メル・アンバー [露天風呂]
がらりと扉を開け、少年がひとり入ってくる。
メル・アンバー [露天風呂]
「ラッキー。誰もいないや」
洗い場で手早く身体を流し、湯船に肩までゆっかりと浸かる。
メル・アンバー [露天風呂]
「……はぁぁ……」
メル・アンバー [露天風呂]
「誰もいないなら、まあゆっくりできるな」
「まあ見られて困るもんもないけど……」
マキリッサ [露天風呂]
「こ、こんばんは」しかしそんなところに女性が入ってきた
メル・アンバー [露天風呂]
「どうもー、こんばんは」
マキリッサ [露天風呂]
「失礼しま…あら、その角は…?」軽く体を洗ってお湯に入るところでメルさんの角に気づく
メル・アンバー [露天風呂]
「ああこれ? ボクはミノタウロスのウィークリングだから」
「この浴場で暴れるようなことはしないから安心していいよ」
マキリッサ [露天風呂]
「あ、そうなんですか。私も人間に見えるかもしれませんが、バーバヤガーなんですよ」種族を聞くと、なんだか気安くなった
メル・アンバー [露天風呂]
「バーバヤガー……なるほど。初めて見た」
「確かに人間にしか見えないね」
マキリッサ [露天風呂]
「別に私も人間とは敵対していないですけどね。せっかくなので、よろしくお願いします」
メル・アンバー [露天風呂]
「よろしくねー」
マキリッサ [露天風呂]
「どうも。あ、私はマキリッサといいます」
メル・アンバー [露天風呂]
「ボクは、メル・アンバー。メルでいいよ」
マキリッサ [露天風呂]
「はい。私もマキでもいいですよ、メルさん」
メル・アンバー [露天風呂]
「マキさんは冒険者なの?」
マキリッサ [露天風呂]
「一応…そうですね。そろそろ独り立ちしろと母に言われて森を出て。3年くらい冒険者をしています」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうなんだ……それで冒険者ってのも大変そうだけど」
マキリッサ [露天風呂]
「一応、魔法や生活技術は母に教わったので…。それを言ったら、メルさんもこれまで大変だったのでは?」
メル・アンバー [露天風呂]
「あー……まあね」
「ボク、こう見えても男なんだけどさ。知ってると思うけどミノタウロスのウィークリングの男って、死ぬ可能性が高いんだよね」
マキリッサ [露天風呂]
「はい。ミノタウロスは力が全てなので、厳しいとは聞いています」蛮族事情はそれなりに詳しい
メル・アンバー [露天風呂]
「母親がボクを女の子と偽って育ててくれたから今日まで生き延びることが出来たんだよね」
マキリッサ [露天風呂]
「ああ、なるほど…ウィークリングでも、母体は保護されると言いますからね」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうそう。子どもを産むからね」
「ま、それで蛮族領を逃げ出して……冒険者になったって感じ」
マキリッサ [露天風呂]
「なるほど…聞きにくいのですが、お母様は…?」さすがに聞きにくそうだがここまで聞いてしまったので
メル・アンバー [露天風呂]
「一緒に逃げ出したけど死んじゃったよ。病気でね」
マキリッサ [露天風呂]
「そう、でしたか…ご冥福をお祈りします。こんな行きずりの女が何を、と思うかもしれませんが」
メル・アンバー [露天風呂]
「いいよ。ありがとね。マキさんは優しいね」
マキリッサ [露天風呂]
「いえ…私も、母は大事に思っているので。厳しい人でしたけどね」
メル・アンバー [露天風呂]
「マキさんのお母さんは?」
マキリッサ [露天風呂]
「普通の、森に住むバーバヤガーですよ。行きずりの冒険者と恋仲になって、私を産んだんです」
メル・アンバー [露天風呂]
「へえー。行きずりの冒険者と」
マキリッサ [露天風呂]
「…父親とは一応、円満に別れたそうです。まあ、私は顔も覚えてないんですが」
メル・アンバー [露天風呂]
「……そうなんだ」
マキリッサ [露天風呂]
「…なので少し、冒険者に憧れていたところはありますね。なってみると、稼ぎが極端な職だと思いますけど」
メル・アンバー [露天風呂]
「ふーん。それもあって冒険者になったんだね」
マキリッサ [露天風呂]
