白く泡立った石鹸が、指の間から滑り落ちていく。 排水溝へ吸い込まれる水音だけが、狭いバスルームに反響していた。湯気で曇った鏡の向こうに、自分の荒い息遣いが張り付いている。ここでしか、トビーは一人になれなかった。鍵をかけた扉の内側だけが、誰の目も気にせずに済む唯一の場所だった。 手のひらの中で、自身の中心が脈打っている。熱を持ち、硬く張り詰めたそれを自分の指で擦り上げるたび、虚しさが胸の奥に澱のように溜まっていった。 「……こんなんじゃ、足りない」 湿った空気の中に呟きが溶ける。どれだけ泡をまとわせて自分の手で慰めてみても、喉の奥が張り付くような渇きは癒えなかった。求めているのは、自分の無機質な指先ではない。熱を持った誰かの肌だ。自分を受け入れてくれる、本物の女性が欲しかった。 だが、視線を落とした先にある自分自身のモノを見るたび、トビーの胸には暗い羞恥心が湧き上がる。シャワーの湯で泡を洗い流しても、その異様なまでの大きさだけは消えてくれない。他の誰かと比べたわけではなくても、自分の身体に備わったそれが標準から外れていることは嫌でも分かった。重く、太く、主張しすぎるそれは、トビーにとって誰にも言えない密かな恥の種でしかなかった。 ``` * ``` きっかけは、ある日の夕暮れ時に訪れた。 母親に頼まれたお使いを終えた帰り道、偶然通りかかったクララ・コナーズが車に乗せてくれることになったのだ。彼女はトビーのクラスメイトの姉で、すでに結婚している女性だった。 「遠慮しなくていいのよ、トビー。ちょうど帰り道なんだから」 「あ、ありがとう、クララさん」 助手席のドアを閉めると、外の夕風が遮断され、代わりに甘い香水の匂いが鼻腔をくすぐった。 狭い車内だった。すぐ隣でハンドルを握るクララの横顔が、西日に照らされて淡く輝いている。綺麗に整えられたブロンドの髪が、彼女が首を傾げるたびにさらりと揺れた。視線を少し下げれば、薄手のブラウスの下で豊かな胸元がシートベルトに押し上げられ、深い谷間を作っているのが否応なしに目に入る。 トビーは慌てて正面のフロントガラスへと視線を戻した。だが、一度意識してしまった感覚は消えてくれない。ギアを変えるクララの白い指先、ペダルを踏むたびにわずかにずり上がるスカートの裾、そして隣から伝わってくる微かな体温。 鼓動が早鐘を打ち始める。ズボンの内側で、抑えようのない熱がみるみるうちに膨れ上がっていくのが分かった。 (まずい……っ) 生地を押し上げるほどの硬さと大きさに、トビーは冷や汗をかいた。深くシートに身を沈めて誤魔化そうとするが、窮屈な布地が擦れるたびに、かえって感覚が鋭敏になってしまう。 「……どうしたの、トビー? さっきから随分と静かだけど」 不意にかけられた声に、トビーの肩が跳ねた。 赤信号で車が止まる。クララがハンドルに片手を添えたまま、ゆっくりとこちらへ顔を向けた。その唇に、どこか面白がるような笑みが浮かんでいる。彼女の視線が、トビーの引きつった顔から、不自然に張り詰めた膝元のあたりへと滑らかに移動した。 「ああ……なるほどね」 「ち、違うんです、これは、その……」 「怒ってなんかいないわよ」 クララはくすりと喉を鳴らして笑った。車を発進させると、彼女はしばらく大通りを走らせたあと、人気のない路肩へと静かに車を滑り込ませた。エンジンを切ると、車内に急激な静寂が落ちる。 「そんなに固くならないで。……ほら、苦しいんでしょう?」 クララがシートの上でわずかに身体の向きを変えた。スカートの裾が揺れ、形の良い太ももがすぐ目の前に晒される。トビーが息を呑むのを見て取り、彼女は挑発するように目を細めた。 「触ってみたかったんじゃないの? さっきから、ずっと視線を感じていたわよ」 「クララ、さん……」 「いいのよ。