“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「……………………」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「どうした、向こうの冒険譚には混ざらんのか」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「気に入らんというわけではない」
「若者が勲を語っているのだから、語らせてやればいい」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……出身がないから、また仲間外れ。ぼっち第二弾」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「宴会の類では、自分の英雄譚など一番の盛り上げ処だ。話が盛り上がるのも分かる。…が。」
「俺はそう言うのが無いのでな。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうだろうな。お前の視線が泳いでいた」
「なんとなく察しはする。そして冒険者の中にはそういう出自の者も多い。少なくとも私は気にしない」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…ふん。」過去を詮索するな、とは言わない。自分でも他人の過去には土足で踏み込む輩の自認はある。
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そして、出身がないというのも私にとっては共通する話だ」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…それは話して問題ない話か?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
元ヴァグランツです!
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「ああ。故郷で追放刑を受けた。二度と戻ることはない。それだけのことだ」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……それは、悲しいことじゃないの?」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「悲しいことではあるが、終わったことでもある」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
最初から故郷のない身では、合った故郷を失うのがどんな痛みなのか、想像にしかならないけれど。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「それをこんな見ず知らずの男と小娘に話しているのだ。…割り切ったか、乗り越えたか。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「いや。いろいろあって何も感じなくなった、というのが正しいところだ。割り切ったのか、乗り越えたのか。どちらも認めるには自信がない」
「ただの過去になってしまったのだろう。私の中では。それを割り切ったといえばそうかもしれない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……」それが少し寂しそうに見えて。
付かず離れずだった距離を、少しだけ詰めた。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
此方は微動だにせず
「…少なくとも俺は、お前の過去がどのような悲惨なものか、それをどう思うのかを断じる立場にはない。それを成す知識も無いしな。」
「…が、一つだけ分かることはある。」
「少なくとも生きる中で身なりを整えようとする考えがあるということだ。…生きる気力も無ければ、このような銭湯になど来ない。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうだな。そうなった出会いがあった」
少しだけ近寄ってきたセレスを横目で一瞥する。
視線をグゾンに戻した。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
(…そんな、出会いに感動される類の人間ではないのだが。)
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「それに今の私はひとりではない。そのことを認められないほど頑迷ではない。ひとりでないなら仕方ない。少しだけ今の自分を肯定しなければならない」
「それだけのことだ」
「グゾン。お前のことは優しい、とは言わない」
「だが、人に対して気を使えるやつだ。元の職は向いてなかったのだろう」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…そんな大層な人物ではない。食欲があれば肉を食うし、性欲があれば女を抱く。」
「生きる上でそれが必要だと…それこそ、宗教のように…信じているだけだ。」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「それが貴方の信念なんだね」キラリ、と観察するような目でグゾンさんを見つめる
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…再三言うが、そこまで大層な人間ではないぞ。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうか。お前は私の出身の話を聞いた時わざわざ聞いてよいことか問いかけた。貴族的に言えば、紳士的な振る舞いだった」
「それはお前の中で生きるために必要な人間同士の繋がり方なのだな」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「それこそこの店が“そういう店”だと理解して来ている。場合によってはお前たちを抱く為の女として見るぞ。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「脅さなくてもいい。私やセレスはこの湯屋で働いているわけではない」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
寄ってたかって褒められるという事象に慣れていない。若干引き気味。たじたじ。
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「あくまで客にそういった空間を提供しているだけだ」
「私自身、元は|娼婦《そういう仕事》をさせられていたからな。男の視線が何を意味するかを知るのは不得手ではない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「ここで働くと抱かれるんだ。……ぎゃくに、なんで働かないと抱きつけないのだろう」クビをこてりと傾げる。口が湯船につかる。ぶくぶく。
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「お前の視線は私たちを女として認識していても、強引に抱いてやろうという意図は見えなかった」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…茶化すな。今はそういう気分ではないというだけだ。」目線は逸らす。
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「ふふ」
能面のように無表情だったエルフが初めて微笑んだ。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
前科9時間前
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「いい子だ」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…長命種だからと、あまり人間を年下に見るな。襲うぞ。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「それとセレス、抱くというのは………ああ………説明が難しいな………」
「ん。今いくつだ?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「14」グゾンさんに問うているのだろうとは思いつつ答えておこう
