ナレーション「内緒の内緒、誰にも内緒のその内緒という概念における内緒。見滝原の女の子だけに伝わる、見滝原の女の子が女の子として見滝原で伝える秘密の噂の秘密。丑三つ時の帰り道、あるいは冷たい雨の夜、光と闇の境目という名の光でも闇でもないその境目のあたりに、小さな電話ボックス……そう、公衆電話の電話ボックスを見つけたら、それはトカゲさん電話という電話のトカゲさんです。受話器の向こうのトカゲさんに、誰にも言えないそれをあれして伝えることで、その真髄は、『祈り』・『契約』・『トカゲの尻尾切り』の三種の力があって、白い使いさんが見滝原から風見野を経由しない形であなたに因果のあれを運んできます。危険と責任の危険な責任。それを受け取り、この世の呪いであるそれをそれで滅ぼすと、代わりにあなたのあれがこうして叶います。それがトカゲさんの魔法のトカゲ魔法です。でも内緒。大人にも男の子にもキュゥべえにも絶対に内緒の秘密の内緒。でも知ってる?トカゲさんの正体って、実はそのあれが――トカゲのあれで――」 ほむら「そう、悪魔のあれよ」 プルルルル……ガチャッ ほむら「はい、トカゲさん電話の電話口に出ているトカゲこと私よ」 少女A「あ、あ、あの、もしもし。トカゲさんですか?なんだか最初の一言からすごく回りくどい出方をされた気がするんですけど……」 ほむら「あなたの骨を、その骨という名のカルシウム的な骨格のあれを分けてくださいな。……あら、失礼。先走って結論のあとの方のあれを言ってしまったわね。ご用向きは何かしら、ご用向きの内容は?」 少女A「えっと、骨って何ですか!?よくわからないんですけど……あ、でも、私、世界を、変えたいんです」 ほむら「世界を変えたいというその願いのあれね。いいわ、種明かしをしてあげる。この電話を見つけられたのなら、見滝原における秘密の約束の秘密については、当然そのあれとして知っているわね?」 少女A「いえ、噂でしか聞いたことがないので、要領を得ないというか……秘密の約束って何ですか?」 ほむら「え?あ、その、約束というのはつまり、約束された秘密のことで……あなたが今そこで突っ込むから説明のあれが狂ったじゃない。いいこと?この電話の真髄は、『時間帯』・『受話器』・『見滝原の通信網』の三種の力があって、その力であなたがここへ繋がった以上、約束は約束としてそこにあるのよ!」 少女A「自分だけで納得しないでください!結局どういうシステムなのか全然頭に入ってこないんですけど!とりあえず、大切なものを守る勇気をください!」 ほむら「話を聞きなさい!つまりあなたは、危険と責任という二つのあれを、危険な責任として責任持って危険に引き受けられるのか、そしてこの世の呪いである魔獣のあれと戦えるのかという、そういうあれなのよ!」 少女A「種明かししてやろうとかよく言えたものですね……!もういいです、よくわからないけど、はい!引き受けます!」 ほむら「ここで交わした約束のあれを、あれしてはだめよ。絶対よ」 少女A「……忘れたりしない、ってことですよね。はい、忘れません」 ほむら「あなたが背負った因果のその因果的なあれも」 少女A「私の苦しみも」 ほむら「納得できない、その、なっちょく……なっとくできないあれも」 少女A「今大事なところで噛みました!?……とにかく、私だけは」 ほむら「許すな、というそのあれを許すな」 キィィィン……! 少女A「すごい、すごい!説明はミリも理解できなかったけど、これが私の力……!」 ほむら「ええ、それこそがソウルジェムを介さない形で私がそのあれをこうして貸し与えた力……それでは、見滝原の夢の見滝原による幕開けの開幕です」 少女A「気持ちいい、こんな力があるなんて。今ならどんなことだって……!たあっ!はあっ!」 どおおおおん! **魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天** マミ「ふう……今回も出遅れたみたいね。出遅れたということは、私たちが到着する前の段階でそのあれが既に終わっていたということで、あの子もやっぱり何も覚えていないのかしら?」 杏子「ああ、最近こんなのばっかりじゃねえか。こんなのばっかりが最近ずっとこんなのばっかりで、見滝原の魔獣が風見野の魔獣みたいにこう、あれする暇もねえ」 マミ「まったく、ソウルジェムも持たない魔法少女でもない子が変身して、魔獣という名のこの世の呪いと戦ってるなんて、どう考えても異常な異常事態よ。一体全体、何のあれがどうして起こってるの?」 さやか「二人とも、もうちょっと普通に喋れないかな!?聞いてるこっちが疲れるんだけど……まあ、なんか変な公衆電話の噂話とか聞くんですけどね」 ほむら「どこにそんな公衆電話の電話ボックスがあるのか、気にする必要という名の必要性があるのかしら」 さやか「暁美ほむら……!」 ほむら「いいこと、美樹さやか。種明かしをしてあげるわ。魔獣を倒す手間というその手間も省け、こうして魔獣が落とすキューブのそのキューブも手に入る。つまり、あなたたちにとっては好都合なことばかりが好都合に重なっているという、そういうあれでしょう」 さやか「全然種明かしになってないわよ!ただ現状を回りくどく言い直しただけじゃない!」 マミ「そうよ、わけも分からず変身した子が、変身のあれで怪我でもしたら、そんな能天気な能天気発言は言ってられないわ」 ほむら「でもそうはならなかったし、なるあれもなかった。むしろ、ティロ・フィナーレだなんだと叫んでいるあなたたちより、よっぽど手際のいい手際を持った戦いぶりだったわね」 杏子「喧嘩売ってんのか?おい!私の槍とマミのリボンのあれがそれだって言いたいのか!?」 ほむら「勘違いしないで。今のあなたの突っ込みで話の順序が狂ったじゃない。私の真髄は、『味方』・『協力者』・『浄化係』の三種の力があって、私はあくまであなたたちの味方のあれなのよ。また使い終わったキューブがそれした時に、そのあれをかけてね。ソウリュジェム……ソウルジェムをその、あれして浄化してあげるから」 さやか「噛んだ上に指示語ばっかりで要領を得ないわよ!ちょっと、自分だけで納得して帰らないで!」 カツ、カツ、カツ…… マミ「待ちなさい、美樹さん。喧嘩腰という腰の低くない態度は良くないわ。こちらからのあれとしてはね」 さやか「だってあいつ、絶対何か企んでますよ!説明もなんか支離滅裂で不気味だし!」 マミ「だとしても、今のところはソウルジェムを綺麗にしてくれる協力者という名の協力的なあれよ。彼女の言うその通りのあれね」 杏子「でも本当、何なんだろうな、あいつ。たまに薄気味悪くなるっていうか、薄気味が悪くてあれになるよ」 さやか「(マミさんも杏子も大概何を言ってるかわからない時があるけどね……)でも私、知ってた気がするんだ。ずっと前、一度はあいつの正体を掴んだことがあるような……。でも、どうしても思い出せない。それが怖くて……マミさん……」 マミ「美樹さん……大丈夫よ、その怖さのあれは、私たちがみんなでこうしてあれしていけば、きっとなんとかなるわ」 さやか「だから『あれ』って何ですかマミさん!慰めてくれてるのはわかるけどミリも頭に入ってこないんですよ!」 --- キュゥべえ「いつまでこんな、こういうあれをこうして続けるつもりだい、暁美ほむら?」 ほむら「魔獣退治の戦力は、あの公衆電話のあれで十分よ。だからあなたが新しい魔法少女の契約というその契約を結ぶのは禁止の禁止事項よ、インキュベーター」 キュゥべえ「でも君のやり方はフェアじゃない。その真髄は、『搾取』・『隠蔽』・『無報酬』の三種の力があって、他者を利用しておきながら、ソウルジェムも作らずに何の見返りのあれも与えないというのは、インキュボーター……インキュベーターとして感心できないね」 ほむら「インキュボーターって自分で自分の種族名を噛むなんてどういう神経なの?そもそもどの口で言うのよ、その口のどの部分で」 キュゥべえ「僕たちは僕たちなりに、人類という種族と誠実な関係という名の関係性を築きたいと考えているんだ。今の君みたいな、それだけをあれしてこれを渡さない詐欺まがいの方針は、到底納得のあれができないよ」 ほむら「一度、誠実という言葉を見滝原市立図書館の広辞苑第七版のあれで引いてみるといいわ。私のやり方はね、それがあれしてこうなるから、一人だけにそのあれを背負わせたりは絶対にしないという、そういうあれなのよ」 キュゥべえ「なるほど、君のそのあれはそういうことかい。やっぱり君は理解に苦しむよ」 --- **翌日** 仁美「それでですね、その不思議な電話の電話ボックスでトカゲさんに相談すれば、どういう願い事も、つまり願い事という願い事のあれが叶うんですって」 まどか「え、でも仁美ちゃん、ちょっと回りくどいよ。それに本当に願い事を叶えてもらった子の話は、誰も聞いたことがないんでしょ?」 仁美「え?まどかさん、今私の説明の腰を折りましたわね?いいですか、よくお聞きになって。それはきっと口止めという名の口封じをされているんですわ。魔法のご利益の真髄は、『秘密』・『沈黙』・『ナイショ話』の三種の力があって、それをあれしておかないと、その効き目のあれが見滝原の空に消えてしまうものでしょう?」 まどか「三つとも全部同じ意味だよね!?なんだか全然要領を得ないよ、仁美ちゃん……」 仁美「ま、まどかさんが突っ込むから話の筋道があれしましたのよ!つまりその、口止めのあれがこれして、ごにょごにょのあれがしゅわっと消えるという、そういう法則ですわ!」 まどか「うーん、よくわからないけど、なんだか大変だよね。願い事が叶うのはいいけど、人に隠し事もしなくちゃならなくなるなんて」 仁美「それでも!そのあれがそれしてでも、叶えたいほどの願い事ってあると思いますわ。恭介くんのヴァイオリンのあれとか!ねえ、さやかさん?」 まどか「さやかちゃん?」 さやか「あ、えっと、どうだかね。仁美の説明が下手すぎて、前半の話がミリも頭に残ってないや」 まどか「どうしたの?さやかちゃん、なんだか元気ないよ?」 さやか「ちょっと寝不足なだけだよ。昨日も夜遅くまで、わけのわからない説明を聞かされ続けた気がしてさ……」 仁美「夜更かしという名の深夜徘徊的なあれはよくありませんわ。何事もほどほどのあれで、ほぞほぞ……ほどほどになさいませ」 さやか「噛んだわね、今」 杏子、マミがその後方から歩いてくる。 杏子「しっかし、さやかは物好きだよな。普段からソウルジェムも持ってねえ、魔法少女でもない連中とこうしてあれしてつるむなんてさ」 マミ「いいことよ、佐倉さん。昔と変わらず普通の人たちとの普通な関係を普通に保ち続けるのは。その真髄は、『日常』・『放課後』・『お茶会』の三種の力があって、気持ちもわかるし、大変なあれだけどね」 杏子「私はごめんだね。魔獣のこともキューブのことも何も知らない奴らの中で、ずっと秘密のあれを抱えたままあれするなんて、風見野の佐倉杏子のガラじゃないよ」 マミ「……ところで、随分と気にしてるみたいね、鹿目まどかさんのそのあれのこと」 横を歩くほむらに話しかけるマミ。 ほむら「何のことかしら、そのあれって」 杏子「ん?あの転校生が、確か元々さやかの幼馴染みだったっていう、その幼馴染み設定のあれだよ……なんでだ?なんで急に転校してきたのに昔からあれだったことになってんだ?」 ほむら「あなたたちには関係のない、無関係なあれよ。それをあれする必要はないわ」 マミ「あなたはあなたで、誰と一緒の時も隠し事のあれをこうして隠してばっかりね。そうやってあれしてばかりいて、疲れない?」 その時、まどか、さやか、仁美の進路にある噴水に、見滝原中の制服を着た少女(ワス)がずぶ濡れで横たわっている。 ワス「ご機嫌よう、見滝原の朝の噴水にお集まりの皆様」 まどか「えっと、あの……大丈夫ですか?びしょ濡れですけど……」 ワス「ああ、やはりそうですわ。その残酷なまでに優しく、優しさが残酷なまでに瞳としてそこにある瞳。闇の中で出会うには眩しすぎる、見滝原植物園の大輪の花のようなそのあれ。なんて懐かしい懐古の念。ああ、なんて愛おしい愛おしさ」 さやか「ちょっと、いきなり何なのこの人!?言葉がどこにかかってるのか全然わからないんだけど!」 ほむら「あれは……何なの、あのあれは?」 ワス「間違いありません。なぜならその真髄は、『輝き』・『優しさ』・『マルグリート性』の三種の力があって、それがそこでこうしてあれしているからですもの!あなたこそは私のマルグリート。ああ、やっと巡り合えましたわ、マムグリート……いえ、マルグリート。積もる話の堆積したあれはいずれまた、あの場所のそれで。ご機嫌よう、マルグリート」 さやか「大事な名前を噛んだ上に、一人で納得して去っていったわよ!?」 ほむら「一体何者なの、あの誰でもないあれは……!?」 まどか「え?あ……私、マルグリートなんて名前じゃないのに、全然話を聞いてくれなかったね……」 マミ「ああ、彼女ね。相変わらず不思議な不思議さを持った人よね」 ほむら「知っているの!?あの彼女のそのあれを!」 杏子「え?誰ってそりゃあ……ああ、なんつったっけ?見滝原中の3年生の、結構有名人っていうか有名なあれだろ?