たぬきの子育て理由は様々だ
多くは子を育てた勲章のためと答えるだろうし、中には実りあるたぬ生を送ってほしいからと知恵を授ける者もいる

「ｷｭｩｩｩﾝ♪ｷｭｷｭｰ♪」
「ヴフフ…今日もチビは可愛いし…よしよしだし…」

川原で複数の子たぬきを纏めて面倒を見ている親たぬきがいる
その姿は確かな慈しみを持ったモチモチで子たぬきは親への愛情を一身に受けている
そして大事に育てられた子たぬきは成長を続けると体が大きくなるだけではない
いずれ親たぬきのように言葉を喋るようになり、意思疎通も可能となるのだ

「ｷｭ……ｷｭ……ﾏ…ﾏ……♪」

初めての言葉は親に対する呼びかけ
ションボリ顔のたぬきらしからぬ精いっぱいのニッコリ顔で子たぬきは親たぬきへの言葉を送る
初めての言葉に親はどう答えてくれるのだろう？たくさんのモチモチをしてくれるのだろうか？
そんな期待と裏腹に、親たぬきは心底ガッカリと言わんばかりのションボリに満ちた顔をし始めた

「ﾏﾏ…？」
「はぁ…こいつも喋ったし…もういらんし…」

先ほどまで大事に抱いていた子たぬきをあっさりと捨てた
元々30cmほどでしかない成体たぬきから落とされてもそこまでの高さではない上に、子たぬきのもちもち肌は地面に落ちても痛みはない
しかし突然親に落とされたという事実に子たぬきは理解できず、数秒の時を有してからジタバタ始める

「ｷｭｰ！ｷﾞｭｷﾞｭｰ！！」
「喋ったチビは我儘ばかりでキモいしウザいし…もう勝手にしてろし…」

そうしてまだ喋れていない、そして今の状況を分かっていない他の子たぬきを大事そうに抱いて親たぬきは子たぬきを捨てて去っていく
この親たぬきは子育てこそするがそれはあくまで可愛いものを愛でたいだけのものでしかなかった
言葉を喋れない無垢な赤ん坊を可愛がっても言葉を喋れるようになるとどうしても隣たぬきとして意識せざる得ない
そうした面倒さと気持ち悪さで親たぬきは拾っては捨てるを繰り返すような育児をするようになったのだ

捨てられた子たぬきはｷｭｰｷｭｰと親の助けを求める
しかし喋れるようになるぐらいの成長まで行けてるなら自分で立ち上がり、自分で考え、自分で動けるぐらいの成長はしている
ここから先は一匹で生きなければならない
それに気づかなければ子たぬきはカラスかもどきの餌になる運命を辿るだろう



たぬき余談話

親たぬき
子育ては面倒だが可愛いチビが自分だけを頼ってる優越感と可愛いものを愛でることができるからやっている
しかし育ってくると面倒さが上回り、何より言葉を喋ると不平不満も口にしやすいからそれを聞きたくもないので捨ててしまう
人間で言うとペットを飼ってるような感覚で親たぬき自身もダメな飼い主そのものである

捨てられた子たぬきたち
言葉を喋るようになった時点で捨てられるがそこまで行くと自分で考え、動くことには支障はない
なので親の保護下無しでも生きられるのだが親たぬきに甘やかされて育ったので中々自発的に動けないのが多い
捨てられた子たぬきの内で10匹に1匹が大人まで成長できるかどうかである
これはこれで野良の世界では悪くない確率ではあるが特に子たぬきが死にやすい最初の成長段階に親たぬきの保護下にあるというのが大きい
成体まで育った後は捨てられたトラウマで子たぬきを拾って子育てすることに嫌悪感を覚えるのがほとんどであり、他の野良たぬきより三割増しのションボリ顔をしている
時々虹色に輝く