| name | image | message | datetime |
| ウィロー |  | かつ、かつ、とバックヤードの床を踵が鳴らす。 | 2026-10-24 23:38:53 |
| ウィロー |  | (……問題は、ない) | 2026-10-24 23:40:27 |
| ウィロー |  | 問題はない。どうせ野良でも所属でもやることに変わりはない。 | 2026-10-24 23:41:04 |
| ウィロー |  | |ご主人《人族の皆》様の望みに応える。その為に身を差し出す。それだけ。 | 2026-10-24 23:41:51 |
| ウィロー |  | 風評の心配も無いと言うのならば、それを固辞することも失礼だ。 | 2026-10-24 23:42:13 |
| ウィロー |  | だから、問題はない。何も。どこにも。 | 2026-10-24 23:42:34 |
| ウィロー |  | 去り際に見えた、銀髪の少女の表情を回顧する。 | 2026-10-24 23:43:58 |
| ウィロー |  | ……悪いことをした、と思わせてしまっただろうか。 | 2026-10-24 23:44:15 |
| ウィロー |  | (構いませんのに)むしろ、望んだことですらあるのかもしれなかった。 | 2026-10-24 23:44:35 |
| ウィロー |  | "バラガン野の悪夢"、"|死風《テンペスト》"──"天涯の|侯爵《マーキス》"。 | 2026-10-24 23:47:01 |
| ウィロー |  | 嘗てその様な異名で恐れられたドレイクの面影を、今の女に見出すことは難しいだろう。 | 2026-10-24 23:47:36 |
| ウィロー |  | 余りにも長い時が過ぎていた。 | 2026-10-24 23:48:08 |
| ウィロー |  | 始めに翼を貫かれた。次に魔剣を、そのまま腕を。 | 2026-10-24 23:49:14 |
| ウィロー |  | 地に墜ちたドレイクは、生まれて初めて死を恐怖した。魔剣と共に矜持が折れて、女に生存を志向させた。 | 2026-10-24 23:51:27 |
| ウィロー |  | 命乞いをした。屈辱だった。反逆の為と思って耐え忍んだ。 | 2026-10-24 23:52:15 |
| ウィロー |  | 自分を墜とした男は暴力に極めて秀でていたが、統治の技量がそう高くないことは知っていた。 | 2026-10-24 23:53:15 |
| ウィロー |  | 付け入る余地がある。否、あって欲しい。それは殆ど願望だった。 | 2026-10-24 23:53:53 |
| ウィロー |  | 統治の為の、領地を再興させる為の頭と手足が必要だろう。 | 2026-10-24 23:54:31 |
| ウィロー |  | 蛮族の隠している財産の在り処も教えるし、自分の頭の全てを贖罪の為に使う。 | 2026-10-24 23:55:24 |
| ウィロー |  | 命だけは見逃してくれ、と言う……女の我が儘は、聞き届けられた。 | 2026-10-24 23:56:08 |
| ウィロー |  | 「頭以外は壊して良いと言う事だな」と両翼と両足と両角を落とされはしたが、ドレイクのした事と比べればそれでも温いものだった。 | 2026-10-24 23:58:04 |
| ウィロー |  | 女は全てを提供した。知恵を。武力を。尊厳を。──性を。 | 2026-10-24 23:59:26 |
| ウィロー |  | ドレイクブロークンは不老であり、人間の十倍以上の時を生きる。 | 2026-10-25 00:00:00 |
| ウィロー |  | 必要なことだった。自分たちの子孫の代になっても、決して彼女が人に牙を剥かないように。 | 2026-10-25 00:00:45 |
| ウィロー |  | 削り取られたからだの隅から隅に至るまで、上下関係を塗り込めて | 2026-10-25 00:01:38 |
| ウィロー |  | お前は最早蛮族でも、個人でもなく、ただ人族の為に使われる道具なのだと。 | 2026-10-25 00:02:07 |
| ウィロー |  | 数十年の時を経て、領地は栄えた。政策には、陰からブロークンも手を貸した。特に治水事業と山野の開拓は、領地の人族の生産性と生活水準の向上に大きく貢献した。 | 2026-10-25 00:03:58 |
