〜隆山柏木家〜

千鶴 :あら、おかえり梓。
初音 :お帰り〜、梓お姉ちゃん!

梓 えッ!? ど、どうしたんだ二人ともその頭は!?
初音 :あはは…、千鶴お姉ちゃんに切られちゃった。
梓 :切られた!?
切られたって千鶴姉! どう言うことだよ!!
千鶴 :長い髪はシャンプーいっぱい使うでしょ? 勿体無いじゃない。
一カ月3000円近くの差が出るんだから。
梓 :勿体無いって…、なにケチくさい事言ってんだよ!?
千鶴 :これからはリンスも止めて、食事代も一日500円に押さえるわよ!
梓 :お、おい、千鶴姉…、さっきから何言ってるんだよ…。
楓 :梓姉さん…、鶴来屋、お客さん来ないんだって。
梓 :……っ!?
ま、まさか、そんなに悪いのか? 鶴来屋の経営…。
千鶴 :ごめんなさい、みんなには黙ってたけれど…。
最悪今月で5カ月連続大赤字よ。
梓 :な…、5カ月連続…? だって今はシーズンだろ!?
なんで!?
千鶴 :最近じゃ、格式だけの高い旅館は流行んないのよ。
ここら辺にもキャンプ場とかレジャー施設も増えたし…。
梓 :経営が悪いのは知ってたけど、ここまで悪いとは…。
千鶴:そう言えば、梓あなた明日陸上の大会でしょ?
梓 :え? あ、ああそうだけど。
千鶴 :私ね、梓に良いもの用意したんだ〜!
梓 :い、良いもの?
千鶴 :コレ〜!!

梓 :な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?
なんだよコレ!?
千鶴 :いや〜ね、宣伝よ! コレを着て梓が大会で大活躍すれば旅館の
宣伝になるじゃない?
梓 :…、マジ?
千鶴 :マジ!
梓 :…うそ…。
お、おい楓、初音〜、なんとか言ってくれよ〜。
楓 :諦めたほうがいいよ、梓姉さん…。
初音 :うん、しょうがないよ…。
梓 :か、楓!? 初音!?
本気か? おまえら他人事だと思って!

梓 :ううぅぅ…。
千鶴 :梓…、明日の試合頑張るのよ!!
梓 :あのさぁ、千鶴姉…、こんなことよりもっと、違う方法で宣伝とかした
方がいいと思うんだけど…。
初音 :う、うん! そうだよ千鶴お姉ちゃん!!
千鶴 :たとえば?
梓 :う〜んと、え〜っと…。
は、初音なんだ?
初音 :えぇ!? え〜っと、う〜んと…。
千鶴 :あなた達、そんなにこの服が嫌なの?
せっかく私が寝ずに考えたのに酷いわ!!
ぼそっ…
楓 :例のレジャー施設やらキャンプ場から奪ってくればいいのでは?
千鶴 :……。
梓 :……。
初音 :……。
三人 :凄いこと考えるな…。
梓 :そ、そうだよ! 千鶴姉!! 客なんて奪って来ればいいんだよ!
初音 :あんまり良い気はしないけど、向こうは人いっぱいいるしね。
楓 :綺麗事じゃ世間は渡れませんぜ…。
千鶴 :……、そ、そうね!!
なり振りなんて構ってられないわ!!
三人 :(構ってたか!?)
千鶴 :行くわよ、みんな!!
今のこの貧乏生活から脱出するために!!
みんな:お〜ッ!!