誰も見ていないわ」 その甘い声に背中を押されるように、トビーの震える手が動いた。もし彼女が拒絶の声を上げたらすぐに引っ込めるつもりで、おずおずと指先を伸ばす。 手のひらが、クララの太ももに触れた。ストッキング越しの滑らかな感触と、その奥にある確かな熱。クララは逃げるどころか、トビーの手を受け入れやすいように少しだけ膝を開いた。 「ん……手が熱いわね、トビー」 頭の中で何かが弾けた。トビーの指先がスカートの裾へと潜り込み、柔らかい内腿の肉を撫で上げる。クララの甘い吐息が耳元に届いた瞬間、ズボンの内側の昂ぶりは限界に達していた。 もどかしさに耐えかねて、トビーは震える手でベルトを緩め、窮屈な布地から自身のモノを解き放った。 空気に触れた瞬間、熱く充血したそれが車内の薄暗がりの中で大きく跳ねた。自分でも目を背けたくなるような、圧倒的な質量。それを見たクララがどんな反応をするか、トビーは恐怖に近い緊張で彼女の顔を窺った。 クララの口元から、余裕の笑みが消えていた。 「……嘘でしょう」 彼女の青い瞳が大きく見開かれ、トビーの股間に釘付けになっている。驚きに息を呑む音が聞こえた。やがて、彼女の頬がみるみるうちに朱に染まり、喉の奥が小さく上下した。からかうような態度は消え失せ、そこには明確な熱を帯びた女の目があった。 「トビー……あなた、こんな……」 クララは震える指先を伸ばしかけ、しかし思い直したように自分の唇を舌先で湿らせた。そして、熱っぽく潤んだ瞳でトビーを真っ直ぐに見つめた。 「ねえ、トビー。……明日の午後、時間は空いているかしら?」 「え……? あ、はい。空いてますけど……」 「なら、私の家に来なさい。他の誰もいないから」 有無を言わせない、けれど甘く痺れるような響きを持った囁きだった。 ``` * ``` 閉ざされた扉の向こう側で、金具が噛み合う小さな音が響いた。 それきり、家の内外からあらゆる生活音が遠のいていく。昼下がりの日差しは厚手のカーテンによって遮られ、寝室の中は夕暮れ時のような仄暗い陰影に満たされていた。布地の隙間からわずかに漏れる細い光の筋が、毛足の長い絨毯の上に淡い線を引いている。 トビーは入り口のすぐ内側で足を止め、浅い呼吸を繰り返していた。 昨日の夕方、車の中で嗅いだのと同じ香りが、この部屋にはより深く、濃密に立ち込めている。甘い花の蜜に似た香りと、洗い立てのシーツの匂い、そしてクララ自身の肌が放つ微かな熱気が混ざり合い、息を吸い込むたびに肺の奥まで重く沈み込んでくるようだった。 「そんなところで立ち尽くしていないで」 部屋の奥から、低く落ち着いた声が届いた。 ベッドの端に腰掛けていたクララが、ゆっくりと首を傾げる。肩口まで流れるブロンドの髪が、薄暗がりの中で柔らかな金の糸のように揺れた。昨日の外出着とは違い、今の彼女が身にまとっているのは、肌の輪郭が透けて見えそうなほど薄い一枚のガウンだけだった。 「……クララ、さん」 自分の声がかすれていることに、トビーは唇を動かしてから気がついた。喉の奥が張り付いたように乾いている。 「本当に来てくれたわね、トビー。もしかしたら、怖気づいて来ないんじゃないかと思っていたわ」 「そんなこと……ありません。だって、クララさんが、来るようにって」 「ええ、そうね。私が呼んだんだもの」 クララは唇の端をわずかに持ち上げ、シーツの上についた片手を離して、トビーの方へと差し出した。白く細い指先が、おいでおいでをするように小さく揺れる。 「こっちへいらっしゃい。そんなに離れていたら、顔もよく見えないわ」 トビーはごくりと唾を飲み込み、重くなった靴底を絨毯の上で滑らせるようにして一歩を踏み出した。 