ソープ遊びのあんなちゃん ――八奈見杏菜・成人向けゲーム用シナリオ―― ※登場人物は全員18歳以上。杏菜18歳、クラスメイトのオタクくんも18歳、作中で語られる親戚の従兄は23歳の成人である。 ―― 一・雨宿り ―― 「うわっ、嘘でしょ……傘、教室に忘れた」 下校時刻のツワブキ学園。昇降口のガラス戸の向こうは、さっきまでの小雨が嘘みたいな土砂降りだった。アスファルトに大粒の雨が叩きつけられ、白い水煙まで立っている。 杏菜は肩までかかるゆるふわセミロングの青髪を指で梳きながら、空を恨めしそうに睨んだ。 「ねえオタクくん、君も忘れたの? あ、その濡れ方、忘れたっていうか……最初から持ってきてないタイプ?」 「あ、ああ……天気予報、当たらなくて」 たまたま同じタイミングで昇降口に居合わせただけの、顔見知り程度のクラスメイト。アニメとゲームの話なら三時間でも語れるのに、女子と並ぶと途端に目線が泳ぐ、絵に描いたようなオタクくんである。杏菜の方は以前から、彼のそういう不器用さを、ちょっと良いなと思っていた。誰にでも明るく振る舞う杏菜と違って、好きなものには嘘をつかない目をしていたからだ。 「ほら、立ってても乾かないよ? 行こっか」 「え、どこに」 「決まってるじゃん、雨の中を! 八奈見ちゃん式ダイエットその42、雨に濡れると体が冷えて、カロリー消費が上がるんだよ。つまり今日びしょ濡れになれば、昨日のパンケーキは実質ゼロカロリー。完璧でしょ?」 「その理論、どこにも根拠が……」 「細かいこと気にしたら負けだよ! せーのっ!」 手を引かれるまま、二人は雨に飛び出した。制服のシャツは三分で肌に張りつき、杏菜のブラウスの下のラインが透ける。Eカップの隠れ巨乳が、走るたびに制服の中で遠慮なく揺れた。 「ひゃあ、冷たっ! オタクくん、見てない?」 「み、見てない!」 「嘘。いま一瞬、目線下に行った。まあいいけどね、八奈見ちゃん一年ぶり15回目のナイスバディだから。見せ損はないよ」 「そういう問題じゃ……」 「はいはい、紳士くん。あ、うちあそこ。もうすぐだから、ちょっと雨宿りしてきなよ。どうせ電車も止まるって放送してたし」 「え、八奈見の家に……?」 「なにその声。期待した? それとも怖い? 大丈夫だよ、食べたりしないから。人を食べるのは禁止されてるの、義務教育で習ったでしょ? あたしはパンケーキとハンバーグしか食べない主義なの」 遠慮する間もなく、オタクくんは八奈見家に招き入れられた。 ―― 二・オタク部屋と、開いた引き出し ―― 「はい、上がって上がって。お母さんは市役所、今日は残業。お父さんは……素麺で帰ってくるかも。うそ、給料の話ね」 玄関で濡れた靴を脱ぎ、タオルを渡される。杏菜は自分の部屋に彼を案内した。 「じゃーん、ここが文芸部エース、八奈見杏菜の創作の城」 城は、想像以上にオタク部屋だった。壁一面の本棚にはコンビニサイズの恋愛小説、少女マンガ、ライトノベル、同人誌までが発行順ではなく愛情順に詰め込まれている。机の上には執筆中の原稿用紙と、食べ終わったポテトチップスの袋と、飲みかけのジュースが三本。フィギュアケースには魔法少女とアイドルが仲良く並び、ポスターの端は少しだけ剥がれかけている。 「す、すごい量だな……」 「でしょでしょ。あたしの脳内は全部ここに出てるの。でもオタクくんの部屋も大概だって聞いたよ? 人のこと言えない同士じゃん、私たち」 「なんで知って……」 「クラスの人気者は情報通なの。って、あれ」 杏菜がベッドに腰を下ろしかけて、はっとした。 ベッドの上、枕の脇に、それは無造作に置かれていた。ピンク色の、流線型の、誰がどう見ても――吸うやつ。ウーマナイザーである。充電ケーブルがシーツの上に伸び、スイッチのランプが小さく光っている。 さらにベッド脇のチェストは、一番上の引き出しが半分開いている。隙間から覗くのは、ピンク、水色、紫、肌色、色とりどりのシリコンの突起、ローター、バイブ、ローションの小瓶、コンドームの個包装らしい銀色のきらめきまで、ごちゃごちゃと詰め込まれたアダルトグッズの山だった。 オタクくんの視線が、磁石みたいに吸い寄せられる。 「あっ」 杏菜は慌てて枕を抱えてウーマナイザーを隠し、足で引き出しを押し込もうとして、逆に中身を一つ床に落とした。小さな卵型のローターが、ころころと彼の足元まで転がる。 沈黙。 「……見た?」 「い、いや、その……」 「見たよね。