「さあて、悩める雄を元気にするために今日も頑張りましょうかねえ」   ピカピカに磨かれた鏡に、白衣を着た小太りの熊獣人が写し出されている。夜の十時から始まる仕事の前に身だしなみを整えるのがあっしの癖だ。  四十五を過ぎ、あっし──熊原 雄二(くまはら ゆうじ)もすっかりおじさんになってしまった。しかし、おじさんになってもあっしの股にぶら下がる息子はまだまだ元気。今日もすでに三回、子種を吐き出している。  だが、あっしのようにおじさんになっても下の息子が元気な雄は少数派で、加齢と共に性機能が低下していくのが大多数。  性機能の低下に悩む雄を元気にする。それが、あっしの仕事だ。 「おっと」  インターホンが鳴った。お客様が来たようだ。  小走りで玄関に向かい、扉を開ける。すると、黒いスーツを着た狼獣人の姿が視界に飛び込んだ。  彼の毛皮の色は爽やかな印象を受けるライトシアン。しかし、目付きは鋭く表情には爽やかさの欠片もない。殺し屋のような風格がある。背が高くてスラッとしながらも、スーツ越しにしっかりと筋肉の形が浮き出ているので鍛えているのがよく分かるなあ。 「……こんばんは。ここが旭日昇天(きょくじつしょうてん)で間違いないだろうか。いえ、間違いないでしょうか」  あっしが経営する回春マッサージ屋の名前。それが旭日昇天だ。なので、あっしは彼の質問にこう答える。 「はい、間違いないですよ。お待ちしておりました、狼谷さん」  彼の名は狼谷 冬真(かみたに とうま)。年齢は三十五歳。海上自衛隊の海曹長らしい。妻子が居るが、最近夫婦仲はあまり良くないとか。彼の性機能が低下したせいでセックスレス状態になり、それを奥さんが不満に思っているらしい。離婚の話も出ているみたいで、事態は深刻なようだ。  以上が、予約を受けた時に得た情報だ。スムーズに事を進めるためにこの店は予約制となっており、事前に必要な情報をホームページのメールフォームから送るシステムになっている。 「その、今日はよろしく頼む……ではなく、よろしく頼みます」 「はい、お任せください。それと、無理に敬語を使わんでもいいですよ」 「申し訳ない。つい先程まで部下の指導をしていたもので、その話し方が抜けきらず……」 「気にしない気にしない。あっしも砕けた喋り方をするんで、狼谷さんも気楽に話してくだせえ」  狼谷さんは口元を少し緩めて、小さく頷いた。見た目ほど怖い獣人では無さそうだ。 「さあ、早速施術室に案内しますぜ。狼谷さんの悩みをサクッと解決してみせますわ」  狼谷さんを、廊下の突き当たりにある施術室に案内する。  施術室の中はいたってシンプル。肛門科によくある、リクライニング機構があるアームチェアがあるだけだ。 「先生。オレはどうしたら……」 「ズボンとパンツを脱いで、椅子に座ってくだせえ」  あっしがそう言うと、狼谷さんの頬が少し赤くなった。恥ずかしいのだろう。 「男同士なんで、恥ずかしがらんでええですよ」 「あ、ああ。やましい事は何も無いしな……」 「そうそう。これは治療のためでっせ。奥さんと仲良く暮らすためにも、サクッと治療して早く元気になりましょ」  少し唸った後、狼谷さんはカチャカチャと音を立てながらベルトを外し、ゆっくりとズボンを引き摺り下ろした。  狼谷さんは黒のボクサーパンツを着ており、前面はもっこりと膨らんでいる。少し躊躇うような素振りを見せた狼谷さんであったが、やがて意を決したようにボクサーパンツにも手を掛けて引き摺り下ろした。  あっしは、露わになった狼谷さんの局部を見て思わずごくりと喉を鳴らした。狼谷さんのだらりと垂れた雄の象徴の長さはやや短いが、太い。先端は皮を被っているが、僅かに亀頭が露出しており鈴口が見えていた。  これは、とてもいやらしい形の男根ですわ。勃起したらもっと太くなるかもしれんなあ。これは是が非でも、勃起した姿を見たい。 「こ、これで良いのだろうか……」  おずおずと椅子に座った狼谷さんは頬を赤くしたまま、あっしから視線を逸らしている。