夏が過ぎ去り秋となり、木々は緑の葉は紅葉となる
そして秋が通れば冬となり、美しい紅葉は枯れて地へと舞っていく
季節の変わり目は木々の一生を表し、ほんの少し前は葉を付けた木々も今では寂しい枝だけの姿となっている
これから厳しい冬を迎えると誰もが思うだろう中で、多くの枯れた葉が地面を彩っていた

「……ｷｭ……ｷｭｩｷｭｩ……」

その葉の中に小さな小さなたぬきがポップした
目覚めてから何も光のない夜の中で服も着ていない子たぬきは体を震わせる
声も出すのも億劫になるほどの凍える寒気は冬の到来を感じさせ、それはポップしたばかりのたぬきには耐えられない死を運ぶ風そのものだ

「ｷｭｩｩﾝ……ﾀﾇｰｼ…ﾎﾟｺｰｼ…」

だんだんと眠りに付いていくがなぜが心地よく、寒気もだんだんと感じなくなった
子たぬきがポップしたのは枯れ葉の中であり、それが寒気を防ぎ、暖かさを感じさせるようになったからだ
まるで母に抱かれたようにションボリ顔から穏やかな顔になっていく
まだジタバタすることも何か食べることも、同族で語り合うことも踊り合うこともない
しかし次に起きたらそうした出会いがあると良いなと夢の世界に旅立とうとしていた

「ﾍﾟﾋﾟｭ」

しかしそうならなかった
突如として頭上からの圧力によって潰され、枯れ葉ごと地面の染みと化した
親指よりも小さい子たぬきは元いた痕跡すらなく、そこにポップしたたぬきがいたなど誰も気づかないだろう

暗闇の中で枯れ葉ごと子たぬきを潰したのは人の乗る自転車だった
いくらライトを付けていてもわざわざ地面を注意深く見て自転車を乗るような者などいない
枯れ葉の中でポップするたぬきは多く、しかし気づかれぬ内に潰されて次のポップ先に行く
秋から冬の変わり目はそうしたたぬきが多い季節でもあった