目、合ったもん。あたしとローターと、三角関係みたいに目が合ったもん」 杏菜は耳まで赤くしながらも、逃げずに笑った。これが彼女の強さであり、可愛い残念さである。 「言い訳していい? あのね、これはね、創作資料なの。文芸部で恋愛小説を書くにはね、知らないことを知らないまま書いちゃダメなの。リアリティってやつ? ……まあ、資料が気持ち良すぎるのがいけないと思うよ、あたしは悪くない」 「実際に使ってるってことか……」 「オタクくんだって、エロゲの資料室みたいな棚あるくせに! ほら、人のことは言えない同士、二回目だよ今日」 彼女はローターを拾い上げ、引き出しの奥に乱暴に放り込んで、バンと閉めた。 「はい、この話はおしまい! 忘れて! 記憶を消すビーム、びーっ! ……効いてない顔だね。まあいいや。それより君、風邪ひくよ。その制服、絞れるくらい濡れてるじゃん。お風呂、先に入りなよ。うちのお風呂、広いから」 「え、いいのかよ、借りても」 「貸す貸す。タオルも貸す。ついでに言うと、下着もシャツもびしょびしょでしょ? 脱衣室で全部脱いで、洗濯かごに入れといて。乾くまであたしの部屋着でも着てればいいから」 「八奈見の……部屋着」 「期待の声、漏れてるよ?」 からかわれて赤くなる彼を見て、杏菜は満足そうににんまりした。 ―― 三・バスタオル一枚 ―― 脱衣室は洗面台と洗濯機のある、ごく普通の作りだった。オタクくんは濡れた制服、シャツ、下着までを恐る恐る脱ぎ、かごに入れる。冷えた肌に、湯気の匂いがする。 浴室のドアを開けて、彼は息を呑んだ。 レイアウト自体は一般家庭そのものだ。洗い場、シャワー、深めの浴槽。けれど、広い。都会のマンションのユニットバスしか知らない彼からすれば、二人が並んで座っても余る洗い場と、大人が足を伸ばせる浴槽は、ちょっとした温泉宿のようだった。 「すげえ……」 独り言が漏れた、その時だった。 「お邪魔しまーす」 後ろでドアが開き、軽い声がした。 振り返ると、杏菜が立っていた。バスタオル一枚だけを身体に巻いて。ゆるふわの青髪はアップにまとめられ、白い首筋とうなじが露わになっている。タオルの上端からは豊かな胸の谷間が、下端からは太ももが半分以上、惜しげもなく覗いていた。 「や、八奈見!? なんで!」 「なんでって、お風呂だよ? あたしも濡れたじゃん。一緒に入れば早いでしょ」 「一緒って……!」 「お風呂広いから平気っしょ? 親戚のヤンチャなお兄ちゃんとも、よく一緒に入ってるし。あの人、成人してるのに未だに乳離れできてないガキンチョでさ、おっぱいばっか触ってくるんだよ。まったく、23にもなって」 杏菜はキョトンと小首を傾げ、呆然とする彼の背中を、遠慮なくぐいぐい押した。 「ほら、立ちっぱなしだと湯冷めするよ。いこいこ。あ、言っとくけど、今日のお風呂はただのお風呂じゃないからね」 「ただじゃ、ない……?」 「うん。お風呂遊び」 悪戯っぽく目を細めて、彼女はドアを閉めた。鍵の音が、カチリと小さく響いた。 ―― 四・三つ指のご挨拶 ―― 洗い場のタイルに、杏菜はまず自分のタオルを敷いた。そして正座をし、両手の人差し指、中指、薬指を床につける――三つ指をついた、驚くほど様になった挨拶をした。背筋が伸び、うつむいた睫毛が震える。普段の明るいクラスメイトとは別人の、艶っぽい所作だった。 「本日はご来店、誠にありがとうございます。ご指名をいただきました、杏菜でございます。今日はいっぱい、いーっぱいサービスさせていただきますね? お客様」 「お、客様……? 八奈見、それ、どこで覚えた台詞だよ」 「内緒。フフッ、混乱してる顔、面白い」 彼女は顔を上げ、にっと笑った。 「前にね、親戚のお兄ちゃんに教えてもらったの。あの人、そういうお店が大好きでさ、帰ってくるたびに武勇伝みたいに語るわけ。で、あたしが小説の資料にしたいって言ったら、じゃあ本物みたいにできるまで特訓だ、って。……何度も、何度もね、お風呂で練習したんだよ」 「何度も、って、どこまで……」 「どこまででしょうね。想像は自由だよ? 嫉妬した?」 「してない」 「嘘、声が上ずってる。まあいいや。じゃあオタクくん、今日はお客さん役、よろしくね。あたしは今日だけ、君専用の――ね?」 言いながら、杏菜はタオルを解いた。 バスタオルがはらりと落ち、湯気の中に白い肌が現れる。普段は制服に隠れたEカップが、重力に素直に、ふるんと揺れた。