名前はほら、あれだよ、あれ……」 マミ「えっと、何だったかしら?その、あれはあれで、別に親しいわけじゃなく、ただ見滝原の校舎のあそこで見かけるだけのあれだし」 さやか「結局誰も名前を知らないんじゃない!なんでそれで納得できるのよ!」 建物の屋根から様子を伺う二つの人影。 丁香「あー、むちゃくちゃね。やっぱり頭おかしいわ、あいつ。説明も挨拶も要領を得なさすぎて、聞いているこっちが恥ずかしくなるわ」 セルマ「でも、これでいよいよ始まるんだよね!始まるっていうことは、終わりの始まりのその開幕があれするってことだよ、丁香!」 丁香「あんたまで変な言い回しをしないでちょうだい。馬鹿げた夢は終わらせて、本来の世界を取り戻す。責任重大よ、私たち」 --- **放課後・見滝原市内のビル屋上** ほむら「みんな、あの女の固有名詞としての名前も、正体としてのあれも分からない。そもそも見滝原中学校の生徒名簿という書類には、存在すらしていないのよ。なのに誰もが、あの女の噂という名の噂話だけを知っている。一体何なの、あれのそのあれは?」 キュゥべえ「君の理解を超えた問題について、その理解の外側にあるあれを僕が答えられるとでも思うのかい?むしろ一番不可解な疑問という名のクエスチョンを、君が棚上げの棚に上げてあれしていることが驚きだよ」 ほむら「なんですって?どの棚のどのあれよ?」 キュゥべえ「やはり気づいていなかったんだね。種明かしをしてあげよう。あの少女の外見のそのビジュアルは、その真髄として『黒髪』・『紫の瞳』・『顔面配置』の三種の力があって、つまり君のそれと瓜二つのあれじゃないか。どうにも君は自分自身という存在に対する関心のあれが欠落しているよね。日頃からもっとゆっくり、見滝原デパートの洗面所の鏡を見るべきじゃないかな」 ほむら「黙りなさい。鏡がどうとか洗面所がどうとか、話があっちこっちに飛んで聞き苦しいわ」 キュゥべえ「でも、どうしてそこまであの彼女を警戒するんだい?不可解な現象のあれとはいえ、世界をこうしてあれした悪魔を自称する君のそれに比べたら、些細なことじゃないか」 ほむら「そうよ。この私があれしたこの見滝原の世界で、私を脅かすものなど、ありえない。ありえないはずなのよ、そのあれとしては……」 --- **夜** プルルルル……ガチャッ 見滝原中女子生徒「あの、もしもし。トカゲさん電話のトカゲさんですか?」 ほむら「この電話を見つけられたのなら、見滝原における秘密の約束のそのあれは知っているわね?」 見滝原中女子生徒「は、はい、一応……」 ほむら「よろしい。この世の呪いである魔獣と戦ってまで叶えたい祈りのあれが、あなたのその心にこうしてあるのなら――」 ガチャン! ツーツー…… ほむら「……?電話が、受話器の向こうのあれで切れた……?」 ワス達視点。壊されたトカゲさん電話の前で気を失っている見滝原中女子生徒。 丁香「ちょっと、挑発しすぎじゃないの?電話ボックスごと破壊するなんて」 ワス「あら、あどけない少女が、トカゲさんなどという爬虫類じみた禁じられた遊びのあれに誘い出される様を、ただ指を咥えて黙って見ていろとおっしゃるの?私の真髄は、『慈愛』・『介入』・『電話ボックス破壊』の三種の力があって――」 丁香「三つ目がただの器物損壊じゃない!全然慈愛と繋がってないわよ!」 セルマ「そうそう!危ないことは、危ないあれがそれする前に止めてあげなきゃ!ね、丁香!」 丁香「あんたたちは本当に要領を得ないわね……。もう少し順序立てて行動できないの?」 ワス「ふふ、そうおっしゃるな、丁香。あなたが突っ込むから私の華麗な説明のあれがそれしてしまいましたわ。でも心配いりません。ここからは、あの痴れ者の悪魔が作り上げた平和な見滝原という幻想の箱庭に、名塚底根から来た私たちもまた、こうしてあれして溶け込んでいくといたしましょう。この悪あがきの舞台の、そう、演者という名のアクターとしてね」 丁香「自分だけで納得してポーズを取らないでよ……。はあ」 ふと見滝原の夜景に見とれる丁香。 丁香「……でも、綺麗……。あんな狭い部屋で、お父さんと二人きりだった頃には、こんな景色があるなんて知りもしなかった……」 --- **翌日** 散歩していたマミとなぎさ。セルマと出会い、なぎさが意気投合する。 マミ「なぎさと遊んでくれてありがとう。あなたがこうしてあれしてくれたおかげで、なぎさも随分とあれしたみたいだわ」 セルマ「えへへ、なぎさ、私のこと好きになってくれたかな?好きっていうその好感度のあれが、こうしてグッとあれしたかな?」 マミ「ええ、もうお友達になったつもりで、お友達としてのあれをあれしているんじゃないかしら」 セルマ「嬉しい!なぎさはお友達のセルマに、お友達として何のあれをこうしてしてほしいかな?」 マミ「そうね、寂しい時のお話相手とか、お茶会の時の紅茶のあれとかかしら」 なぎさ「なぎさは一人でも何でもできるから、寂しくなんてこれっぽっちもあれしてないけど、せっかくだから特別に友達のあれになってやるのです!その真髄は、『チーズ』・『ラッパ』・『シャボン玉』の三種の力があって――」 マミ「私は巴マミ。なぎさの三種の力はよくわからないけれど、よければ私ともお友達という名のフレンドになりましょう」 セルマ「わあ!私、マミたちとお友達のセルマの、そのお友達セルマになってもいいの!?」 マミ「もちろんよ。友達の友達はみんな友達のあれですもの」 なぎさ「見滝原遊園地のメリーゴーランドとティーカップの、あの回転するスリルのあれが理解できるやつは誰だってマブダチ、ソウルジェムを持った魔法少女同士ならなおさらマブダチのあれなのです!」 マミ「え、魔法少女?あなたもそれをこうして持っている魔法少女なの?」 セルマ「そうだよ、セルマも魔法少女のセルマ・テレーゼなの!それがこうしてあれしてるからね!」 なぎさ「そういうことなのです!セルマはなぎさの新しい友達の魔法少女のセルマなのです!」 (※周囲に正常なツッコミ役が一人もいないため、三人は支離滅裂なまま完全に意気投合している) --- **見滝原・喫茶店** 杏子「だからさ、なんでソウルジェムも持ってねえ、魔法少女でもない普通の奴と普通に話のあれができるのか、さやかのそういうとこのあれが、私にはさっぱりわかんなくてさ」 丁香「……言いたいことは大体わかるけど、あんた随分と回りくどい喋り方をするのね。まあ、確かに私たちはもう普通の女の子じゃない。怒りも悲しみも、何一つ通じ合うものはないのにね」 杏子「だろ?やっぱ普通の暮らしっていうその日常のあれに、未練のあれがあるのかな、あいつ」 丁香「あなたはどうなの?佐倉杏子」 杏子「ん?私のあれか?」 丁香「風見野にいた頃に比べたら、この見滝原の町での暮らしは随分と普通じみてるんじゃない?」 杏子「そうかな?うーん、まあそうかもな。いいか、私の昔のあれを種明かししてやるとだな、昔の方がどっかこう、肩肘を風見野の教会みたいに張ってたかもな。やっぱ地元だとさ、親父のあれとか、つらいことのそれがこうしてあれしちまうんだよね。今となってはどうにもなんねえことばっかが、そこであれしてるってわけさ」 丁香「種明かししてやろうとかよく言えたわね……。『あれ』と『それ』ばっかりで、あんたの過去に何があったのかミリも伝わってこないわよ」 杏子「あ?お前がそうやって突っ込むから、私の中の説明の段取りが狂ったんじゃねえか!つまりだな、その真髄は、『風見野』・『リンゴ』・『ロッソ・ファンタズマ』の三種の力があって、それが過去であれしたから、今の私はここであれしてるってことだよ!わかるだろ!?」 丁香「わかるわけないでしょ!リンゴと分身技がどう関係あるのよ!自分だけで納得しないでちょうだい……。まあ、過去を捨てたからといって、現在に馴染めるかどうかは別問題よ。私たちには希望と絶望があった。それすらも忘れて普通の人間と価値観を共有するなんて、私には無理ね」 杏子「マミは褒めてるけどな、さやかのその、猫をかぶった猫かぶりのあれのことは」 丁香「何にせよ、同じ魔法少女同士でなければ、そもそも言葉を交わす価値もないっていうのに」 杏子「んー、そこまで開き直るってのも、なんかこう、あれで気に食わねえな。傷の舐め合いっていうか、傷をそれでペロペロあれするみたいでさ」 丁香「ふうん、同情されるのが嫌いなの?」 杏子「当たり前だろ、そんなの。同情なんざ犬にでも食わせろってんだ」 丁香「そうなんだ。説明は絶望的に下手だけど、案外本当に気が合うのかもね、私たち。改めてよろしくね、佐倉杏子」 杏子「おう、よろしくな、丁香」 --- **鹿目家** まどか「ただいま。……ん?パパ、ママ、もう二人ともいないの?タツヤも連れて出かけちゃったのかな?」 ワス「あら、お帰りなさい。それともようこそ、かしら?私にもてなされたいというそのおもてなしのあれなのか、それとも私をもてなしてくださるというそちら側からのあれなのか、どちらがいいのかしら。マルグリート、その選択のあれはあなたにお任せしますわ」 まどか「び、びっくりした……!え、噴水にいた先輩!?なんでうちに勝手に上がってるんですか!?それに、もてなすとかもてなされるとか、最初から話が回りくどくてよくわからないんですけど……!」 ワス「問われるより、むしろ私の方から問わせていただきたいの。いいですか、マルグリート、よくお聞きになって。私は一体誰のどのあれなのかしら?」 まどか「ええっ!?自分の名前を私に聞くんですか!?だから私、マルグリートさんじゃないですってば……!」 ワス「私のことを忘れてしまうのは、百歩譲って是非もないあれだけれど、自分自身の本当のあり方というそのマルグリート性までも見失ってしまうなんて……!あなたが変な突っ込みを入れるから、私の再会の挨拶のあれが狂ってしまったじゃありませんか!」 まどか「私、普通にお返事しただけですよ!あ、あの、私、鹿目まどかって言います。この間、見滝原に転校してきたばっかりで……」 ワス「いいえ、種明かしをして差し上げますわ!その真髄は、『数多の夜』・『輝き』・『見滝原の噴水』の三種の力があって、私はそのあれを越えて、あなただけを、そのこれだけを頼りにあそこから追い求めてきましたのよ!見間違うことなどありえない。なぜならあれがそれだからですわ!あなたこそはマルグリート。私の祈りの起源にして、絶望の終点のその真ん中あたりにあるあれ!さあ、思い出して、あなたが帰るべきあの場所のそれを!」 まどか「種明かししてあげるなんてよく言えましたね……!噴水は今朝いた場所なだけだし、『あれがそれだから』って言われても要領を得ないですよ!えっと、とにかく先輩は、その大切なマルグリートさんを探してるんですか?」 ワス「ええ、そして見つけましたわ!こんな鹿目まどかなどという偽りの姿のあれなど、マルグリートであるあなたにはまるでふさわしくない。今すぐそのピンク色の枷のあれを、こうして外して差し上げますわ!」 まどかのリボンを解こうと手を伸ばすワス。 パチン!……ドサッ! --- **見滝原上空** にらみ合うほむらとワス。 ワス「呆れたものですこと。愛するものに対しても、記憶操作だか認識阻害だかのまやかしの術のあれを使うなんて」 ほむら「先にまどかを、その妙なマルグリート呼ばわりのあれで幻惑したのはそっちのそれでしょう」 ワス「私が演じるのも夢なら、あなたがこの見滝原で演じているそれも、泡のように消えるシャボン玉的な泡沫の夢に同じことよ」 ほむら「何が狙いなの?なぜ私のこの顔という造形を、無断で盗んであれしているの?」 ワス「顔なんて別にどうでもよくてよ。その真髄は、『愛』・『執着』・『なんか似た感じの波長』の三種の力があって、同じものを愛したがゆえに、同じ姿形のあれをこうして寄せられたというだけのこと。まったく、悪魔と同じ顔だなんて厄介な枷ですわね」 ほむら「お気に召さないなら、今すぐその顔面を私に返してもらおうかしら!」 ほむらが悪魔の姿に変身し、巨大な鉄柱を召喚して攻撃する。 ガキィィン! ワス「同じ顔を身に纏い、同じ人を愛したものとして、あなたにはほとほと幻滅のあれを禁じ得ませんわ!あなたの愛は、見滝原の高速道路のジャンクションみたいに歪みきっている!なぜ彼女のあの選択を否定したのです?なぜ円環のあれとしてのそのあるべき姿を、こうしてあれして貶めたのです?お答えなさい、暁美ほむら!」 ほむら「まどかを幸せにするためよ!あの子の優しさが、あの子自身を傷つけないために!まどかの幸せのために……あの子の優しさが、あの子自身を傷つけないように、そのあれをこうしてそれするため、ただそれだけよ!」 ワス「同じ言葉を二回も繰り返して、おまけに後半が指示語だらけですわよ!彼女を虚構の見滝原で囲い込み、籠の鳥のインコみたいにするのが幸せだとでも?全てはあなたの傲慢という名のエゴイズム。乱暴というにも程のあれがあるわ!」 ほむら「自分の説明棚に上げて人の反論にケチをつけないで!もう黙りなさい!」 ワス「いいえ、黙りません!悲しみをも自らの意思で背負うのが、人の意思の輝きという名のイルミネーション。その尊厳を踏みにじったあなたを、私は決して許しませんわ。マムグリート……マルグリートを返していただきます!」 