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうか。セレスは14か。レプラカーンは旅立ちが早いと言うが」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「38だ。」長命種から見たら小僧だろうが、と語彙に含まれる
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「100歳は私のほうが年上だ。気にするな。巻かれておけ」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「9歳から独りで旅をしてる。父も私が邪魔だったみたいだから、離れるのは都合良かったらしい。……私も世界を見たかったから丁度よかった」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「“邪魔”で“都合が良かった”か。レプラカーンの価値観はわからないな」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「巻く巻かれるの問題では…いや、いい。」
「人間からしたらエルフの時間間隔も理解できない時がある。似たようなものだろう。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうか?そうか」
「確かに、私たちからすればお前たちは瞬く間に生き、育ち、老い、死んでいく」
「旅するエルフの宿命だな」
「他種族の友人を看取りながら歩むことになる。それを分かれというのは酷だろう」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…だからこそ、お前の同行者は必死に生きたのではないか?」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そこはまだ、私も200歳や300歳という歳ではないからな」
「冒険者として旅立ったのはつい先日のことだ」
「………いや、人間たちにとっての10年は先日ではなかったな」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「それなら、冒険者としては私が先輩?」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「かもしれない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……十年前は勝てない」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「少なくともそこのレプラカーンは独り立ちしていないな。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうか……」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…安心しろ、おそらく冒険者歴ならば俺が一番短い。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「そうか」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「それまでずっと山中で賊をしていた。冒険者…というか傭兵になったのはその罪を贖えとの恩赦だ。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「だろうな。私も少々柄の悪い地方で働いていた。険のある人間というのは感覚で分かる」
「だがグゾン。きっとお前はこれからうまくやっていける」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…今はそういう気が無い、というだけだと何度も言っているだろう…」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「無いのだろう?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「グゾン、タジタジしている。これは貴方の負け」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「今はだ。お前は抱き心地は良さそうだが舌が回るし、そこのセレスティンとやらは1から仕込む羽目になりそうだからな。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「それほどではない。私は弁舌に長けているつもりはないよ」
「だがこれまでのお前を見ていれば分かる。私も繰り返すが、優しいとは言わない」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
今更何を言うか、と目線で訴える>弁舌に長ける
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「だが他人に気を使える男だ。それは冒険者にとって極めて有利な力だ。お前の言う、生きるために必要な業だ」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「大切にするといい」
そう微笑み混じりに言い残し、エルフは湯船から立ち上がる。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…冒険者同士ならば、面識…コネクションがあった方が良いというのは納得する。」
眼を閉じ、湯船に浸かり、最後だけはラセリアの意見に同調する。
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「ラセリアだ」
「呼び名。貰い物の名前だ」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…名前は無い、と言ってなかったか?」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「その通りだ。故郷を出た時に真名は剥奪された。私は名無しのエルフだ」
「だがそれでは不便なので、呼び名を借り受けている」
「また会おう。グゾン、セレス」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……うん、また会えたらいいね、ラセリア」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…ふん、次会う時に俺に襲われないよう祈っておけ。」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
「分かった。神祖アステリアによく祈願しておく」
「もっとも我らが神祖は自由をお尊びになる。どのような神託をくださるかは分からないがな」
そう言い残し、名無しのエルフは去っていく。……濡れた足裏なのに全く足音はしなかった。
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
…捉え処が無い。思う。苦手だ、と。
「…お前もそろそろ上がったらどうだ。小さい体ではいい加減熱が籠るぞ。」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……もう少し、残る。ちょっと考えたい」
グゾン・ザ・グレイズオーク
[大浴場2]
「…逆上せる前に上がれよ。」
そう言い残し、ラセリアとは脱衣所を利用する時間をずらして、銭湯を後にする。
セレスティン・バライト
[大浴場2]
一人残って、またプカリと湯船に浮かぶ。
「…………」考える。この大浴場で邂逅した人々は、皆誰かとの繋がりを大事にしていた。粗暴そうなグゾンでさえ、だ。
そして、仲間を作る大切さは、以前にも言われた。
ずっと独りで旅をしてきた。そしてこれからもそのつもりだ。世界中を見て回るなんて我儘に、着いてくる人なんて居ないだろう。
それになにより……仲間を作ることが、怖い。
近くに人が居ることが怖い。その心の内は分からない。分からないことは、怖いことだ。それをなくすために、旅をしているのに。
……でも、独りが寂しいのは、確かで。
「…………」
スカーレット
[大浴場2]
ひゃーっと大浴場に小走りで掛けて入って来る
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……」考えをまとめようとしていたら人が来た。
スカーレット
[大浴場2]
よしよしよし、目論見通りだ!さっき男性の団体客が出て行っていたからな!女の子がいるくらいだ!
