「父さん……?」  他の囚人が寝静まった深夜。  薄暗い牢の中で、オオヤマネコの青年であるパウバートは自身の父親であるミルトンに押し倒されていた。  ミルトンの目は血走っており、浅い呼吸を繰り返している。そんな父親の姿を見たパウバートは、彼が発情期である事を悟った。 「ふん。役立たずを、役立ててやる……!」  ミルトンはパウバートのズボンに手を掛け、下着ごと乱暴に剥ぎ取った。パウバートは抵抗せず、それを受け入れる。 「分かったよ、父さん。僕、役に立つよ。だから……」  僕を愛して。その言葉はパウバートの胸の内だけで発せられた。  ミルトンは自らの下衣を脱ぎ捨てた後、臨戦状態の肉棒の先端をパウバートの後孔に突き付け、乱暴に腰を前に突き出す。 「ぐうっ……!」  剛直が肉穴を無理やりこじ開けて侵入してくる感覚に、パウバートは顔を顰めた。幸いにもミルトンの肉棒はカウパー液で湿っており、それが潤滑剤になったため彼の肉穴は裂けずに済んだ。それでも、処女穴を慣らしもせずに貫かれた痛みは相当なものである。 「ふっ……んっ……!」  痛みに苛まれたパウバートは目尻に涙を浮かべながらも、小さく笑みを浮かべた。父親の役に立てる事が、痛みを上回る多幸感を彼に与えたようだ。 「はっ、中々具合が良いな……っ!」  きゅうきゅうと締まる肉の感触を堪能しながら、ミルトンは荒々しく腰を振る。 「父さん、父さぁん……っ!」  パウバートはミルトンの背に手を回し、強く抱きしめた。それに構わず、ミルトンは欲を満たすためだけに激しいピストン運動を繰り返す。  ミルトンがピストン運動を繰り返す度に肉穴が緩み、パウバートの痛みも和らいでいく。 「うあっ、んんっ、ああっ!」  痛みが和らいだ後、代わりにパウバートの身を襲ったのは未知の快感だった。肉棒で前立腺を圧迫される度、パウバートの口から娼婦のように淫らな嬌声が漏れる。 「雌猫のような声を漏らして、お前は本当に浅ましいやつだ……!」  罵倒の言葉すらも、今のパウバートにとっては興奮材料にしかならなかったようだ。パウバートはより強く肉穴を収縮させ、何度も「父さん」と口にする。  いつしかパウバートの肉棒は芯を持ち、ミルトンの肉棒で最奥を貫かれる度に大きく震えた。  ミルトンにとってこの行為はただの性処理であり、息子に対する愛なんて欠片も無い。しかし、物事は相手の受け取り方次第で形を変える。パウバートは今、父親から愛を与えられているのだと信じていた。そして、大好きな父親により強い快感を与えるために自らも腰を振り始める。 「むう……っ!」  やがてミルトンはくぐもった声を漏らした後、実の息子の体内に子種を撒き散らした。 「んあっ……父さんの、熱い……っ! うっ……ああぁっ!!」  熱い精が腸内に注ぎ込まれるのを感じながら、パウバートは小刻みに身体を震わせる。同時に、パウバートの肉棒の先端から濃厚な白濁液がどろりと流れ出た。──まるで、歓喜の涙を流すかのように。 「はっ、はあっ……!」 「ふ……っ、父さん……」  大好きだよ。パウバートの口からか細く放たれたその言葉は、ミルトンの耳には届かなかった。 「……片付けをしておけ」  射精を終えて満足したミルトンは軽く身なりを整えると、ベッドに寝転がり寝息を立て始めた。 「あっ……」  父親の肉棒の形に拡張されたままぽっかりと開いたパウバートの肉穴から、雄臭い白濁液がごぼりと流れ出る。パウバートはまだ温かいそれを指で掬い、自らの口内に運ぶ。  彼はトロンとした目付きで父親の精の味を堪能した後、ごくりと飲み下した。 「ああ……僕、幸せだなあ」  大好きな父親とずっと一緒に居られる。大好きな父親が自身を求めてくれる。  ずっと求めていたものを得られたパウバートは、鉄格子の隙間から見える月を眺めながら穏やかな笑みを浮かべた。 【了】