双葉市内にあるとある公園
そこでは市民公園として中規模の大きさを誇っており、休日となれば子供たちの遊び声も聞こえてくる場所だ
そして広く自然溢れる場所には当然のようにたぬきもいる
野良の身ながらもそこまで薄汚れておらず、スラムに所属するたぬきのように全裸ではない
たぬきがとぼとぼと公園で歩いていても人間は特に気を咎める事もなく、たぬきもまた人間と関わるわけではない
公園でのたぬきも各々日向ぼっこを楽しんだり、虫を捕まえたりとしていた

「ふぅ…尻尾も温かくて良い感じだし…」
「ふさふさだし…もふもふだし…」

この公園ではたぬき愛護団体が試験的にたぬきを保護し、人との共存のためのデモンストレーションがされていた
公園の出入り口には大きな看板が立てられており、そこには『たぬきは知恵のある生き物です』『たぬきをいじめないようにしましょう』『たぬきを過度に干渉しないようにしましょう』と三つの言葉が描かれている
知能はあってもモチモチな肉体ゆえに自然災害等であっさりと死ぬたぬきではあるが、死んでもポップすることで数を減らさない適当な生態ゆえに人間もたぬきの扱いには雑だった
たぬきそのものは温厚であっても結構図太く前述の通り適当な生態をしたナマモノのため、人間社会で余裕のない人間には恰好のストレス解消の装置であったのだ
加えて命の価値感も薄い子供からすれば虫と同じような扱いであり、たぬきのポップ具合によっては子たぬきの生首が散乱する公園も存在するほどだった
そうしたたぬきの命を命と思わない社会の中で愛護する団体が産まれても不思議ではないだろう

「ふぅ…そろそろお仕事するし…」
「頑張るし…」

公園でのんびりとしていたたぬきたちは、ただのんびりと団体に保護されるだけではない
一部の人間も延々とたぬきを保護し続ける事ができない以上、人と共存が可能であるとたぬきもアピールをしないといけないのだ
その一環として公園に住まうたぬきは公園の清掃を担っており、場合によっては公園内で迷子になった幼い子供も保護する立場にある
体こそ小さいが知能があるからこそ出来るたぬきの仕事である
そのため公園内でのたぬきの評価は段々と上がっており、少なくとも公園たぬきが人間に害されることは無いと言えた

しかしながら、たぬきのことを少し気に留めるとある不自然さを理解する事となる
市民公園にはたぬきはいるが、そのほとんどが30cmほどの成体だけだった
小さく言葉も喋らない子たぬきの類を見かけないのである

「ふっし…ふっし…夏はすぐに草ボーボーで嫌になるし…」

麦わら帽子を被って汗を流しながら公園の草むしりを頑張るたぬきが一匹
すでに草を入れる麻袋もいっぱいになる頃に一休みを入れようか
そう思った矢先に声が聞こえた

「ん……？」

「…………ｷ……」

聞こえたのはまだ草が生えている場所だった
急いで駆け出すと草を掻き分けて注意深く探っていく
そこにはまだポップしたばかりで服も着ていない、親指サイズの子たぬきがいた

「ｷ……ﾝﾝ…ｷｭ……」
「チビ…チビだし…大丈夫だし…無理に鳴かなくていいし…」

モチモチ肌のたぬきと言えども成体以上に更にモチモチとした子たぬき
まだポップしたばかりで声も出すのも苦労するのだろう
大事に大事に抱き抱えて子たぬきへ暖かさをモチモチして分け与える
突然見知らぬたぬきに触れられて小さくジタバタする子たぬきではあるが、成体の麦わらたぬきに優しく撫でられるとすぐに落ち着いたようだ
産まれながらのションボリ顔はニッコリとし、その顔を見ると麦わらたぬきもションボリ顔ながらも少しばかりにこやかに見えなくない顔をする

「フフ…やっぱりチビは可愛いし…さっそく管理人さんに連れて行くし…」
「ｷｭ…ｷｭｰ♪」

むしった草を入れた麻袋も一緒に麦わらたぬきは子たぬきと一緒に公園の中心部に向かった
現在の管理人は愛護団体の一人が担っており、そこではたぬきの保護観察が行われている
もちろん公園自体は人の利用もされるのだから迷子センターも兼ねている施設だ
麦わらたぬきが着く頃には他のたぬきも何匹か集まっており、麦わらたぬき同様に何匹の子たぬきを抱えていた

