「攻撃ゼロの敗北」 語り:戦士(Lv17)/30階・サキュバス&インキュバス戦 30階の扉の前で、私は一度座って息を整えた。 HPは満タン。回復薬は5個。魔鋼の鎧は頼もしく重い。 ――ただ、一つだけ汚れが残っていた。29階のインキュバスに浴びた媚毒ガス。発情したまま、快感68。体がずっと、うずうずと熱を持て余していた。 (絶頂1回分なら耐えられる。35%、約60ダメージ。それでリセットされるなら安い) そう計算したのが、この戦い最大のミスだったと思う。 扉が開いた瞬間、サキュバスの「魅了の光」が目に飛び込んできた。 世界がピンクに滲む。頭では「剣を抜け」と分かっているのに、手が、勝手に、自分の体を慰め始めた。隣ではインキュバスが笑いながら鎧の上から胸を揉んでくる。 「や、やめ……手、どけ……んっ、あっ……」 発情の熱に魅了の上乗せ。快感は79、99、そして天井に届いた。 サキュバスの指が股間を撫でた瞬間―― 「お゛っ♥ イ、イグぅ♥♥」 1回目の絶頂。視界が白く弾けて、HPがごっそり持っていかれた。109。まだ大丈夫、まだ戦える。そう思ったのに、絶頂の余韻で体が動かない。その間も魅了された手は止まらず、自分で自分を追い詰めていくのが、頭の隅で分かってしまうのが一番怖かった。 やっと魅了が切れて、私ができたのは「気合」を入れることだけだった。 声を張って、攻撃力を上げる。でも、剣は一度も振れていない。 次に来たのは、サキュバスの体重だった。 背後から覆いかぶさられ、そのまま石床へ押し倒される。魔鋼の鎧がガシャンと鳴った。両腕を取られて、身動きが取れない。 「ふぎゅっ♥ ま、待っ……うご、動けな……あ゛っ♥」 インキュバスの指が、お尻の穴を遠慮なくほじってくる。サキュバスの手は前から潜り込んで、手マンでぐちゅぐちゅと掻き回してくる。前と後ろ、同時に。振りほどこうとしても、指先が食い込むたびに腰が砕けて力が抜けた。 魔法弾が腹に当たって、HP29。 それでも回復薬に手が伸びない。行動の順番が「振りほどく」で埋まっている。鞄の中の5個の回復薬が、ただの重りに思えた。 ようやく拘束を振りほどいた瞬間、インキュバスが顔を掴んで、口へピストンを始めた。 「んぐっ♥ ん゛っ、ん゛んっ♥♥」 口の奥を突かれるたび、育ってしまった口の感度が跳ね上がる。38、56、74、そして――サキュバスの手が、尻をやさしく撫でた。それが最後の一押しだった。 「イグぅ♥ イっちゃ、もうダメ、イグぅぅ♥♥♥」 2回目の絶頂で、HPは0になった。 倒れた私の横で、初心者用の剣がカランと音を立てる。結局この剣は、最終決戦で一度も振られなかった。回復薬も5個、全部未使用。私がこの戦いで与えたダメージは、ゼロ。 ……拠点で目覚めたとき、記録にはこう残っていた。 感度:尻×1.3、口×1.3。絶頂累計、3回の冒険で16回。 ねえマスター。次に30階の扉を開けるときは、絶対に快感ゼロ・発情なしで開ける。 それがこの敗北で、私が一番高くついた学びだよ。