近づくにつれて、クララの姿がはっきりと視界いっぱいに広がっていく。ゆるく結ばれたガウンの襟元は大きく開いており、呼吸に合わせて上下する豊かな胸の膨らみが、薄い布地を内側から押し上げていた。深く刻まれた谷間の影に視線が吸い寄せられそうになり、トビーは慌てて彼女の顔へと目を戻す。 だが、クララはその視線の動きをすべて見透かしたように、青い瞳を細めて微笑んでいた。 ベッドのすぐ前まで辿り着くと、トビーの膝頭がマットレスの端にわずかに触れた。座っているクララと、立っているトビー。見下ろす位置にあるはずなのに、見上げてくる彼女の潤んだ瞳にとらえられた瞬間、身体の自由を奪われたような錯覚に陥る。 「手が震えているわよ」 クララが手を伸ばし、トビーの垂らしていた指先にそっと触れた。 ひやりとした自分の指とは対照的に、彼女の指先は驚くほど温かく、しっとりとした湿り気を帯びていた。指の腹がトビーの手の甲をゆっくりと撫で上げ、そのまま手首を掴んで、自身の胸元へと引き寄せる。 「ほら、もっと近くへ」 「あ……っ」 引っ張られるままに半歩踏み出すと、クララの両膝の間にトビーの脚が割り込む形になった。見上げた彼女の顔がすぐ目の前にあり、吐き出される甘い息がトビーの顎や首筋を直接撫でる。 「心臓の音、ここまで聞こえてきそうだわ」 クララは楽しそうに囁きながら、両手をトビーのシャツの裾へと滑らせた。 細い指先が布地の内側へと潜り込み、汗ばみ始めたトビーの脇腹の肌に直接触れる。びくりと肩を跳ねさせたトビーを見上げたまま、彼女はゆっくりと、一つずつシャツのボタンを外し始めた。 プラスチックの小さなボタンが布の穴を通り抜けるたび、微かな衣擦れの音が静かな寝室に落ちる。 一つ、また一つと前が開かれ、トビーの胸板が仄暗い空気に晒されていく。クララの指先はボタンを外すだけでなく、開いた隙間から覗く皮膚を爪先でなぞったり、手のひらで熱を確かめるように押し当てたりしながら、焦らすように時間をかけて下へと降りていった。 「昨日から、ずっと考えていたの?」 最後のボタンを外し終えたクララが、トビーの肩からシャツを滑り落としながら尋ねた。 床に落ちたシャツが乾いた音を立てる。上半身を晒したトビーは、自分の胸が激しく上下しているのを隠すこともできず、小さく頷いた。 「……はい。夜も、ずっと」 「ふふ、私もよ」 クララの手が、今度はトビーのベルトのバックルへと伸びた。 金属が擦れ合う硬い音が鳴り、革のベルトが引き抜かれる。すでにズボンの内側は、昨日の車内と同じか、それ以上に張り詰めた熱によって限界まで押し広げられていた。生地が擦れるわずかな刺激だけで、腰の奥が痺れるように疼く。 「苦しそうね。……昨日の続きを、見せてくれる?」 クララの指がファスナーを下ろし、下着のゴムに指をかけた。 トビーが息を止めたのと同時に、窮屈な布地が一気に足元へと引き下ろされる。 抑え込んでいた力が消え、熱く充血しきったトビーのモノが、重みをもって大きく跳ね上がった。先端はすでに透明な雫を浮かべ、クララの顔のすぐ目の前で、脈動に合わせてびくりと揺れている。 「……っ」 クララの口から、熱い吐息が漏れた。 昨日の車内では薄暗くてよく見えなかったそれが、今は至近距離で、余すところなく彼女の瞳に映し出されている。トビーは自分の身体の一部でありながら、そのあまりに大きすぎる輪郭を見られることに強い羞恥を覚え、思わず腰を引きそうになった。 だが、それより早くクララの両手が伸び、トビーの腰骨をしっかりと掴んで引き止めた。 「逃げないで、トビー。……すごいわ。やっぱり、昨日見た通り……いえ、それ以上ね」 彼女の声には、昨日までのからかうような響きは微塵も残っていなかった。 熱を帯びた青い瞳が、根元から先端までを舐めるように見つめている。