「草むしりの…そっちもチビを拾ったし…？」
「ゴミ拾いの…フフ…とても可愛くて大人しいチビだし…」
「こっちは凄いヤンチャだし…今は寝ているけど拾ったら物凄いジタバタしたし…こいつビックになるし…」

両手が掃除用具と子たぬきで塞がってるので互いに頬をモチモチしながら互いの子たぬきを見せ合う
すやすやと寝ていたり、まだジタバタとして鳴いていたり、大人しく成体たぬきたちを見つめる子たぬきと個性はバラバラだ
管理人室の扉が開くと中年の男が出てくる。彼がこの公園の管理人であった

「お待たせたぬきちゃんたち…その子たちが新しいおチビちゃんかい？」
「そうだし…モチモチのチビだし…」
「たぬきの宝だし…将来の希望だし…」

小さく可愛らしい子たぬきに男も喜ばしい顔をしていた
傍によって優しく指で子たぬきの頬を撫でればモチモチとした触感がすぐに伝わる
その心地良さは永遠に行いたいほどであり、くすぐったそうにする子たぬきの様子に男もたぬきたちもほっこりとしていた

「それじゃあ…いつも通りおチビちゃんを預かるね」
「寂しいし…でもそれが決まりだし…」
「チビ…元気にするし…またこっちに戻れたら一緒にモチモチするし…」

あれほど手放さないと言わんばかりの可愛がっていたにも関わらず、あっさりとたぬきたちは子たぬきを人間の男に差し出した
これには大人しくしていた子たぬきもびっくりし、キューキューと声を出すが落ち着かせるように男が頭を撫でている

「ごめんし…たぬきたちじゃチビを満足に育てられないし…」
「人間さんの手で育ってもらうし…大きくなったらまた一緒に住めるし…」
「いつかたぬきだけでもチビを育てる日も来るし…お前たちはそうじゃなかったし…でもお前たちがチビを育てられるかもしれんし…」

公園の子たぬきがいない理由
それはたぬき自ら育てずに愛護団体に代わりに育ててもらっているからだった
子たぬきはとにかく死にやすい。いくら知能があるたぬきと言えどもポップしてから成体になるまで中々いない
季節で言えば春が多少生きやすいぐらいであり、夏であればミミズのように干乾びて死に、秋であれば肌寒さに対応できずに死に、冬は食べるものが無い上に寒さに耐えられない
そのため親たぬきが子たぬきを拾い、そうして育てられたのが知識を受け継ぎながら世代を交代していくのだが、それでも子たぬきは様々な要因で死んでしまう
公園も野良の世界と比べれば天国のような過ごしやすさと環境ではあるが、それでもちょっとした自然の猛威に振るわれればあっさりと全滅してしまうだろう
気軽にポップしては気軽に死ぬ
たぬきの象徴とも言える命の軽さを体現したのが子たぬきであった

本来出れば公園のたぬきも子たぬきを自分の手で育てたいのも山々だ
しかし保護される立場であるたぬきはちょっぴり野良の世界から外れているため、生来のドライさが少し薄まっていた
つまるところ子たぬきを育てて死なせてしまえば際限無しにションボリしてしまう
そうなれば生きる気力を失ってしまう可能性も危惧があるため、公園に住むたぬきはそうした部分も恐れて素直に子たぬきを差し出してしまうのだ

「よしよし…先にお姉ちゃんたちのいるお部屋に行こうね…おっとその前に」

ごそごそと空いた手でポケットから取り出すとビニール袋を取り出す
中には茶色のフードが入っており、それをたぬき達に渡した

「はい、おチビちゃん分のたぬフードね。僕はおチビちゃんをお部屋に入れてくるから自分たちで分けてね」
「ありがたし…今日の晩御飯が潤うし…」
「チビを渡すのはションボリするし…でもたぬフードがあれば気は晴れるし…」

飼いたぬきがペット用の食品として売り出されるたぬフード
それが公園たぬきの主食の一つであり、そしてチビを差し出すための対価であった
いくら自分では子たぬきを育てられないと分かっても素直に子たぬきを差し出すのも多くはない
そのために愛護団体は対価を渡すことによってたぬきにもメリットがある事にしたのだ
結果は見ての通り
子たぬきを差し出す瞬間はションボリ顔が深まったたぬきだが、たぬフードを分けている今はそうではない
たぬきと人が上手く付き合うのならメリットとデメリットのバランスを取る事…それが愛護団体の結論だった