乳首は薄い桜色で、湯気と緊張で少しだけ尖っている。食べ過ぎを気にする本人だけが気にする、ほんの少し柔らかいお腹、くびれた腰、太ももの内側の柔らかさ。そして下腹部には、丁寧に整えられた青みがかった陰毛が、ふさりと茂っていた。 「見すぎ。……まあ、見ていいけどね。今日は特別だよ」 ―― 五・背中洗いと、たわし洗い ―― 「じゃ、まずは背中から洗ったげる。椅子に座って?」 バスチェアに座らされ、背中にシャワーの温かさがかかる。杏菜の手のひらが、泡立てたボディソープで背中を滑った。最初は、普通だった。肩甲骨を撫で、背骨に沿って下り、脇腹をくすぐるように洗う。指の腹が丁寧で、気持ちがいい。 「どう? 上手でしょ。背中洗いは基本だよ、基本」 「う、上手い……」 「でしょー。でもね、ここからがお風呂遊びの本番」 声が、耳元で低くなった。杏菜が背後から身体を寄せてくる。泡だらけの胸が背中に押しつけられ、柔らかい乳房が左右に潰れて形を変えた。尖った乳首の感触まで、背中で分かる。 「んっ……あったかいね、オタクくんの背中」 さらに彼女の手が、彼の股間へと回り込む。そして――彼女自身の股を、泡をたっぷりつけた陰毛ごと、彼の尻と太ももの付け根にこすりつけてきた。 ぐちゅ、ぬちゅ。 茂みが泡を孕んで、タワシのように肌を擦る。柔らかい大陰唇の膨らみが割れ目に沿って潰れ、陰核の辺りが彼の肌をかすめるたび、杏菜の息が少しだけ乱れた。 「これ、たわし洗い、って言うんだよ。知ってた?」 「た、たわし……」 オタクくんの頭の中で、ようやくピースがはまった。背中流し、三つ指、指名、サービス、たわし洗い。これは――ソープランドのプレイ、そのものじゃないか。あの親戚は、いったい杏菜に何を仕込んだんだ。いや、杏菜自身は「お風呂遊び」としか呼んでいないが、その手つきの慣れは、ごっこ遊びの域をとうに超えていた。 「まり……杏菜は、本当にこれがただの遊びだと思って……」 「ん? なんか言った? ほら、もっと擦るよ。泡、いっぱいつけたから、痛くないでしょ。……あたしの大事なとこで、君の後ろ、全部きれいにしてあげる」 ぬるぬるとした茂みの感触、時々触れるぬめった肉襞の柔らかさ、背中に潰れる乳房のリズム。彼の理性は湯気みたいに薄れていったが、肝心な場所は、緊張でまだ大人しいままだった。 「あれ?」 杏菜が前を覗き込み、小首を傾げた。 「まだ、ちっちゃいね」 ―― 六・キスと手コキ、それでも固くならない ―― 「緊張してる? そっか、初めてのお風呂遊びだもんね。じゃあ、リラックスさせてあげる」 杏菜は彼の正面に回り込み、膝をついた。濡れたタイルに膝小僧をつけ、顔を近づける。シャンプーと、彼女自身の甘い匂いがした。 「目、閉じて?」 言われるままに目を閉じると、唇が触れた。最初は鳥がついばむようなキス。次は下唇を甘噛みし、舌先でそっと割って入ってくる。杏菜の舌は熱く、積極的だった。彼の舌を絡め取り、吸い、唾液を交換し、水音を立てて離れる。 「んちゅ……ぷはっ。どう? キス、上手いでしょ」 「……どこで練習したんだよ」 「秘密。ほら、手も使うよ」 泡で滑る手のひらが、半端に萎えた陰茎を包んだ。親指と人差し指で輪を作り、皮を上下にしごく。もう片方の手は陰嚢を優しく揉みほぐし、会陰を指の腹で押す。技術は確かだった。亀頭の裏筋を爪を立てずに擦り、鈴口を親指で塞いでは離す。 それでも――彼のペニスは、期待ほど硬くならなかった。驚きと、場所と、相手が杏菜である現実感のなさが、興奮の上に冷や水をかけ続けていた。 「むー……」 杏菜は頬を膨らませた。不機嫌そうで、どこか可愛い、例の顔である。 「なんで硬くならないの。手つき、間違ってないはずなんだけどなあ。大きさはね、ガキンチョのお兄ちゃんより全然大きいよ? あの人のも相当だったけど、オタクくんのは太さが違うっていうか、手に余る感じ。なのに、ふにゃふにゃって……あたし、魅力ない?」 「そ、そういうわけじゃ!」 「じゃあ、どういうわけ? ……ふーん、分かった。口でやってあげないとダメなタイプでしょ。知ってる、そういうの。贅沢だねえ、お客様は」 ―― 七・フェラ、チンカス、ディープスロート ―― 杏菜は彼の太ももを割り開かせ、顔を埋めた。 「はい、立たせてあげる。あたしに任せて。まずは、包茎おちんぽ、剥いてあげるね」 指先で包皮をゆっくりと下ろす。カリ首の下に溜まっていた白い恥垢――チンカスが、湿って姿を現した。