クララがゆっくりと顔を近づけると、彼女の鼻先が触れそうなほどの距離まで迫り、吐き出された熱い息が敏感な先端を直接揺らした。 「う、あ……っ」 思わず漏れた自分の声に、トビーは唇を噛んだ。 ただ息を吹きかけられただけなのに、背筋を甘い痺れが駆け上がっていく。いつも一人でバスルームに籠もり、石鹸の泡を塗りたくって自分の手で擦り上げていたときには、こんな感覚は一度だって味わったことがなかった。 「そんなに震えて……今まで、一人でどうしていたの?」 クララが頬を擦り寄せるような近さで囁きながら、右手の指先を伸ばし、張り詰めた側面へとそっと触れさせた。 「ひっ……! あ、あの、バスルームで……自分の、手で……」 「自分の手で? こんなに大きくて熱いものを、一人きりで慰めていたのね」 クララの白い指が、ゆっくりと熱の塊を取り囲むように絡みつく。 彼女の指先は細く、トビーの太さを一周しきることができない。それでも、柔らかく湿った手のひらが密着し、根元から先端へと向かって滑らかに撫で上げられた瞬間、トビーの膝ががくりと折れそうになった。 「ああっ……クララ、さん……っ」 自分の無機質な手とはまるで違う、吸い付くようにきめ細かな肌の感触。指の腹が浮き出た血管の凹凸をなぞり、先端の膨らみを優しく撫で回すたび、溢れ出た粘り気のある雫が彼女の手のひらを濡らしていく。 「手の中が火傷しそうだわ。……でも、もうあなた自身の冷たい手や、石鹸の泡なんて必要ないのよ」 クララは一度手を離すと、濡れた自身の指先をトビーに見せつけるように持ち上げ、それからゆっくりと自分のガウンの帯へと手をかけた。 絹の帯が解かれ、左右の襟がはだけていく。 白い肩が露わになり、そのまま薄い布地が彼女の背中からシーツの上へと滑り落ちた。 トビーは息をするのも忘れて、目の前の光景を見つめた。 仄暗い光の中に浮かび上がったのは、成熟した女性の柔らかな曲線だった。豊かに実った二つの膨らみは、重力に引かれてわずかに揺れながらも張り詰めた弾力を保ち、その頂には淡い色の蕾がすでに硬く立ち上がっている。くびれた腰から緩やかに広がる腰回り、そして滑らかな太ももへと続く白い肌が、うっすらと桜色に染まっていた。 「……きれい、です」 無意識のうちに口をついて出た言葉に、クララは嬉しそうに目を細めた。 彼女はそのままベッドの奥へと膝をついて移動し、枕にブロンドの髪を広げるようにして、ゆっくりと仰向けに身を横たえた。横になる動作につれて豊かな胸が大きく波打ち、白い太ももがシーツの上で無防備に伸ばされる。 「いらっしゃい、トビー。あなたの手なんかより、ずっと温かくて気持ちのいい場所を教えてあげるわ」 クララが両腕を広げ、トビーを迎え入れるように招いた。 トビーは足元に絡みついていた衣服を蹴り脱ぎ、マットレスの上へと膝をついた。シーツが沈み込み、クララの身体がすぐ目の前に迫る。彼女の腕に導かれるまま、トビーは自分の身体を彼女の上へと重ね合わせた。 「ん……っ」 全身の肌と肌が触れ合った瞬間、二人から同時に吐息が漏れた。 トビーの胸板の下で、クララの豊かな乳房が柔らかく押し潰される。驚くほど瑞々しく、どこまでも沈み込んでしまいそうな弾力と、じんわりと伝わってくる高い体温。自分の硬い骨格とは何から何まで異なる女性の身体の感触に、トビーの頭の中は真っ白になりかけていた。 「そんなに力を入れないで、私に体重を預けていいのよ」 クララの両腕がトビーの背中に回り、汗ばんだ肩甲骨の間を優しく撫で下ろす。 顔を近づけると、彼女の唇がトビーの頬に触れ、そのまま顎のラインを辿って唇へと重なった。柔らかく湿った唇の感触と、甘い吐息。