「よし、おチビちゃんたちはこの部屋に入ってね…」
「ｷｭｰ?」
「ｷｭｷｭｰ…」
「ﾎﾟｺｰｼ…ﾀﾇｰｼ…」

管理人室に置かれた大きな箱に新しい子たぬきが入居する
すでに先客としての子たぬきが何十匹もいる
それぞれたぬき玉を作って大人しく寝ていたり、小さい水桶から水を飲もうとしている一匹の子たぬきが跳ね飛ばした水が別の子たぬきの尻尾を濡らしてションボリとしている
新しい入居者に気付いた子たぬきはポテポテと近づいて親愛のモチモチをしだす
どんなたぬきもモチモチすればそれは仲間だ
そう言わんばかりのモチモチに子たぬきたちは喜ばしい声を出しながら歓迎されていた

「ふふっ…可愛いなぁ…ずっと眺めていたいなぁ…」

その光景に手を出さずにじっと見つめる男
小さいたぬきたちの織り成す可愛らしい友情に浸っていながら、男は携帯を取り出すと電話をかけだす

「ああ、敏明くん…うん…増えてきたから回収をお願いね…うん」

男が電話をかけてから30分後
すでに箱の中の子たぬきたちは仲良くなっているようで、まだ言葉も喋れず満足に体を動かせないながらも踊っているようだった
ぽてんぽてんと立っては転んで立っては転んでを繰り返してジタバタをする
そしてジタバタを終えれば立って安定すれば踊り出す
そんな光景をいつまでも眺めていたが、管理人室の扉がコンコンと鳴らす音が響いた

「お待たせしました、回収に来た敏明っす」
「お疲れ様。じゃあこの子たちをお願いね」
「うっす…っと、これたぬフードの補充っす」

バイクスーツに身を包んだ若い男だった
敏明と呼ばれた男はダンボール箱を持ち出すと男はそれを受け取り、中身を確認する
箱の中に入っていたのは1kg分の入ったたぬフードの袋三つ分だった

「はい、確認しました。さて…おチビちゃんはお別れだね…」

名残惜しいと言わんばかりの声を出しながら男はまだ懸命に踊り続ける子たぬきの箱に向かってスプレーを噴射した
そのスプレーはエタノールとアロマオイルを混ぜた睡眠スプレーであり、小さな子たぬきには効果があったのがバタバタと倒れて眠ってしまう
全ての子たぬきがぐっすりと眠ったのを確認したら箱を閉じて敏明に渡し、彼は渡された箱を公園外に置いてあるバイクにしっかりと付けるとそのまま走り去ってしまう
子たぬきが一匹もいなくなってしまった管理人室は寂しいもので、男もため息を一つ付いてしまう
しかしそんなションボリに引き寄せられたのか、管理人室の机に一匹の子たぬきがポップしたようだった

「おやまぁ…まぁ！こんにちは、新しいおチビちゃん…！」
「ｷｭ…ｷｭｰ…?」

まさかの子たぬきの来訪に男のションボリは搔き消え、子たぬきを大事そうに掌に乗せる
まだ状況の理解していない子たぬきではあるが、暖かい人間の掌でそうすることがたぬきなのだとモチモチとし始めた
その可愛らしい幼いたぬきの姿に男はいつまでも幸せに浸っていた

一方で箱入りから何処かに連れていかれた子たぬきたち
睡眠スプレーの効果も切れ、暗闇の中で身を寄せ合ってたぬき玉を作っていた
音のしない無音の中に響くのは子たぬきの声だけであり、古株の子たぬきもいつも自分を可愛がってくれた人間がいないことに寂しい声を出していた

「ｷｭｰｩｩﾝ…ｷｭｳｰ…」
「ﾀﾇｰ…ｷｭｷｭｩﾝ…」
「ﾎﾟｺｰｼ…ﾀﾇｰｼ…」

呑気に寝ている子たぬきもいるにはいるが、ほとんどが不安に支配されつつある中で突如光が箱の中に産まれた
その光は上ではなく、下からであり、突然の浮遊感がたぬきたちを襲った
たぬき玉のまま落ちていくものがあれば、唐突の出来事にジタバタの体制に入って外れた者もいる
モチモチの肌であるたぬきはある程度高いところから落ちてもダメージはあっても致命傷にはならない
事実として落ちた先は柔らかいゴム質であり、ポヨンと跳ねそうな音と共に着地した
無事ではないのは逆にたぬき玉のまま落ちた部類であり、同族からの唐突な圧力にやられた地面側の子たぬきは一転して瀕死の状態だ