「はい。まあ、父親は生きていてもそろそろおじいさんのはずなので探したりはしていませんが」
メル・アンバー [露天風呂]
「父親に会いたかったりするの?」
マキリッサ [露天風呂]
「どうでしょう…偶然会ったら話すことはあると思いますけど」
「さっき言った通り、顔も覚えていないし、名前は母から聞いたくらいですからね…」
メル・アンバー [露天風呂]
「うーん、それじゃあ、難しいね」
マキリッサ [露天風呂]
「はい。バーバヤガーならよくあることだと思うので、別に悲しいとかではないんです」
「でも、気を使って色々話しかけていただき、ありがとうございます」礼儀正しくお礼を言いました
メル・アンバー [露天風呂]
「いやいや……単純にボクが気になって話しかけちゃっただけだから」
マキリッサ [露天風呂]
「それを言ったら、角について言ったのは私ですしね。ウィークリングの方は、話しやすいんです。私の種族のこととか」
メル・アンバー [露天風呂]
「確かに、こんな分かりやすい特徴があるし、話しかけやすいだろうね」自分の角を指差しながら。
マキリッサ [露天風呂]
「…はい。バーバヤガーは、種族的に|蛮族《バルバロス》とは子を成せないので。逆に気楽に話しやすいというのもあります」
メル・アンバー [露天風呂]
「なるほど。逆に人間だと話しにくいんだ?」
マキリッサ [露天風呂]
「はい。パートナー候補として見てしまうので…。私たちは、子を成してこそ一人前ですから」種族事情
メル・アンバー [露天風呂]
「そっかー。ミノタウロスもそうだし、どこも同じか」
「まぁでもマキさん美人だしすぐ見つかりそうだけどな」
マキリッサ [露天風呂]
「そうですね。種の本能であり、伝統でもありますから」前者に
「び…えへへ、そうですかね…?ありがとうございます」
メル・アンバー [露天風呂]
「そう思うよー」
マキリッサ [露天風呂]
「えへへ…メルさんも、綺麗なお顔だと思いますよ。褒め言葉になるか、分かりませんが」
メル・アンバー [露天風呂]
「知ってる。ミノタウロスを騙せるくらいの美貌だからね」笑いながら。
マキリッサ [露天風呂]
「なるほど、それはとっても美人さんです」軽く笑いつつ
メル・アンバー [露天風呂]
(にしても本当に美人だな、バーバヤガーっていうのは)
マキリッサ [露天風呂]
「ちなみに…メルさんは、好きな人とかいます?」リラックスしてるのでこんなことも聞いて来た
メル・アンバー [露天風呂]
「うん、いるよー」
マキリッサ [露天風呂]
「わっ、いるんだ。どんな方です?…あっすいません、つい好奇心で」
メル・アンバー [露天風呂]
「ドーンのニンジャなんだけど……強くて、身軽で……ボクとは全然違う戦い方する人」
「とにかく、悔しいくらい格好いいんだよ~」
マキリッサ [露天風呂]
「ドーン!なるほど、これまた珍しいですねえ。いや私が言うことじゃないですが」
メル・アンバー [露天風呂]
「ふふ、そうだね」
「……あと、ボクのこと変に扱わない。ボクがどんな格好でも、自然体で扱ってくれるから……」
「まあ、そういうところかな。好きなのは」
マキリッサ [露天風呂]
「ああ、なるほど。今でも女の子の恰好を?」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうだよ。可愛いボクに似合うからね」
マキリッサ [露天風呂]
「ですね。メルさんならとってもかわいらしいでしょうね♪」
メル・アンバー [露天風呂]
「ふふん。マキさんはいないの? 好きなひと」
マキリッサ [露天風呂]
「あはは…今一つ出会いがなかったもので。面目ありません…」
メル・アンバー [露天風呂]
「謝らなくてもいいよぉ」
マキリッサ [露天風呂]
「…ここだけの話なんですが、あまりに出会いがなくて男娼に体を見せてもらったことすらあります…」
メル・アンバー [露天風呂]
「へえ、男娼に」
マキリッサ [露天風呂]
「その…キスとか子作りはしてないんですけどね」
「…はい、言い訳ですね。不潔ですいません」
メル・アンバー [露天風呂]
「いや、全然不潔じゃないよ。いや不潔なのかな? でもボクは思わないな」
「それで、どんなことをしたの?」
マキリッサ [露天風呂]
