コンビニTANUKIの人気商品『子たぬき揚げ』
今となっては当たり前のように売られているそれはサクサクとした衣とモチモチとしながらも少しの甘味もあっての食べやすさ
一つあたり100円という安さもあって毎日子たぬきの悲鳴と共に売られている
そして期間限定で『大たぬき揚げ』が売られる事が各種SNSの広告で発表された

名前から見てもまさか成体のたぬきを揚げたのか？と思いながらも使われている食材は子たぬきだ
それも言葉を喋り始めて10cmにも満たない個体である
しかしSNSに挙げられた画像は15cmを超える大きな揚げ物であり、中々のボリュームがある
価格はこの大きさで500円
子たぬき揚げと比較しても5倍どころではない大きさを考えれば値段も破格と言って良いだろう

「まま…きょうはどこにいくし…？」
「ヴッフ…とてもいいところだし…ちびは断食を頑張ったご褒美があるし…」

作り方は至って簡単
まずは食材用の子たぬきを言葉が喋れるように育てる
この際に廃棄用の野菜などでしっかり栄養と取らせて少しばかり太らせるぐらいがベストだ
加食部分が大きくなる上に言葉を喋れるのが少しばかり早くなる

「さぁここで身を清めるし…これから出会う人間さんに失礼があってはならないし…」
「わかってるし…たぬきはりっぱなかいぬしさんにはじないようにするし…！」

そして価値観もお前は人間に飼われるために備えなくてはならないと産まれた頃から教育される
食材として出す三日前に断食をさせ、体内の不純物を全てスッキリさせるのだ
こうして準備が整った子たぬきを調理場に連れていくのがコンビニ勤務兼子たぬき教育係のたぬきとなる
ちなみに教育係も兼ねているので給料と勲章の払いが良く、今期は中々の稼ぎになったとニッコリ顔で語っていた

「し…？あなたがにんげんさんで…たぬきのかいぬしさんですかし…？しぃ！？」

そして調理場まで連れていかれた子たぬきを調理するのが人間が行う仕事だ
今回の『大たぬき揚げ』はたぬきが行うには重労働になるため人間がやったほうが効率的だからだ
初めて見る人間を前にこれが飼い主かと思った子たぬきであるが急に掴まれた挙句にまな板に叩きつけるように置かれたからだ
モチモチ肌のたぬきは相当強く叩きつけられない限りは痛みを感じる事もないが、箱入り娘の如く育てられた食材たぬきからすれば初めての扱いに動揺と困惑は隠せない

「な、なにするし…！？ｷｭｰ！まま！まま！！たすけてし！」

親たぬきに助けを求めるがいない。次の子たぬきを連れてくるためにすでに別室に向かったからだ
そして人間が用意するのは肉叩きに使うミートハンマーだ
本来は肉を柔らかくし、繊維をほぐすために使われる調理器具だが、子たぬき相手に使う目的は少し違う
本来であればとんとんとん…と優しめに叩いていくのだが、少しばかり重量を付けて思いっきり子たぬきのお腹目掛けて打ち下ろした

「げぶぅ！？ぎゃぶぅ！い”だ”ぃぐぅ！！ｷﾞｭ！ｷﾞｭｩｩｳ！！！」

それも一度ではなく、何度も何度も何度も何度もミートハンマーを打ち下ろしていく
まん丸と少しお肉の出たお腹は赤く腫れるどころではなく、モチモチ肌と思えないぐらいに赤く赤く染まっていく
本来であればもはや致命傷にも等しいほどにダメージを負っていくが栄養を豊富に取らされていたたぬきはこの程度で次のポップ先に行くほど弱くもない
段々とモチモチ肌であるからこそミートハンマーで叩かれ続けた子たぬきの体は平らに押し広げられていく

これこそが『大たぬき揚げ』の秘密である
そこまで大きくない子たぬきをボリューム感のある大きさにするためにミートハンマーで出来る限り叩き潰して広げていくのだ
もちろんこの要求技術も高く、子たぬきが死なないダメージを計算しながら押し広げるための技術持ちがいなければコンビニの商品として並ばない

「ﾀﾞﾇｰ……ﾀﾞﾇｰ……ｷﾞｭ………」

顔以外をミートハンマーで出来る限り叩き広げられたその見た目は悲惨の一言だ
生きているのも不思議なぐらいであり、子たぬきも致命傷の鳴き声を呻き声としてあげながら匠の技術によって命の支障がないという矛盾した光景を作り出した
あとは揚げ物としての定番である衣を丁寧にまぶしていき、少量の香料をかけていく
ボリューム感のある食べ物だからこそ飽きさせない工夫としてコンビニTANUKIオリジナルスパイスのちょっとした味付けも付け加える
これによって『子たぬき揚げ』のただの大きいだけの商品という違いを出すのだ

「ｷﾞｭｵ"ｵ"ｵｵ"ｵ！ｷﾞｭｨｲｲ""ｲ！！ﾏ"､ﾏ"ｧｧ"ｱ"！ﾀﾞｽﾞｹﾞｷﾞｭｸﾞｩｵｱ！！！」

そして最後は高温の油で揚げてフィニッシュである
首だけ残しているためかその悲鳴は『子たぬき揚げ』と劣らない代物であり、子たぬきが新鮮な証拠でもある
首だけは綺麗に残して首から下はカラリと揚がってついに完成する
そして子たぬき揚げから分かっているがこうして揚げられているだけでも首から下は肉体的にはまだ生きている
頭部に至ってはほぼ無傷のためか思考は逆にしっかりとしているので食べながら可愛い子たぬきの反応を見れるのだ
あとは揚げ物用紙袋に入れて注文されたお客様にお出しする
子たぬきが生きている新鮮な間に味わってほしいというたぬきの思いもあり、注文から作り出されるのである

その大きさ、子たぬきの頭部を食べ終わるまで生きているしぶとさ、何よりもスパイスの効いた飽きさせない味から注文販売であるにも関わらず人気商品となった
とはいえ言葉を喋れる子たぬきを用意する手間もあってこその期間限定であるため、中々食べる機会も多くない
コンビニTANUKIに出向けば本日売り切れというのも珍しくないため、販売終了後のお問合せで多くの再販のお願いが送られたのは言うまでもない

「ﾋｷﾞ…ﾀﾞﾍﾞﾅｲﾃﾞｼ……ﾀﾞﾇｷﾞﾉｱｼﾞﾀﾞｼ…」
「後ろから食べるのもじわじわ食ってる感じがいいねぇ…」
「ﾀﾞﾇｰ……ﾀﾞﾇｰｩ………ﾀﾞｽﾞｹﾞ……」