「ｷﾞｭ…ﾍﾞ……」
「ｷｭｰ！ｷｭｰｷｭｰ！！」
「ﾀﾞﾇｩｩｩ！ﾀﾞﾇｩｩｩ！！ﾎﾞｺｫｫｫｫ！」

各々が痛い痛いと泣き叫び、瀕死の子たぬきは誰も気を留める事はしない
いつもなら優しい人間が助けてくれるはずだった。しかしそれが何時までもやってこない
ならば親たぬきは？そんなものは存在しない
状況を打破できるような経験も教えすらも受けていない子たぬきに出来るのはただジタバタとするか泣くだけであり、だからゴム質の地面が動いてる事に気付かない
地面が動くと同時に先ほど子たぬき達が落ちた場所に新しい子たぬきたちが投下されている
その子たぬきたちもまた状況を理解できずにただ泣いてジタバタするだけだった

動き続ける地面の先、突如暗闇に入ったと思ったら経験したことのない大雨が子たぬきに襲った
いや、もはや雨というより滝の勢いであり、体がバラバラに砕け散ると言わんばかりの水量が上から落ちてくる
子たぬきはもはや呻き声一つ出す事も尻尾が濡れたことすら気にする余裕は存在しない

「ｷﾞｭﾎﾞ…ﾎﾞ…!!…ﾀﾞ………!」
「…!!…ﾀﾞ……!?…ｷﾞ……!!!」

息をするのも困難な雨がすぐに通り過ぎ、次に襲い来るは夏の熱気ですら経験できない強熱の照射だった
明るいと感じた時にはもう遅い
先ほどまで濡れていたはずの全身と尻尾がすぐに乾き、次は肌が焼けて焦げるほどの熱が逃げ場所無しに襲う
雨の時と違って叫び声を上げる子たぬきの顔はもはやションボリ顔ではない
目を見開き、歯軋りするような顔立ちは苦しみから逃れんとする無駄な抵抗を表していた

「ｷﾞｭｨｨｨ！ｷﾞｭｸﾞｸﾞｩ"ｱ"！！！」
「ｷﾞｭｩｩｷﾞｭﾌﾞﾌﾞｧｱ！ﾀﾞﾇ"ｩｩ!」

全身が程よくこんがりと焼けてもはや声を出すのも体を動かすのもできない
そこまでの状態になってようやく照射された状態から抜け出し、地面は尚も動き続けている
まだ視界が機能している一匹の子たぬきが動き続ける地面の先を見る
そこには自分たちを同じように処理をされ、苦しみ、真っ暗な部屋へと連れていかれるのが見える
そこから子たぬきの声はしなくなった。異様なまでに静かな気配がする
確かなのは先にあるのはほんのりとした肉の焼けた匂いと、血の香り。きっと同族である子たぬきはあそこでたぬ生を終えたのだと本能的に悟った

「ﾔ……ｼ………ﾔﾀﾞ…ｼ……！」

目の前に迫る死の恐怖
まだポップしてから一日も経っていないのになぜ…優しいたぬきに拾われ、人間に育てられるという未来があったはずなのに

「ﾔﾀﾞｼｨｨｨｨ！！」

何処にどんな力があったのか
死を目前とした子たぬきは産まれて間もないというのに言葉を喋り出し、少しでも抗おうと大きく声を出す
しかし子たぬきにそんな奇跡は起きない。力もない
暗闇の中で微かに見えた銀色の切っ先は組み立て直すのが不可能なほどに子たぬきを切り刻み、麦わら帽子に拾われた子たぬきは数時間ほどのたぬ生を終えたのだった


そうした子たぬきが何百何千と処理されていくのを見ていたのは職員らしき男とバイクスーツの敏明だった
敏明のほうは何度か携帯を取り出しては外に向かい、少しすると大型の箱を何個も持ってきては装置に取り付ける
取り付けられた箱は自動的に動き出し、箱から放り出された子たぬき達はベルトコンベヤーに乗せられて処理されていった

