われる美女二人である、というのが今回は最悪な結果を招いてしまった。  盗みに入った屋敷には「そういった道具」が多く備えられており、今現在彼女らもその毒牙にかかっているのだ。 「抵抗は無意味……と、分かっていてもいなくても、それはどうでもいい。抗おうと、諦めようと、どちらでも良い味がするから」  屋敷の主は、線の細い青年だった。  両親を亡くしてからというもの、自分を解放して性癖のままに生きているようだ。 「まぁ、これを射れたら多分、嫌でも動きたくなるけどね」 「んうっ!?」 「ううううーー!!!!!」  青年が取り出したのは、注射器だった。  ろくでもない薬剤なことは、誰にでもわかる。  キスキルは両膝を交互に前に出し、リィラは芋虫のように身体を伸び縮みさせて逃げ出そうとした。  プライドを捨ててまで選んだ滑稽な逃走方法は、事実として人間の歩行よりも遅く、なんの結果も伴わない。  結局、キスキルがすぐに追いつかれて、上から抑え込まれた。  辛うじて立たせていた膝も、開脚して字面に押し付けられる。  身体が柔らかいキスキルだから痛みこそないが、それ以上に屈辱と絶望があった。 「んーーー!!うーーー!!」 「大丈夫、医師免許は持ってるから」  笑いを含みながら言い放つと、確かに注射自体はすぐさまに終えられた。  さて、その間のリィラはというと……。  必死に、必死に逃げおおせようとしていた。  相棒を、見捨てて。 「んう゛うぉぉぉ!!!!」  それを見たキスキルは、何を注射されたのか考える事も忘れて、唸り声をあげた。 「面白いもの見せてくれるなぁ」  青年はしばらく二人を観察してから、リィラの元に歩き出した。  リィラはドアの前まで辿り着いたものの、開ける手段を持ち合わせていない。  ドアノブまで、頭さえも届かない。  ゲームオーバーという表現は、正しくないのだろう。  既に、最初から、文字通り手も足も出ていないのだから。 「じゃあ、君にもね」 「うっ……うっ……!」  裏切った自責と、そうまでしてでも成果のなさ。  リィラは流す涙を増やし、塞がれた口の中で嗚咽していた。 「うっ……うああっ……♡」 「……?」  リィラは涙を拭うことができないので視界がボヤけているが、キスキルの変化を感じ取った。  数少なく自由な部位の耳から聞こえる声が、セックスをする時のような、喘ぎ混じりのものになったからだ。  何が起きているのかを考えている間に、リィラにも変化が訪れる。 「む……♡うううっ♡うー♡♡♡」  気持ちが良い。  オナニーに耽っている時のヴァギナの感覚が、全身に広がったような気持ち良さ。  そして、潰れた乳房の先端に、液体のような濡れた感触。  状況から考えて母乳に他ならないのだが、「妊娠してないのに」という事を彼女たちは省みることはできなかった。  理由はシンプルで、それどころではないからだ。 「ううーーー♡♡」 「ふーっ♡ふーっ♡」  もぞもぞと再び動き出すキスキルとリィラ。  しかし、それは逃げ出すためのものではなかった。  全身の疼きを抑えたい、直接的に言えばオナニーがしたいから。  でも、できない。  拘束は強固で、涙と唾液と母乳を垂れ流して床を汚すことしか今の彼女たちにはできないのだ。 「ん……♡おおおううう♡♡」 「ぶううう♡♡♡うううううう♡♡♡」 ……否。  たった今、そこに愛液が追加された。    触れられてもいないにも関わらず、股間から液体が滲みだすほどに、その媚薬は強力だった。 「準備万端ってところかな?じゃあ始めようか」  青年はリィラを持ち上げてキスキルの傍に戻すと、今度は引き出しから様々な道具を並べ始める。  そのどれもが強力な振動を与えたり、電気を流したり、ピンポイントで吸い取るような用途のものだ。 「とりあえず、これかな」    一般的には健康器具として販売されているそのマッサージ機二つにスイッチを入れると、ぶぃぃぃん、とけたたましい音が鳴り響く。 「ふぅぅ♡♡ふぅぅ♡♡」 「ふぅぅ♡♡ふぅぅ♡♡」  それに対して二人は尻を突き出して振り、全く同じ声色で快楽をねだった。  字面だけではどちらの唸り声か判別がつかないが、どちらも同じ思考と感情なのだから、それを区別をする意味はないだろう。