普通なら引く場面で、杏菜は逆に目を輝かせた。 「わあ……いっぱい」 「ご、ごめん、汚いよな、洗うから」 「待って、洗わないで。大好きなんだよ、あたし、これ」 彼女は鼻を寄せ、匂いを嗅いだ。むっとする雄の匂いに、恍惚と目を細める。 「君の匂い、濃いね。……いただきます」 舌が出た。平らで熱い舌が、亀頭の溝に溜まった恥垢を、時間をかけてねぶり取る。一粒残らず味わうように、舌先で掬い、唇でしごき取り、唾液と混ぜて口の中で転がす。ちゅる、ちゅぱ、れろれろ。わざと音を立てるのが、彼女の癖らしかった。 「んま……しょっぱくて、苦くて、君の味がする。あたし、こういうの、我慢できないんだよね。ご褒美だと思っちゃう」 丹念な愛撫に、血流はようやく本気になった。陰茎は彼女の目の前でみるみる膨らみ、反り返り、血管を浮かせて硬く屹立した。包皮は完全に剥け、亀頭がつやつやと光る。 「ほらほら! 硬くなった! やっぱりあたし、すごくない? ふふん」 得意げに笑ってから、杏菜は本格的に咥え込んだ。 口唇をすぼめて竿を半分まで呑み、舌を裏筋に這わせながら頭を上下させる。頬がへこむほどの吸引、玉袋を転がす指、余った唾液が顎を伝って乳房に垂れる様まで、絵になる奉仕だった。時々わざと浅くして、亀頭だけを強く吸い、舌先で尿道口をほじくるように舐める。 「ちゅぽ、ちゅぽっ……んぐ、んむ……れろ、美味しい……」 「杏菜、もう、それ以上されたら……」 「出していいよ。でもね、あたし、奥まで入れられるんだよ? 見てて」 彼女は一度深呼吸し、顎を緩め、喉を開いた。硬い肉棒を根元まで、ずぶりと喉奥へ招き入れる――ディープスロートだった。鼻先が陰毛に埋まり、喉仏のない白い首が、内側から亀頭の形に押し上げられる。涙目になりながらも、彼女は喉の筋肉を蠕動させ、締めつけてきた。 「んぐっ、んぶっ……ごぽっ」 限界は、すぐに来た。腰が跳ね、精巣が吊り上がり、尿道を熱い奔流が駆け上がる。 「出る、杏菜、出る……!」 彼女は逃げなかった。むしろ深く咥えたまま、喉で受け止めた。 どくん、どくん、どくどく――。 一回目の射精。大量の精液が、彼女の舌の付け根と食道の入り口めがけて放たれた。 杏菜はゆっくりと頭を引き抜き、口を大きく開けて見せた。舌の上に、白く濁ったザーメンがどろりと溜まっている。彼女はそれを舌でかき混ぜ、ぐちゅぐちゅと音を立て、歯で噛むみたいに顎を動かして味わい――最後に、喉を鳴らしてゴックンと飲み込んだ。 「ぷはぁ……ごちそうさま。ね、全部飲んだよ? オタクくんの精子、濃くて、舌に絡むタイプ。……はい、あーん、もう空っぽ」 空になった口を、もう一度開けて見せる。舌の上に何も残っていないことが、妙に淫らだった。 ―― 八・ローションと、生挿入 ―― 「じゃあ次はね、マットプレイごっこ。うちにはマットないから、洗い場で代用ね」 引き出しのグッズの中にあったのか、杏菜は小瓶を手にしていた。たっぷりのローションを自分の胸、腹、太ももに塗り広げ、さらに彼の胸と再び硬くなりかけた肉棒にも塗る。ぬるぬる、つるつる。肌と肌が吸着しては滑る。 彼女は仰向けに寝転び、彼を上に招いた。全身ローションでテカらせたまま、乳房と乳房の間に陰茎を挟んで擦るパイズリ、太ももで竿を挟む素股、腹の上に亀頭を滑らせてへそまで往復させる――ソープの王道を、狭い洗い場で器用にこなしていく。 「どう? ぬるぬるで気持ちいいでしょ。あたしの身体、全部が君専用のマットだよ」 「杏菜、もう我慢……」 「うん、いいよ。入れて。今日はね、生がいい。お兄ちゃんにも、いつもそうしてもらってたの。……あたしの中、いちばん奥まで、オタクくんの形にして?」 杏菜が自分の手で陰唇を開いた。泡とローションと愛液で濡れた膣口が、ひくついて待ち構えている。膣口の周りの肉ひだは薄紅色に充血し、内側の襞まで覗いた。 亀頭が触れた瞬間、二人とも息を呑んだ。 にゅるっ。 ローションの滑りと、本人の濡れ具合とで抵抗は少なく、肉棒は根元まで一気に呑み込まれた。膣壁が驚いたように収縮し、肉襞が一本一本、竿に絡みついて締めつける。 「あぁっ……ん、はぁ……おっきい……お兄ちゃんより、太いのが入ってる……お腹の奥、押し上げられてるみたい……」 「杏菜、中、熱くて、きつ……」 「動いていいよ。いっぱい突いて。あたしのここ、今日は君のものだよ」 腰が動き始めた。