クララが小さく唇を開いてトビーの下唇を吸い上げると、腰の奥が跳ね上がるように疼き、二人ののお腹の間で張り詰めたトビーのモノが、彼女の柔らかな下腹部を強く押し上げた。 「ふふ……もう待ちきれないみたいね」 唇を離したクララが、トビーの耳元で熱っぽく囁いた。 彼女はシーツの上で自身の両膝をゆっくりと左右へ開き、トビーの腰を迎え入れるための空間を作った。白い内腿がトビーの腰骨の外側に触れ、そのまま彼女の片手が二人の身体の隙間へと滑り込んでいく。 クララの指先が、再びトビーの熱く反り返ったモノを優しく握り込んだ。 「いい? トビー。ここが、あなたを受け入れる場所よ」 彼女の手に導かれ、トビーの先端が、クララの脚の付け根にある柔らかな場所へと当てがわれた。 触れた瞬間、トビーは全身に鳥肌が立つのを感じた。 そこは、これまで知っていたどんな感触とも違っていた。熱く、しっとりと濡れそぼり、ただ先端が触れただけなのに、吸い付くような粘り気と柔らかさで押し返してくる。クララの指先がトビーの先端を上下にわずかに滑らせると、濡れた粘膜同士が擦れ合う小さな水音が響き、ぬめりを帯びた熱が先端全体に広がった。 「あ、くっ……クララさん、そこ、すごく熱くて……」 「ええ、あなたを待っていたからよ。……ほら、怖がらないで。そのまま、ゆっくり腰を前に進めてごらんなさい」 クララは手を離し、再びトビーの背中に腕を回して、自身の身体へと引き寄せた。 トビーはシーツに両手をつき、震える腕で上体を支えながら、言われた通りに少しずつ腰を前へと沈めていった。 先端が、柔らかく湿った入り口を押し分ける。 「っ……ああっ……」 クララの喉から、くぐもった声が漏れた。 最初は滑らかに迎え入れてくれたその場所も、トビーの最も太い部分が差し掛かった瞬間、強い抵抗となって押し返してきた。規格外の太さを前にして、熱い入り口が限界まで引き伸ばされていくのが、トビー自身の感覚としてもはっきりと伝わってくる。 「う、あ……クララさん、苦しく、ないですか……?」 あまりの締め付けの強さと、クララの眉根がわずかに寄ったのを見て、トビーは途中のままで動きを止めた。半分ほどが埋まった状態でも、先端を取り囲む熱と圧力は凄まじく、このまま進めば彼女を傷つけてしまうのではないかという不安がよぎる。 だが、クララは荒い息を吐き出しながら、潤んだ青い瞳でトビーを真っ直ぐに見上げ、ゆるく首を振った。 「平気よ……っ。ただ、あなたが……思った以上に、太くて……っ」 彼女の白い指がトビーの背中に食い込み、爪先が皮膚に赤い跡を残す。 「止めないで、トビー……。最後まで、あなたの全部を、私の中に頂戴……っ」 その切実な響きを帯びた囁きが、トビーの理性の枷を外した。 彼は深く息を吸い込み、クララの腰をしっかりと支え直すと、残りのすべてを埋め込むようにして、ゆっくりと、しかし力強く腰を最奥へと押し進めた。 ぬぷり、と濃厚な水音が二人の結合部から響く。 熱い肉壁が幾重にもひだを絡みつかせて抵抗しながらも、トビーの圧倒的な質量に押し広げられ、その形に合わせて深く、さらに深くへと道を譲っていく。 「あ、ああっ……! く、うぅっ……入っ、て……全部、奥まで、広がって……っ!」 クララの顎が仰け反り、ブロンドの髪が枕の上で大きく乱れた。 そしてついに、トビーの根元がクララの柔らかな肌にぴたりと密着し、そのすべてが彼女の内部へと完全に収まった。 「はぁっ……あ、ああ……っ」 トビーは自分の口から漏れた声が、まるで別人のもののように聞こえた。 目の前がチカチカと明滅し、腰の芯から脳天へと向かって、これまで経験したことのない強烈な快感の奔流が突き抜けていく。 バスルームの冷たい空気の中で、石鹸の泡にまみれた自分の手で擦っていたときの、あのどこか虚しく表面的な刺激とは次元が違っていた。