 あかりん:浩之ちゃん、最近すっかり暖かくなってきたよね〜。 浩之 :あぁ、そうだな〜。 あかりん:もうすぐ春だもんね〜。 浩之 :あぁ、そうだな〜。 あかりん:さすがに桜はまだ咲いてないみたいだね〜。 浩之 :あぁ、そうだな〜。 あかりん:…もう、浩之ちゃんちゃんと聞いてよ〜。 浩之 :あぁ、そうだな〜。 あかりん:浩之ちゃん!! 浩之 :なんだよ? でけー声だして…。 ちゃんと聞いてるって…。 あかりん:えぇ〜? 聞いてなかったよ〜。 浩之 :聞いてたよ。 あかりん:それじゃ、何話してたか言ってみてよ〜。 浩之 :暖かくなった〜とか、春だもんね〜とか、桜はまだ咲いてないとか、 言ってたんだろ? あかりん:え!? ホントに聞いてたの? 浩之 :おめ〜の話は、他の事考えてても自然と耳に入るようになってんだ よ。何年付き合ってると思ってんだよ…。 あかりん:へ〜、そうなんだ。 凄いね浩之ちゃん。 でも、どうせならもっと真剣に聞いてよ〜。 浩之 :それじゃ、もっとオレの心を揺さぶるような話を用意しな。 あかりん:え〜、さっきのじゃ駄目なの? 浩之 :そんな世間話じゃオレの心は…。 あれ…。
 あかりん:あ、セリオちゃんだ! 浩之 :お〜い、セリオ!!
セリオ:浩之さん、あかりさんおはようございます。 浩之 :おっす! あかりん:おはようセリオちゃん。 浩之 :今日は一人なのか? マルチは? セリオ:いえマルチさんも一緒です。 あかりん:え? 何処に? セリオ:さっきから横にいます。 浩之 :横? 居ねえじゃん。 セリオ:居ますよ。 ねえ? マルチさん。 マルチ:ハイ! ずっとここにいます! 浩之 :え!? 何処だ!? あかりん:声はするけど、姿は見えないよ!? セリオ:ここです。
 浩之 :…こ、これがマルチなのか!? セリオ:みなさん何を驚いているのですか? いつものマルチさんじゃないですか? 浩之 :はぁ? 何言ってるんだよ、この物体のどこがいつものマルチなん だよ!? セリオ:物体? キョロキョロ…。 浩之 :それだよそれ! よく見ろよ!!
 浩之 :…。 あかりん:……。 セリオ:…………。
 浩之 :…気づいてなかったんかい…。
マルチ:はわわわわわ!! なんですかこの体は !? 浩之 :お前も気づいてなかったんかい !!
セリオ:マルチさ〜ん! マルチさ〜ん!! マルチ:セリオさ〜ん!! 体が思うように動かないです〜!! 浩之 :なんで気づかないんだよ? マルチ:そう言えば最近体が動きにくいとは思っていたんですぅぅ! 浩之 :気づけって!! セリオ:マルチさ〜ん! マルチさ〜ん!! マルチ:はう〜、何とかしてくださぃ〜。
浩之 :とりあえず、長瀬のおっさんの所に行くしかないだろう? あかりん:うん、そうだね? マルチちゃん、長瀬さんは研究所? マルチ:はぅ〜〜、そ、それが主任は今日…。 セリオ:長瀬主任は今日、朝から出かけてしまって。 あかりん:え〜!! 浩之 :何処に行ったか解らないのか? セリオ:さっぱりです。 マルチ:はうぅぅぅ。 浩之 :まぁ、今まで平気だったんだから、今日一日位我慢出来るだろ? マルチ:そ、そんなぁ〜、なんとかしてください〜。 あかりん:ねえ? 浩之ちゃん、ひょっとして長瀬さん、朝から出かけるって レミィのお姉さんとデートなんじゃないかな? 浩之 :おお! そうか!! それはありえるぜ!! セリオ:…確かに可能性は高いです。 昨日は主任、なにかウキウキしていましたから…。 あかりん:決まりだね! 学校に行ってレミィに聞いてみよ!
レミィ :え? Syndy?
 浩之 :あぁ…、ひょっとして今日は長瀬のおっさんとデートなんじゃないか ? レミィ :それはないヨ。 Syndyは先週からStatesに帰ってるね。 あかりん:えぇ? そうなの? レミィ :本当だヨ、こんな事嘘ついてもしょうがないね!! 浩之 :くそッ! これじゃ完全にお手上げだぜ…。 レミィ :残念デス。 あかりん:レミィ? 長瀬さんが行きそうな所って解らない? レミィ :そんなの解らないヨ。 SyndyもBoyfriendの事はあまり話さな…、!! ぐはぁぁぁぁぁぁ!! 浩之 :レミィッ!?