最初はゆっくり、次第に速く、深く。水音とローションのぬちゅぐちゅという音と、肌のぶつかる音が洗い場に反響する。杏菜は脚を彼の腰に絡め、足の裏で背中を押し、もっと深く誘導した。 「あっ、あっ、あんっ……そこ、そこ好き……子宮の入り口、亀頭でコツコツして……あたし、もうイっちゃう、イっちゃうよぉ……!」 彼女の膣が痙攣し、愛液が溢れる。その締めつけに耐えきれず、彼は最奥で果てた。 どくどくどく――二回目の射精、初めての中出し。 「はぁ、はぁ……出た、出たね……あたしの中に、君のがいっぱい……あったかい……」 杏菜は満足そうに目を閉じ、下腹をさすった。抜かれた膣口から、白い精液がとろりと垂れ、ローションと混ざってタイルに広がった。 「もったいない、流れちゃう。……まだ、できるよね? 次は後ろからして?」 ―― 九・バックと正常位 ―― 四つん這いにさせられた杏菜は、丸い尻を高く掲げた。水滴とローションで濡れた尻肉が、湯気の中で光る。彼女は自分で尻を割り開き、さっき精液を注がれたばかりの秘部を見せつけた。 「はい、どうぞ。後ろからだとね、お兄ちゃん、いつも深くて……オタクくんは、もっと深くできる?」 挑発に応えるように、再び硬さを取り戻した陰茎が、今度は後ろから差し込まれた。体位が変われば角度も変わる。膣の前壁を亀頭が擦り上げ、杏菜はタイルに額をつけて悲鳴のような嬌声を上げた。 「ひぁっ! あっ、ああん……! 後ろ、だめ、深すぎ……お腹、変なとこ押されてる……!」 尻を掴み、腰を打ちつける。ぱん、ぱん、ぱん。乳房が下で揺れ、乳首が冷たいタイルに擦れるたび、彼女は小さく跳ねた。バックの激しさに膣内はさらに締まり、先ほどの中出し精液が泡立って、白い泡として割れ目から押し出されてくる、その光景がいやらしくてたまらなかった。 「出すなら、また中に出して……あたしのおまんこ、君の精子でいっぱいにして……!」 絶頂と同時に、彼は再び最奥に放った。三度目の射精、二度目の中出し。杏菜は尻を震わせながら、ぐったりとタイルに崩れた。 「はぁ……はぁ……ね、最後にもう一回。今度は、ちゃんと顔見ながらしたいな」 仰向けに転がされた杏菜は、両脚を大きく開き、膝を抱えた。汗と湯気で湿った青髪が頬に張りつき、潤んだ目が彼を見上げている。普段の人気者の笑顔ではなく、男に抱かれる女の顔だった。 「こっち見て。あたしの顔、見ながら入れて。キスも、して?」 正常位で三度目の挿入。もう慣れた膣は、それでも彼の形を覚えるたびに新鮮に締めつけた。顔と顔を近づけ、舌を絡めながら腰を打つ。杏菜の手が彼の背中を抱きしめ、爪を立てた。 「んちゅ……んむ、好き……あっ、あんっ、オタクくんの、好き……途中で抜け駆けして、他の子とこんなことしたら、許さないからね? 文芸部じゃなくても、恋愛は……あたしだけ、だよ……?」 嫉妬の台詞まで混ぜながらの懇願に、彼の腰は限界を超えて加速した。 「あぁっ、来て、来て、中にいっぱい……あたしを、君ので満たして――!」 どくん、どくん、どくどくどく。四度目の射精、三度目の中出し。杏菜は子宮口で直接受け止めるように腰を寄せ、一滴残らず呑み込んだ。 引き抜かれた後も、彼女は忘れなかった。疲労で重い身体を起こし、彼の前に跪き、精液と愛液とローションで汚れた肉棒を、丁寧に咥えた。お掃除フェラである。カリ首の溝、裏筋、鈴口まで舌で舐め取り、玉袋まで清めるように吸う。 「ちゅる……はい、きれいになったよ。お掃除までがサービスだからね。……味、混ざってる。あたしと君の味」 ―― 十・浴槽のへりで、ひり出す ―― 「ふー……ちょっと休憩。お湯、浸かろ」 杏菜は立ち上がり、浴槽のへりに、外側を向いて腰掛けた。両脚を洗い場側に開き、自分のおまんこを指で左右に開いて見せた。ピンク色の内側の肉襞が外にめくれ、膣口はまだ彼の形に開いたまま、白い精液をどろりと湛えている。 「見て。すごい精子の量だね。ガキンチョのお兄ちゃんとは大違い。あの人、二回が限界だったもん。オタクくんは四回も出して、まだこんなに量あるなんて……隠れすごい人じゃん」 「杏菜、それ開いて見せるの、恥ずかしくないのか」 「恥ずかしいよ? でも君には見せたいの。ほら、もっとよく見て。あたし、下腹部に力入れるとね、出せるんだよ」 彼女は息を吸い、腹に力を込めた。 ブブッ、ビッ……ごぽ、ごぽぽぽ……。 空気と一緒に、白濁した精液の塊が膣口から押し出され、ひり出すように飛んだ。