「……」ぺこりと少女に頭を下げた
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「こんばんは。もう遅いのに、すごい時間に来るね」
スカーレット
[大浴場2]
「人が少ない時間が良くって……、ここ、混浴だし……」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「混浴だと悪いことがあるの?」
スカーレット
[大浴場2]
「………………ちょっと、ね」
濁しながら身体を洗い始める。それはもう丹念に。執拗にと言い換えても良かったかもしれない
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……背中、流す?」その鬼気迫る様子に、思わずそう声をかける。
それはあるいは、さっき考えてたことのせいかもしれない。
スカーレット
[大浴場2]
「え、う」
申し出自体は、嬉しい。嬉しいが……
セレスティン・バライト
[大浴場2]
……誰かの温もりを、求めてしまっているのかもしれない。
スカーレット
[大浴場2]
(ああ~なんだか物寂しそうな表情してる~~~!!!)
アリサ・ウィステリアウッド
[大浴場2]
デッキブラシを担いで、少女が更に一人乱入してくる。
スカーレット
[大浴場2]
「お、お願い………………でき………………る?」
アリサ・ウィステリアウッド
[大浴場2]
「…あれ?まだお客様いた?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……うん」ざぱっと湯船から上がる。とてとてと近寄る。
スカーレット
[大浴場2]
人に肌を振れられるのは怖い。初対面の人なんてなおさらだ。でも、でも。気付いてしまった。彼女の寂しそうな表情に。それを無視することはスカーレットという少女には不可能であった
セレスティン・バライト
[大浴場2]
言ってみたけど、背中を流すなんてしたことはない。仲間なんて居たことないし。冒険者としての仕事も、ずっと一人でやってきた。旅立ってからの5年間、ずっと。
スカーレット
[大浴場2]
「今入って来たところ……」
店員らしき人に
セレスティン・バライト
[大浴場2]
それで良いと思っていたのに。なんで私はこんな申し出をしているのだろう。
アリサ・ウィステリアウッド
[大浴場2]
「…私バイトなんで…」
「お客様を追い出すような権限は無いんですよねー」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
自分のことが分からなくなって、それに怖くなりつつも、タオルを掴んで、ゆっくりと背中を流していく。
スカーレット
[大浴場2]
「ここ、24時間営業だし、ね」
「!」
びく!と体が跳ねた
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……あっ。ご、ごめんなさい。下手だった?」その反応に慌てて。
「やめるから叩かないで……」
スカーレット
[大浴場2]
「あっ!ああっ、そのっ、ちがくてっ」
妙に上ずってる声
「え?叩かないよ……?」
「叩く理由がないし……あっても叩かないけど……」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……嫌なことされたら、叩くんじゃないの? いま、私、失敗したから」
スカーレット
[大浴場2]
改めて──正対してみる。なんだろう。寂しそうに見えたけど、この感じは、少しだけ|モノだった時《あの時》を思い出す
「………………」
「私も、そうだったから」
「とてもとても嫌だったから」
「しないよ。私はしない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「…………」その言葉を信用はできない。優しい言葉を吐いても、内心何を思っているのかは見えやしない。分からないことは怖いこと。
でも、分からないことを知りたくて出てきたのに、尻込みしていたら、いつまでも分からない。
「……じゃあ、続けるね」
もう一度、彼女の背中に手を伸ばした。
スカーレット
[大浴場2]
「う、うん」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
石鹸を泡立てたタオルで、恐る恐る撫でていく
スカーレット
[大浴場2]
「!」
今度は跳ねたりはしなかった。けれどずっと身体が震えている。何か恐怖にでも耐えるように。両の拳をぎゅっと握っている
セレスティン・バライト
[大浴場2]
その震えに気付いて。
「……そんなに我慢しているのに、なんで私を止めないの?」
スカーレット
[大浴場2]
「えあっ」
ウソ、気付かれてた!?頑張ったのに!