梓 :…恥ずかしい…。
千鶴 :何か言った? 梓。
梓 :いや、なんにも…。
初音 :なんかピクニックみたいで楽しいね〜。
千鶴 :遊びじゃないのよ初音!
貴方と楓には特に頑張って貰わないと!
初音 :え? どうして?
千鶴 :いい、今の日本男性の約8割はロリコンよ!!
勧誘が始まったらあなた達の、幼女丸出しのボディと笑顔で客の心
を掴むのよ!! もう巨乳なんて流行らないわ!!
梓 :馬鹿な!? もう巨乳の時代は終わったのか!?
千鶴 :梓…、貴方の時代はもうとっくに終わったのよ!!
今はナイペタが大流行りよ!!
梓 :が〜〜〜〜ん!!
初音 :嫌だなぁ〜。
楓 :千鶴姉さん、あそこに人が居るよ…。
千鶴:え!? ホント!?
みんな、準備はいい? 勧誘開始よ!!
千鶴 :あの〜、みなさんこんにちわ〜!!
みなさんはもうご宿泊先はお決まりですか〜?

浩之 :ひぃぃ!? ここにも女!?
寄らないでください、近づかないで〜〜〜!!
志保 :浩之さん大丈夫ですか? 落ち着いてください…。
浩之 :よ、よるな〜〜!!
梓 :お〜い!!
芹香 :あ〜ん浩之〜、一緒ににゃんにゃんしよ〜。
綾香 :姉さん…やめて…。
楓 :あの〜、お泊まり先はどうぞ鶴来屋旅館へ…。
セバス:あらごめんなさいお嬢さん、もう私達は泊まる所は決まっているの
よ!
姉さん:近くの別荘に泊まっているんだよ!!
初音 :ニコッ、可愛い四姉妹がおもてなしいたします。
どうぞいらしてください。
雅史 :やめてくださいませんか!!
私をそう言う色香で惑わそうとしても無駄です!!
私は世間のそう言う俗とは無縁の男なのです!!
琴音 :クケケケケケケケケケケケ!!!
梓 :千鶴姉…、この人たち何かおかしいぜ?
楓 :この症状どこかで…。
千鶴 :こ、これはまさかセイカクハンテンタケ!?
梓 :セイカクハンテンタケ? それってまさか、あの性格が反転する!?
楓 :そのまんまやん…。
初音 :ど、どうしよう千鶴お姉ちゃん?
千鶴 :大丈夫よ初音!!
セイカクハンテンタケの解毒剤ならすでに私が開発済みよ!!
梓 :はぁ!?
千鶴 :こんなこともあろうかと、持ってきといたわ!!
さぁこれをみんなに飲ませるわよ〜!!
梓 :なんとも怪しくも早い展開…。
〜で?
セバス:いやはやこの度はとんだご迷惑をおかけいたしました。
主人にかわりお礼を言わせて頂きます。
千鶴 :いえいえ、いいんですのよ、おほほほほ…。
ちなみに解毒剤は一瓶1万2千円になりますのでよろしくお願いしま
す!!
梓 :高ッ!!
セバス:解りました。後ほどお支払いいたします。
ささ、皆様方、そろそろ日が暮れてきました、別荘の方に戻りましょ
う。
千鶴 :あの〜、宜しければわたくし温泉旅館を営んでいる者で…。
温泉だけでもいかがでしょうか?
セバス:いや、わたくしどもにその予定は…。
芹香 :…………。
セバス:はぁ…、左様でございますか…。
あ〜、芹香お嬢様がぜひ温泉に行かれたいとの事ですのでご案内
して頂けますかな?
千鶴 :キラン!!
ええ!! 勿論ですわ!!
ええと…、お客様のお名前は?
セバス:来栖川家御一行とでもしてください。
梓 :来栖川?
来栖川ってあのメイドロボの?
セバス:左様です。
梓 :(千鶴姉!!)
千鶴 :(解ってるわ!!)
ピポパ…。
ひそひそ…。
千鶴 :あ、足立さん? 団体客よ! 一番高い部屋を取っておいて!!
ぼれるだけぼったくるわよ!!
セバス:どうされました?
千鶴 :いいえ! なにも!!
それではご案内いたしますわ!! おほほほほほ…。
:まてい!!
千鶴 :えっ!?
誰だ!?
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