今、トビーのモノを包み込んでいるのは、生きた女性の柔らかく温かい受け皿だった。 全周から隙間なく密着してくる熱い粘膜は、ただ柔らかいだけではない。まるで独自の意志を持った生き物のように、トビーの輪郭を確かめるかのごとく細かく波打ち、根元から先端までをぎゅうっと力強く握り締めてくるのだ。 「すごい……っ、クララさんの中、すごく熱くて、動いて……僕のを、ぎゅうって掴んでます……っ」 「あ、んっ……だって、あなたのが、お腹の奥までいっぱいに詰まって……っ、息をするだけで、中が勝手に締まっちゃうのよ……っ」 クララの頬は真っ赤に上気し、開かれた唇から熱い吐息が絶え間なく溢れ出している。 彼女が荒い呼吸を繰り返すたび、その内部の壁が連動してうねり、静止しているはずのトビーのモノを甘く圧迫した。先端は彼女の最も深い場所にある柔らかな壁に押し当てられ、トビーの鼓動に合わせてドクンドクンと脈打つたびに、そこから甘い痺れが全身へと波紋のように広がっていく。 「ねえ、トビー……いつまで、そのままじっとしているつもり……?」 クララが潤んだ瞳でトビーを見つめ、自分の両脚をゆっくりと持ち上げて、彼の腰へとふくらはぎを絡ませた。 しっとりとした彼女の脚の肌がトビーの腰を挟み込み、くいっと内側へと引き寄せる。そのわずかな角度の変化だけで、内部の粘膜がぐちゅりと音を立てて擦れ合い、二人の喉から同時に甘い吐息が漏れた。 「動いていいのよ、トビー。……あなたがずっとしたかったように、私の身体を使って、気持ちよくなって……っ」 クララの手がトビーの頬に触れ、熱に浮かされたような声で促す。 トビーはゴクリと喉を鳴らし、シーツを掴む両手に力を込めたまま、おずおずと腰を後ろへと引いた。 熱い粘膜が、離すまいとするかのようにトビーの表面にまとわりついてくる。半分ほどまで引き抜かれたところで、空気を含んだ濡れた水音が鳴り、すぐさまトビーは再び奥へと向かって腰を押し戻した。 「あんっ……! ああっ、そこ……っ!」 クララの身体が大きく跳ね、高い声が寝室に響いた。 一度引き抜いてから押し込むことで、溢れ出た彼女の熱い蜜が潤滑となり、最初に入ったときよりもずっと滑らかに、それでいて粘り気のある強い摩擦を伴って最奥まで沈み込んでいく。 「クララさん……っ、これ、すごいです……っ」 「ええ、すごいわ……っ、あなたの、大きすぎて、動くたびに中の壁が全部擦れて……っ、ああっ!」 トビーは夢中で腰を動かし始めた。 最初はぎこちなかった前後の動きが、クララの内部の熱と柔らかさに導かれるようにして、次第に大きく、確かなリズムを刻み始める。 腰を引けば、ひだが先端のカリに引っかかって甘い刺激を走らせ、腰を突き入れれば、重く太い質量がクララの内部を押し広げながら最深部を強くノックする。そのたびにベッドの軋む音と、粘膜が擦れ合う濃厚な水音、そして二人の肌と肌がぶつかり合う音が重なり合い、静かだった午後の寝室を熱気で満たしていった。 トビーの視界には、自分の下で乱れるクララの姿だけがあった。 突き上げるたびに、彼女の豊かな二つの乳房がたわわに揺れ動き、その先端の硬い蕾がトビーの胸板を擦る。綺麗に整えられていたブロンドの髪は汗で額や頬に張り付き、いつも余裕に満ちていた大人の女性の顔が、今は快感の波に揉まれて甘く歪んでいた。 「あっ、あんっ、トビー、すごい……っ! そこ、奥、当たってるわ……っ!」 クララの口から漏れる喘ぎ声は、回を重ねるごとに高く、激しいものへと変わっていった。 彼女が甘い叫び声を上げるたび、トビーの聴覚は直接揺さぶられ、脳の奥が焼けるような興奮に包まれる。