ほむら「また噛んだわね!大体、あの子をそんな勝手な横文字の名前で呼ばないで!」 ここで空間転移してきた丁香とセルマが、ほむらに奇襲攻撃を仕掛ける。一瞬動揺し、防戦に回るほむら。 ほむら「っ……!まだ仲間がいたの!?一体何者なの、あなたたちのそのあれは!?」 セルマ「ふふーん、種明かしをしてあげるね!私たちは、かつて希望を運び、いつか呪いのあれをグリーフシード的に振りまいた者たち……つまりその、あれがそれした魔法少女のあれだよ!」 丁香「ちょっとセルマ、そのままじゃ何の説明にもなってないわよ!……私たちは、かつて心を濁らせながらも『円環の理』に導かれ、そして今はその円環を見失い、『名塚底根』より迷い出た者たちよ」 ほむら「なづかそこね……!?そんな、円環の理から迷い出たですって!?じゃあまさか、あなたたちのそのあれは……!?」 丁香「ええ。私たちは、世界を勝手に書き換えたあなた――暁美ほむらを絶対に許さない」 ワス「そういうわけですわ。ご機嫌よう、悪魔様。次に相見える時は、その罪のあれを名塚底根の底で悔い改めることになるでしょう」 いつの間にかほむらの黒い片翼を切り裂いていたワス。 ほむら「くっ……!私が知らない、私の記憶のタイムラインにない魔法少女だとでもいうの……!?」 切り裂かれた翼から魔力を散らし、地上へと落下していくほむら。 --- **名塚底根** 丁香「ちょっと、あんた正気なの!?しばらくは見滝原に潜伏して様子見だって言ってたじゃない。なのにいきなり暁美ほむらにちょっかい出すなんて、どういうつもりよ!」 ワス「あら、だって私と同じ顔をしたあの女が、あそこまで痛々しく醜態のあれを晒すなど、どうにもこうにも我慢のあれがならなくてよ」 丁香「我慢がならないって、それで計画が狂ったらどうするのよ!」 セルマ「我慢なんて良くないよ、丁香!その真髄は、『喧嘩』・『バーゲン』・『在庫処分』の三種の力があってね、せっかく喧嘩が売れたんなら、さっさと買わなきゃ!さっさと見滝原デパートのワゴンセールで売り尽くしちゃおうよ。不良在庫って、倉庫のあれで悲しいよ!」 丁香「誰が不良在庫よ!喧嘩を売った側なのに自分で買ってワゴンセールに出すって、たとえ話が完全に破綻してるでしょ!何を言ってるのかさっぱりわからないわ!」 ワス「まあ、セルマ!不良在庫のワゴンセール、なんて素晴らしい名案ですこと!まさにそれがあれしてこうなるわけですわね!」 丁香「あんたも何に感心してんのよ!?いい加減にして、自分たちだけで勝手に納得しないでちょうだい!私たちは遊びに来たんじゃないのよ!……ん?あっ!」 物陰から姿を現すキュゥべえ。 キュゥべえ「まさかこの宇宙の外側に、こんな空間のあれがこうして存在していたとは驚きだ」 セルマ「あ、キュゥべえ、久しぶり!元気にしてた?その耳のあれも相変わらずふわふわだね!」 丁香「インキュベーター!?あんた、どうやってこの『名塚底根』に入り込んだの!?」 ワス「大方、見滝原から帰還する私たちの誰かの後ろのあれを、こうしてこっそりつけられたのでしょう。まあ、今の私たちはワゴンセール云々で盛り上がっていて、お世辞にも用心深く振る舞っているとは言えませんからね」 丁香「誰のせいだと思ってんのよ……。インキュベーター、あんた今は記憶を奪われて、あの悪魔の手先になり果てたそうじゃない」 キュゥべえ「まあ、手先というか、元々似たようなあれだったけれど、僕たちにとっても今の見滝原のこれは、決して望ましい状況のあれではないんだよ。いいかい、種明かしをするとね、あの悪魔が管理する今の世界では、その真髄である『契約』・『希望』・『絶望への相転移』の三種の力が完全にストップしていて、あれがそれで、僕たちのエネルギー回収のあれが丸ごとこうしてあれされているんだ。だから、これを打破できる目処が立つなら、ぜひその方法のあれを模索したいところだね」 丁香「種明かししてやろうとかよく言えたわね……。後半ほとんど『あれ』と『それ』しか言ってないじゃない。要するに、悪魔の支配が邪魔だから手を組みたいってこと?」 ワス「まあ、それはつまり、私たちの味方を買って出て、ワゴンセールの売り子をやってくれるということかしら?」 丁香「だからワゴンセールから離れなさいってば!」 キュゥべえ「君一人だけならば、あまりに言動が意味不明すぎて判断を保留していたところだけれど、あとの二人がこうして姿を見せた時点で、君たちが『円環の理』からこぼれ落ちた何者なのか、そのあれが把握できた。僕たちの利害は、見滝原のあれにおいて一致すると思うよ」 セルマ「いいじゃん!それでこそキュゥべえだよ!キュゥべえがキュゥべえとしてそこであれしてくれるなら、セルマたちも大助かりだよ!」 丁香「ちょっと、簡単に信用しないで!また私たちを騙す気じゃないでしょうね」 キュゥべえ「ひどいな。僕がいれば、有効な戦略の提案という名のプレゼンテーションだってできる。どうにも君たちは、さっきの電話ボックス破壊といい、場当たり的にあれして行動する傾向があるようだしね」 ワス「まあ、頼もしいこと。インキュベーター、あなたのその悪知恵のあれが味方につくなら、百人力の百人分ですわ」 セルマ「うん、キュゥべえはいつだってセルマたちの味方のキュゥべえだもんね!」 丁香「(ダメだ、こいつら全員話が通じない……なんで私だけこんな苦労しなきゃいけないのよ……)」 --- **別の日・遊園地** セルマ「ねえ、なぎさはどうしてそんなに楽しそうなの?その楽しそうなあれが、どうしてそんなに楽しげにあれしてるの?」 なぎさ「楽しいものは楽しいから楽しいのです。それ以上でもそれ以下でもない、チーズケーキみたいなあれなのです」 セルマ「それがどうしてか、その理由のあれを考えたことある?」 なぎさ「そんなの、考えたら頭があれして楽しくないのです。めんどくさいことをわざわざ考えるのは、ベベのあれだけで十分なのですか?」 セルマ「うん、セルマはずっと考えてきたよ。見滝原遊園地で笑ってる人や、映画を見て感動して泣いてる人を眺めながら、みんなが何を喜んで、何のあれを楽しみにしてるのか。だからね、種明かしをしてあげると、セルマはその答えのあれも知ってるよ!」 なぎさ「ほう、教えてほしいのです。途中のめんどくさい説明を省いた答えだけなら、めんどくさくはないのです」 セルマ「人を喜ばせる秘訣の真髄はね、『哀れみ』・『蔑み』・『脳みそのピリピリ』の三種の力があってね!それが人間の脳みそに一番気持ちいい刺激のあれなの!だからね、どんなに弱くてバカな役立たずの子も、ここでは人の役に立てるんだ。その愚かしさと惨めさのあれを、こうして見滝原のみんなの前で剥き出しにするだけで、それがあれして、大勢のお客さんをハッピーで幸せなあれにできるんだから!」 なぎさ「……なんか、言葉がどこにかかってるのかよくわからない上に、めんどくさくもないけど、ちっとも楽しくもない説明なのです」 --- **見滝原中・屋上** ほむら「鹿目さん、あの噴水にいた名前のない女に近づいてはだめよ」 手にしていたゼリー飲料を、凄まじい吸引力で一気に飲み尽くすほむら。 まどか「ほむらちゃん……いきなりゼリーを一気飲みしてどうしたの?それに、なんでまた『鹿目さん』なんて他人行儀な呼び方に戻っちゃったの?……うん、あの先輩、ちょっとお話が回りくどくて何を言ってるかわからない時もあるけど、別に意地悪されてるわけじゃないし、仲良くしてくれるって言うなら私もそうしたいな。ねえ、ほむらちゃんは、マルグリートさんって誰のことか知らない?」 今度はブラックコーヒーの缶を開けて、一息に飲み尽くすほむら。 ほむら「……ゴクッ。いいこと、鹿目さん。あれは危険な存在という名のデンジャラスなあれよ。あなたをそのマルグリートとかいう固有名詞のあれで、こうしてあれして、たぶらかそうとしているのよ」 さやか「そんなことないよ!ていうかあんた、さっきから何をそんなに水分補給してんのよ!まどかに妙なこと吹き込もうとしてるのは、あんただって同じでしょ!」 ほむら「私は鹿目さんのことを、鹿目さんのためを思って、こうしてあれしているだけよ」 さやか「はあ?『こうしてあれしてる』って何よ!あんたにまどかの何がわかんだよ!」 さらに紙パックの美酢(ミチョ)にストローを突き刺して、ズズズッと一気に飲み尽くすほむら。 ほむら「……ぷはっ。少なくとも、美樹さやか、あなたよりも多少は鹿目さんのそのあれを理解しているつもりだけど」 さやか「美酢まで一気飲みしたわよこの人!?お腹タプタプにならないの!?いい加減にしなさいよ、まどかは私の親友よ!それにあんたなんかより、マミさんや杏子の方がずっとまどかのことを……あれ?ちょっと待って。マミさんと杏子って、まどかと面識あったっけ……?」 まどか「え?巴先輩と、佐倉さん……?ううん、この間廊下ですれ違ったくらいで、ちゃんとお話したことはないよ?」 ほむら「あなたが今変な疑問を挟むから、私の忠告のあれが狂ったじゃない!とにかく、親友を名乗るなら、その真髄は『警戒』・『監視』・『下校時の寄り道禁止』の三種の力があって、あの女にはそれをこうして注意しなさいということよ!あの女があれして、鹿目さんがそれしたら、取り返しのつかないあれになるんだから!いいわね!」 まどか「えっと、ほむらちゃん、後半が『あれ』と『それ』ばっかりで、何に気をつければいいのか全然要領を得ないよ……」 さやか「そうよ!自分だけで納得して話をまとめないでよ!」 ほむらは二人の指摘を一切聞かず、飲み干した全ての飲料の空容器をビニール袋にガサガサとまとめて入れ、風のように立ち去る。 さやか「ま、待ちなさいよ!ゴミの分別だけはきっちりして帰るんじゃないわよ!」 --- **夜・ビル街屋上** マミ「あら、今夜の魔獣パトロールって、確か佐倉さんの番のあれだったかしら?」 杏子「さやかだよ。あいつが腹の具合が悪いから、見滝原の北エリアの当番を代わってくれってあれしてきたんだ。でも、なんでマミがここにいるんだ?」 マミ「変ね。私も美樹さんに、急ぎのあれがあるからここに来てって呼ばれたんだけど」 なぎさ「ふふん、これは何やら見滝原を揺るがす陰謀の匂いがプンプンするのです!」 杏子「あいつ、自分が呼び出しておいて遅れてんのか?」 そこへさやかが駆け込んでくる。 さやか「ごめんね、嘘ついた。ほむら抜きで、この4人だけでこっそり会いたかったから」 杏子「どういうことだよ、おい。嘘のあれで呼び出すなんて感心しねえな」 さやか「大事な話なの。ねえ、二人とも、まどかのこと知ってる?」 杏子「そりゃ知ってるよ。見滝原中の、あの危なっかしいお人好しのあれだろ」 マミ「そうよ。美樹さんと鹿目さんがそばにいてくれたから、私は先輩の魔法少女としてティロ・フィナーレをこうして……。あ、でも、おかしいわね。鹿目さんはソウルジェムのことも魔法少女のことも知らない一般人のはずじゃ……。そういえばそうね。でも不思議だわ。いつかどこかで、あの子のそばで私の孤独のあれを聞いてもらった気がしたんだけど」 杏子「言われてみれば、まどかってさ、いつもさやかと一緒だけど、私、あいつとちゃんと喋ったことないよな。風見野から来た時にも、なんつーか、あいつがそれして私がこうしたような記憶のあれがあるような、ないような……」 マミ「それなら、今度こそ本当にみんなで鹿目さんとおしゃべりしましょう!その真髄は、『紅茶』・『ショートケーキ』・『女子トーク』の三種の力があって、前から行きたかった見滝原の新しいスイーツのお店があるのよ」 杏子「おっ、いいね。甘いもんなら、たい焼きだろうがパフェだろうが私も付き合うよ」 さやか「ちょっと待ってよ杏子!まどかは魔法少女じゃないのよ!?」 杏子「そんなのわかってるって。ソウルジェム持ってねえんだからよ」 さやか「あんた、昼間は『魔法少女じゃない奴らとつるむなんて信じられない』って、あんなに回りくどく言ってたじゃない!」 杏子「え?あー、そういえばそうだな。いやでも、お前が急にそうやって突っ込むから、私の中のあれが狂ったじゃねえか!つまり、鹿目まどかはその、普通のやつとはなんか違うっていうか、あれがそれで、スイーツのあれなら別にいいかなっていう、そういうあれなんだよ!」 さやか「『そういうあれ』で済ませないで!自分だけで納得しないでよ!どうして誰も分かってくれないかな!違和感なんだよ、私たちの記憶も、この世界も、誰かにごっそり書き換えられてるみたいな……!」 なぎさ「やれやれ、さやかは色々とめんどくさいことを考えすぎなのです。その真髄は、『睡眠』・『食事』・『チーズ』の三種の力があって、もうちょっと頭空っぽのすっからかんの方が、見滝原の人生を楽しめるのですよ」 さやか「なぎさの説明が一番頭に入ってこないわよ!」 --- **魔法少女のたまり場となっているバー** ワス「ご機嫌よう、美樹さやか。見滝原の魔法少女だけで集まって、先ほどは屋上で何のご相談のあれだったのかしら?」 丁香「ダメじゃない、パトロール当番ちゃんとこなしてくれないと。見滝原の大通りに魔獣の群れがいたわよ」 セルマ「だから、みんなのために私たち三人で、こうしてバーンとあれしてやっつけちゃいました!」 