「えっ!?えーと…」
「そのう…男娼さんのお股を洗ってあげて…その…両手でアレを包み込んで…こすってあげたり…?」
「…なに言ってるんでしょうね私!!」
メル・アンバー [露天風呂]
「いや聞いたボクが悪いんだけどさ……そこまで詳細に話してくれるとは……」
マキリッサ [露天風呂]
「あはは…メルさんが話しやすいものでつい…。はい、言い訳ですねごめんなさい」二回目
メル・アンバー [露天風呂]
「まあ、話しやすいなら良かったよ」
「……」
(想像しかけて頭を振る)
マキリッサ [露天風呂]
「えー、そういうわけなので…男の人のアレのことだけちょっと知ってるおぼこなんです、私。もっと、普通のことも知っていきたいですね…!」
メル・アンバー [露天風呂]
「あはは……応援してるよ」
マキリッサ [露天風呂]
「ありがとうございます…。メルさんとは、楽しく話せてありがたいです」
メル・アンバー [露天風呂]
「ボクもマキさんと話すの楽しくなってきたよ」
マキリッサ [露天風呂]
「えへへ…そういえば、ドーンは集落だと長老や忍び頭が結婚相手を決めると聞きますけど。メルさんの好きな人は、抜け忍とかですかね?」ドーンは忍者社会
メル・アンバー [露天風呂]
「多分そう……かな? ボクもあんまりドーンのこと詳しくないから自信ないけど」
マキリッサ [露天風呂]
「まあ、人族側にいるのなら基本は抜け忍だと思いますよ」
メル・アンバー [露天風呂]
「じゃあ、抜け忍だ」
マキリッサ [露天風呂]
「なるほど…じゃあ、そこは気を付けてあげた方がいいかもしれませんね」
「抜け忍は、集落から追手がかかることもあるらしいので」
メル・アンバー [露天風呂]
「まあ、シハンダイなら大丈夫だと思うけど……ありがとね」
マキリッサ [露天風呂]
「いえいえ。そういう試練を乗り越えれば、関係が進展するかもですし。…物語の読みすぎですかね?」
メル・アンバー [露天風呂]
「……むぅ」考える。
(シハンダイのピンチに颯爽と現れるボク……そして2人の仲は急接近……)
「……アリかもしれない」
マキリッサ [露天風呂]
「うふふ。守るために、そばにいる時間を増やせば、それはそれで関係が進展するかもですしね」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうかも。よし、張り付いてみるか……」
マキリッサ [露天風呂]
「…嫌がられない程度にね?」
メル・アンバー [露天風呂]
「た、確かに……」
マキリッサ [露天風呂]
「まあ、私も人ごとだから好きに言ってるだけだしね。実際は相手を見て、やり方を考えるといいと思う…かな?」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうだよねー。どういうアプローチにするか……」
マキリッサ [露天風呂]
「…私もそういうことで悩みたいわ。そういう意味ではメルさんがうらやましいかも」
メル・アンバー [露天風呂]
「……あ、そうだねごめん」
マキリッサ [露天風呂]
「謝らなくていいのよ。…私がまだまだ未熟なだけだしね」
メル・アンバー [露天風呂]
「未熟なのかなぁ? ボクにはよく分からないけど」
「ボクが人間だったらマキさんのこと放っておけないけどねぇ。話してて楽しいし」
マキリッサ [露天風呂]
「ありがとう。とはいえメルさんだからこうして話せるってだけで、人族相手だとなかなかね」
メル・アンバー [露天風呂]
「そうだった。ままならないね」
マキリッサ [露天風呂]
「ええ。お互い、ステージは違うけど…頑張りましょうね」
メル・アンバー [露天風呂]
「うん、頑張ろうね!」
マキリッサ [露天風呂]
「ええ。じゃあ、私はそろそろ出るけれど…せっかくだし、握手でもいいかしら?」
メル・アンバー [露天風呂]
「うん、いいよ」手を差し出す。
マキリッサ [露天風呂]
「ありがとう。メルさん。また会ったら楽しく話しましょうね」握手!
メル・アンバー [露天風呂]
「また会おうね、マキさん」握手をする。
マキリッサ [露天風呂]
「ええ、また」
そしてマキリッサは握手を終え、露天風呂を上がっていったのでした
メル・アンバー [露天風呂]
「……不思議なひとだったな」