自分が腰を動かすことで、この美しい女性をこれほどまでに乱れさせているという事実が、彼の中心へとさらなる血を集めさせ、すでに限界まで硬くなっていたはずのモノを、さらに熱く、太く膨張させていくようだった。 「もっと、トビー……っ! 遠慮しないで、もっと激しくして……っ!」 クララの両手がトビーの背中を強く引っ掻き、腰に絡めた両脚がぎゅうっと締め付けられる。 トビーは荒い息を吐き出しながら、彼女の肩口へと顔を埋め、全身のバネを使って激しく腰を打ち据えた。 水音が激しさを増し、シーツがぐしゃぐしゃに引き寄せられていく。クララの内部はさらに熱くぬめりを増し、トビーが突き入れるたびに歓喜に震えるようにキュウキュウと収縮を繰り返して、彼のモノを隙間なく搾り上げてきた。 腰の奥底から、抗いようのない熱い塊がせり上がってくるのを、トビーは感じた。 背骨が痺れ、足の指先までがピンと張り詰めるような感覚。これまで一人で致していたときの何十倍も巨大で、暴力的なまでの波が、すぐそこまで迫っている。 「クララさん……っ、僕、もう、出そうです……っ!」 トビーが掠れた声で訴えると、クララは汗に濡れた顔で彼を見上げ、その青い瞳を強く輝かせた。 「いいわ、トビー……っ! 抜かないで、そのまま私の中に全部出しなさい……っ!」 彼女はトビーの腰に回した両脚の足首を固く組み、彼が絶対に後ろへ引けないように強く抱きすくめた。 「きて、トビー! 私も、もう……っ、あああっ!!」 クララが背中を大きく弓なりに反らせ、ひときわ高い叫び声を上げた。 その瞬間、彼女の内部がこれまで以上の強さで一斉に収縮し、トビーのモノを根元から先端まで万力のように強く握り締めた。 「く、あああっ……!!」 その圧倒的な締め付けが決定打となり、トビーはクララの最も深い場所へと自身を突き立てたまま、限界を迎えた。 腰の奥が激しく脈打ち、張り詰めていた熱の塊が、先端から一気に解き放たれる。ドクン、ドクンと太い脈動が走るたび、クララの熱い最奥へと白い奔流が叩きつけられ、視界が真っ白に吹き飛ぶほどの強烈な快感がトビーの全身を駆け巡った。 「んんっ……! ああっ、熱い……っ、お腹の奥に、こんなたくさん……っ!」 クララもまた、内部に放たれる熱い奔流の勢いに身を震わせながら、トビーの首筋に強くしがみついて甘い声を漏らし続けた。 一度、二度、三度と長い脈動が続き、トビーは自分の身体の芯にあるものがすべて吸い出されてしまうかのような感覚の中で、クララの豊かな胸の上へと荒い息を吐き出しながら伏せた。 肌と肌が汗で密着し、二つの激しい鼓動が直接ぶつかり合って響いている。 普通なら、ここで熱は急速に冷め、すべてが終わるはずだった。いつもバスルームで一人きりで果てたあとは、すぐに硬さが失われ、冷めていく感覚とともに暗い羞恥心だけが戻ってきたからだ。 けれど、今は違った。 トビーのモノは、クララの温かく湿った内部に深く埋め込まれたまま、一度も外へと離れてはいなかった。 「はぁ……っ、はぁ……すごいわ、トビー……。まだ、中がこんなに溢れて……」 耳元で繰り返されるクララの熱っぽい吐息と、余韻に震える甘い声。そして何より、解き放たれた熱を受け止めた彼女の内部が、名残を惜しむようにひくひくと細かくうねり続け、トビーの敏感になった先端を柔らかく包み込んで離さない。 その甘美な刺激に晒され続けるうちに、トビーは自分の中心に、信じられない変化が起きていることに気がついた。 あれほど激しく放出したばかりだというのに、クララの内部に留まったままのそれが、萎えるどころか、彼女の喘ぎ声と内部の温もりに呼応するようにして、再びズキズキと熱い脈動を取り戻し始めたのだ。 クララの内部で、再び硬さと太さがみるみるうちに膨れ上がっていく。 