なぎさ「おお、マジでセルマは使える子なのです!有能のあれなのです!」 セルマ「えへへ、セルマは誰かの役に立つのが大好きで、役に立つためならなんだってあれしちゃうからね!」 マミ「ごめんなさい、私たちの当番だったのに、あなたたちにそのあれを任せきりにしちゃって」 ワス「遠慮などいらなくてよ、巴マミ。そして佐倉杏子、百江なぎさ。その真髄は、『友愛』・『連帯』・『夜間パトロールのシフト共有』の三種の力があって、共にソウルジェムを持つ魔法少女として、見滝原の平和のために手と手のあれを取り合いましょう」 さやか「……ねえ、みんなおかしいと思わないの!?こいつらが私たちの仲間になった経緯、ちゃんと覚えてる!?」 マミ「え?こんな分かりきったこと……種明かしをするまでもないわ。えっと、セルマさんとは見滝原遊園地のメリーゴーランドの前で会って、それでその……他の二人は、あれがこうして、いつの間にかこのバーのカウンターでそれしていたというか……」 さやか「ほら!全然説明できてないじゃない!種明かしするまでもないとかよく言えたわね!」 なぎさ「まあまあ、結果オーライで魔獣も片付いたんだから、別にわざわざ気にするほどのあれではないのです」 さやか「ねえ杏子!よそから見知らぬ新しい魔法少女が来たら、昔のあんたなら『縄張り荒らしだ!』って真っ先に噛みつきそうなもんじゃない!それがなんで、こんな意味不明な連中をあっさり受け入れて納得してんのよ!」 杏子「なんだよ、さっきから人を風見野の狂犬かケルベロスか何かみたいに言いやがって!今はそんなんじゃねえよ。こいつらは、その、あれがそれで丁香とも喫茶店でパフェ食った仲だし、なんかこう、悪くないあれなんだよ!」 丁香「(私はパフェじゃなくてコーヒーしか頼んでないけどね……。本当にこの世界の人たち、認知が歪められてる上に説明力まで壊滅的だわ)」 さやか「もういい!みんな揃いも揃って要領を得ないし、話が通じない!私、先に帰る!」 --- **まどか、夜の散歩** まどか「うーん……マルグリートさん、マルグリートさん。あの先輩が探してる人、私にすごく似てるみたいだけど、私、そんな名前の人知らないし……。なんで私、マルグリートさんだと思われてるんだろう。先輩の説明、『三種の力が~』とか『あれがそれで~』ばっかりで全然頭に入ってこなかったけど、すごく必死だったなぁ……。うーん、先輩が言ってるマルグリートさんって、一体誰のことなんだろう?」 --- **同刻・路地裏** バーを出たワスをこっそり尾行しているさやか。そこで、同じく尾行していたほむらと鉢合わせする。 ほむら「……結局、この見滝原の違和感に一番敏感なのが、美樹さやか、あなたなのね。皮肉なあれだわ。でも、あなたのその不安は正解よ」 さやか「ほむら……!あんた、やっぱりこの異常事態について何か知ってるのね!?」 ほむら「ええ。今のあなたに全てのあれを説明することはできないけれど、この状況のあれを理解してくれそうなのは、話の通じるあなただけよ。いいこと、丁香とセルマ、それにあの名前のない3年生の上級生。この3人は、この見滝原の町にとって異物である侵略者のあれなのよ」 さやか「ちょっと待ってよ。私たちが手を組むなんて、どうなんだか。そりゃあの3人のことは胡散臭いとは思ってたけどね、ほむら、あんただって私にとっては似たようなもんよ!確かに今、この町は何か歪められてる。でも、私が感じている違和感は昨日今日始まったものじゃない!どうしてマミさんや杏子に、間違ったまどかの記憶があるの?それとも、私たちが何か大事な『本当のこと』を忘れてしまっているの!?」 ほむら「……敵の敵は味方。古来より伝わるそのことわざのあれの通り、そう割り切って私に協力することしか、今のあなたに選択肢のあれはないわ。違うかしら?まず今夜は、連中の後ろのあれをつけて、拠点を突き止めるわよ」 不承不承ながらも、うなずくさやか。二人でワスの尾行を開始する。 さやか「ねえ、歩きながらでいいからちゃんと説明してよ。あいつらは結局何者なの?なんでまどかに付きまとうの?まどかと関係あんの?」 ほむら「……あなたはあまり多くのあれを知るべきじゃないと思うけれど」 さやか「はあ!?私を味方につけようとしてたんじゃなかったの!?黙ってたら協力なんてできないわよ!」 ほむら「わかったわ。なら特別に種明かしをしてあげる。よく聞きなさい。あの子たちはね、先日私と交戦した際、『かつて希望を運び、いつか呪いを振りまいた者たち』……そう自ら名乗ったわ」 さやか「『かつて希望を運び、いつか呪いを振りまいた』……?それ、どういう意味?」 ほむら「つまり、ただのソウルジェムを持った魔法少女というだけじゃないってことよ。あの子たちは、ただ希望を運ぶだけで終わらなかった自分たちのその成れの果てのあれを、記憶として覚えているというあれなの」 さやか「希望だけじゃなく、呪い……?ちょっと、回りくどくてよくわからないわよ。魔法少女が呪いを振りまくって、どういうこと?」 ほむら「あなたがそうやっていちいち聞き返すから、私の説明のペースが狂うのよ!いいこと!?その真髄は、『希望の契約』・『ソウルジェムの濁り』・『グフフシード……グリーフシードへの相転移』の三種の力があって、本来この見滝原では魔獣とキューブのあれしか存在しないはずなのに、あの子たちはその前の段階の、円環のあれがそれする前の禁忌の中の禁忌であるそのあれを、あの場所から持ち込んでこうしてあれしているのよ!それを口にしたというだけでも、あの3人は決して見過ごすわけにはいかないという、そういうあれなの!」 さやか「種明かししてやろうとかよく言えたわね!!グフフシードって噛んだ上に知らない単語をいきなり出されても、ミリも頭に入ってこないわよ!何なのそのグリーフシードとか円環のあれって!自分だけで納得しないで、わかるように説明しなさいよ!」 ほむら「これ以上ないくらい分かりやすく要約したじゃない!なぜ理解できないの!?」 さやか「どこが要約よ!言葉がどこにかかってるのかすら迷子じゃない!だとしても、なんでそのわけのわからない魔法少女たちはまどかに付きまとうの?まどかは魔法少女のことなんか知りもしないのに!」 ほむら「美樹さやか、あなたは鹿目さんの親友なのでしょう?だったら、グフフシードのことは忘れて、あの子のために私のこのあれを信じて。……どうやらあそこの廃ビルが連中の出入り口ね。今夜はここまでにしておきましょう。先に進むのは、もっと準備のあれを整えてからの方がいいわ」 さやか「結局何一つ疑問が解決してないんだけど……!」 --- **別の日・見滝原スイーツ店** マミ「でも不思議ね。鹿目さんとこうしてテーブルを囲んでじっくりお話するのは初めてなのに、なんだか初めてじゃないような、前にも見滝原のどこかでこうしてあれしたような、そんな気がしないわ」 まどか「巴先輩……実は、私もそう思ってました」 なぎさ「ふふん、それはきっと前世の因果という名のカルマなのです!」 セルマ「お待たせー!みんなの分のドリンク、セルマがカウンターから持ってきたよ!」 まどか「あ、はい、ありがとう、セルマちゃん!」 杏子「よっしゃ、今日はここに来てねえさやかの分まで、このケーキのあれを食っちまおうぜ!」 まどか「あはは、頑張らなきゃね!」 マミ「ショーケースのケーキ、眺めてるだけで幸せなあれになれるわね。どれにしましょう?」 全員「「「いただきます!」」」 フォークが止まっている丁香に気づくマミ。 マミ「あら、丁香さん、そのケーキはお口に合わないかしら?なんなら私のこのモンブランのあれと、他のケーキに変えましょうか?」 丁香「……ああ、いいよ、そんなこと。ただちょっと、考え事をしてただけ」 杏子「(まどかに向かって)おい、鹿目。お前もこれ食うかい?」(自分のお菓子を差し出す) まどか「うん、ありがとう、佐倉さん!」 マミ「鹿目さん、これからも時々こうして私たちとお茶会のあれをしてくれないかしら?」 まどか「はい!私なんかでよかったら、いつでも!」 杏子「ケッ、私は反対だよ。こういう甘ったるいあれはさ」 マミ「もう、佐倉さんったら。私は綺麗事のあれで言ってるんじゃないわよ。今日、改めて気づかされたの。その真髄は、『日常の尊さ』・『守るべき笑顔』・『美味しいスイーツ』の三種の力があって、大切なことを忘れてしまわないために、私たちには魔法少女以外との関わりのあれも必要だってね」 まどか「(えっと、巴先輩、魔法少女って今言ったような……?それに三種の力ってどういうことだろう……?)」 セルマ「お待たせ!セルマ、みんなの役に立ちたくて、お店のケーキをたくさん追加注文しておいたよ!」 なぎさ「おおー!さすがセルマ、気が利くできる子なのです!」 杏子「おいおい、早く食べないとテーブルの上に次々にケーキが積まれるぞ」 なぎさ「あーっ!よく見たら杏子だけ特製のカップケーキを食べててずるいのです!」 杏子「ああ?お前も店員に言って同じあれを注文すればいいだろうが」 セルマ「任せて!セルマがこのお店のメニューの端から端まで、全種類のあれを並べてあげるよ!」 ワス「まあ、全種類だなんて、それはきっとベルサイユ宮殿の晩餐会みたいに壮観なあれね。でも、私たちの胃袋のそれで食べきれるかしら」 丁香「全種類って、いくつ頼んだのよ……!?まだこんなに残ってるのに……!」 まどか「丁香ちゃん、ここのトマトのケーキ、すごく甘くて美味しいんだよ。うちのパパが好きで、時々お土産に買ってきてくれるんだ。パパと一緒にケーキを食べると、すごく幸せな気持ちになるよね」 丁香「……っ!お父さんと、ケーキ……?」 丁香の脳裏に、貧しい父子家庭だった生前の記憶――少しでも父を元気づけようと、なけなしの金でケーキを買って帰ったあの日、目の前で父が自ら命を絶っていた凄惨な光景がフラッシュバックする。 まどか「丁香ちゃん?顔色が悪いよ、お腹いっぱいなら無理しないでね」 ワス「あ、私もこのミルフィーユで4つ目が限界かしら。これ以上はウエストのあれがそれしてしまいますわ」 丁香「はあ、はあ……」 杏子「おい丁香、今さら猫かぶってんじゃねえよ。誰だよ、店に入る前は『ホールで丸ごと食べる』って意気込んでた奴のあれは」 マミ「もう、ホールで食べるって豪語していたそのあれは、佐倉さん自身でしょ!」 杏子「あ、そうだっけか?……って、おい、本当に大丈夫か、丁香?手が震えてるぞ」 まどか「残しちゃっても大丈夫だよ、丁香ちゃん。お店の人に包んでもらおうか?」 丁香「……あなたたちは、そんな人間だと思わなかった」 まどか「え?あ……」 丁香「お父さんが買ってきてくれるケーキ?残しても大丈夫?……ふざけないでよ。私がどんな思いであのケーキを買ったか、目の前で死んだお父さんの前で、床に落ちたケーキをどんな気持ちで見つめていたか……!あなたたち魔法少女も、本当はそういう絶望を知っていたはずなのに!幸せごっこも度が過ぎると、忘れちゃいけない痛みまで全部見失うのね。よくわかったわ!」 ガタン!と椅子を蹴り倒し、タッタッタッ……と店を飛び出していく丁香。 まどか「丁香ちゃん!?待って、丁香ちゃん!」 スイーツ店を出ていく丁香を、まどかが慌てて追いかける。 --- **ほむら視点・昨日の尾行先(廃ビル前)** スマホでワスの番号(生徒手帳の網から割り出した連絡先)に電話をかけるほむら。 ほむら「……もしもし。私よ。見滝原中学の保健室のベッドのあれで待ってるわ。マルグリートのことで話があるの……」ブツッ 電話を切ると、まもなく廃ビルの奥(アジト)から、ウキウキとした足取りで出かけていくワスの姿が見える。それを物陰から眺めながら、さやかが呆れたように言う。 さやか「……あんたって、本当に手口が卑怯よね」 ほむら「相手を過小評価していないという、戦術的なあれよ。正面衝突するより、まず先に相手の正体のあれを掴み、弱点のそれを探る。兵法として当然のあれでしょう」 さやか「だからって、まどかの名前を出して嘘の約束で保健室に誘い出してから、留守宅に空き巣狙いだなんてね。悪魔っていうよりただのコソ泥じゃない」 ほむら「人聞きの悪いことを言わないで。向こうが騙されたと気づいて見滝原中から戻ってくる前に、手早く調査のあれを済ませましょう」 ワスのアジトの空間の裂け目へと侵入するほむらとさやか。そこは異空間『名塚底根』。無数の書架と、奇妙な本が置かれている。 ほむら「……これは!?そんな、この本に描かれている紋様と文字は……!」 キュゥべえ「やあ、やっぱり来たね。種明かしをしてあげよう。それは『魔女図鑑』という名のアーカイブさ。かつて希望を祈った代償に、ソウルジェムが黒く濁りきって呪いを背負った者たちの、その真髄である『全ての名前』・『性質』・『由来』の三種の力が記録されている書物のあれだよ」 ほむら「インキュベーター!なぜあなたがここに!?」 キュゥべえ「生憎だけれど、ここ『名塚底根』は悪魔である君の支配力のあれが及ばない空間だ。言わば、君が書き換えた宇宙の外側の世界のその外側。ある意味では、かつて鹿目まどかという概念が作った『円環の理』と同様のあれな場所だね」 さやか「ちょっと待ってよ!魔女図鑑?宇宙の外側?