もちろんです。では、\*\*「MÖRK BORGを初めて遊ぶ人4人・3時間程度・キャラクター作成込み」\*\*を想定して、GMがそのまま使える形にします。 今回は特に、\*\*「説明書を読むより先に遊んで覚える」\*\*ことを重視します。 # 『十三番目の鐘』 **プレイヤー人数:** 2~4人\ **プレイ時間:** 約3時間\ **対象:** MÖRK BORG初心者向け\ **舞台:** 名もなき寒村「ベルグリム」\ **テーマ:** 終末、迷信、死体、鐘、どうしようもない選択 --- ## GM向け概要 旅の途中、PCたちは「ベルグリム」という小さな村に辿り着く。 村人たちは怯えている。 村の外れにある古い教会から、毎晩鐘が鳴るのだ。 これまで鐘が鳴るたびに、村人が一人ずつ死んでいる。 今夜、鐘が鳴る予定は**13回**。 村人たちはPCたちに教会へ行き、鐘を止めてくれと頼む。 しかし真実はこうだ。 教会の地下には、かつて村人たちが封じた「何か」がいる。 鐘は、その封印を維持するためのものだった。 つまり、 **鐘を止めれば村人は助かるかもしれない。\ だが、地下の何かが目を覚ます。** そしてPCたちは最終的に、「何を犠牲にするか」を選ぶことになる。 --- # 1\. 導入 以下をそのまま読み上げても構いません。 『十三番目の鐘』導入文 夜が来る。 空には星がない。 遠くで、何かが腐ったような臭いがする。 あなたたちは旅の途中、ベルグリムという小さな村に辿り着いた。 村には人影がほとんどない。 窓は閉じられ、扉には板が打ち付けられている。 そして村の中央には、ひとつの鐘楼が立っている。 ――ゴォォォン。 鐘が鳴った。 村人たちが一斉に家の中へ逃げ込む。 誰かが小さく呟いた。 「……十二だ」 その言葉を聞いた瞬間、村の老人があなたたちに駆け寄ってくる。 「頼む」 「今夜だけは、あの鐘を止めてくれ」 老人は震えている。 「次に鳴るのが……十三回目なんだ」 ここでプレイヤーに、 > 「どうしますか?」 と聞きます。 これだけでゲーム開始です。 --- # 2\. 村 村には大きく5か所あります。 ``` 【教会】 │ │ 【墓地】──【広場】──【酒場】 │ │ 【村長宅】 │ 【廃屋】 ``` 全部を回る必要はありません。 プレイヤーが行きたい場所に行かせてください。 --- ## 酒場「黒い豚」 村で唯一まだ営業している酒場。 酒場の主人は「ハルヴァ」という女。 彼女は怯えているが、PCには比較的協力的。 聞けば以下を教えてくれます。 ### 情報1 「鐘が鳴るたび、誰かが死ぬ」 ### 情報2 「最初は村長の息子だった」 ### 情報3 「死人は翌朝、墓から消える」 ### 情報4 「昔から鐘は13回鳴るものだった」 ただし、**13回目だけは一度も聞いたことがない。** --- ## 村長宅 村長「オルヴァン」が住んでいる。 彼はPCにこう言います。 > 「教会へ行ってくれ」 > > 「鐘を止めればいい」 > > 「地下へは行くな」 ここでPCが、 > 「なぜ地下に行くな?」 と聞いた場合、 村長は答えません。 さらに追及された場合、 > 「……知らないほうがいい」 と言います。 --- # 3\. 最初の判定 ここで初心者に判定を体験してもらいます。 例えばPCが、 > 「村長が何か隠してないか観察します」 と言ったら、能力値判定。 成功すれば、 **村長の手が震えていること** に気づきます。 さらに、 **村長の首に古い火傷のような跡** がある。 これが後で重要になります。 --- # 4\. 墓地 墓地には新しい墓が12個あります。 しかし、墓石を調べると奇妙なことに気づきます。 **墓の数と死者の数が合わない。** 最近死んだ村人の墓を掘ると、 **中身が空っぽ。** ここで初めて、 > 「死んだ人間はどこへ行った?」 という疑問が生まれます。 --- ## 墓の下 プレイヤーがさらに調べるなら、墓の一つに古い地下道を発見できます。 ただしこれは、 **教会地下へ続く別ルート** です。 つまりPCは、 - 教会正面から入る - 墓地から地下へ入る のどちらも選べます。 --- # 5\. 教会 教会は無人。 扉には奇妙な文字が刻まれています。 > **「鳴らせ。\ > 眠らせよ。\ > 忘れるな。」** 中には、 - 壊れた祭壇 - 黒ずんだ聖像 - 長いロープ - 地下へ続く階段 があります。 そして壁には、12人分の名前が刻まれています。 村で死んだ人間たちです。 --- # 6\. 最初の戦闘 ここで初戦闘。 祭壇に近づくと、 **死体が1~2体起き上がる。** 人数に応じて調整します。 ### 2人パーティー 死体 ×1 ### 3人パーティー 死体 ×2 ### 4人パーティー 死体 ×2+弱い死体 ×1 ここではあえて強敵を出しません。 目的は、 **「MÖRK BORGの戦闘ってこういう感じなのね」** と理解してもらうこと。 戦闘が終わったら、 > 「死体は倒れた。だが、地下から鐘の音が聞こえる」 とします。 --- # 7\. 地下墓所 階段を降りると、地下墓所。 ここから少しずつ恐怖を強めます。 