しょんぼりしょぼしょぼな月明かりに照らされたお山
そこにはションボリ集めて木の実を作るたぬ木が存在している
今日もたぬ木から木の実が実り、実った木の実は熟して宙を舞って地に落ちる
割れた木の実から這い出るのはピィピィと泣き出す小さい小さい赤ちゃんたぬき
産まれたばかりの赤ちゃんたぬきは本能動くままに目の前の木の実を食べ始める

「ｷｭ…ｹﾌｩ…」

小さな赤ちゃんたぬきは揺り籠であった木の実を食べて大変満足していた
ションボリしがちな顔はニッコリ顔で顔も体も木の実の液でべたべたしている
もしもこの状態を一晩過ごせばベタバタを残したまま体の不快感に気付いてたぬ生初のジタバタを行うだろう
しかしそのジタバタを行うことはできない
なぜなら赤ちゃんの周りには涎を垂らした獣でいっぱいだからだ

「ｷﾞｭﾌﾞ！ｷﾞｭｱｱ！ﾋﾞｨ！ﾀﾞﾇｩｩ！ﾀﾞﾇｰ…」

猪が自らの子であるうりぼうと共に木の実ごと赤ちゃんたぬきを食い散らす
野生で生きる頑丈な顎は何の抵抗もなく木の実の甘味でコーティングされた赤ちゃんを嚙み砕いていく
断末魔を上げる赤ちゃんは不運だ
即死ができずに次のポップを先延ばしにしたのだから
即死できた赤ちゃんも不運だった
次の日には新しい木の実と赤ちゃんとしてまたうりぼうに食われているだろう

そして動物たちは何もその場で食うばかりではない
中には木の実と赤ちゃんたぬきごと自分の住処に持っていくものだっている

「なんだし…お前たちなんだし…さわるな…」

お持ち帰りされた赤ちゃんたぬきは産まれたばかりからヒトの言葉を喋れた
産まれたばかりだと言うのに無造作に拾われて無造作にもちもちと弄られてる
これには赤ちゃんも不快感のジタバタを行うしかない
しかし目の前の動物が何なのかわかっていない赤ちゃんは喋れるだけの赤ちゃんでしかない
これから先どうなるかわかっていないからだ

「ｷﾞｭ！？ｷﾞｨｨｨｷﾞｨｷﾞｨｨ！！やめ…めろし！やめてし！ｱｧｱｱｱ！？」

その毛むくじゃらで二本足を自由に使える獣は赤ちゃんたぬきを引っ張り出した
腕も足も、胴体も、そして頭も自由自在とばかりに伸ばして遊んでいる
たぬきはとても柔らかい
そしてそれは産まれたての赤ちゃんもそう簡単に千切れないほどの伸縮性のある柔らかさ
それが苦しみを与えているのは何たる不幸か
キィキィともキュウキュウとも鳴こう喚こうにもその行いはやめられない
なぜならその獣はそれを楽しめるだけの残酷な生き物だからだ

「やめ…！やめｷﾞｭｲｨ！ｷﾞｭｩｱｱ！ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾇｩｱ！！！」

獣は赤ちゃんの自由に変形する玩具として楽しんだ
どんな無茶な引き延ばしも折り曲げも答えてくれる玩具を楽しんだ
何よりも嗜虐心を煽るその鳴き声は他の動物では代用できない最高の玩具だった

「も”う”…や”め”…ﾀﾞﾇｰ…ﾀﾞｷﾞｭﾋﾞｲ！？」

伸ばし尽くされた赤ちゃんは手足だけ伸ばされた出来の悪い八頭身のような気持ち悪い姿となっていた
いくら伸縮性があると言ってもここまで赤ちゃんの頃から伸ばされてはもう二度と戻ることもない
そして頭も平面に伸ばされて言葉を口にするだけでも激痛が走るのだろう
ションボリとした目からぽろぽろと涙が出るが獣はここで手を緩めるほど優しくはない

「ﾀﾞﾇ"ｩ"ｩ"！だぬ”ぎの、うで！ｷｭｲｨｨｨ！」

伸ばし尽くされた腕を食い千切ったのだ
そのまま千切った腕を食い尽くし、口直しとばかりの赤ちゃんの揺り籠であった木の実も食っていく
もはや食われるだけの立場だと認識した赤ちゃんたぬきに救いはない
あとはタヌータヌーと最後の鳴き声を呟くだけになったがそれでも食われるたびの絶叫は獣を最後まで楽しめてくれた

それは二足歩行と四足歩行を使い分ける毛むくじゃらの獣
道具を覚え、使うことを理解し、ヒトとのコミュニケーションすら可能な個体もいる
しかしながらその嗜虐性はヒトに劣らずかそれ以上のものを秘めている
ならばヒトの言葉を喋り、自分と似た姿を持ち、自分より遥かに弱く劣る生物を見つけた彼らは何をする？
たぬきもどきと同等の自然に置けるたぬきの天敵
その獣の名は猿と言った


たぬき余談話

こういった野生動物の豊富にいる地域でのたぬきは救いがない
次のリポップでもう少し平和なところに行くかすぐに野良たぬきに保護されないと生きていけない
運良く生き延びた子たぬきが蛹になってやり過ごす