「はー…毎日毎日よくこんなチビが湧き出るもんっすね」
「まぁね。このポップの多さが愛護団体が頭を悩ませる部分でさ…口だけの団体もだいたいこれでたぬきのこと放り投げるんだよね」
「実際効果あったんっすかね、俺は運び屋のバイトでやってるんで詳しくないっすけど」
「双葉市内で言えば効果はあるよ。やっぱり数の抑制が効いてるのかたぬきは元より、人間もたぬき相手に無茶もしなくなったしね」

彼らは愛護団体に所属している人間であり、敏明は主に子たぬきを回収する役目がある
そして職員の男は子たぬきの処理係であり、処理されている大量の子たぬきを自家製たぬフードに加工する男だった
ベルトコンベヤーにはミンチにされた子たぬきの肉が次々と成型される機械に乗せられ、加工されていく
工場で作るたぬフードと変わりない代物を自家製で作り上げる愛護団体の本気が伺えた

「愛護団体って聞いた割には結構残酷なことするんっすね…チビを育てたりしないっすか？」
「今の保護観察地域のたぬきのリポップが近づけば育てるよ。近々やる予定だしね」

愛護団体と言ってもその活動はただ保護して愛でるだけの団体ばかりではない
中には生物としての環境保全を組み込んだ保護も兼ねた団体もおり、そうした団体は環境を害さない数のコントロールまで仕事として含まれている
彼らは確かにたぬきを知能のある保護すべき動物だとは認識している
同様に可愛らしいたぬきを愛でる事もするだろう

しかし保護すべき動物だからと言っても無秩序に増やすことを容認するわけではない
人間社会の中で小さな隣人として接する事のできる妥協点の探り
それこそが愛護団体最大の目的であった
そのために双葉市の一部公園をモデルケースとして数に限りがあるたぬきの群れとして構築した

結果で言えば愛護団体の目論見通りと言えた
保護された環境であるのもあるが、たぬき達はあまり無謀なことをせずに独自の死生観で命を投げ捨てるようなことが減った
人間も同様にたぬきを虫か何かのように扱うことも減り、過度の干渉は減りつつあった
たぬきにも知能があり、命もある
それを認識させるには偉大な一歩と言えるだろう

そしてそのための数の抑制としてたぬき自ら子たぬきを拾わせ、回収させることにしたのだ
そうして回収させた子たぬきは愛護団体自らたぬフードに加工し、それはたぬきたちの餌となる
公園のたぬきたちには育った子たぬきは別々の場所に巣立つ事を伝えてあるが、そろそろ各所に何匹か新しいたぬきを仲間に加えさせてみるべきだろう
何時の日かたぬきが知恵ある者として人間が理解し、たぬきもまた人間をちょっとした隣人として理解して生きられるようになれば素晴らしい未来があるだろう
愛護団体はそう信じてやまなかった

「ふー…今日もお仕事疲れたし…」
「おう、たぬきお疲れさん。こいつ貰ってけ！」
「わっ…お茶ありがとし！」
「毎日公園綺麗にしてるからな！たぬきのこと見直したわ！これからもがんばれよ！」

「シシ…良いもの貰ったし…あれ？チビの声が聞こえるし…？」
「ｷｭｰ…」




たぬき余談話

愛護団体の管理する公園
清掃がたぬきの手で行き届いており、よく子供の遊び声が響く大きな公園
しかし子たぬきが一切おらず、成体のたぬきしか住んでいない
これは愛護団体が管理する上で子たぬきは不確定要素が大きく、子たぬきが死にやすい上に景観も損ねるため
そのため子たぬきは回収されてすぐに管理人室に届けられ、それは自家製たぬフード工場で加工される
たぬフードは公園たぬきの餌になり、たぬフードが拾ってきた子たぬきであることを知らないままである
たまに子たぬきを差し出さずにこっそりと育てようとする者がいるが、大概は失敗してションボリを普通以上に抱え込む程度にドライさを失ってる
子たぬきを育てられる親たぬきは何百と失敗しても気にしない切り替えが求められるためであり、保護されたたぬきはその能力がない状態
そのため愛護団体の次の目的はこのドライさのバランス調整にある
いつまでも子たぬきの管理を愛護団体ができるわけでもないため、如何に必要な間引きを行えるかを教えられるかが課題