「ｷｭｩ…」

人間の住む家に一匹の豆たぬきがポップした
物陰に隠れた位置にいるため、下手に鳴いたり動かなければ見つかる事もない
運の良い形でポップをしたと言えるだろう

「ｷｭ…？ｷﾞｭ…！？」

しかし豆の子たぬきは唐突に苦しみだした
ションボリとした顔から一転してまだ困難なはずの目が見開き、歯がない口を食いしばるような顔つきだ
可愛げの欠片もない、醜悪とも取れる顔で呼吸すら困難なほどに苦しみ続ける

「ｷﾞｭﾎﾞ…ｶﾞﾋ…ｶﾞﾋ……ｶﾞﾋｭ……ｷﾞｭ…ｷﾞｭ…ｷﾞｭ……ﾀﾞﾇｰﾀﾞﾇｰ…」

享年5秒
短いゴミのようなたぬ生だった
さて視点を変えたら家主たる人間はある定期的な行いをしていた
手に持つ小さなスプレ―缶をシュッと一押し
それが済んだら人間は電気を消し、そのまま布団に潜って睡眠に入った

『1日1プッシュ！たぬきがいなくなるスプレー！』
それがスプレーの正体であり、なんともシンプルな名前だった

効果は先ほどの豆たぬきを見る通りに一目瞭然
1日1回、スプレーを一押しすれば半日以上は効果が発揮する
標準的な一軒家であれば家全体の豆を纏めて殺し尽くし、効果が残ってる間はポップと同時に死へと運ぶ凄まじい効果である
いなくなるという名前に恥じず、家主はこれを使ってから豆の被害に出会った事はなかった