「……っ!? あ、嘘……トビー、あなた……」 内側から再び押し広げられる感覚に、クララが息を呑み、信じられないというように目を見開いた。 トビー自身も、自分の身体に起きている昂ぶりに驚きながら、熱に浮かされた目で彼女を見下ろした。 「クララさん……僕、まだ……クララさんの声が聞こえて、中がこんなに温かいから、また硬くなって……っ」 言葉を継ぐと同時に、トビーがわずかに腰を揺らすと、先ほど放たれたばかりの白濁と彼女の蜜が混ざり合い、ぐちゅりといっそう濃厚な水音が寝室に響き渡った。 「あんっ……! なんて子なの……っ、さっきあんなに出したばかりなのに、もう最初と同じくらい硬くなって……っ」 クララの頬に、驚きを超えた深い歓喜の色が広がっていく。 彼女はトビーの腰に絡めていた脚を再び強く締め直し、潤んだ瞳で挑発するように微笑んだ。 「いいわ……離れないで、トビー。そのまま、あなたの気が済むまで続けなさい……っ!」 「はい……っ、クララさん……っ!」 その温かく湿った巣から一度たりとも抜け出すことなく、トビーは再び力強く腰を動かし始めた。 すでにたっぷりと濡れそぼった内部は、最初よりもさらに深く、さらに激しくトビーの質量を受け止めていく。突き上げるたびに混ざり合った液体が泡立つように音を立て、過敏になった互いの粘膜を容赦なく擦り合わせた。 「ああっ、すごいっ! また、奥までっ、ひゃあんっ!」 クララの甘い叫び声が部屋中に反響し、それがトビーの興奮をさらに煽り立てる。 彼女の声を聞けば聞くほど、トビーのモノは彼女の内部でいっそう硬く張り詰め、少しの休みも挟まずに次の波へと駆け上がっていく。 クララの手がシーツを掴み、トビーの唇が彼女の首筋や鎖骨、そして揺れる胸の頂へと吸い付く。互いの汗が混ざり合って肌を滑り、荒い呼吸が重なり合う中、二度目の限界が訪れるまでにそう時間はかからなかった。 「っ、また、出ます……っ! クララさんっ!」 「きてっ、そのまま、何回でも私の中に出してぇっ!!」 クララが甘い悲鳴を上げて内部を強く痙攣させると同時に、トビーは再び彼女の最深部で激しく脈打ち、二度目の解放を迎えた。 だが、その激しい波が収まりきるよりも早く、クララの喘ぎ声と脈打つ肉壁の感触が、トビーの熱をすぐさま三度目の昂ぶりへと引き戻していく。 「はぁっ、あっ……まだ、止まらないわね……っ、ああっ!」 一度も結合を解くことなく、温かく濡れたその場所に深く繋がり続けたまま、二人は時間の感覚さえも溶け落ちていくような濃密な渦の中へと沈み込んでいった。クララの叫び声がトビーを何度でも硬く甦らせ、彼はその柔らかい受け皿の中で、果てることのない絶頂を幾度も、幾度も繰り返し続けた。 ``` * ``` どれくらいの時間が過ぎたのか、カーテンの隙間から差し込む光の色がすっかり変わっていた。 荒い呼吸を繰り返しながら、トビーはクララの隣へと身を横たえた。全身の力が抜け、心地よい疲労感が指先まで満ちている。 隣を見れば、クララが汗ばんだブロンドの髪をシーツに広げ、満足げにトロンとした瞳でこちらを見つめていた。彼女の白い指先が伸びてきて、トビーの頬を愛おしそうに撫でる。 「最高だったわ、トビー。……あなた、本当にすごいのね」 その言葉に、トビーはゆっくりと視線を下げ、自身の身体を見た。 昨日まで、あの狭いバスルームで一人、密かに恥じ入るしかなかった自分の大きさ。誰にも知られてはいけないと隠していたコンプレックス。 けれど今、目の前の女性をこれほどまでに深く満たし、歓喜の声を上げさせたのは、間違いなく自分自身のその一部だった。 胸の奥を塞いでいた暗い澱は、もうどこにもなかった。それに代わって、熱い誇らしさがトビーの胸いっぱいに広がっていくのを、彼は確かな実感とともに噛み締めていた。 ---