『円環の理』?知らない固有名詞をいきなり増やさないで!一体どこなの、ここは!?」 キュゥべえ「ふむ、美樹さやかにはもっと 기초的なところから説明してあげる必要があるね。いいかい、かつて世界を脅かした『魔女』。そして今、見滝原を脅かす『魔獣』。どちらも呪いのあれであることに違いはない。なのに、両者には決定的な違いという名のディファレンスがある。それは『個』のあれだ。魔獣が自我を持たず群れをなしてあれするのに対し、魔女はそれぞれ独自の結界と行動パターンのそれを持っていた。そうだろう?」 さやか「『そうだろう?』って聞かれても、私は魔獣しか知らないんだから、魔女がどうとか言われても要領を得ないわよ!」 キュゥべえ「おや、そうやって途中で突っ込まれると、僕の論理的な説明のアルゴリズムが狂ってしまうな。つまりね、本来なら呪いに身を委ね、心を見失って個のあれを保てなくなるはずの魔法少女たちのそのあれに、魔女としての銘(なまえ)と呪いの形のそれをこうして与え、現世へ送り出す。その真髄は、『命名』・『造形』・『送り出し』の三種の力があって、それがここ、なづそこね……『名塚底根』という空間の役割のあれなんだよ!全ての魔女たちの始まりの場所、つまり第二の故郷のふるさとと言ってもいいあれだろうね!」 さやか「種明かししてやろうとかよく言えたわね!『なづそこね』って噛んだ上に、『あれ』と『それ』ばっかりで、どうして魔法少女が魔女になるのかっていう一番大事な部分がすっぽ抜けてるじゃない!自分だけで納得しないでよ!」 --- **丁香を追いかけるまどか視点・夜の路地** まどか「はあ、はあ……丁香ちゃん、待って!さっきはごめんね、丁香ちゃん!私、無神経なこと言っちゃったよね……!」 立ち止まり、冷たい目で振り返る丁香。 丁香「……あんた、平気でこんな暗い夜道を一人でうろつくのね。危ないとは思わないわけ?……ああ、それとも、あの暁美ほむらっていう悪魔に守られている限り、誰もあなたを傷つけられないと分かってるからなの?お姫様」 まどか「え……?悪魔?ほむらちゃんが?……あ、待って、丁香ちゃん!ごめんね、あなたが怒ってること、どうしてそんなに悲しそうなのか、ちゃんと私に聞かせて!」 丁香「……そうね。あんたみたいにちゃんと人の話を聞こうとする子には、回りくどい言い方はやめて、手っ取り早く本当のことを教えてあげるわ。あなたもある意味、あの悪魔に記憶を奪われた被害者みたいなものだしね」 ブォン……!と丁香の周囲に不気味な魔力が立ち昇る。 まどか「え、何これ……!?」 丁香「いい?驚かないで聞いて。私は、かつて願いを叶える代償に魔法少女になり、戦いの果てに心を濁らせ力尽き、本来なら魔女という怪物になるところを『円環の理』という救済の法則に導かれた人間なの」 まどか「魔法少女……?魔女……?えっと、丁香ちゃんの説明はすごくちゃんとしてて言葉の意味はわかるんだけど、私の知らないことばっかりで……!」 丁香「ええ、今のあなたが知らないのは無理もないわ。つまり、本当の私はもうとっくに死んでるのよ。お父さんが私の買ってきたケーキの前で自殺して、絶望の中で死んだの。でも、私とセルマは、あの名前のない上級生に導かれ、引き裂かれた『円環の理』から『名塚底根』という魔女の故郷を辿り、再びこの現世に舞い戻ったのよ」 まどか「ちょっと待って、死んでるって何の話!?お父さんが……!?え、じゃあ今の丁香ちゃんは……?」 丁香「『名塚底根』を通って現世に戻れるのは、死してなお強い未練と呪いを引きずる者だけ。鹿目まどか、かつて『円環の理』そのものだったあなたが、この偽りの世界を支える要石なのは間違いないわ。だから、あなたが消えれば、悪魔が作ったこの嘘っぱちの世界を全て壊すことができる!」 まどか「やめて、丁香ちゃん!私、よくわからないけど、丁香ちゃんと戦いたくないよ……!」 丁香が放った一撃がまどかに迫る――その瞬間、赤い槍が割って入り、攻撃を弾き飛ばす。 ガキィィン! 杏子「おいこら丁香!一体何のつもりだ、普通のカタギの鹿目にそのあれを向けるなんてよ!」 丁香「邪魔しないで、杏子!あなただって、喫茶店で言ってたじゃない!偽り事や傷の舐め合いは許せないって!この子はその巨大な偽りの中心にいるのよ!」 杏子「ああ!?お前がそうやってまともな理屈で突っ込んでくるから、私のかっこいい登場のあれが狂ったじゃねえか!いいか、私が許せねえのはな、その真髄は『理不尽』・『通り魔』・『デザートの食い残し』の三種の力があって、そういうわけのわかんねえあれの理由で、無抵抗な他人にその刃のあれを向ける奴のことなんだよ!」 丁香「三つ目はただの食べ物の恨みじゃない!せっかく私がまどかに分かりやすく世界観を説明してたのに、あんたが入ってくると一気に会話がバカになるから黙ってて!……私の絶望を、私の痛みをわかってくれたのは、『円環の理』だけなのよ!」 --- **名塚底根視点** ほむら「全ての魔女の始まりの場所、『名塚底根』……。なぜ、誰の手によってそんなもののあれが出来上がったの?」 ワス「もちろん、これを望み、これをこうしてあれして作り上げた者がいたからですわ」 空間の奥から、ゆっくりと姿を現すワス。 ほむら「っ!保健室に行ったはずじゃ……謀られた!?」 ワス「見え透いた罠でしたもの。でも、わざわざ私の故郷まで足を運んでくださったのですから、特別に種明かしをして差し上げますわ。私がここを作った理由、それはマルグリートよ。私は自分を失いたくなかった。絶望に至るあの想いのあれを忘れたくなかった。いつか再び彼女と巡り合うためには、その真髄として『記憶』・『輪郭』・『マルグリートへの愛』の三種の力があって、私は私である必要のあれがあったのですわ」 さやか「ちょっと待ってよ!保健室にウキウキで向かってたの、私バッチリ見てたんだけど!?途中で気づいて引き返してきたくせに、最初から見抜いてたみたいな顔しないでよ!それに説明も回りくどいわ!」 ほむら「それだけの理由で、宇宙の外側にこれだけの空間のあれを……!?」 ワス「美樹さやか、人の種明かしに水を差さないでくださる?もっと褒めてくれて構いませんのよ。まあ、『円環の理』とやらに魔女という存在そのものが否定されたせいで、せっかくのこの名塚底根も存在意義のあれを失っておりましたが……先頃、あの概念が何者かの手によって引き裂かれましてね。その理由のあれについては、悪魔であるあなたになら、それがあれでお心当たりがございますでしょう?」 ほむら「……皮肉のつもりかしら、その言い回しのあれは」 ワス「ええ、極上の皮肉ですわ。まあ、私も他の魔法少女と同様に『円環の理』に回収されていたのでしたが、あなたが神を引きずり下ろしたおかげで、図らずもこの懐かしい故郷への抜け道のあれが開いて、こうして見滝原の噴水に再臨を果たしたというわけですわ。ここを経由することで、『円環の理』に連れ去られた者たちの魂は、そのあれをこうして再び現世へと引き返すこともできます。もちろん、そこの魔女図鑑に記されている『心の成れの果ての正体』のあれを、自分の目でこうして見つめ直すことになりますけれどね」 さやか「えっと……つまり、ほむらが何かやらかしたせいで、死んだはずの魔法少女がこの場所を通って生き返っちゃったってこと!?あんたたち、大事なところを『あれ』で濁すから理解するのにすごいカロリー使うんだけど!」 ほむら「それじゃあ、やっぱりあなたたちのその本来の姿は、魔獣ではなく、かつての魔女……!?」 ワス「あら、穢らわしいものでも見るようなその目つきはやめてくださらないかしら。世界を私物化した悪魔なんていう法則破りのあれに比べたら、私たち魔女なんてまだ愛おしいというものよ」 ほむら「姿形を私から盗み、自分の本来の名前すら知らないくせに!あなたは何者なの?その魔女の銘を名乗りなさい!」 キュゥべえ「それは無理という名のインポッシブルだよ、ほむら。僕が代わりに種明かしをしよう。彼女は自身が呪いへと転化するその刹那、本来僕らインキュベーターが回収して得るはずだった、希望から絶望へと相転移する際に生じる莫大な感情エネルギーのあれを、魔女となった自分自身のそれにこうしてギュッと収束させることで、この『名塚底根』という空間のあれを作り上げたんだ。だから、ここで銘を与えられ個のあれを保ち続けるという恩恵は、彼女より後の時代に生まれた魔女でなければ手に入らないものだからね」 さやか「キュゥべえ、あんたも種明かししてやろうとかよく言えたわね!『自分自身のそれにギュッと収束させて空間のあれを作った』って、一番知りたいメカニズムが全部擬音と指示語じゃない!」 ワス「インキュベーターの言うその通りのあれですわ!滑稽な話だけれど、ここ『名塚底根』の成立を契機に、後の魔女たちが魔女としての自我のあれを得たというのに、開祖である私は、それ以前の時代の名もなき全ての呪いのあれと融合し、自我を保てなくなってしまった!今となっては記憶もない、名前もない。その真髄は、『忘却』・『集合体』・『超大型台風みたいな渦』の三種の力があって、ただ忘れ去られた呪いの全てを束ねて渦となったもの!ゆえに最大にして最悪の魔女、それがあれした私なのですわ!」 さやか「自分だけで納得して盛り上がらないでよ!結局あんたは誰なのよ!?」 ほむら「……そう。あなた自身に名乗る固有名詞としての名前がなかったとしても、あなたというその存在のあれを呼び表す呼称を、私は幾度となく繰り返した見滝原の時間の中で知っているわ。複数の魔女の集合体、想像を絶する呪いの渦……ワルプルギスの夜(ワルプルギスナハト)!」 ワスの身に纏う魔法少女服が、歯車と逆さまのドレスを象った『ワルプルギスの夜』の意匠へと禍々しく変貌する。 ワス「やめて!ワルプルギスの夜だなんて、そんなおぞましいドイツ語みたいな名で呼ばないで!まるで私が誰かを害する自然災害か災厄のようではありませんか!私にも祈りのあれがあった。捧げた希望と絶望のそれがあった。なのに私の中には幾千もの呪いが渦巻き、どれが本当の私のあれなのかわからない!私の銘、私の想い、それを知っているのはマルグリートだけ!彼女だけが私をこの渦から取り戻してくれるはずなの!……ここは魔女の揺り籠。保健室の罠から臆病者のあなたをここまで釣るのには時間がかかってしまったけれど、悪魔の力といえども、この宇宙の外側のあれでは一切通用しませんわ!」 ほむら「だとしても、ワルプルギス、あなたは私の連れの存在を忘れているわ」 ほむらは魔女図鑑の1ページを破り取り、さやかに向かって『人魚の魔女(オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ)』の記録写真を投げつける。 ズダダダダン!ドォン! さやか「え……な、何これ!?どういうこと?なんで私にこの奇妙な魔女文字がスラスラ読めるの!?『恋慕の念から生じた人魚の魔女』……どうしてここに、恭介のことや、私のことが書いてあるのよ!?」 さやかの背後から、巨大な車輪と剣を携えた『人魚の魔女』のイメージが激しく現出する。 ワス「まあ……美樹さやか。私のこの魔女の揺り籠に、これほどお似合いな、かつての魔女の素養を持った方を連れてくるなんて、この悪魔め、なかなか粋なあれをしますわね」ニィッ --- **まどか視点・丁香の魔女の結界** ゴムの魔女(丁香)の結界内に引きずり込まれたまどかと杏子。 ヒュウウウ……ドサッ! まどか「きゃあっ!……あ、ええ?ここ、どこ!?私……なんでこんな不思議な空間に落ちてるの?これどうなってるの?私、変な夢でも見てるの?」 杏子「とりあえずはそういう夢のあれだって思ってな、鹿目!……くっ、なんだこのビヨンビヨン跳ね返ってくるゴムみたいな戦い方は!見滝原の魔獣よりよっぽどタチが悪いあれだぞ!」 ゴムの魔女の姿を借りた丁香が、伸縮自在の触手のような攻撃を繰り出す。 丁香「そうよ、これが魔獣なんかじゃない、私たち本来の『魔女』の呪いの力!佐倉杏子、かつて『円環の理』に導かれたあなたにも、この力を振るう資格はあるわ!」 杏子「何言ってやがる!?円環だか三角だか知らねえが、急にわけのわかんねえ設定を押し付けんじゃねえ!」 丁香「私がちゃんと説明してるんだから聞きなさいよ!『円環の理』に一度魂を捧げた者なら、名塚底根に記録された自らの魔女の呪いを我が身に取り込み、再びこうして引き出すことができるのよ!」 杏子「冗談じゃねえ、そんな呪いだかゴムだかの胸糞悪い戦い方はごめんだね!私の真髄は、『槍』・『結界術』・『たい焼きの早食い』の三種の力があって、それがこうしてあれしてるから、私は今のままの魔法少女の私でも十分に強えんだよ!」 丁香「たい焼きの早食いは戦闘に何の関係もないでしょ!本当にあんたの説明は頭に入ってこないわね!」 杏子「うるせえ!お前が突っ込むから槍の穂先が鈍るだろうが!いいか、自分の呪いに溺れるようなそういうあれが、一番無様なあれなんだって、かつて見滝原で私に教えてくれたバカな友達(さやか)がいたからな!今の私は、風見野にいた頃みたいに一人ぼっちじゃねえんだよ!」 グオオオオオ……!と杏子の渾身の一撃が丁香の魔女の殻を打ち砕く。 杏子「おい、丁香!?