 レミィ :Ouch!!!!!!!!!! あかりん:レミィどうしたの? どこかイタイの? 浩之 :し、しりがイタイのか!? レミィ :本体が今…。 浩之 :本体? レミィ :な、何でもないヨ。最近よく起こるネ…。 アタシに構わずもう行くネ…、ッ!! 浩之 :で、でもよう…。 あかりん:浩之ちゃん…、行こう…。 こんな所をいつまでも人に見られるのは恥ずかしいんだよ…。 レミィ :そ、そうネ…、早く行ってほしいヨ。 浩之 :わ、解った…、レミィちゃんと病院行けよ!! あかりん:じゃあね、お大事に…。 セリオ :痔にはオ○ナインです!! マルチ :せ、セリオさん…。
浩之 :しかし…、これで完全に長瀬のおっさんの居場所は解らなくなった な…。 あかりん:う〜ん、どうしようか? セリオ:ッ!! こ、これは!! マルチ:ど、どうしたんですか? セリオさん? セリオ:行かないと…。 あかりん:ひょっとして、長瀬さんの居場所が解ったの? セリオ:早く行かないとぉぉぉ!! ダッ!!
浩之 :お、おい!! あかりん:ひ、浩之ちゃん! 追いかけよう? 浩之 :お、おう! ダッ!!
タッタッタッタッタ…
浩之 :はぁはあ、駅前まで来ちまったじゃね〜か! どこだセリオは!? マルチ:浩之さんあそこです!!
 セリオ:はぁ〜、レッドさん感激です〜!!
あかりん:またここ? マルチ:すみません…。 セリオさんはヒーローモノに目がないんです…。 浩之 :いったい誰の影響だよ!!
? :いや〜感激だな〜。

〜来栖川第7研究所HM開発室〜
長瀬 :いや〜、まさかマルチがこんな事になってるなんて、気づかなかっ たよ…。 浩之 :気づけ!! あかりん:それで原因は解ったんですか? 長瀬 :ははは、もちろん解ったよ。 どうもマルチ特有の学習機能のバグのようだね。 浩之 :学習機能のバグ? 長瀬 :あぁ、本来学習機能はその物体の能力を取り込み学習するするも のだが、どうやらマルチはその物自体を取り込む事で学習するよう になっていたらしい…。 浩之 :はぁ…、なんでまたそんな風になっちまったんだ? 長瀬 :いやはや、どうやら開発時にパーツを一つ付け忘れてね。 それが原因で誤作動が起きたようだね。 浩之 :あのなぁ…。 あかりん:あの、それでマルチちゃんはどうなるんですか? 長瀬 :あぁ、心配いらないよ、修理にしばらく時間がかかるが、元には戻 るよ。 その間マルチには会えなくなってしまうがね。 浩之 :え! マジかよ? あかりん:会えなくなっちゃうんですか?
セリオ:そ、そんなの…。 そんなの嫌ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!
 わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん !! あかりん:セ、セリオちゃん!? 浩之 :おわ!? ど、どうしたんだセリオ!? あかりん:浩之ちゃん、セリオちゃん極度のシスコンみたいなの。 浩之 :シスコン? 長瀬 :これは困ったな…。 セリオ:わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん !! あかりん:セリオちゃん泣かないで、マルチちゃんすぐ帰ってくるよ。 浩之 :おう! そうだぜ。修理なんてさっさっと終わるって!! セリオ:うぅぅぅ…。 ホントに? 長瀬 :いやぁ〜、そんなに簡単には無理だよ。 セリオ:わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん !! 浩之 :このおやじッ!! 長瀬 :あ、いや、これは失敬。 セリオちょっと来なさい。 二人はそこで待っててくれ。すぐ終わるから。 浩之 :? ああ…。 長瀬 :さぁ、早く来なさい。 セリオ:ぅぅぅぅぅ…ハイ…。
あかりん:なんなんだろうね? 浩之 :さあな。
…で?
長瀬 :いやあ、待たせたね…。 浩之 :遅い、何やってたんすか?
 浩之 :いきなり満面の笑顔だな…。 あかりん:セリオちゃんご機嫌だね? セリオ:ハイ! これからもずっとマルチさんと一緒ですから!! 浩之 :はぁ、どうなったんだ?
長瀬 :まぁ、マルチの体は修理に出すとして、心は別の媒体に移動させる 事にしたわけだ。 あかりん:別の媒体?

来栖川の科学力は世界一ぃぃぃぃ!! つづく!!
ところで今回姉さんは?
姉さん:浩之がずっと一緒じゃ、出れねえだろうが!!
さいですか〜。 |