厳つい顔をしてるのに恥ずかしがり屋さんというギャップがたまらんなあ。 「あ、申し訳ないですが腕と脚をちょっと固定させて頂きますわ。以前、治療中に激しく身体を動かして怪我をされた方がおったんで」 「……怪我はしないに越した事はないな。了承した」 「話が早くて助かりますわ」  了承を得たので、アームレストとレッグレストに設置したベルトで狼谷さんの四肢を固定する。その後、治療をしやすいようにリクライニング機能を使って椅子を傾けた。 「さて、今から治療を始めるわけですが……顔が見えないようにカーテンをかけるので安心してくだせえ」  アームチェアを傾けた状態で天井付けのカーテンを閉めると、丁度狼谷さんの腹の辺りにカーテンが乗って上半身と下半身が分断されるような形になる。つまり、治療中は狼谷さんからあっしの姿は見えない。そしてあっしは狼谷さんの下半身しか見えないわけだ。 「よ、よろしく頼む。先生」 「任せてくだせえ。ビンビンにしたりますわ」  ま、今ビンビンになってるのはあっしなんですがね。  今、狼谷さんはM字開脚の状態で脚を固定されていて、丸々とした睾丸やキュッと締まったピンクのアナルまで丸見えだ。  同性愛者──それもノンケが大好きなあっしにとっては極上の据え膳が目の前にあるのと同義。 「まず、局部に軽く触れさせてもらいますわ。あ、手袋をするのでご安心を」  プラスチック手袋を着用した後、そっと狼谷さんの肉棒に触れる。そのまま軽く擦ってみたが、彼の肉棒は無反応。  今度は睾丸を軽く握り、刺激を与えてみる。しかし、やはり無反応。ま、ここまでは想定の範囲内ですわ。 「先生……。オレは、本当に治るのでしょうか」 「安心してくだせえ。ここから、本格的な治療に入るんで」  あっしは睾丸と肛門の間──蟻の門渡りを指でぐっと押した。 「んっ……!」  狼谷さんの口から小さな声が漏れると同時に、彼の肉棒がぴくりと微かに動く。  雄の性感帯は肉竿や睾丸以外にも多数あるが、ノンケがそれ以外の性感帯を刺激する事は少ないようだ。逆に言えば、普段刺激されないような性感帯を弄れば感じる可能性が高い。それが回春マッサージ店を二十年ほど経営してきたあっしの持論だ。  優しく、かつ大胆に蟻の門渡りをぐにぐにと押す。 「先生、まっ……何か、おかしい……っ!」 「おかしいというより、気持ちいいのでは?」 「あっ、ああっ……!」  狼谷さんの肉棒が徐々に硬くなり、半勃ちの状態になる。さっきまでだらりとしていた太々しい睾丸も僅かに収縮しているのが分かる。彼が性的快感を得ているのは間違いない。 「少し元気になってきましたねえ。でも、もーっと気持ちよくなれる場所をマッサージさせていただきますぜ」 「もっと気持ちよくなれる場所……?」  あっしは懐からローションが入った容器を取り出し、プラスチック手袋越しの指に垂らした。そしてローションを纏った右手の人差し指の先端を、何者の侵入も許した事がないであろう彼のアナルに突き付ける。 「んおっ!?」  指先に力を込めると、締め付けによる僅かな抵抗を感じつつも第一関節までゆっくりと沈み込んだ。  やはり、ノンケのアナルは締まりが良い。きゅうきゅうと締め付けてくる。 「な、何をして……っ!?」 「狼谷さんも、前立腺って言葉を聞いた事があるんじゃないですかい? お尻の中から刺激できる場所で、そこを刺激するときもちよーくなる雄が多いんですぜ」  さらに指を奥へと侵入させると、指先がコリッとした硬い部分に触れた。間違いない。ここが前立腺だ。 「力を抜いて、ただ快感に身を委ねてくだせえ」  指先で彼の前立腺を圧迫しながら、円を描くようにゆっくりと動かす。 「うおっ! あっ、ああっ!!」  程なくして、半勃ち状態だった狼谷さんの肉棒は膨張して完全に勃起した。包皮の隙間から姿を見せている鈴口からは、透明な涙も流れ始めている。 「すっかり元気になりましたねえ。