散歩をしていると飼っているたぬきが空を見上げていた
何かと俺も上を見ればなんてことはない
ただ鳥が飛んでいるだけだ
しかし我がたぬきは鳥を見ながら手をパタパタと動かしている
大方自分も飛んでるように空想しているのだろう。可愛いものである

「たぬき…空、飛んでみるか？」
「飛べるし！？」

パッと頭の中で浮かんだたぬきが空を飛ぶ光景
もし想像通りならやれるはずである
いつもよりウキウキのとぼとぼとした歩きのたぬきを見ながら散歩は続いていく

そして気づけば一か月後
たぬきも忘れてた頃にようやく準備は整った
というのもこれから行うのにたぬきの望みと俺の考えを叶えるのに結構な費用がかかったからだ
用意したのは少し大きめのゴム風船とそれを膨らませるヘリウムガスだ
何十個のヘリウムガス入りのゴム風船を作ってはヒモで繋いでいく
最後はたぬきに括りつけて準備完了だ

「お…おお…浮かんできたし…」

一つ二つならともかく何十個も括りつけた事でふわふわとたぬきは地上から離れて浮かんでくる
更に追加で何個か取り付けると段々と俺以上の身長まで飛んで行った

「わわ……本当に飛べるし…」
「おー、昔のゲームみたいにやれるもんだな」

思わず感動してしまった
ファミコンあたりのゲームではこうして風船で空を飛ぶ主人公はいたようだが、こうして実際に目にすると感慨深いものがある
どんどん空へと高く飛びあがり、もう手に届かないほど浮かんでいく

「……ところでこれどう降りるし…？」

あっ！！

「……えへっ」
「えへっ…じゃないしぃぃいい！どうするんだしぃぃぃいい！」ｸｳﾁｭｳｼﾞﾀﾊﾞﾀ

もはや小さく見えるほどに空高く、そして風に飛ばされるたぬき
俺は敬礼を送りながらそれを見送ったのだった
まぁ飼いたぬき用のGPSがあるから落ちたら後で回収すればいいだろう…



たぬき余談話

空飛ぶ風船たぬき
町が小さく見えるほどの高く浮かんで思いの外、空の光景を楽しんだ
ヘリウムガスが減って降下中に鳥の襲撃に出会って地面に激突するが幸い飼いたぬきの頑丈なモチモチ肌で無傷だった
次から空を飛ぶ時はちゃんと命綱を併用してもらうようになった