一部は浴槽の壁にぶつかり、つーっと流れ落ち、一部は洗い場のタイルを伝って排水溝へと流れていく。 「あはっ、やだ、下品。見た? いまの音、すっごい下品だったよね。お腹の中の君、全部出ちゃった。……ちょっと寂しいかも」 「本当に音が……」 「ね、下品な八奈見ちゃんも、嫌いじゃないでしょ? むしろ興奮した顔してる。ほら、おちんちん、また反応してる」 ―― 十一・湯船でイチャイチャトーク ―― 二人は一緒に浴槽に浸かった。広い湯船とはいえ、大人二人が入れば肩と膝が触れ合う。杏菜は彼の胸に背中を預け、湯に浮く乳房を両手で持ち上げては、ぽちゃんと落として遊んだ。 「あったかーい。幸せ。ねえねえ、雨宿りでこんなことになるなんて、思わなかったでしょ」 「思うわけないだろ……夢みたいだ」 「現実だよ。痛くしてあげよっか、頬つねる? ……あたしの夢でもないよ。だって、あたし、前から君のこと、ちょっと良いなって思ってたし」 「え」 「顔見知り程度だと思ってたの、君だけだよ? あたしは結構、見てたんだから。文化祭の時、誰も手伝わない荷物運び、一人でやってたでしょ。そういうとこ、良いなって」 湯気の向こうで、彼女の声が少しだけ真面目になった。 「あのね、あたし、待ちのタイプなの。人間関係、いつも受け身でさ。来てくれる人を待っちゃう。告白も、誘いも、全部。でも今日は、あたしから誘ったんだよ? 雨のせいにして、お風呂のせいにして、やっとだよ。……だから、今日のことは、遊び半分ってことにしないでね。お風呂遊びって名前だけど、あたしは本気の方で誘ったんだから」 「杏菜……」 「はい、しんみり終了! 八奈見ちゃんは暗いのが長続きしないの! ほらほら、湯船の中で、君のおちんちん、また元気になってきた。ねえ、分かるよ? あたしの太ももに当たってるもん。カチカチ」 彼女は湯の中で手を伸ばし、水の抵抗の中をゆっくりと竿をしごいた。湯で温められた手のひらに、亀頭がぬるりと滑る。 「部屋でも、続きやる? お風呂はここまでがメニューだけど、部屋にはね、本当のマットもあるし、すけべ椅子代わりのゲーミングチェアもあるし、何よりベッドがあるよ。あと、さっき見られちゃった吸うやつ、君の前で使ってみせてあげてもいいし……どうする、お客様? 延長、しますか?」 「……延長で、お願いします」 「はい、延長確定! 追加料金は、明日のパンケーキでいいよ。あ、ダイエット中だから、パンケーキは実質野菜ね。小麦は畑で育つから野菜。完璧な理論でしょ」 ―― 十二・部屋で本番、すけべ椅子とマット ―― 湯上がり、二人はタオルを巻いて杏菜の部屋に戻った。窓の外はまだ雨音。洗濯かごの制服はまだ乾かない――帰れない理由が、また一つ増えた。 杏菜はクローゼットの奥から、空気で膨らませるビニールマットを取り出した。コンパクトに畳まれていたそれは、ポンプでみるみる膨らみ、ベッド脇の床いっぱいに広がる。本物のソープランドの設備に少しでも近づけようと、いつか買い込んだものらしい。 「じゃーん、登場、本物のマット。お風呂のタイルとは滑りが違うんだよ。あと、これ」 ゲーミングチェアを回転させ、座面を低くする。中央が開くタイプではないが、彼女流の工夫で「すけべ椅子もどき」に早変わりした。 「まず椅子ね。君、座って。脚、開いて」 椅子に座らされた彼の前に、杏菜がマットの上に膝をつく。椅子プレイの基本は、高い位置の男性器を低い位置から奉仕することだ。彼女は下から見上げる形で陰茎を咥え、今度は手を後ろで組み、ノーハンドで頭だけを動かした。濡れた髪が太ももをくすぐり、唾液が顎から胸に垂れる。 「んちゅぽ、ちゅぽっ……椅子だとね、喉の角度が変わるの。ほら、奥まで入りやすいでしょ……んぶっ」 次は椅子に彼を立たせ、自分は下で口を開ける「顔面騎乗の逆」のような体勢、さらに椅子の背に手をついて尻を突き出し、後ろから挿入させる立位バック。座面のクッションに乳房を押しつけ、杏菜は悲鳴を飲み込んだ。 「あっ、ああん……椅子、揺れる……壊れたらどうしよう……あたしの体重じゃなくて、君の突き方が激しいせいだからね!? 太ってないからね、あたし!」 笑いと嬌声が交互に漏れる、その感じが何より杏菜らしかった。 ―― 十二の二・即尺、69、お返し ―― マットに移動する前、杏菜にはどうしても外せないメニューがあるらしかった。 「はい、ここで即尺。