ご立派ですぜ」  右手の人差し指で前立腺を刺激しながら、左手で狼谷さんの肉棒を握って上下に動かす。 「ダメだっ、ぐう、おおおおっ!!」  まさに三擦り半という感じで、狼谷さんはあっしの手の中で呆気なく果てた。長らく射精していなかったのだろう。狼谷さんの鈴口から溢れ出た大量の白濁液はゼリーのようにドロドロとしていた。  あっしの鼻腔が、濃厚な雄の臭いで満たされていく。 「沢山出しましたねえ。どうやら、狼谷さんはお尻を弄るのが効果的なようで」 「うう……」  カーテンで仕切られているため表情は見えないが、射精を終えた彼はきっと羞恥で顔を赤くしているのだろう。 「奥さんと夜の営みをする時は、お尻に大人の玩具を挿入するのが良さそうですねえ。丁度、余った玩具があるので帰宅時に差し上げますぜ」 「い、いや。そこまでして頂く訳には……」 「遠慮は損慮ですぜ、狼谷さん」 「むう……」  それに、お金以外の報酬を今から頂くしなあ。それが大人の玩具──ディルドの代金だ。 「ああ、でもあっしが狼谷さんにお渡しする予定の玩具はちょいと大きいんですわ。だから、お尻の穴をよおく慣らす必要があるわけで」 「慣らす……?」 「ええ。今から、狼谷さんのお尻の穴を慣らしますわ。大人の玩具で怪我しないように、じーっくりと」  あっしは下衣を脱ぎ、ギンギンにいきり立つ肉棒を取り出した。そして透明な汁でじっとりと湿ったそれに、狼谷さんが先程放ったばかりの種汁をべっとりと纏わせる。彼の濃い種汁はローションと同じような効果を発揮してくれるだろう。 「ちょっとキツイかもしれませんが、気張ってくだせえ」  現在、狼谷さんがもたれかかっている傾いたアームチェアは調整がしてある。あっしが立位姿勢を取っている時、座高があっしの股間部の高さになるような調整が。  小さく口を開いた狼谷さんのアナルに、彼の白濁液が塗り込められた肉棒の先端を突き付ける。その瞬間、狼谷さんの身体は小さく震えた。 「がっ……!? あっ、ああぁぁっ!?」  後ろで手を組んだ状態で腰を前に突き出すと、あっしの肉棒の先端──亀頭部が狼谷さんの中にずぶりと飲み込まれた。 「ふぅー……」  やはり、ノンケの初物を奪うのは最高だ。食いちぎらんばかりに亀頭をぎゅうぎゅうと締め付けてきて、たまらんなあ。 「なっ、何が入って……!? ぐおおおおっ!?」  カーテンで仕切られているため、狼谷さんはあっしのちんぽが尻に入った事を知らない。その事実が、より一層あっしを興奮させる。 「大人の玩具ですわ。これでナカをじーっくりと解していくので、力を抜いてくだせえ」  我ながら白々しい嘘だと思うわ。ま、バレたらバレたで別に良いけどな。  ハメてしまえばこっちのもの。今までにあっしは数えきれない程のノンケのアナルにちんぽをハメてきた。そして、全員がアナルの快感に目覚め、元気を取り戻してきた。なので、回春マッサージ店という看板に偽りはない。  腰をさらに前に突き出し、肉棒をさらに奥へと侵入させる。 「や、やめっ、あっ、ああっ……!?」 「おや? また狼谷さんのモノが大きくなってきましたぜ。すっかり元気を取り戻す事ができて良かったですねえ」  あっしの肉棒が半分ほど入った頃、狼谷さんの雄の象徴はすっかり元気を取り戻していた。間違いなく、狼谷さんにはメス堕ちする才能があるなあ。 「さあ、全部入りますぜ」 「あがっ!? ひっ、あああっ!?」  全体重をかけ、肉棒を狼谷さんの最奥まで捩じ込む。直後、彼のアナルはより強く収縮してあっしの肉棒をぎゅうぎゅうと締め付けてきた。 「んあっ、ああっ……!!」 「へへっ、またイっちまいやしたね」  狼谷さんは肉棒を小刻みに震わせながら、再びゼリー状の白濁液を垂れ流した。先程の強い締め付けは絶頂の合図だったようだ。  二度目の射精で確信したが、狼谷さんは早漏のようである。可愛いなあ。 「どうぞ、何度でもイってくだせえ。あっしは穴を解すのに専念するんで」  肉棒が彼のアナルから抜ける寸前まで、ゆっくりと腰を引く。