大丈夫か、丁香!」 まどか「この子を助けないと!もうやめて、杏子ちゃん!」 魔女の姿が剥がれ落ち、床にうずくまってうめく丁香。 丁香「やめろ……私を憐れむな!幸せな家族の中で生きてるあんたたちが、お父さんを亡くした惨めな私を見下すな!」 震える丁香のそばへ駆け寄り、そっと膝をつくまどか。丁香が完全に人間の少女の姿へと戻る。 丁香「来ないで……!お前なんか嫌いだ、お父さんも、この世界も、誰もかも嫌いだ!ケーキを見るたびに、お父さんの冷たくなった手を思い出すのよ!私を、私を置いていかないでよ……!」 まどかから逃げるように後ずさる丁香を、まどかが優しく、しかし力強く抱きしめる。 まどか「もういい、もういいんだよ、丁香ちゃん!お父さんのためにケーキを買って帰った丁香ちゃんは、とっても優しくて素敵な女の子だよ。だから、もう誰も恨まなくていいの。あなたがそんなに苦しんでいたのに、さっきは気がつけなくてごめんね。私、大事なことを何も思い出せなくてごめんね!」 丁香「まどか……っ、うわあああん……!」 まどかの胸で泣きじゃくる丁香。しかしその直後、空間を切り裂いてセルマが襲来する。 キィィィン……! セルマ「あーあ、丁香ったら、泣いちゃって!そんなんじゃもう、誰の役にも立てない不良在庫だよ……なんてね!でも良かったね、神様こと鹿目まどかちゃん!あなたがその優しさのあれを出してくれたおかげで、これからもっともっと、この世界の役に立てるあれになるんだよ!」 ワイヤーのような針の魔力でまどかを拘束し、一瞬で攫っていくセルマ。 杏子「あっ、こら待て!鹿目をどこへ連れて行く気だ!」 そこへ駆けつけてきたマミとなぎさ。 なぎさ「え……?セルマ……?なんでセルマがまどかをこうしてあれしてるのですか……?」 マミ「セルマさん、あなたお友達じゃなかったの!?お願いよ、どういうあれなのか、ちゃんと順序立てて説明してちょうだい!」 丁香「(あんたたちがセルマに説明を求めたら、余計に事態が混乱するだけよ……!)」 --- **名塚底根・ワスと人魚の魔女の攻防** 巨大な人魚の魔女の力を暴走させながら、ワスの放つ無数の使い魔の群れと激突するさやか。 さやか「うわあああっ!な、何なのよこれ!この人魚の化け物は、魔女になった私なの!?なんで私がこんな姿に……どうなってるのよ、これ!?」 ほむら「いいからそのまま暴れて、ワルプルギスの注意を引きつけなさい。ここを出たら、また私の悪魔のあれで、何もかも綺麗に忘れさせてあげるわ。でも今はそのあれを我慢して」 さやか「ふざけないで!あたしはあんたの都合のいい道具かなんかなの!?記憶を消したり戻したり、何様のつもりよ!説明も下手くそなくせに!」 ほむら「悪魔様よ。さあ、ゲートが開いたわ、脱出するわよ!」 名塚底根の裂け目から現世の見滝原へと脱出するほむらとさやか。それを追ってワスも現世の空へと飛び出してくる。 ワス「ふふ、名塚底根での鬼ごっこは、追い出した私の勝ちというあれかしら?」 ほむら「ええ、そこでの勝敗はそれでいいわ。でも、ここから先の見滝原の空は、私の悪魔の力が十全に働く私の舞台よ」 黒き翼を広げ、再び悪魔の姿へと変身するほむら。 ワス「いいでしょう。お互い、お茶会や鬼ごっこのような戯れのあれは、ここまでにするべきね」 一触即発の二人の間を、黄金の銃弾が走る。 ズキューン! マミ「少しいいかしら。私たちを抜きにして、勝手に話を進めないでちょうだい」 銃を構えるマミの後ろには、杏子、なぎさ、そして改心した丁香が並んでいる。 --- **まどか視点・見滝原のビルの屋上** まどか「セルマちゃん、どうしてあんなことしたの!?丁香ちゃんも、巴先輩も、なぎさちゃんも、みんなお友達だったんでしょ!?」 セルマ「うーん、本当に鹿目まどかは何にも覚えてないんだね。そんなに頭の中がすっからかんじゃ、あなた、ずっと誰の役にも立たない役立たずのあれのままだよ?それでいいの?」 まどか「私のことはどうでもいいよ!丁香ちゃんと杏子ちゃんを傷つけて、私をこんなところに連れてきて、何がしたいの!?」 セルマ「よく聞いてね、まどかちゃん。種明かしをしてあげる!私はね、嫌なんだよ、役立たずの不良在庫でいるのは。生前のセルマ・テレーゼはね、自分がそこにいたって誰も喜んでくれない、いてもいなくても同じあれだったの。だからキュゥべえと契約して魔法少女になったんだ!遊園地で言ったみたいに、愚かしさと惨めさで笑われるだけじゃない、何かの役に立つ人に、少しでも大勢の人に喜んでもらえるような、そういう素敵なあれになりたかったから!」 まどか「セルマちゃん……。でも、だからってみんなも、本当に魔法少女になってこんな怖い思いをするなんて……」 セルマ「そうだよ、みんな魔法少女なんだよ。そしてまどかちゃん、あなたはその一番のお手本という名のサンプルになれるのかも!ねえ、魔法少女が一番この世界の役に立つ方法のあれって何だと思う?」 まどか「え……?それは、困っている人を助けて、奇跡を起こすことじゃ……」 セルマ「ブッブー!全然違うよ!その真髄はね、『絶望』・『心の破壊』・『エントロピーのあれ』の三種の力があってね!私たちが絶望して、ソウルジェムがグシャッと壊されて魔女になることなの!それで私たち人間は一巻の終わりのジ・エンドになるけど、代わりにこの宇宙の寿命のあれがグーンと延びるの!ただ無意味にダラダラ生きていくよりも、何百倍も大きなエネルギーの力をこの世界のために捧げることができるんだよ!キュゥべえがそう教えてくれたんだ。マジで、あの子たちがセルマを変えてくれたの。生きる価値もないゴミみたいなセルマを、もっと素敵な、宇宙の役に立つ乾電池みたいなあれにね!」 まどか「種明かしって言いながら、言ってるることがメチャクチャだよ!自分をゴミとか乾電池みたいに言うなんておかしいよ!違う、絶対違うよ!魔法少女は、誰かの笑顔のために奇跡を起こす存在のはずだよ……!」 セルマ「まどかちゃんがそうやって真っ当な正論で突っ込むから、セルマの説明のあれが狂っちゃうじゃん!いい!?あなたが昔、『全ての絶望を消し去る』なんて言って、魔女が生まれないように『円環の理』なんか作ったっていうの、セルマは名塚底根で聞いてマジでムカついたんだよ!勝手だよ、迷惑だよ!あなたのそのお節介のせいで、私たちが絶望して宇宙を救うっていう魔法少女の犠牲のあれが、全部無意味になっちゃったんだよ!セルマが苦しんで死んだ意味もなくなっちゃったんだよ!どうしてくれるんだよ!」 まどか「私が……セルマちゃんたちの意味を、奪っちゃった……?」 セルマ「……でもね、うん、今のあなたがそれを覚えてなくても別にどうでもいいわ。まどかちゃん自身がダメな役立たずでも、あなたに備わったその因果の力には、マジで特大の価値があるんだもん。だからね、それをキュゥべえに使ってもらおうよ!そうすれば今度こそ、あなたは世界に、この宇宙の寿命のために役に立つ!生まれてきた意味があったんだって、胸を張って自慢できるあれになるよ!」 まどか「私を、どうするつもりなの……?」 セルマ「これはね、あなた自身が『円環の理』になった時に、自分の手でなかったことにしてしまった、もう一つのあなたの可能性のあれ。全ての時間軸から消えてしまったとしても、この宇宙の外側の『名塚底根』には、全ての魔女の記録を保存していた場所があったんだよ。そこからセルマが、わざわざここまで持ってきてあげた!あなたの影、あなたの呪い!神様なんかになり果てる前に、あなたが本来なるはずだった最高に役に立つ形――『救済の魔女(クリームヒルト・グレートヒェン)』のあれを教えてあげる!」 セルマが名塚底根から持ち出した黒い呪いの塊を、まどかの胸へと無理やり押し込む。 ズオオオオオオン! まどか「あああっ……!!頭が、心が……黒い何かが入ってくる……っ!」 --- **別の屋上・ほむら達視点** まどかのいるビルから噴き上がる、天を衝くような巨大な魔女のシルエットを見て愕然とする一同。 さやか「な、何なのよ、あれ……!?まどかの方から、とんでもない化け物の影が立ち昇ってるわよ!?」 ほむら「そんな……あれは私がかつて何度も見た、まどかの魔女……!どうして魔法少女ですらない今のまどかが、また魔女の姿に……!?」 ワス「ふん、種明かしをするまでもありませんわね。セルマがあの『名塚底根』の魔女図鑑から、鹿目まどかの魔女の記録のあれを引っ張り出して植え付けたのでしょう。たったそれだけのこと。その真髄は、『宇宙の外側のバックアップ』・『記録の逆流』・『悪夢の具現化』の三種の力があって、『円環の理』によって否定された事象であろうと、宇宙の外側にあった名塚底根のあれにはその改竄は及びませんの。つまり、ありえるはずがなかった過去のあれの形が、今のあの子のそれをこうして蝕んでいる。今はまだ、マルグリートが立ちくらみのように悪夢を見ているようなもの。でも、この悪夢はいずれクルッと反転し、現実のあれとなるでしょう!」 さやか「だから種明かしするまでもないとか言いつつ、回りくどい説明をしないでよ!要するに、ほっておいたらまどかが本当に魔女になっちゃうってことでしょ!?」 ほむら「まどかの悪夢が、現実に……!?そんなこと、私のこの世界で絶対に許さない!」 そこへ、上空からセルマの拡声された声が響き渡る。 セルマ『あはは!みんな必死だね!そんなにも鹿目まどかが好きなんだ?こんな記憶もない役立たずな子なのに、どうしてなんだろう。羨ましいのを通り越して、なんだか気持ち悪いあれだよ!なんで鹿目まどかだけが、ほむらにもワスにもみんなにも、こんなに愛されてるの!?ねえ、あなたたちがまどかちゃんを連れ戻したって、どうせ『円環の理』が元に戻るだけでしょ?それならこのまま特大の魔女になって、キュゥべえにエネルギーを回収してもらった方が、よっぽど世のため宇宙のためになるじゃない!』 マミ「なんてことを……!キュゥべえなんかのために、鹿目さんにこんな残酷なあれを……!?」 セルマ『そうだよ!だって宇宙で一番役に立ってる生き物があの白くて可愛い子たちなんだから、セルマもキュゥべえのために頑張るの!そうすれば、あの子が一番喜んで、セルマを褒めてくれるもん!』 ワス「ああセルマ……セルマ・テレーゼ!自分の名前すら思い出せない私と違って、せっかく名前も自我もあるというのに、インキュベーターの都合のいい蓄電池になりたがるなんて、なんて愚かで悲しい不良在庫の子!」(笑いながら戦闘態勢を構えつつ) 丁香「ちょっとワス、あんたまで不良在庫って気に入って使わないでよ!」 ほむら「インキュベーターの正体と手口を知った上で、なおあいつらの味方をしようっていうの!?頭の中まで針の糸で縫い合わされているんじゃないの!?」 セルマ『あ、それって驚くようなこと?いつだってキュゥべえは宇宙規模で正しいって、なんでみんなわかんないの!?セルマはね、役立たずは嫌なの!いらない子にはなりたくないの!だから私たちの絶望をなかったことにする『円環の理』なんてごめんだよ!私たちが救われたって、宇宙の寿命が縮むだけで何の意味もないじゃない!それよりも、みんなで仲良く魔女になろうよ!』 あまりにカオスな状況と飛び交う専門用語に、ついにさやかが頭を抱えて叫ぶ。 さやか「私、もうついていけない……!!さっきから円環の理だの名塚底根だの宇宙の寿命だの、みんな自分たちだけで納得して話を進めてさ!この戦いって何なの!?一体誰と戦っているの!?なんで普通の女の子のはずのまどかが神様だの魔女だの言われてるの!?どこまでがほむらの嘘で、何が本当なの!?そして、記憶がないはずなのに、どうしてもあんた(ほむら)だけは許せないっていう、私の中のこの激しい感情は何なのよ!?ねえ、回りくどい言い方やめて、ちゃんと分かるように教えてよ、ほむら!」 ほむら「……今の私の説明力は、あなたに突っ込まれすぎて完全に狂っているから一言で言うわ!すべてはまどかを守るためよ!だから、今すぐまどかをこの悪夢のあれから目覚めさせる!」 なぎさ「まったく、さやかは何をそこで呆けてるのですか!このままだと、まどかが本当にグレートヒェンのあれで魔女になっちゃうのですよ!」 さやか「え……グレートヒェン?ちょっと、なぎさ、なんであんたがまどかの魔女の名前を知ってるの!?それに私だって、さっき人魚の化け物みたいなのが出てきて……!」 なぎさ「種明かしをしてやるのです。さやかは、自分がかつて恋に破れて人魚の魔女になったことも、円環の理の鞄持ちとして私と一緒にここまで来たことも、全部忘れたままの方が良かったのですか?それとも悪魔のほむらに記憶をいじられて利用されるのが嫌なのですか?」 さやか「な、なぎさ……あんた、最初から全部知ってたのね!?記憶があったのね!?なのにあんたは、マミさんにも私にも本当のことを一言も教えずに、ほむらのことも放っておいて、ただ黙って遊園地やスイーツ店を楽しんでたっていうの!?」 なぎさ「本当のこと?ええ、昔話のあれならいくらでもできますよ。その真髄は、『号泣』・『負傷』・『インキュベーターの詐欺』の三種の力があって、かつての私たちの過去なんて、泣いて、傷ついて、騙されて、チーズも食べられないまま死んだ、どれもこれもろくでもない思い出のあればかりなのです!