お店ではね、入ってすぐ、お客さんが座る前にしちゃうサービスなんだって。お兄ちゃんが力説してた。……だから君も、ほら、立ったままでいて?」 部屋着の代わりに巻いたタオルのまま、彼女は彼の足元に跪き、湯上がりで再び張り詰めた陰茎を、挨拶代わりにいきなり根元近くまで咥え込んだ。ちゅぽん、という音が静かな部屋に響く。 「んむ、んちゅ……湯上がりの君、さっきより匂いが薄いね。ちょっと残念。あたし、あの濃い匂い、好きだったのに……まあ、汗かいたら、また濃くなるでしょ。楽しみにしとく」 即尺が終わると、今度は立場が逆転した。 「ねえ、ずるくない? あたしばっかりサービスしてるの。お客様も、たまにはあたしを気持ち良くしてよ。文芸部のエースは、受け身が基本なんだから」 ベッドに仰向けになった杏菜は、彼の頭を自分の股へと導き、同時に自分の顔を彼の股間へ向けた。69である。彼女の舌が亀頭を舐め上げるのと同時に、彼の舌が彼女の肉襞の間を割っていく。 「ひぁっ……! そこ、クリ、直接は強すぎ……周りから、周りから舐めて……あっ、あん、教える余裕、ない、かも……んちゅ、ちゅぽ……あたしも負けない、もん……」 勝ち負けではないのに負けず嫌いを発動させるのが杏菜である。彼女は涙目になりながらも奉仕を止めず、陰核を舌で転がされるたび、内腿を震わせて愛液を溢れさせた。膣口に指を入れられ、内側のざらついた一点を擦られると、彼女のフェラの動きが乱れ、唾液まみれの竿にむせながらも、嬉しそうに笑った。 「んぶっ、ごほっ……オタクくん、意外と上手いじゃん……どこで覚えたの、それ。まさか、経験者? 抜け駆けしてたら、今ここで締め上げて――あっ、ああん、だめ、今のは冗談、締めるのはおまんこの方で……イく、イっちゃう……!」 69のまま迎えた絶頂で、彼女の膣は彼の指を強く締めつけ、愛液が顎を伝った。それを舐め取って起き上がった彼に、杏菜は潤んだ目で言った。 「……はい、あたしの負け。完敗。君、逸材だよ。あたしの小説の男主人公、明日から君がモデルね。エロいシーンばっかり増えちゃうけど、文句言わないでよ?」 ―― 十三・マットプレイと、吸うやつ ―― 「次、マット行くよー。ローション、追加」 マット全体に温めたローションを撒き、二人は裸で滑り合った。杏菜が上に乗り、乳房で彼の胸を磨く「乳圧洗い」、背中に乗り、尻の割れ目に竿を挟んで滑らせる「尻コキ」、仰向けの彼に跨り、秘部ごと擦りつける素股。ぬるぬるの海の中で、肌と肌が離れてはくっつき、ローションが白く泡立つ。 「ねえ、さっきの引き出し、気になってたでしょ。使っていいよ。あれも、それも」 彼が手に取ったのは、ベッドの上にあったウーマナイザーだった。杏菜の顔が、期待と照れで赤くなる。 「あ、それ……あたしの一番のお気に入り。クリに当てるやつ。君の前で使うの、初めてだよ……んっ」 スイッチが入り、吸引の振動が陰核に吸いついた。杏菜の腰が、ビクッと跳ねる。 「はぁっ、あっ、それダメ、強すぎ……吸われてる、クリ、吸い出されちゃう……あっ、ああん!」 空気の吸引と振動の二重責めに、彼女はマットの上で何度も絶頂した。愛液がローションと混ざって太ももを伝い、肉襞がひくつき、膣口が空イキで収縮を繰り返す。その姿を見せつけられ、彼の陰茎は限界まで張り詰めた。 「もう、入れたい……杏菜」 「うん、来て……マットの上、滑るから、捕まえててね……あたしを、逃がさないで……」 マット上での挿入は、摩擦が逃げるぶん難しく、だからこそ二人で笑い合い、抱き合い、ようやく入った瞬間の喜びが大きかった。騎乗位で杏菜が腰を振り、ローションでテカる乳房を自分で揉みしだきながら、彼の手を引き寄せて乳首を摘ませる。 「あんっ、あんっ……乳首、弱いんだから、優しく……うそ、もっと強くていい、君になら、いいよ……」 体位は回る。側位で脚を絡め、駅弁のように抱き上げられて突かれ、ベッドに移動してシーツを掴んだ彼女を、正常位で深く、深く突く。ベッドの軋みと雨音と、二人の声だけが部屋を満たした。 「オタクくん、オタクくん……あっ、あたし、またイく、君と一緒にイきたい……中に、出して、出してぇ……!」 最後の射精は、ベッドの上の正常位だった。杏菜は両脚で彼の腰をロックし、子宮の奥で全部受け止めた。膣壁の痙攣が精液を搾り取り、結ばれたまま、二人は長いキスをした。 抜かれた肉棒を、彼女はやはり最後まで咥えて清めた。お掃除フェラ、二度目である。