そして再び勢いよく腰を前に突き出す。 「あぐっ!? 捲れて、おかしく、なるっ……がああっ!」  ピストン運動を繰り返し、狼谷さんの腸壁を肉棒で擦り上げる。その度に狼谷さんは小さく痙攣し、あっしの肉棒を強く抱擁するかのようにアナルを収縮させた。 「狼谷さん! サービスで、元気になるお薬も入れておきますからね!」  もっとこの極上のノンケ穴を堪能したかったがそろそろ限界だ。お薬を注いで締めとしよう。精液という名の、生命力に満ち溢れたお薬をね。 「さあ、お薬を出しやすぜ!」  あっしは狼谷さんの最奥に肉棒を捩じ込んだまま、彼の体内に大量の白濁液を放った。 「うおっ、あっ、あああぁっ!?」  狼谷さんはあっしの熱い迸りを腸内に受けながら、全身をガクガクと震わせて三度目の絶頂を迎えた。カーテンが、彼の白濁液で白く染め上げられていく。 「……ふぅ。これにて、施術完了ですわ。効果覿面だったでしょう?」 「うあっ、ああっ……」  カーテンを僅かにずらし、狼谷さんの表情を確認する。  彼の顔は涙で濡れており、口の端からは涎が垂れていた。快楽に溺れていた証だろう。  後片付けを終えた後、あっしは約束通り極太のディルドを狼谷さんにプレゼントした。  狼谷さんは施術代を支払った後、心ここにあらずといった様子でふらふらと店を去っていった。 「またお会いできる日を、楽しみにしていますぜ。狼谷さん」  §  その日はすぐに訪れた。  狼谷さんに施術を行ってから五日後。店休日の夜に狼谷さんが店を訪れた。 「その……休みに押しかけてしまい……」 「申し訳なく思う必要はありませんぜ。あの後、奥さんとの関係がどうなったかはあっしも気になってたんで。差し支えなければ、教えて貰っても良いですかねえ」  とは言ったものの、彼の返答は予想できる。 「……先生から貰ったアレを使ったら、無事に妻と夜の営みを行えました」 「そいつは良かった。これで問題解決! これからも奥さんと仲良く暮らすんですぜ」  狼谷さんは頬を赤らめながら、落ち着きなく身体を揺らしている。この後、彼が何を言うのかも想像できる。 「……せ、先生。あの日以来、ずっと尻が落ち着かなくて……」 「ふむふむ。それで?」 「……また、施術をお願いしたいと……」  思わず、あっしの口元が緩んだ。  予想通りだ。何もかもが。 「構いませんぜ。狼谷さんのためなら、あっしが何肌でも脱ぎますわ」  狼谷さんの肩を抱き、並んで施術室に向かう。今日はもう、カーテンで仕切る必要は無さそうだ。  さあて、極上のマッサージを包み隠さず提供させてもらいましょうかね。あっしのちんぽでメス堕ちした、狼谷さんにね。 「どうぞ、腰掛けてくだせえ。下は脱いで、ね」  施術室に入ってからあっしが促すと、狼谷さんはズボンを脱いでアームチェアに腰掛けた。狼谷さんは恥じらいつつも、何かを期待するかのようにあっしをチラチラと見てきた。 「狼谷さん。本当は気づいてるんでしょう? 数日前に、貴方のお尻の穴を慣らしたモノが何だったのかをね」  あっしはアームチェアを傾けた後、下着ごとズボンを脱ぎ捨てていきり立つ肉棒を取り出した。そして、それを狼谷さんの鼻先に擦り付ける。 「お、オレは……」  狼谷さんの目に、戸惑いの色が浮かんだ。 「浮気になるのではないか、と思っているようですねえ。心配しないでくだせえ。男同士は浮気になりませんし、これは治療の一環ですぜ。気持ちよくなれて、元気になって、それが奥さんと円滑な生活を営むのにも繋がる。良い事づくめですぜ」  これは詭弁だ。だが、あっしのちんぽの味をケツで覚えた雄にはこの詭弁が良く効く。 「まあ、無理強いはしませんがね。どうしても嫌なら嫌だと言えば良いですぜ。逆に、治療を受けたい時はあっしのイチモツを舐めてくだせえ。それを同意の証とみなしますわ」  我慢汁が垂れる肉棒の先端を、狼谷さんの口元に近付ける。  狼谷さんはしばし唸って葛藤する素振りを見せたが、やがて意を決してあっしの肉棒の先端に舌を伸ばし、ピチャピチャと舐め始めた。 