食事をする時、人によって些細なことを気にするしないと結構な者に別れる
例えば魚を食べる時に骨も気にせずにボリボリ食う者もいれば、丁寧に骨を取る者だっている
このシャインマスカットを食べる男は前者の部類だ
皮ごと食べれると触れ込みの果実はどんどん口に放り込んで食べていく
しかし果実の中にはションボリが溜まって小さな赤ちゃんたぬきがポップしているケースもある

「ｷｭ…」

今か今かと誕生を待ち望む子たぬき
まだ肉体も形成しきっておらず、ションボリを溜め込めば無事に産まれてくるだろう

「ｷﾞｭﾌﾟ」

もちろんそんな日はやってこない
まだ肉体を形成しきっていないということは果実と変わらぬ食感でしかなく、男は気にせずにもりもりと食べていく
こうして特に食べる事に何かを気にしない人間は気づかぬ内にたぬきも食っていたわけである

別の視点を見てみよう
同じように果実を食べている男だがこちらは皮を剥いたブドウだ
ブドウも皮ごと食べれる部類ではあるが、どうやら皮を剥かなければ食べられない気質らしい

丁寧に皮を剥いては一つ一つ食べていく
これもまたブドウを食べる上の醍醐味の一つだろう
プルンと綺麗に剥けた果実を気持ちよく食べるのは違った満足感があるからだ

「ｷﾞｭｯ！」

どうやらブドウの中にたぬきがポップしていたのか口の中で小さな声と異物感があることに男は気づく
しかし男はそこまで気にせずに口の中でもごもごと動かしている

「ペッ！」

器用にブドウとたぬきを分けてたぬきだけを吐き出した
形成済みだったのか噛み砕かれて虫の息のたぬきは剥かれたブドウの皮の山にベチャリと張り付く
よく見れば吐き出されたたぬき以外にも多くの噛み砕かれているたぬきがいた

「ﾀﾇｰ…ﾀﾇｰ…」
「…………」
「ｷﾞｭ……ｫｫ………」
「ﾏ………ﾏﾏ……」

この男にとって中に入ったたぬきは種と同じ食べれない異物でしかない
スイカを食べる時も丁寧に箸を使って取り出すぐらいに几帳面な男だ
吐き出されたたぬきたちはこの後、他の生ゴミと纏められて捨てられるだろう

では、同じたぬきならどうだろう
飼われて大事にされている飼いたぬきは三時のおやつにお饅頭を食べていた
そして饅頭の中の餡子にションボリが集ってたぬきがポップし始める
甘い香りを漂わせる子たぬきはもし無事に産まれてくれば親たぬきから愛され育っていただろう

「ﾓｸﾞﾓｸﾞ…なんだチビが入ってたのかし…まぁいいかし…」

しかしこのたぬきは気にしない
そもそも食ってる最中にポップされても防ぎようはない
こうしてジタバタすることもションボリすることも踊ることすら知らずに一瞬で食われて終わる
飼いたぬきからすれば不幸な事故だったね程度な感想だ
野良も飼われているたぬきも一定のドライさを兼ね備えているからこそ食事にそこまでの拘りはないのかもしれない