| ウィロー |  | ドレイクを倒した男は嫁を迎えた。性処理道具は侍女へと立場を変えた。 | 2026-10-25 00:05:06 |
| ウィロー |  | 夜目が利き、頭が回り、どのような負荷を掛けても問題にならない侍女はそれなりに有用で | 2026-10-25 00:06:12 |
| ウィロー |  | 幾代にも渡って、陰から繁栄を支えた。男や奥方がこの世を去ってからも。 | 2026-10-25 00:07:17 |
| ウィロー |  | 「名誉人族」──そう、呼ばれる地位がある。 | 2026-10-25 00:08:18 |
| ウィロー |  | ある一定の地域において、蛮族の存在を保証するもの。 | 2026-10-25 00:08:41 |
| ウィロー |  | いつしか、ブロークンはその地位を得ていた。都市を歩いていても、石を投げる者はいない。戦争の遺恨は既に遠く、一部の長命種を除いて知る者はいない。 | 2026-10-25 00:09:31 |
| ウィロー |  | 今を生きる彼等が知るのは、忠実な従僕であり賢臣である侍女だけだ。 | 2026-10-25 00:10:18 |
| ウィロー |  | だから──政治体制が変わり、この地を統べる子孫たちが、中央へ移ることを決めた時も | 2026-10-25 00:10:51 |
| ウィロー |  | 無一文で放り出されることも、密かに始末されることも、無かった。 | 2026-10-25 00:11:12 |
| ウィロー |  | 「これまで仕えてくれてありがとう」なんて、そんな言葉すら掛けられて…… | 2026-10-25 00:11:41 |
| ウィロー |  | ……首を絞められているような、心地だった。 | 2026-10-25 00:12:19 |
| ウィロー |  | ああ、自分はもう……害にすらなれない。それを理解されてしまっている。 | 2026-10-25 00:12:52 |
| ウィロー |  | その通りだ。人族に危害を加えよう、主家に不都合なことをしよう、などと | 2026-10-25 00:13:11 |
| ウィロー |  | 況してや空の王者に返り咲こうなどと、そのような思いは欠片も抱けない。 | 2026-10-25 00:13:29 |
| ウィロー |  | 愛着が湧いてしまった。従うことに、仕えることに、尽くすことに慣れてしまった。 | 2026-10-25 00:14:02 |
| ウィロー |  | 暴力の鎖からも契約の鎖からも解き放たれていると言うのに、首輪はもう嵌められていないのに。 | 2026-10-25 00:14:58 |
| ウィロー |  | どうしようもなく犬なのだと理解してしまうことが、烏滸がましくも苦痛だった。 | 2026-10-25 00:15:29 |
| ウィロー |  | 土地を離れた。誰も、自分を知らない場所へ行きたかった。 | 2026-10-25 00:16:08 |
| ウィロー |  | 蛮族だと嫌悪されることが、少しだけ嬉しかった。 | 2026-10-25 00:16:30 |
| ウィロー |  | 人を脅かす気なんて、もうこれっぽっちもないけれど | 2026-10-25 00:16:47 |
| ウィロー |  | それが出来る存在だと誤認されることが、ほんの少しだけ。 | 2026-10-25 00:17:07 |
| ウィロー |  | 枯れている。覇気も、英気も。 | 2026-10-25 00:17:56 |
| ウィロー |  | 既に敗北した過去の残影。自分探しではなく、自分から目を背ける為に旅をする者。 | 2026-10-25 00:18:27 |
| ウィロー |  | 主はいない。死亡した。彼女自身すら、彼女を支配できていない。 | 2026-10-25 00:18:43 |
| ウィロー |  | ただ望まれるがままに、風に流され続けている。 | 2026-10-25 00:19:29 |
| ウィロー |  | 碧々落ちてなお枝垂れ、ふらり揺らるる風見草。 | 2026-10-25 00:19:49 |
| ウィロー |  | 故に──"空の従僕/オーナーレス" ウィロー。 | 2026-10-25 00:20:01 |
| ウィロー |  | 主無き枯れ柳。 | 2026-10-25 00:20:04 |
| ウィロー |  | | 2026-10-25 00:20:06 |