「んっ、ふう、ん……」 「へへっ、可愛いですねえ。狼谷さんは」  健気にあっしの肉棒を舐める狼谷さんの頭を優しく撫でる。  彼の舌使いは拙いが、それがよりあっしを興奮させた。 「ほら、今度は咥えてくだせえ」 「んむっ……!」  首を右に向けた狼谷さんが、狼獣人らしい大きな口であっしの肉棒を根元まで咥え込む。それだけでも熱と湿り気が心地よいが、腰を振ると摩擦でさらに心地よさが増す。  このまま腰を振り続けて口内で射精するのも良いが、それだとあっしだけが気持ち良くなってしまう。 「狼谷さんが治療を受けたいって気持ちはよおく伝わりました。なので、その気持ちに応えてみせますよ」  狼谷さんの口から肉棒を引き抜き、彼の足元へと移動する。  ──狼谷さんのアナルはすでに腸液らしきもので湿っており、ひくひくと蠢いていた。当然、彼の肉棒も膨張している。早くあっしのちんぽをぶち込まれたくてたまらないといった様子だ。 「さあ、治療開始ですぜ」 「よ、よろしく頼む……」  湿ったアナルに肉棒の先端を突きつけ、一息に貫く。  自宅で一人で弄っていたのだろう。狼谷さんのアナルはすっかり解れており、抵抗感なくあっしの肉棒を根元まで受け入れてくれた。 「うおっ、おっ、おおぉ……!」  狼谷さんは目を潤ませながら、全身をガクガクと震わせている。あっしの肉棒で感じているのは明らかだ。 「すっかりお尻エッチが大好きな助平になっちまいやしたね、狼谷さん」  こんな極上の肉穴は多少乱暴に扱っても壊れはしないだろう。そう判断したあっしは、快楽を貪るために狼谷さんの腰を掴みながら激しく腰を前後に動かした。 「あがっ! ああっ! んうぅっ! おおっ!」  最奥を貫く度に、狼谷さんの口から艶やかな声が漏れる。前立腺を抉られて強い快感を得ているのだろう。 「うああっ、あっ、あああっ!!」  突然、狼谷さんは一際激しく全身を震わせたかと思うと大量の精液を噴出させた。彼が上半身に身につけている黒いスーツに白いシミが形成されていく。  クリーニングに出さないといけないだろうなあなんてくだらない事を考えながら、あっしは全体重をかけて肉棒を最奥まで捩じ込んだまま腰をぐりぐりと動かした。 「ひあっ、ダメだ、それは、あっ、あああっ!!」  再び、狼谷さんの身体が大きく跳ねる。そして、肉棒からは白濁液とは違う透明な液体がぷしゃっ、と噴出した。どうやら、強すぎる快感に耐えきれず潮吹きしたようだ。 「射精に潮吹き……つい数日前まで勃起不全で悩んでいたのが嘘のようですねえ」 「い、言わないでくれ……っ!」 「ハハッ、意地悪言ってすいやせんでした。お詫びに、元気になるお薬をたーっぷり腹に注いであげますぜ」  再び激しく腰を振る。狼谷さんの肉穴は突く度にきゅうきゅうと締め付けてくる名器だ。あっしは早漏ではないが、こんな名器の前ではあっという間に限界を迎えてしまう。 「イきやすぜ、狼谷さん!」  腰を激しく振ったまま、あっしは狼谷さんの中で絶頂した。あっしの欲望の証が、どくどくと彼の中に注がれていく。 「があああああっ!!」  腹の中にあっしの精液を注がれながら、狼谷さんも再び吐精した。むわりとした雄の臭気が、辺りに充満する。 「ふぅ……」 「うあっ!」  射精を終えたあっしは、彼の中からゆっくりと肉棒を引き抜いた。  だらしなく開いたアナルから、泡立った白濁液が下品な音を立てながら流れ出る。 「……どうやら、まだ治療に満足していないようですねえ」  二度も射精したというのに、狼谷さんの肉棒は硬いままだった。  照れくさいのか、狼谷さんはあっしから目を逸らしつつも、小さく頷いた。 「良いでしょう。貴方が満足するまで、付き合いますぜ。それが、この店を営む者としての務めなんでね」    性機能の低下に悩む雄を元気にする。そして、元気になった雄の面倒を見るのもあっしの仕事だ。いや、狼谷さんはもう雄ではなかったな。  ──彼はもう、あっし専用のメスだ。 【了】