壁には無数の文字があります。 > 「12まで数えろ」 > 「13を見るな」 > 「眠りを妨げるな」 そして地下最深部には、 **巨大な黒い鐘** があります。 ただし、この鐘は上の鐘楼とは繋がっていません。 --- # 8\. 真実 地下には古い壁画があります。 そこには村の歴史が描かれています。 昔、この村には「飢えた神」が現れた。 村人たちはそれを殺すことができなかった。 そこで、 **村人の命を鐘に捧げることで、神を眠らせた。** 一人死ぬ。 鐘が鳴る。 神は眠る。 それを繰り返してきた。 しかし現在、12人が死んだ。 つまり、 **あと一人で13人。** そして13人目が死んだ瞬間、 「封印が完成する」のではない。 **封印が終わる。** --- # 9\. 村長の秘密 ここで、村長の首の火傷が意味を持ちます。 村長はかつて、 **13人目になる予定だった人物** です。 しかし彼は逃げた。 その代わり、村人12人を犠牲にしてきた。 だから彼はPCたちに、 > 「鐘を止めろ」 と言っていた。 本当は、 **自分が13人目になるのが怖い** だけなのです。 --- # 10\. クライマックス PCたちが地下の鐘に到着すると、上から鐘が鳴ります。 **ゴォォォン。** 12回目。 残り一回。 その瞬間、村長が地下に現れます。 > 「やめろ」 > 「鐘を壊すな」 > 「あれが起きる」 そして村長はPCに告げます。 > 「私を鐘に捧げればいい」 > 「そうすれば全部終わる」 しかし、その言葉には嘘があります。 村長が死んでも、 **封印が完成する保証はない。** --- # 11\. プレイヤーに選ばせる ここではGMから正解を提示しないでください。 PCが何をするかを聞きます。 考えられる行動は例えば、 - 鐘を壊す - 村長を殺す - 村長を鐘に捧げる - 村から逃げる - 村人を逃がす - 地下の存在と交渉する - 鐘を鳴らさない - 逆に13回鳴らす - 教会そのものを燃やす など。 **プレイヤーが思いついた方法を可能な限り認めてください。** --- # 12\. エンディング ## A. 鐘を止めた 鐘は砕ける。 村は静かになる。 そして地下から、 **巨大な何かが目を覚ます音** がする。 最後にこう描写します。 > 村の外を見る。 > > 地平線が赤い。 > > 村の誰かが言った。 > > 「……太陽が、二つある」 > > そしてあなたたちは理解する。 > > **これはまだ始まりに過ぎない。** MÖRK BORGらしい続編へのフックです。 --- ## B. 13回目を鳴らした 鐘が鳴る。 13回。 一瞬、世界から音が消える。 そして村人たちの死体が一斉に立ち上がる。 村長は笑う。 > 「これで終わった……」 しかし彼の背後から、 **黒い手** が伸びる。 村長が消える。 そして鐘の音が、遠くの別の村から返ってくる。 **ゴォォォン。** --- ## C. 村から逃げる PCたちは逃げてもいい。 村を出れば生き残れる。 ……少なくとも、その夜は。 翌朝。 振り返ると、ベルグリムはなくなっている。 代わりにそこには、 **巨大な鐘が一つだけ立っている。** --- ## D. 地下の存在を解放する これは自由解答用。 「神」が出てくる必要はありません。 むしろ、 **何かが出てきたが、それを誰も理解できない** くらいでいいでしょう。 例えば、 > 地下から巨大な目が現れる。 > > しかし、それはあなたたちを見ていない。 > > 目は空を見ている。 > > そして笑う。 ここで終わっても構いません。 --- # 初心者向けGMのコツ このシナリオで一番重要なのは、**「正しい行動」をGMが決めないこと**です。 MÖRK BORGでは、 > 「この状況なら普通はこうする」 より、 > 「そんなことするの!?」 を楽しんでもらうほうが向いています。 例えばPCが、 > 「鐘を持って逃げます」 と言ったら、 「そんなことできません」 ではなく、 > 「OK。じゃあどうやって持ち出す?」 と返す。 その結果として、 **重すぎて持てない → 工夫する → 判定する → 成功する** という流れが生まれます。 これだけで「TRPGとは何か」を初心者が自然に理解できます。 --- # このシナリオで覚えられること 最初のセッションで全部のルールを説明する必要はありません。 | 場面 | 初心者が覚えること | | --- | --- | | 村の探索 | 「自分は何をしたい」と宣言する | | 村長との会話 | NPCとの会話 | | 墓地 | 情報収集 | | 教会 | 判定 | | 死体 | 戦闘 | | 地下墓所 | 危険への対処 | | 最終戦 | 自由な選択 | | エンディング | 行動によって世界が変わる | そして何より、 **「MÖRK BORGの世界は、プレイヤーが頑張れば救える世界ではない」** という感覚を、説明ではなく体験として伝えられます。 --- 次に作るなら、このシナリオをさらに実用的にして、\*\*「GMが当日手元に置くA4・2~3枚のシナリオシート」\*\*に圧縮するとかなり遊びやすくなります。