「だって………………」
「あなたとても寂しそうだったから」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「…………………………」
スカーレット
[大浴場2]
「力に……なってあげたくて……」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……貴方は、優しい人なんだね」そして強い人だ。自分が怖いのに、人の為にその恐れを耐えられる。
スカーレット
[大浴場2]
「…………どうだろう」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
タオルを彼女から離す。嫌がっているのに続けたくはなかった。
スカーレット
[大浴場2]
「あっ」
「やめちゃうの……?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「え……?」嫌がっていたのに、なんでそんなことを言うのだろう。分からない。
スカーレット
[大浴場2]
「わ、私!頑張れるよ……!」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「頑張る必要、ない。こんなこと」
スカーレット
[大浴場2]
「どうして?あるよ」
「あなたが寂しくなくなるんでしょう?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「別、に……寂しいわけじゃ……」
嘘だった。だったらあんな提案をしたりしない。
独りには慣れっこなのに。この間から、少しおかしくなっている。
スカーレット
[大浴場2]
「私が……震えてるせいもあるんだろうけど。慣れてないよね?人の背中洗うの」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……はじめて」
スカーレット
[大浴場2]
「でも、何故か。初対面の私にそうあなたは声を掛けた」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「だって、凄い雰囲気で身体を洗おうとしていたから」
スカーレット
[大浴場2]
「……蒸れるの。いつも金属鎧を着てて」
「あと、種族柄。凄い汗で」
「すぐ臭くなっちゃう」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……? 臭くはない。いい匂いだと思う」すん、と鼻を鳴らして。
スカーレット
[大浴場2]
「だから……嬉しかったのは本当なの、あなたの申し出が……あぅ」
匂いをかがれるのはとても恥ずかしい
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……いや、貴方が気になるなら、そうなんだろうね」そっと再開する。オドオドしながら、それでも丁寧に
「……頑張る。きれいになるように」
スカーレット
[大浴場2]
「うん、お願い」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
綺麗な褐色の背中が白い泡で埋まっていく。痛くはないだろうか? くすぐったくはないだろうか? 不快ではないだろうか? 怒らせて、拳が飛んでこないだろうか?
