マルチ:そうなんです〜! もうビックリしました〜!
 浩之 :ホント大変だったんだな〜? マルチ:いえ! 今となっては楽しい思い出です。 浩之 :まぁ、オレとしてはぬいぐるみのマルチも悪くはなかったけどな? マルチ:はうう、意地悪言わないでください〜。 やっと元に戻れたんですから…。 浩之 :ははは、悪ぃ悪ぃ! マルチ:でも嬉しいです! またこうして浩之さんと同じ学校に通えるんです から! 浩之 :そうだな、またよろしくな! マルチ!
 姉さん:……。
 セリオ:マルチさん…。
・ ・ ・ ・ ・ ・
〜前日〜
マルチ:体が…直った?
 長瀬 :ああ、やっとバグは改善されたよ…。 これで停止していた回路も正常に作動するし、もうマルチに物がくっ 付いて来るような事も無くなったはずだよ? セリオ:マルチさんおめでとうございます! マルチ:はい! 嬉しいです〜!! 長瀬 :早速、プログラムの移植に取りかかろう、大体3時間くらいで終わ る筈だ。 マルチ:はい!! ・ ・ ・ ・ ・ キン─プシューーーーッ
長瀬 :どうだいマルチ? 気分は?
 七瀬 :ボディ、精神ともにオールグリーン…。 正常値です。
マルチ:長瀬主任…なにか不思議な感じです。 今までの体には無かった気持ちがあふれてきます…。 七瀬 :乙女回路も正常に動作しています。 長瀬 :ふむ、そのようだね。 セリオ:お、乙女回路!? 長瀬 :愛すると言う気持ちを作る回路だ。 私はねセリオ? 人間らしさって言うのは、いかにモノを愛せるかが 大事だと思っているんだよ。 この回路はね、君達を人間にするためにもっとも必要な回路なんだ …。 セリオ:私達? 長瀬 :ああ、もちろんセリオ、君にもこの回路は内蔵されている。 君がマルチの事を好きな理由はそれだよ? 本当は、異性に向けられる感情にしたはずなんだが、まぁ問題は無 いだろ? マルチ:わたしもセリオさんの事は好きです〜! 長瀬 :もちろんそうだろう。…でもマルチの場合はもっと好きな人が居るん じゃないか? マルチ:え!? セリオ:……。 マルチ:好きな人…。
七瀬 :ところで主任、そのアニメから名前を取る癖、なんとかなりません? 長瀬 :ん? いいじゃないか、的確な言葉だと思うよ? 七瀬 :学会で恥を掻いても知りませんよ…。
・ ・ ・ ・ ・
セリオ:……マルチさんの好きな人…。
 浩之 :ははは、しょうがね〜なマルチは? マルチ:はう〜、もっとがんばります〜。 セリオ:マルチさん。
マルチ:え!? あ、何ですかセリオさん。 セリオ:マルチさん、私はこっちなのでこれで…。 マルチ:あ、はい! セリオさんいってらっしゃい! クラスの方によろしくお 伝えしておいてください! セリオ:放課後は、いつものバス停で待っています。 マルチ:わかりました! それでは放課後に!! 浩之 :じゃぁなセリオ! あかりん:いってらっしゃい〜!
セリオ:失礼します。
マルチ:浩之さん、それでさっきの話なんですが──。
き〜んこ〜んか〜んこ〜〜ん
セリオ:………。
 綾香 :どうしたの? セリオ? 田沢 :今日は1日中ああなんです…。 お姉さんが向こうの学校に行っちゃったのが相当ショックだったんだ と思います…。 綾香 :本当にそれだけかしら? 田沢 :え? 綾香 :それにだけにしてはあのしょげ方は尋常じゃないわ。
セリオ :…マルチさん…。
き〜んこ〜んか〜んこ〜〜ん
田沢 :セリオ〜! 今日も例の集まり行くんでしょう? 途中まで一緒に 行こ! セリオ:田沢さん、今日は特に集合はかかっていませんので真っ直ぐ研究 所に帰ります…。マルチさんと待ち合わせもしていますし…。
田沢 :あ、そうなんだ…。 んじゃ、バス停まで一緒に行こう! セリオ:はい。
〜こっちも放課後〜
あかりん:浩之ちゃん〜、一緒に帰ろ〜? 浩之 :ああ。
マルチ:浩之さ〜〜ん! 浩之 :おう! マルチ!