舌で亀頭を転がし、残った雫を吸い切り、にんまり笑った。 「はい、おしまい。……まだ出る? 出ないよね、さすがに。五回目だよ、今日。君、エロゲの主人公みたいな絶倫じゃん。隠れ巨乳ならぬ、隠れ絶倫」 「杏菜のせいだろ……」 「あたしのせいにする? ひどーい。……でも、まあ、嬉しいけどね」 ―― 十三の二・ローターと鏡の前 ―― ベッドで果てた後も、杏菜のサービス精神は止まらなかった。引き出しから取り出したのは、最初に床へ転がした、あの小さな卵型ローターだった。 「これ、さっきの落し物。せっかくだから使おう? あたしの中に入れたまま、君がスイッチ持ってて。強くしたり弱くしたり、君の好きなタイミングでいいよ。……あたしの運命、君のリモコン次第ってわけ」 鏡台の前に座らされ、脚を開かされる。鏡の中の自分と目が合い、杏菜は恥ずかしさで耳を真っ赤にしたまま、それでも逃げなかった。ローターが膣内に収まり、低い振動から始まる。じんわりと内壁を震わせ、さっきまでの行為の余韻と重なって、彼女の腰が小さく揺れ始めた。 「んっ……あっ、見ないで、と言いたいけど、君は見て。鏡越しに、あたしが君のせいで乱れてるとこ、全部見て……あっ、急に強くした!? いじわる……でも、そういうオタクくん、好き……あぁん、またイく、さっきあんなに出したのに、まだイける……!」 振動が最強になった瞬間、彼女は鏡に手をついて絶頂した。膣内から押し出されるようにローターがローションまみれで顔を出し、愛液が糸を引く。その一部始終を鏡で見せられた彼は、情欲と愛しさの両方で胸が詰まった。 「はぁ、はぁ……ねえ、今のあたし、どうだった? 小説に書けないくらい、えっちだった? ……だったら嬉しいな。君にだけ見せる顔だから、これ」 そう言って笑う杏菜の、いつもの明るさと、女としての色気が重なった横顔が、何よりのご褒美だった。 ―― 十四・雨上がり、パンケーキの約束 ―― 行為の後、二人はベッドで毛布にくるまった。杏菜は彼の腕を枕にし、お腹の音を盛大に鳴らした。 ぐーーーっ。 「……聞いた?」 「盛大に」 「だってさ、今日の消費カロリー、すごいよ? 雨の中走って、お風呂で運動して、部屋でも運動して。八奈見ちゃん式ダイエットその43、セックスは全身運動だから、今日のあたしは実質マイナス三キロ。つまり今からパンケーキ食べても太らない。むしろ食べないと痩せすぎちゃう。危険だよ?」 「理論が毎回都合良すぎる」 「都合の良い女で悪かったね。でもさ」 彼女は毛布の中で、そっと彼の手を握った。 「今日のこと、クラスでは内緒だよ? 人気者の八奈見ちゃんの秘密、君だけの秘密。……でも、放課後は、別だよ。また雨の日じゃなくても、誘っていいからね。あたしは待ちのタイプだけど、君の誘いは、待ってる方の待ちだから。分かる? ややこしい? ……まあ、分からなくても、誘えば分かるよ」 毛布の中で小腹を満たすため、二人は台所から冷蔵庫の素麺と、残り物の唐揚げを運んできた。杏菜はタオル一枚の格好のまま素麺をすすり、満足そうに目を閉じる。 「んーっ、しみる。運動の後の素麺は格別だね。お父さんの給料が素麺の日も、こういう日なら許せる気がする。……はい、あーん。君も食べなよ。あたしの箸でいいでしょ、もう何でも共有した仲じゃん」 「共有、って言い方……」 「事実だもん。体液も共有したし。あ、唐揚げは一個だけね。あたしの分まで食べたら、浮気より重罪だから。食べ物の恨みは一生だよ? ……うそ、半分あげる。君、頑張ったから。八奈見ちゃんの唐揚げ半分は、告白と同じ重さなんだから、そのつもりで味わってね」 笑いながら唐揚げを差し出す彼女の無防備さに、今日あった出来事の全部が、夢ではなく現実だったのだと、彼は改めて噛みしめた。 窓の外、雨音が遠のいていく。雲間から夕日が差し、濡れた制服がもうすぐ乾くことを知らせていた。 「あ、雨止んだ。帰れるね、オタクくん」 「……帰りたくないな」 「ふふっ、正直でいい子。じゃあご褒美。明日、駅前のパンケーキ、あたしが奢る。延長料金、君が払うはずだったけど、変更。今日いっぱい気持ち良くしてくれたから、あたしからのサービス。……あ、その代わり、明日もその次も、抜け駆けは禁止だよ? 浮気したら――」 杏菜は人差し指を彼の鼻先に当て、例の調子で、少しだけ甘く笑った。 「う゛わ゛き゛だよ゛ッッ!! って、教室で叫んじゃうからね? 覚悟しててね、オタクくん」