人の内心は分からない。大人は信用ならない。
スカーレット
[大浴場2]
だんだん──震えが収まってきていた。今さっきの問答で少し、少女を受け入れられ始めたのかもしれなあい
セレスティン・バライト
[大浴場2]
それでも、この人は、急に叩いたりはしてこない気がする。
スカーレット
[大浴場2]
「うん。気持ちいいよ」
それでも少し震えている声色だったけれど
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「なら……良かった」安堵が滲んだ声色で。
高価な宝石を磨き上げるように、その玉を肌を擦って。
「……流すね?」お湯をかける前に、一声。
スカーレット
[大浴場2]
「うん、お願い」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
自分にやるように一気にざぱっと落とすのではなく、ゆっくりと注いで流していく。泡を洗い流して落としていく。
スカーレット
[大浴場2]
「丁寧だね。ありがとう」
いつもは正直。さっさと出たいから水を思い切り被っている
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……こっちこそ、ありがとう」
スカーレット
[大浴場2]
「……うん。力になれたのなら嬉しいな」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……ねぇ、質問しても良い?」
スカーレット
[大浴場2]
「うん、なあに?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「貴方は、仲間って必要だと思う? 独りは、駄目だと思う?」
「……他の人は、怖くない?」
スカーレット
[大浴場2]
うーんと顎に手をやって考えてながら
「仲間は、必要だと思う。冒険者の仕事は、ギルドは一人だと受けさせてくれないから」
「独りは、駄目とは思わない。けれど、良くないとも思う。この世界は危険ばかりが溢れているから。ギルドが一人だと仕事をくれないのと同じ」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……なんで一人だと駄目なんだろうね」ヴァグランツなので
スカーレット
[大浴場2]
「他人は…………怖い。とっても、怖い」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「なら、一人になりたいと思わないの?」
「……なんで私に、優しくしてくれるの?」
スカーレット
[大浴場2]
「…………だって、寂しいもん」
「私は、好きで他人を怖いと思うようになったわけじゃない」
「私は、好んで肌に触られることを恐れるようになったわけじゃない」
「出来得ることならこんな恐怖を知りたくはなかった」
「恐怖に、縛り付けられたままの人生なんて、生き方なんて嫌」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
寂しい。その言葉で心臓がトクリと跳ねた。自分も同じだったから。
怖い。その言葉で背筋がすっと冷えた。自分も同じだったから。
スカーレット
[大浴場2]
「だから……だから。私は手を伸ばすの」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
でも彼女は、独りを選ばずに、進もうとしていて。
スカーレット
[大浴場2]
「誰も彼にも、そんな生き方を私はしていて欲しくない」
「私は今も、この恐怖のせいで折れて倒れ込んでしまいそうだから。そうしてしまったら、もう二度と立ち上がれないと思うから」
「私と同じになんて、なって欲しくない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……そっか」さっきも思ったけど。本当に強くて優しい人なんだろう。
……これは、しても良いのだろうか。嫌がる気がする。彼女は触れられることに怯えている。
でも、受け入れてもらいたくて。他人に甘えるのが許されるのか、試してみたくて。
スカーレット
[大浴場2]
「私が優しいというのなら、それはきっと私がそう思っているから」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
そっとその背中に、縋り付いた。
スカーレット
[大浴場2]
「っ!」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
拒絶されるだろうか。殴られるだろうか。震えながら、彼女の体温を肌で感じる。
スカーレット
[大浴場2]
「あ、ひっ!」
悲鳴が漏れた。がくがくと体が震えて、カチカチと歯を噛む音がして。けれどスカーレットは動こうとはしなかった。そして知る
(震えてる……)
彼女もまた、恐怖と戦っている
セレスティン・バライト
[大浴場2]
──初めて触れた他人の温もりは、驚くほどに安心した。
……あぁ、
これを知ったら、独りには戻れないかもしれない。
スカーレット
[大浴場2]
耐えろ、耐えろ。私が彼女にそう言ったから、彼女は私を信じてくれたのだろう。
信に応えろ。期待に応えろ。彼女が恐怖と戦っているのだから私が屈していいわけがない。
セレスティン・バライト
[大浴場2]
……離れる。名残惜しいけど、この優しい人をこれ以上苦しませたくはない。
「……ごめん、なさい。ありがと」
スカーレット
[大浴場2]
「はっ──はっ」