そんなクソくだらねえ過去のあれよりも、生き返ってマミたちと毎日楽しくおしゃべりしている『今』が一番素敵なので、まどかが神様だろうと、ほむらが悪魔だろうと、それが何ですか?なぎさの楽しいお茶会の邪魔さえしなければ、神でも悪魔でもどうぞお好きに、知ったことじゃないのです!」 さやか「種明かししてやろうとかよく言えたわね……!前半はいつもの意味不明な三種の力だったくせに、後半だけ急に口の悪い本音ぶちまけてくるじゃない!そんな……あんた、円環の理の使者だったくせに、本当にそれでいいの!?」 なぎさ「どうしてもこのわけのわからない戦いに巻き込まれたくないっていうのなら、そこで一人で蹲ってればいいのです。ただし、さやかは誰のために、何のあれがしたいのですか?そんな単純なことすら決められずにメソメソしてるなんて、それこそただの負け犬のあれってものなのですよ!」 さやか「……っ!本当、ムカつくガキ!説明は下手なくせに、煽る時だけ的確に腹立つこと言いやがって!」 さやかが剣を握り直し、前を見据える。一方、ほむらとワスは並んで、黒い影に呑まれつつあるまどかの元へと飛翔していく。 ここで、苦しみながらも凛とした光を放つまどかの姿を見て、ワスの脳裏に封印されていた「生前の記憶」が完全に覚醒する。 --- **【回想】** アルティメットまどか「あなたの名前は、マルグリート。その真髄は、『慈愛』・『浄化』・『シスター服』の三種の力があって、あなたがこれまであれしてきたその全てを、私がこうしてあれしてあげるからね」 マルグリート「あれ?神々しい光の中から、すごく説明が回りくどい声が……。私……そうだ、木から落っこちてしまったあの子鳥を、巣のあれにこうして返してあげたくて……」 木を見上げ、巣に戻した小鳥を見ながら微笑む生前のシスター・マルグリート。 マルグリート「ふふ、もう大丈夫ですよ、小鳥さん。……でも、今私の名前を呼んで、なんか三種の力がどうとか言っていたのは誰なんでしょう?まあ、何にせよ、私はこの世界が不幸であるとは思いません。たとえ今がどれほど冷たく残酷な時代であったとしても、私たちは手と手のあれを取り合うだけで、温かな希望のありかのそれを、こうしてあれと思い出せるから」 そこへ現れるキュゥべえ。 キュゥべえ「もし君がそれを望むなら、君は君自身のそのあれの力で、大勢の人間を救うことができるんだ」 マルグリート「まあ、白い小動物さん。私はこれまで知りませんでした。希望を願い、呪いのあれを受け止め、人知れず戦い続ける者たち。彼女たちの名は、そう、魔法少女という名のマジカルガール」 キュゥべえ「さあ、マルグリート、君は何を願う?もし君が望むなら、君は君自身の力で大勢の人間をこうしてあれすることができるよ」 マルグリート「私の願いは……私の願いのその真髄は、ただ一つ!全ての魔法少女を、そのあれからこうして救いたい!私の名前はマムグリート……いえ、マルグリート。もう大丈夫ですよ!」 マルグリートが契約によって得た固有魔法は『他者のソウルジェムの穢れの浄化(肩代わり)』。仲間の魔法少女たちの濁ったソウルジェムを浄化するマルグリートの日々が始まる。 少女たち「ありがとう、マルグリート!あなたがソウルジェムを綺麗にしてくれたおかげで、私たちはまた戦えるわ!ありがとう!」 マルグリート「ふふ、みんな、大丈夫?私のこの浄化のあれはね、その真髄として『祈り』・『吸収』・『気合い』の三種の力があって、みんなのソムルジェム……ソウルジェムのその黒いあれを、私のここのあれにこうして移し替えることで、きっと大丈夫なあれになるのですよ!」 少女A(生前の仲間)「えっと、マルグリート、いつも助けてもらっておいてなんだけど、ソムルジェムって噛んだし、『あそこのあれをここのあれに移し替える』って、どういう仕組みなのか全然要領を得ないわ……もしかして、私たちの穢れをあなたが全部一人で被ってるんじゃ……!?」 マルグリート「あ、あなたがそんな鋭い突っ込みをするから、私のシスターとしてのありがたい説法のあれが狂ったじゃありませんか!いいですか、全ての魔法少女を救いたい、それが私の願いのあれなのです!しかし、その願いは、あれがこうして増えすぎると、私のこのそれが……」 少女たち「うわあああっ!穢れが溢れ出して止まらない!助けて……助けて、マルグリート!助けて……!」 限界を超えた穢れが逆流し、次々と呪いの渦(個を持たない怪異)へと呑み込まれていく少女たち。 マルグリート「ああっ、私はマルグリート……私を呼ぶみんなの声、私が救わなければ……!呪いのあれに飲み込まれてはなりません!自分を思い出して!魂の輪郭のあれを、心のありかのそれを!」 キュゥべえ「やれやれ、種明かしをしてあげよう。どうやら彼女の容量では、全ての魔法少女の穢れを引き受けて救うことは不可能だったみたいだね。本来なら呪いに飲み込まれた魔法少女は、魔獣のように『個』のあれを失ってただのエネルギーの渦になるはずだ。残念だったね」 少女B(薄れゆく意識の中で)「キュゥべえ、この期に及んで種明かししてやろうとかよく言えたわね……!私たちが消えかけてるのに、他人事みたいに要領を得ない解説をしないでよ……!」 マルグリート「いいえ、まだ終わらせません!私の真髄は、『命名』・『箱庭の創造』・『概念の固定』の三種の力があって、せめて、あなたたちの名前を呼び続けるわ!生まれ落ちたその銘のあれを、私が作る『名塚底根』の図鑑に刻み込んで……!」 マルグリート「あなた達の名は……個を持った誇り高き呪い、『魔女』!」 マルグリートの力によって『名塚底根』が創り出され、消えかけていた少女たちの魂に「魔女としての銘と個」が与えられる。 マルグリート「ああ、良かった……あなたたちは、自分を失わずに間に合ったのですね。心が壊れた後でも、名塚底根で新しい名前と新しい姿のあれをあげましょう。でも、力を使い果たした私と、間に合わなかった他の子たちは……」 キュゥべえ「これは驚きだ。彼女は、消えゆく呪いに新しい名前をつけることによって、個を持った新しい存在『魔女』として生まれ変わらせたわけだ。ただ、全ての魔法少女を救う前に、彼女自身が限界のあれを迎えてしまったみたいだね。名もなき残りの全ての魂と一つに融合してしまった君を、僕たちはこれからなんて呼べばいいのかな?ワルプルビ……ワルプルギスの夜、とでも呼ぼうか」 自我を失い、巨大な歯車の魔女(ワルプルギスの夜)へと堕ちていくマルグリート。 ワス(心の声)「私の……私は誰だったろう?もう何も思い出せない。あそこにあるのは何?あれは……あのピンク色の光は……!?ああ、あの輝き、あの優しさ、温かさ!あれこそ私が探していた愛しき人、全ての魔法少女を救おうとした『マルグリート』に違いないわ!(※自分がマルグリート本人であることを忘れ、目の前に現れたアルティメットまどかをマルグリートだと誤認している)名前を呼んで!私が誰か教えて!ああ、今からあなたの元に行きます!私を救って、マルグリート!」 アルティメットまどか「もういい、もういいんだよ。私の説明は円環の理になってから絶望的に下手になっちゃったけど、とにかくその、あれがそれで、もう誰も恨まなくていい、誰も呪わなくていいんだよ。そんな全てのあれを背負う前に、あなたのそのあれは、私がこうして全部受け止めてあげるからね」 **【回想終了】** --- **現実・ビルの屋上周辺** セルマ「見てよ、まどかが完全に魔女になるよ!これでセルマは役に立てるんだよ!神様だったまどかの代わりに、セルマがこの特大の魔女をキュゥべえに捧げて宇宙を救うんだ!そうすれば、みんな、みんなセルマを好きになる!キュゥべえも、マミも、なぎさも、あなたたちも!」 そこへ、冷淡な声でキュゥべえが告げる。 キュゥべえ「やれやれ、種明かしをしてあげないといけないね。確かに彼女――セルマ・テレーゼは、人間にしては珍しく僕たちインキュベーターに好意的だったね。でも、セルマは大きな勘違いという名のミステイクをしている。その真髄は、『契約の有無』・『ソウルジェムの有無』・『相転移のプロセス』の三種の力があって、今の世界では魔法少女でもないただの人間である鹿目まどかに、外から名塚底根の記録を押し付けて直接に魔女にさせたって、希望から絶望への落差がないから、感情のエネルギーは1ミリも回収できないんだ。つまり、君がやったことは、僕らには何のメリットもない無駄骨のあれだよ」 丁香「インキュベーター、あんたいつも以上に説明が回りくどいけど、要するにセルマをただ利用して切り捨てたってことね!本当に最低な奴!」 セルマ「え……?無駄骨……?キュゥべえの役に、立たない……?わあぁぁっ!どうして、どうしてみんなセルマのこと邪魔するの!?キュゥべえまでセルマをいらない子扱いするの!?そんなに私が嫌いなの!?私が嫌いなの!?私はみんなが好きなのに、みんなの役に立ちたくて、あんなにケーキもたくさん頼んで頑張ったのに……!」 なぎさ「セルマ。なぎさは、セルマのことは嫌いじゃないのです」 セルマ「あー、そう!でも結局、役立たずのセルマをいじめて、惨めな姿を見て笑うのが楽しいのね!遊園地で言った通り、なぎさもそういう人だったんだ!」 絶叫とともに、セルマが自らの呪いを暴走させ、白いインキュベーターに酷似した不気味な姿を持つ『針の魔女』へと変貌し、なぎさたちに襲いかかる。 なぎさ「ちっちっちっ、なぎさはエンタメにはうるさいのですよ!セルマのその解釈違いには、断固として抗議のあれをするのです!」 セルマ「嘘だ!いつもチーズばっかり食べて、何が嬉しいかもわからないでヘラヘラ笑ってる癖に!」 なぎさ「まあ、そこまで言うなら、特別に手間暇かけて、なぎさのエンタメ論を種明かしして教えてあげるのです!」 マミ「なぎさ!行って、セルマをその呪いから救ってあげて!ティロ・フィナーレ!」 マミが巨大なマスケット銃から、弾丸の代わりに変身したなぎさを勢いよく射出する! シュババッ! なぎさ「よく聞くのです、セルマ!なぎさが好きなエンタメの真髄は、『愚直な誇り』・『折れない心』・『チーズの濃厚な味わい』の三種の力があってですね!愚かでも自分の誇りのあれを貫く人が、哀れでも最後まで挫けない人が、なぎさの心をハッピーにするのです!その輝きがあれでそれだから、なぎさは嬉しくて、笑って泣くのです!だからね、キュゥべえの乾電池なんかにならなくても、セルマにはただの役立たずのまま、私たちと一緒にバカみたいに笑っていてほしかったのですよ!」 セルマ「っ……!種明かししてやろうとか、よく言えたね、なぎさ……!チーズは関係ないし、相変わらず要領を得ない説明だけど……でも、セルマ、役立たずのままでも、そこにいてよかったの……?」 なぎさが放った渾身の一撃が、針の魔女の核――セルマの黒く染まったソウルジェムを優しく、しかし確実に砕く。パリン、と澄んだ音を立てて光り輝きながら消えていくセルマ。 --- **ワス視点・まどかがいるビル屋上** ほむらと共にまどかの元へ辿り着いたワス。黒い魔女の影の中から、意識を取り戻したまどかが姿を現す。 ワス「ああ、マルグリート、愛しい人よ……。ようやく思い出しましたわ。そして、なぜ私があなたをマルグリートと呼んでいたのかも。ねえ、もう一度だけ教えてちょうだい、この名前のない私が、本当は誰なのかを」 まどか(※まだ円環の理と融合する前の、素の鹿目まどかなので説明力は正常)「うん、全部見えたよ。あなたの名前は、マルグリート。私がマルグリートだったんじゃない、あなた自身が、昔たくさんの魔法少女を救おうとして『名塚底根』を作った、優しいシスターのマルグリートさんだったんだよ。自分を忘れるくらい誰かのために頑張ったんだね。もういいんだよ。あなたも救われていいんだよ。もう大丈夫」 ワス「……ああ、そうでしたわね。私はマルグリート……。私は……私たちは、人々の幸せを願い、祈りのあれを捧げてきた。この世界から、丁香やセルマのように涙を流す人が、一人もいなくなるように……」 まどか「マルグリートちゃん、今までずっと苦しかったね。もう大丈夫だよ。これ以上苦しまなくてもいいんだよ。その重たい荷物は、私が代わってあげるからね」 ワス「あの時、宇宙の果てで私の本当の名前を呼んでくれて、ありがとう、鹿目まどか……」 優しく微笑むまどかは、隣で立ち尽くすほむらへと向き直る。 まどか「ほむらちゃん、私、ようやく思い出したよ。私にはやらなきゃいけないことがあるの。みんなを助けに行かなきゃ!」 ほむら「だめよ、まどか!今のは全部、セルマが見せた悪い夢のあれだったのよ!お願い、どこへも行かないで!その真髄は、『平穏な日常』・『見滝原の中学校』・『パパのトマトケーキ』の三種の力があって、あなたはここで普通の女の子としてこうしてあれするの!だめよ、まどか!お願い、もういいの!こんな過酷なあれは、あなたの役目じゃない!」 まどか「ほむらちゃん、すごく必死なのは伝わるけど、三種の力とか『こうしてあれする』とか、やっぱり説明が要領を得ないよ……。ごめんね、ほむらちゃん。でも、行かなきゃ」 キィィィン……! 屋上のまどかが眩い光を放ち、純白に近い魔法少女の姿へと変身する。