マルチ:あの! これからお暇ですか…? 浩之 :これから帰る所だけど…、なんだ? マルチ:あの…、よろしければこれからちょっとお付き合いして頂けません か? 浩之 :ん? まぁ別に用も無いからいいけど、何処に行くんだ? マルチ:何処でもいいんです! 浩之 :はぁ? マルチ:久々の自分の体なので、今日は思いっきり何かしたいんです! 浩之 :…ふ〜ん。 んじゃ掃除でもするか? マルチ:浩之さんがそれでよろしいのでしたら喜んで! 浩之 :ウソウソ、冗談だよ。 んじゃ、商店街でも行くか? マルチ:はい!
あかりん:マルチちゃん私も行って良いのかな? マルチ:え…、あ、はい! もちろんです。
・ ・ ・
あかりん:浩之ちゃん、浩之ちゃん! これ見て! クチュウだって〜。
 浩之 :また胡散臭いモノ見つけるなお前…。 あかりん:クマチュウの良い所だけ残してうまくデフォルメされてるよね? 浩之 :アレに良い所なんて有ったか? あかりん:3000円か〜、買っちゃおうかな〜。 浩之 :やめろって…。
マルチ:……。
マルチ:浩之さん、浩之さん! 見てください! 高性能モップです〜! 浩之 :高性能モップって何が高性能なんだ? マルチ:ジェットが付いてるんです〜! 浩之 :却下だな…。 マルチ:コレがあれば学校がもっと綺麗に…。 浩之 :破壊される気がする…。
姉さん:……。
あかりん:ひろゆきちゃ〜ん! これこれ。クマファイトトレーディングカードゲームだって〜! 今、はやりなんだよ〜! 浩之 :はやってないって!
マルチ:……。
マルチ:浩之さ〜ん! こっちのは高性能ちりとりです〜! 浩之 :性能は? マルチ:ジェット付きです〜! 浩之 :……。
姉さん:……。
あかりん:浩之ちゃ〜ん! 凄いよ〜〜!! Kuma Heartだって〜。 ハートフルクマコメディなんだって〜。 浩之 :さすがに無理あるぞ…あかり。 あかりん:こいつはクマったね!
マルチ:……。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 浩之 :はぁ〜、さすがに疲れたな…。 そろそろ帰るか? あかりん:うんそうだね? もうすぐ暗くなってくるしね…。 マルチ:あの…、浩之さん…。 最後に行きたい場所があるんですけど良いでしょうか? 浩之 :ん? 何処だ? マルチ:あのゲームセンターに行きたいんです。 体が戻ったらまた浩之さんとエアホッケーをやりたかったんです。 浩之 :エアホッケーか…。OKいいぜ! どうせ帰り道だしな? いいだろあかり? あかりん:うん、私は構わないけど。 浩之 :んじゃ、行こうぜ! 本気で相手してやるぜ! マルチ:お手柔らかにお願いします〜〜。
〜ゲーセン前〜
あかりん:え!?
 セリオ:……。
姉さん:セリオ。
 セリオ:あかりさん……。 姉さん:何やってんだ? セリオ:マルチさんを待っています。 約束しましたので…。 姉さん:もう3時間は待ってるだろ? 馬鹿なヤツだな? セリオ:ここで待ってると約束しましたから…。 姉さん:ヤツは今、そこのゲーセンに居るぞ…。 行けば会える。 セリオ:約束の場所はココですから…。
姉さん:……。 セリオ:……。 姉さん:あのマルチはどういう事だ? セリオ:あれが本来のマルチさんです。 過去、あかりさんが恐れていた、あのマルチさんです。
姉さん:これ以上浩之に近づくなら、消すぞ? セリオ:…そう…、ですか…。
マルチ:セリオさ〜ん!!
姉さん:やっと気付いたらしいな? じゃあなセリオ…。
セリオ:……。 マルチ:すみませんセリオさん! わたしつい夢中になってしまって…。 セリオ:いえ…、問題ありません。 浩之さんと一緒で楽しかったですか? マルチ:はい。とても有意義で楽しい時間でした! セリオ:そう…、ですか…。
浩之 :じゃあな、マルチ! セリオ! あかりん:また明日ね! セリオ:さようなら。 マルチ:浩之さん! また明日!
ブルルン〜。
マルチ:あ、おばあさん、席座ってください! 婆さん:あら、ありがとうね。
 セリオ:……。 (浩之さんが関わらなければいつものマルチさん…)
マルチ:……セリオさん…。 セリオ:なんですか? マルチさん…。
マルチ:…わたしに協力してください。 セリオ:っ!
マルチ:わたしは浩之さんと一緒に居たいです…。 でもきっとあかりさんはそれを許してくれません…。
セリオ:……。
マルチ:せめて、わたしと浩之さんが一緒に居る時は、あかりさんを遠ざけ ていて欲しいんです! セリオさんの能力ならそれが出来ます!! おねがいしますセリオさんの協力が必要なんです!!
セリオ:……マルチさん…。
マルチ:セリオさん…。
セリオ:……。
マルチさんに協力する ↓ マルチさん浩之さんと結ばれて良かったね ↓ マルチさんも私に感謝! ↓ でも私は、
|

今まで通りあかりさんに就く ↓ マルチさん撃沈 ↓ 『セリオさんとは絶交です〜〜!!』 ↓ やっぱり
|
 ・ ・ ・ ・ セリオ:あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…。

おのれぇぇぇぇ、関口ぃぃぃぃ!! つづく!! |