息が上がる。解放されて、息を整えることだけをまず考えた
「…………名前、聞いてもいい?」
向き合ってから、そう聞いた
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……セレスティン。私は、セレスティン・バライト。セレスでもセレスティンでもバライトでも、好きに呼んで欲しい」
スカーレット
[大浴場2]
正面から見るそのエルフは──先程まで会っていたエルフと、よく似ている。目元以外
「私、スカーレット」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
(ああ、あの人も、何も言わずに近くに寄り添ってくれていたな)
その面影に、そう思って。
「スカーレット。……本当に、ありがとう」
“名無し(ラセリア)”
[大浴場2]
そう。付かず離れずの距離を保っていた。まるで、セレスがそれ以上踏み込むことを怖がる、ということを察しているように。
スカーレット
[大浴場2]
「…………セレス」
ごくりと唾を飲み込んだ。覚悟を決めた表情だ
「お礼を言うには、物足りない表情をしてたよ」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……え?」まさか、そんなことを言われるなんて思っていなかった。
スカーレット
[大浴場2]
「ん…………」
両手をセレスの前で拡げた。既に両の腕はふるえている
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「無理、しないで」
「私は大丈夫、だから」
スカーレット
[大浴場2]
恐怖に耐えるために閉じていた目を見開いて
「それはもうウソって分かってる。大丈夫じゃないから声を掛けたんだから」
「セレスも、とても優しい子。私が怖がってるから何度もやめようとしてくれてる」
「でもダメだよ。この程度じゃあセレスが今まで感じて来た寂しさを埋めるには全然足りてない」
「次、セレスが|触れられると安心できる《・・・・・・・・・・・》人はいつ現れる?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……!」
スカーレット
[大浴場2]
「明日には会えるのかもしれない。でも。もう出会えないのかもしれない」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
そうだ。私がこんなにも素直に甘えられたのは、踏み出せたのは、彼女もまた抗っている人だからで。
「……ダメ。スカーレットは、もっと我儘に、自分本意に、ならないと」
スカーレット
[大浴場2]
「だったら、来て」
「これが、私の我儘」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
その優しさに、その強さに、擦り減ってしまいそうなのに。
スカーレット
[大浴場2]
「手を伸ばせばすぐ届くのに。それをしないなんて私にはできない!したくない!」
「今セレスの感じて来た恐怖を少しでも和らげたい!セレスの心に安らぎを齎してあげたい!」
「全部全部!私の我儘!」
体当たりをするような、そんな優しさだった
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「スカーレット。……それは、卑怯」そんなこと言われて、拒めるはずがない。
おずおずと、一歩を踏み出す。手を広げる。その身体に、抱き着く。
身長差で、顔が彼女のお腹に埋まる。
スカーレット
[大浴場2]
「うっ、ぐ、う」
震えている。嗚咽も出ている。けれど広げていた腕を閉じた。中にセレスを抱いて
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……わた、しは……。どうして、こんなに弱いのかな……」抱き締められて、それで心が温かくなるのが、情けなくて、でも嬉しくて。
スカーレット
[大浴場2]
「それは……弱さなんかじゃない、よ」
嗚咽で、たどたどしく言葉を紡ぐ
「独りで生きられることは確かに強さ。でも、誰かと居ていいんだってそう思えることも、きっと強さ」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
涙で彼女の肌を濡らす。抱き着く力を少し強くしてしまう衝動に抗えない。
人の愛を感じたのは、初めてだから。
スカーレット
[大浴場2]
「私は──きっと少しだけセレスより出会いに恵まれた」
「セレスには、それがまだ、無かっただけ」
「だからね」
「だから」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
スカーレットに、こんなにも頑張っている彼女に、これ以上甘えてはいけない。だというのに。離れるどころか、よりその体温を求めてしまう。
「……うん。探して、みる」
スカーレット
[大浴場2]
舌が──止まる。未だ震える、恐怖に超克したと言えぬ身で。セレスが思ったことは──間違いじゃない。スカーレットの我儘は、為そうとするだけスカーレット自身の心を摩耗させていく。
だが、|それこそが《・・・・・》恐怖に吞まれていると、屈している何よりの証左だろう
「私、が」
「私がセレスの、その人になるから」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……ぁ」
それは、ダメ。貴女に縋らず、独りを抜け出すべきなのに。そんなことを言われたら。