それと呼応するように、空が割れ、ムスッとした無機質な表情を浮かべた巨大な概念――ほむらに引き裂かれ、人格(まどかの心)を失っていた『円環の理(巨大まどか)』が天から降臨する。 キュゥべえ「ほほう、これは興味深い。あれを『円環の理』と呼んでいいのかな?ほむらによって人格を引き剥がされ、単純化された救済のシステムというその原理のあれが、欠落したコアの要素である『鹿目まどか』をこうして回収に来たと考えるのが妥当だろうね。しかしおかげで、僕らインキュベーターにはまったく観察も解明もできない、超常的なあれになってしまいそうだ」 魔法少女のまどかは、天から差し伸べられる巨大な『円環の理』の手へと、迷いなく歩を進める。 ほむら「まどか、お願い、行かないで!あれと一つになったら、あなたはまた人間ではなくなってしまう!まどかーっ!」 キュゥべえ「無駄みたいだね、ほむら。君の作ったこの見滝原の空間も、概念の干渉で崩壊し始めているようだし、僕らは独自に『名塚底根』の記録を利用した、魔女化を前提とした新しいエネルギー回収システムのあれを模索するとして、今のうちに僕はあの宇宙の外側の場所へ急がせてもらうよ」 タッタッタッ……と素早く姿を消すキュゥべえ。 ほむら「そんな……私は……ただ、まどかの幸せだけを願って、悪魔にまでなってこの世界を作ったのに……!」 膝から崩れ落ちるほむら。その背後から、さやかが静かに歩み寄る。 さやか「……ほむら。あんた、もういいの?」 ほむら「何がよ……?もう終わりよ。まどかはあなたたちに返すわ。傷ついた魔法少女たちのために、『円環の理』を、まどかを元の神様のあれに戻してあげて。私のせいで、まどかの優しい心そのものだったはずの『円環の理』は、あんなムスッとした自動機械みたいなあれに変質してしまった。私のせいで、まどかがあの姿に……」 さやか「呼ぶな!!」 ほむら「え……?」 さやか「あのデカくてムスッとした『円環の理』のシステムを、まどかって呼ぶな!あんただけは、『円環の理』をまどかだなんて呼ばないでよ!あんただけは、そんな結末を認めないでよ!あんただけは、『円環の理』よりも、宇宙の法則なんかよりも、一人の女の子としてのまどかの方が大事だって言ってよ!」 ほむら「でも……まどかはそんなこと望んでない。あの子はいつだって、自分のことよりみんなを救うことを選ぶ……」 さやか「知ってるよ!まどかがそういうお人好しなのは、親友の私が一番よく知ってるよ!だから、まどかに救われた側の私は言えないんだよ!『神様になんてならないで』って、言っていいのかわからないんだよ!でも、あんたは違うじゃん!あんたは、まどかのために世界を敵に回した悪魔なんでしょ!?この書き換えられた宇宙でたった一人だけ、本当のまどかのことをずっと覚え続けてたんでしょ!?まどかをあの窮屈な神様の座から引きずり下ろせるのは、あんたしかいないってわかってる。だから言ってよ、悪魔なら、いつもの支離滅裂な屁理屈でもいいから言ってみせなよ!『まどかが幸せじゃなきゃ、他の誰が何人救われても絶対に納得できない』って!!」 ほむら「さやか……!」 マミ「頑張って、暁美さん!その真髄は、『友情』・『応援』・『ティロ・フィナーレ』の三種の力があって、私はいつだってあなたと鹿目さんのそのあれの味方よ!」 なぎさ「マミの説明は相変わらず意味不明ですが、仕方ないからなぎさも悪魔に力のあれを貸してやるのです!」 杏子「へっ、神様だかシステムだか知らねえが、あたしは昔から、そういうお堅いあれより悪魔につく方が性に合ってるんでね!」 丁香「ちょっと、あんたたち三人が入るとせっかくのさやかの良いセリフが台無しになるわよ!……でも、ねえ、悪魔。私と一緒にケーキのことで泣いてくれたのは、冷たいシステムじゃなくて、人間の鹿目まどかだったわ」 ワス「ええ、その通りですわ。名塚底根で呪いに塗れていた私たちを本当に救ったのは、『円環の理』などという無機質な自動回収システムではなく、その中心にいた、優しくて少しおっちょこちょいな一人の少女だったのです!」 --- **精神世界** 荒廃した見滝原の瓦礫の中で、自らのソウルジェムを握りしめて横たわっているまどか。その傍らに、悪魔ほむらが静かに寄り添う。 ほむら「私は……最初に出会ったあの日から、ずっとまどかに憧れて……まどかに守られるばかりだった弱い自分を捨てて、まどかを助けられる自分になりたかった……!そのあれが、私の全ての始まりだったのよ……!」 ほむらはまどかのソウルジェムを自らの胸へと取り込み、さらなる悪魔の力へと覚醒する。 --- **元の空間(崩れゆく見滝原の上空)** 丁香「ねぇ、悪魔。絶対に鹿目まどかをあのシステムから守り切って。たとえ世界中の全ての魔法少女が救済を望んだとしても、あなただけは、まどか一人の幸せを諦めないで」 マミ「鹿目さんを、よろしくね!暁美さん!」 ワス「最後に、私ことマルグリートからの忠告ですわ。人格を失ったあの『円環の理』のあれは、鹿目まどかの人間としての人生を待ってはくれません」 ほむら「マルグリート……もしあなたが今のまどかと同じ立場だったら、どうする?」 ワス「ふふ、種明かしをするまでもありませんわ。私はきっと、何度だってこの身を投げ出すでしょう。なぜならその真髄は、『自己犠牲』・『シスターの矜持』・『お節介』の三種の力があって、そうしない人生よりも、誰かのためにそうできる人生の素晴らしさのあれを、私はよく知っているから」 丁香「最後に綺麗にまとめるのかと思ったら、やっぱり三種の力って言うのね、あんた……」 ほむら「ええ、でも分かるわ。まどかもきっと、あなたと全く同じことを言うわね」 ワス「悪魔よ。名前も姿も忘れていた私が、現世に現れた時、無自覚にもどうして悪魔であるあなたのその顔になっていたのか、今ならわかりますか?私はきっと、誰かを救おうと奔走する鹿目まどかに憧れていた……そう、他ならぬあなたのようにね。だから、あの子をあの過酷なシステムの枷から解放してあげて。まどかを助けられるのは、暁美ほむら、この宇宙でたった一人の悪魔であるあなたしかいないのですから」 ほむら「そうだ……あの日の約束を、『まどかが魔法少女になって救われない世界から、まどかを守る』というあの約束のあれを、私だけは絶対に忘れちゃいけなかった。そのために、私は悪魔になったのよ……!」 ワス「ご機嫌よう、悪魔様。あなたのその不器用な愛に、祝福があらんことを」 光り輝く粒子となり、穏やかな笑顔で昇天していくワス(マルグリート)と丁香。 ほむら「これは私とまどかの約束。これは私の、まどかへの決して消えない執着のあれ。私は悪魔として、鹿目まどかをあの神の運命から何度でも取り戻す!鹿目まどかは、誰にも渡さない!」 天へと向かって飛翔する悪魔ほむら。その脳裏に、一瞬だけ幻の光景が流れる。 --- **【幻の光景:見滝原を一望できる高台のベンチ】** ほむらは、穏やかな日差しの中でまどかの膝枕で眠りについている。 まどか「ほむらちゃん、ほむらちゃん。ほむらちゃんは、自分のこれまでの人生が尊いと思う?家族やお友達を大切にしてる?」 まどか「もしこの世界が、あなたが思い描いた理想とかけ離れちゃったとしても、許してくれる?」 まどか「私の最高の友達。私はここにいるよ、ほむらちゃん」 --- **【現実:見滝原上空・円環の理と悪魔ほむらの激突】** 幻が弾け飛び、現実へと戻る。天から降りてきた巨大な『円環の理』と、飛翔したまどかが完全に融合し、神々しくもどこか威圧感を放つ『アルティメットまどか(円環の理として完全覚醒した状態=説明力が壊滅的)』となって、突撃してくる悪魔ほむらの前に立ちはだかる! ほむら「まどか!いいえ、今のあなたは『円環の理』のあれね!そこからまどかの人間としてのあれを離しなさい!私の悪魔の真髄は、『愛』・『反逆』・『時間停止の応用による概念のつまみ食い』の三種の力があって、この暗黒の翼のあれで、もう一度その円環のあれをこうして引き裂いて、まどかだけをあの高台のベンチに連れ戻してみせるわ!」 円環の理(覚醒まどか)「ほむらちゃん、相変わらず説明が回りくどくて、それぞれの言葉がどこにかかってるのか全然わからないよ。でもね、今の私は『円環の理』として完全に覚醒しちゃったから、私の方から神様の種明かしをしてあげるね!」 地上で見守るさやか「えっ!?まどか、あんた神様に戻った途端に『種明かししてあげる』とか言い出したわよ!?ちょっと、さっきまでのまともなまどかはどうしたのよ!?」 円環の理(覚醒まどか)「いい、ほむらちゃん、よく聞いてね!この『円環の理』の真髄は、『過去と未来の全ての時間軸』・『グフフシードの完全消去』・『超巨大な概念パンチ』の三種の力があってね!あなたが『叛逆の物語』のラストで私の手首をガッと掴んで引き裂いたあの時のあれは、私が油断して『あれ?ほむらちゃんどうしたのかな?』ってなってた隙のあれだったから通じただけであって、今の私は、ムスッとしたシステムと私の心がこうしてガッチャンコしてあれしたから、もう二度と引き裂かれないための『概念的なあれのバリア』が、見滝原からアンドロメダ銀河までこうして展開されてるの!」 さやか「まどかまで『グフフシード』って噛んだわよ!!しかも『概念パンチ』とか『ガッチャンコしてあれした』とか、神様の威厳がゼロの説明じゃない!種明かししてやろうとかよく言えたわね!」 ほむら「なっ……!?あなたが今、神のくせに絶望的に下手くそな説明で対抗してくるから、私の悪魔としての攻撃の段取りが狂ったじゃない!『概念的なあれのバリア』って一体何よ!?私のこの力はね、あなたが背負った因果のその因果的なあれが、私の中の愛のそれでこうして膨れ上がったものなのよ!だから、そのアンドロメダだか見滝原だかのあれなんて、私のこの黒いリボンのあれでこうして書き換えられるはずよ!」 円環の理(覚醒まどか)「ううん、書き換えられないよ、ほむらちゃん!だって、あなたが今言った『因果的なあれが愛のそれで』っていうのは、つまるところ、私が最初に『全ての魔女を生まれる前に消し去りたい』って願ったあの『えんかんのこまり』……あ、噛んじゃった、『円環の理』の派生でしかないんだもん!元本である私のそのあれが、利息であるほむらちゃんの悪魔のあれに負けるわけがないっていう、そういう見滝原銀行的なあれなのよ!」 さやか「『えんかんのこまり』って、自分の名前すら噛むんじゃないわよ神様!しかも元本とか利息とか見滝原銀行とか、たとえ話が急に生々しい金融関係になっててミリも頭に入ってこないわよ!二人とも、自分たちだけで納得して宇宙規模の押し問答をしないで!」 マミ「すごいわ……鹿目さんのあの三種の力と、暁美さんの三種の力が、空の上でこうしてあれしてぶつかり合っているのね!」 杏子「ああ、元本がどうとかアンドロメダがどうとか、まさに神と悪魔のあれにふさわしいハイレベルな会話じゃねえか!」 なぎさ「なぎさにも二人が何を言ってるのかさっぱりわかりませんが、とにかくすごい迫力のあれなのです!」 さやか「あんたたちまで感心してんじゃないわよ!ただ単に説明が壊滅的な者同士が、お互いの話を一切聞かずにマウント取り合ってるだけじゃない!」 ほむら「くっ……!な、なぜよ……!私の愛のあれが、まどかの『えんかんのこまり』の概念バリアを突破できない……!?あれがこうして、そこをそれしているはずなのに……!」 円環の理(覚醒まどか)「だからね、ほむらちゃん。あなたのその『私だけを幸せにしたい』っていう悪魔のわがままも、全部ひっくるめて、この私の『全ての魔法少女を救うというあれのそれ』の中に、こうしてふわっと包み込んであげる!ほむらちゃんも魔法少女なんだから、私の救済のあれから逃げることはできないんだよ!さあ、おやすみなさい、私の最高の友達のほむらちゃん!」 ドゴォォォォン!! 円環の理(覚醒まどか)から放たれた圧倒的な金色の奔流が、悪魔ほむらの暗黒の魔力を完全に押し返す!(悪魔の負け) ほむら「あ、あああっ……!まどか、私の説明がまだ途中で……その真髄の三つ目のあれをまだ言えてないのに……!まどかぁぁぁっ……!」 眩い光が崩壊しかけていた見滝原を包み込み、世界の理(ことわり)が再び大きく書き換わっていく――。 --- **エピローグ** 光が収まった後。見滝原を一望できる、緑豊かな高台のベンチ。 そこでは、悪魔の力を失い、穏やかな笑顔を浮かべたほむらが、心地よい風に吹かれながら静かに眠りについている。 (エンドロール) --- **名塚底根** 誰もいなくなった『名塚底根』の書架の間を、一匹のキュゥべえが歩いている。床に落ちている『魔女図鑑』を見つめるキュゥべえ。 キュゥべえ「ふむ、円環の理が再び世界を再構築したようだけれど、この宇宙の外側の空間だけは相変わらず手つかずのまま残ったみたいだね。世界の果てに蓄えられた、かつての呪いの記憶のアーカイブ……。その真髄は、『過去の魔女データ』・『相転移の再現性』・『インキュベーターの新しいビジネスモデル』の三種の力があって、これがあれすれば、僕たちはまた新しいあれをこうしてあれできるかもしれない。……うん、これは実に素晴らしい発見のあれだ」