「……いい、の? 私は、我儘で、臆病で、弱いのに」
「そんな、こと、言われたら……」期待して、しまう。
スカーレット
[大浴場2]
「ふふ」
震えながら、けれど確かに笑った
「我儘だし。抱き着かれるだけでこんなに震えてる私も、弱いよ」
「一緒だね。セレス」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……ううん。スカーレット、は。優しくて、強くて、そしてズルい人」
「きっと貴女は、そうやって、色んな人を助けていくんだね」歯を食いしばりながら。痛みに耐えながら。恐怖に抗いながら。
スカーレット
[大浴場2]
「……うん、そうありたい」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
あぁ──私は。そんな貴女を支えられるように、なりたいな。
産まれて初めて、人の為になりたいと。そう、思った。
スカーレット
[大浴場2]
「だから、セレスのことも私は助けたい」
「助けさせて、欲しい」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……うん。私、|スカーレットに《・・・・・・・》、助けてほしい」
他の人ではなくて、最初に手を差し伸べてくれた、貴女に。
スカーレット
[大浴場2]
「うん」
「頑張る」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……助け終わったって判断して、捨てたりしないでね?」そういうことしそうだから
スカーレット
[大浴場2]
「捨てるなんてしないよぉ」
「……私が必要なところじゃないなって思ったらもういいかって思う癖は……あるかもだけど」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
一際強く、ぎゅっと、抗議するようにスカーレットさんに抱き着いた。
スカーレット
[大浴場2]
「あう」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
あぁ、もう。こんな風にしてたら、迷惑をかけるのに。でも、そうしろって彼女が言ったんだもの。
だから、もう、ずっと。スカーレットの側で、甘えちゃえ。
……初対面の相手に、言うことではないけれど。
「私、スカーレットのこと、大好きかもしれない」
スカーレット
[大浴場2]
「……ふふ」
「嬉しい」
「私も……」
「セレスをもっと受け入れられるように、頑張るね」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……いつか。私だけは、頑張らなくてもいいように、なって欲しい」
スカーレット
[大浴場2]
「うん、なりたい」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
そんな特別になりたい、なんて。傲慢な我儘を抱いてしまった。
スカーレット
[大浴場2]
「……いたんだ。一人だけ。男性だったから、裸の付き合いはしなかったけど」
「頭を撫でてくれるのが、好きだったの」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……むぅ」その人に嫉妬してしまうのが、とてつもなく悔しい……。
スカーレット
[大浴場2]
「お父さん、だった。私にとって」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
頭を撫でようと手を伸ばして、背丈が足りずに届かない。
スカーレット
[大浴場2]
「……」
眉を下げる
「ごめんね。それはまだ、怖いかも。多分、一番怖いんだ。頭を触れるの」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……ぁ、ごめ、なさい」
スカーレット
[大浴場2]
「謝らないで、セレス」
「いつか必ず。セレスのことも心から愛して、受け入れるから」
「だからどうか、それまで待ってて」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……私も。愛してもらえるよう、頑張る」
スカーレット
[大浴場2]
「うん、頑張ってセレス」
「ふふ、セレス。身体は洗った?」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……洗ってない」嘘を付いた。流石に湯船に浸かる前に洗っている。
スカーレット
[大浴場2]
「じゃあ、今度は私が洗ってあげるね」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「……うん」
「……でも、今は……。もう少し、こうしてたい」
スカーレット
[大浴場2]
「我儘だね、セレス」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
抱き着いて。
スカーレット
[大浴場2]
「いいよ。気の済むまでこうしてから、洗って、湯船に浸かって。一緒に旅をしに行こうね。これから」
セレスティン・バライト
[大浴場2]
「我儘になっていいって、言ったから」
「──不束者ですが、よろしくお願いします」
スカーレット
[大浴場2]
それは──結婚する時に使う言葉じゃないのかな。そう思ったけど
セレスを受け入れたいと思う気持ちに嘘はなかったから
私もまた、セレスを抱きしめ返した
この腕の震えも──いつか止まるといいな。止めてみせる
「よろしく、セレス」